日本看護技術学会誌
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21 巻
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短報
  • 森本 裕介, 清水 裕子, 石丸 伊知郎
    2022 年21 巻 p. 51-59
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル フリー

     人の生活において清潔や皮膚温度保持のための清拭は重要な行為である. 清拭については科学的な根拠を付与した研究が増加している. 本研究では, 清拭前後の皮膚面と清拭素材の吸光度を結像型2次元フーリエ分光装置で測定し, 水分量測定技法の有用性の検討を行った.
     対象者は男性9名とし, 試料は, 蒸気布, 普通ループ織綿タオルの絞りタオルとシャーリング生地タオルの絞りタオルの3種とした. 介入方法は前腕内側を清拭し, 清拭前後の皮膚面の吸光度と清拭素材の吸光度の相対的変化を結像型2次元フーリエ分光装置にて近赤外光を用いて40秒間測定した. 近赤外分光法は新規評価手法であり, 吸光度から清拭素材水分量と皮膚面水分量を定量的に評価した.
     結果, 清拭素材の吸光度では, 蒸気布, シャーリング絞りタオル, 普通絞りタオルの順に増加を認めた. また, 皮膚面の吸光度は, 9人中8人にて, 蒸気布, 普通絞りタオル, シャーリング絞りタオルの順に増加を確認した.
     よって, 吸光度から水分量の変化が測定可能であり, 非接触で侵襲がより少ない技法として有用性を確認した.

  • 工藤 悦子, 山崎 公美子, 和田 ゆい, 難波 亨, 齋藤 道子, 進藤 ゆかり
    2022 年21 巻 p. 60-67
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル フリー

     本研究は, シミュレーション場面において, 学生と教員が何を見てどのようなことを認知しているかについて視覚情報から明らかにすることを目的とした. 看護学生9名, 看護専任教員4名を対象に, 課題を提示し看護援助の実施時に視線計測を行った. 援助終了後にインタビューを実施し, それらの内容を視線分析, 計量テキスト分析を行った. その結果, 学生, 教員の注視時間, 注視回数は〈人形〉が最も長く, 関心領域別の1回あたりの注視時間は, 学生は〈人形〉, 教員は〈バイタルサイン測定物品〉が長かった. また, 学生は「赤ちゃん」や「母」の「表情」を「意識」して見ており, 教員は「赤ちゃん」の「顔」を見て, 「赤ちゃん」が「心配」な「お母さん」を「思い」, 見ていた. 学生は自分の視線を確認するまでは見たことに気づいておらず, 教員は自身の行っている観察や判断が語られにくいことが示唆された.

資料
  • 北田 素子, 樺島 稔, 星野 聡子, 舘野 和子, 堀 悦郎, 齋藤 やよい
    2022 年21 巻 p. 68-74
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル フリー

     目的:清拭とアルコールの皮膚清浄度を比較, 清拭の微生物除去能を検討する. 方法:18歳以上の者を対象. 左右前腕の7×6cmの3ヵ所の調査部位に介入はそれぞれ, 清拭面を替えながら温湯清拭2回 (清拭のみ群), エタノール消毒綿による消毒 (アルコール消毒群), 清拭後につづけて消毒 (清拭+アルコール消毒群) とした. A3 (ATP+ADP+AMP) ふき取り法を用い, 清浄度はATPの発光量を指標とした. 清浄後ATP平均値の群間差異は, 清浄前ATPを共変量とする共分散分析とHSD検定により検討. 結果:外れ値の1名を除外, 19-22歳23名のデータを分析. 清浄方法と清浄後ATPの間に関連がみられた (F=31.4, P<0.001). アルコール消毒群より清拭を含む群でATPは有意に減少し (清拭のみ群vs消毒群;P<0.001, 清拭+消毒群vs消毒群;P<0.001), 清拭のみ群と清拭+アルコール消毒群で介入後ATPに有意差は認めなかった (P=0.31). 結論:限られた範囲での温湯と清潔なクロス面での清拭が, 清拭直後にはアルコール消毒と同等の微生物除去能を有する可能性を示した.

実践報告
  • 西本 葵, 佐居 由美, 樋勝 彩子, 亀田 典宏, 縄 秀志
    2022 年21 巻 p. 23-28
    発行日: 2022/08/20
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     昨今のCOVID-19感染拡大に伴い対面下における基礎看護学実習が困難となり, 模擬患者と学生代行者を活用したシミュレーション演習を実装した完全遠隔型実習という新たな取り組みを行った. 実習終了後に履修者である学部2年生97名を対象にWebアンケート調査を実施し遠隔実習における可能性と課題を検討した. アンケート回答率は38.1%で, 遠隔シミュレーション演習について10段階で評価を得たところ, 平均7.38点であった. 模擬患者との関わりにリアルさを感じ臨床実習の疑似体験ができた, 看護実践の流れを体験できたという評価が得られた一方で, Webシステム上の不調等を含め遠隔で模擬患者と関わることに困難があったという意見もみられた. 完全遠隔型実習では実際に看護実践ができない等の課題もあるが, 学生目線や画角に配慮した複数カメラの活用などの工夫を施すことで, シミュレーション教育の利点を活用した完全遠隔型実習の有効性が推察された.

