日本看護技術学会誌
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7 巻, 1 号
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原著
  • 山本 美紀, 岩元 純
    2008 年 7 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, オシロメトリック式自動血圧計 (以下自動血圧計) と水銀血圧計による血圧測定値の較差を精密に実測し, その特徴と発生のメカニズムを明らかにすることである. 健康な若年被験者 (n=50) の上腕にカフを巻き, このカフからのゴム管を分岐させて自動血圧計 (HEM─747IC, オムロン社) と水銀血圧計に接続した. 測定にあたっては, 自動血圧計による測定を行いつつ, 熟練した2人の看護師による水銀血圧計を用いた同側同時測定を行った. 結果として, 2種類の血圧計による血圧値は, 収縮期圧において一致するが, 拡張期圧ではさまざまな程度の較差が生じた. ただし, 較差全体の平均値を計算した場合, 収縮期および拡張期血圧較差は, それぞれ1.7 ± 4.2 mmHg (mean ± SD), 4.5 ± 5.2 mmHgとなり, 米国の医療機器のガイドラインを満たした. しかし, この較差は, 拡張期圧が低下すると次第に増大する傾向を示し, その他に, 脈圧 (増加), 脈拍 (増加) と有意な正の相関を示した. 以上の結果より, 自動血圧計は, 脈圧, 拡張期血圧, 心拍数などに影響されて拡張期血圧を高めに測定する傾向があり, 看護師の聴診による再測定などの介入が必要であることが示唆された.
研究報告
  • 岡田 忍, 永野 みどり, 西尾 淳子, 鈴木 明子
    2008 年 7 巻 1 号 p. 68-77
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
    高齢者の皮膚に対する合成擬似セラミド含有弱酸性皮膚洗浄剤ソフティの影響について検討した. 研究参加に同意の得られた介護老人保健施設入所者16名, 軽費老人ホーム入所者5名に3週間入浴時の洗浄にソフティを使用してもらい, 使用前後の前腕内側の皮膚水分量, 表皮pH, 下腿前面の角層中のセラミド量, 前腕内側および下腿前面の細菌数, 皮膚所見を比較した. その結果, 皮膚水分量, 表皮pH, 細菌数, 皮膚所見の改善が認められ, ほぼ毎日入浴している軽費入所者のほうが, 入浴回数が週2回である老健入所者よりも変化が大きかったことから, ソフティによる効果と推測された. ソフティがこのような皮膚の状態の改善をもたらした機序としては, 皮膚の弱酸性pHの維持による皮膚のバリア ・ 保湿機能の改善や細菌の過剰な増殖の抑制, ソフティの皮膚に対する低刺激性が推測された. しかし皮膚状態の改善に反し, 角層セラミド量は全体として減少傾向にあり, 今後はセラミドのターンオーバーや構成などについてさらに検討する必要があると考えられた.
短報
  • 岡本 千里, 夏田 真理子
    2008 年 7 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     整形外科領域における頸椎術後の頸部固定には, 砂嚢を使用した固定方法が教科書などでも紹介されており, 多くの病院で使用されている. しかし, 砂嚢を看護用具として頸部固定に使用する際には, 患者の安全 ・ 安楽などに問題を生じており, これに関する看護研究も多く報告されている. 本研究では, 砂嚢固定の問題点を検証し, 対象者の安静時の負担, 砂嚢の不潔感, 固定の不確実さ, 看護師の負担などといった問題が明らかとなった.
     これらの問題点を踏まえ, 患者の床上による頸椎固定方法の改善および看護師の作業面においても改善することを目的として, 安全 ・ 安楽 ・ 清潔で, 固定性がある頸部固定枕 (新固定法) を考案し,その用具の実験的な評価を行った. その結果, 多くの改善がみられた.
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