看護必要度は,主に看護師が患者評価のために使用してきた尺度であるだけでなく,多職種協働の推進に活用できる有効なマネジメントツールである.本研究では,看護師の属性及び職位別の看護必要度データの活用意向を明らかにし,この結果から,今後の研修プログラムのあり方を考察することを目的とした.
方法として,一般社団法人日本臨床看護マネジメント学会が実施した「2020年度ステップアップ研修」参加者の1,975名に対し,協力が得られた1,265名のデータ(回収率64.1%)を用い,病床,職位別等の分析を行った.
職位による活用意向に有意差が示されたのは,入院患者の受入れ病棟の決定,看護師の要員算定,傾斜配置,病棟の再編成・病棟の増減で,いずれも看護部長,看護師長等の看護管理者の活用意向が有意に高かった.一方,業務分析・業務改善,多職種連携,退院調整に関しては,看護管理者とスタッフレベルとの有意差は無く,どの職位でも活用意向が高いことがわかった.
以上の様な活用意向が示されたことは,従来の職位に連動した看護管理だけではなく,職位に関わらず,全ての職位のマネジメントスキルを向上させる必要を示唆している.加えて,新たなテーマとして多職種連携や退院調整のスキル向上が求められていると考えられた.今後は,スタッフレベルと地域の多職種との看護必要度データの利用による連携スキルに資する教育を推進し,地域連携へ寄与することが期待されている.
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