その他
  • 横山 奈未, 岡田 淳子, 植田 喜久子
    2022 年21 巻 p. 29-37
    発行日: 2022/08/20
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     内視鏡外科手術で神経損傷の予防のための手術看護師によるポジショニングを明らかにするため, 手術看護師8名に半構造化面接を行い, 質的帰納的に分析しカテゴリー化した.
     手術看護師は, 【患者の関節運動や体格を観てポジショニングの見当をつける】というアセスメントを行い, 【頭頚部が回旋・側屈しないように固定し腕神経叢損傷を予防する】【肩の固定に伴い肩の除圧と関節角度の調整で腕神経叢損傷を予防する】を実施していた. 評価は, 【ポジショニングに変化がないことを観察する】【患者の状況に応じて継続して評価する】ことが明らかになった. 手術看護師は, 術前訪問で患者の身体的特徴からポジショニングをアセスメントしていた. そして, 手術台の傾斜に伴う身体の位置の変化で生じるリスクの腕神経叢損傷を予防するポジショニングを実施していた. 手術台の傾斜による身体の位置の変化を早期に発見するために, 評価を定期的に, 継続的に行っていた.

資料
  • 前田 耕助
    2022 年21 巻 p. 38-50
    発行日: 2022/08/20
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     三角筋部への筋肉内注射は, 末梢神経損傷や組織障害を起こす可能性があり, それらを回避する注射手技の確立ならびに技術教育は重要である. 今回, 注射手技のなかでも, 主に注射部位の選定と針穿刺時の手技について, 看護技術教育の教科書・参考書 (以下, テキスト) の記載内容および文献を確認し, テキストの記載内容の適切性ならびに今後の研究課題を検討した. 結果, すべての対象者にとって肩峰から3横指下の部位は必ずしも安全とはいえず, 注射施行者の指の太さや対象者の体格によっては腋窩神経を損傷する可能性についてテキストに明記すること, 針の長さを基準に注射針の刺入深度を示すテキストの記載については, 早急に見直すべきであることが示唆された. 三角筋部を走行している腋窩神経の走行に関する研究知見の蓄積ならびに対象者の腕を把持する方法ごとの皮下脂肪の厚みの程度について検証, 確認する必要性が今後の研究課題として得られた.

実践報告
  • 石川 彩実, 渡邉 順子, 倉本 直樹
    2022 年21 巻 p. 1-5
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    ジャーナル フリー

     カテコラミンは半減期が短いため血中濃度を低下させないようシリンジ交換を行う必要がある. 本研究の目的は, カテコラミン投与時の患者の血圧によってクリティカルケア病棟の看護師が選択する手動シリンジ交換法について実態を調査し検討することである. 東海北陸地域のクリティカルケア病棟に勤務する看護師にオンラインアンケート調査を実施し, すべての質問に回答した144人を分析対象とした. 医師から指示された患者の血圧目標値から20mmHg以上の場合を高血圧, 20mmHg以下を低血圧とし, カテコラミン投与時の患者の血圧によって1台法, クイック法, ダブル法の中から手動シリンジ交換法を回答してもらった. 結果は, 高血圧時には1台法45.2%, ダブル法33.3%, クイック法20.1%の順で, 低血圧時にはダブル法83.3%, クイック法11.8%, 1台法4.2%の順だった. クリティカルケア病棟の看護師は, カテコラミン投与時のシリンジ交換に伴う血圧変動を最小限にするために手動シリンジ交換法を適切に選択していたが, 看護師の30%以上が高血圧時にカテコラミンが重複投与となるダブル法を行うことが判明した.

その他
  • 山口 真弥, 宍戸 穂, 杉村 直孝, 安田 佳永, 丸山 朱美, 宮永 喜美子, 鈴木 美幸, 菱沼 典子, 矢野 理香
    2022 年21 巻 p. 6-14
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, 高齢者を対象に, 腰背部温罨法 (丸山式) の安全性を皮膚温および皮膚状態の経時的変化より追加検証し, 安全性に影響する要因を検討することである. 調査方法は, 準実験研究デザインとし, 高齢者20名の腰背部に対して, 乾熱刺激を伴う温罨法 (丸山式) を20分間実施した. その結果, 低温熱傷などの有害事象は発生せず, 皮膚深部温度は38℃未満で推移した. 温罨法実施中から実施後の皮膚深部温度は, 前期高齢者群にくらべて後期高齢者群の方が有意に高かった. また, 温罨法実施前後では, 角質水分量は有意に減少していた. 以上より, 温罨法 (丸山式) によって高齢者に低温熱傷が生じるリスクは低いことが再確認できた. しかし, 後期高齢者においては温罨法により皮膚深部温度が上昇しやすく, 皮膚内部に熱が蓄積しやすいことが示唆されたため, 他の方法を用いた温罨法を行う場合は注意が必要である. 乾熱刺激を伴う温罨法は, 高齢者の皮膚の角質水分量の減少を促すため, 実施後には保湿ケアを行う必要があることが示唆された.

  • 佐藤 亜月子
    2022 年21 巻 p. 15-22
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    ジャーナル フリー

     目的:介護施設における介護職員の喀痰吸引の技術習得状況と研修の受講と失敗やヒヤリハットの経験との関連について明らかにする. 方法:介護施設で喀痰吸引の経験がある介護職員に自記式質問紙法を実施した. 結果:有効回答322名. 技術習得状況26項目のうち「できる」と「まあできる」の回答が90%以上であったのは22項目であった. 実施前の全身の観察, 挿入時に対象がチューブをかんだ時の対応は80%台, カーテンなどでのプライバシーの保護, チューブを適切に鼻腔内へ挿入は70%台だった. 喀痰吸引研修の受講と対象の状態を把握し, 吸引の適応を確認, 実施前の全身の観察, チューブを適切に鼻腔内へ挿入, チューブを回転させる, 痰の性状の観察と関連した. 失敗やヒヤリハットの経験はチューブを適切に鼻腔内へ挿入と関連した. 結論:看護職員は研修受講後の介護職員に対して学ぶ場を提供し, 失敗やヒヤリハットの経験を振り返り, サポートする必要がある.

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