日本看護技術学会誌
Online ISSN : 2423-8511
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最新号
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原著
  • 小髙 亜由美, 高橋 勇太, 松田 友美, 石田 陽子
    2018 年 17 巻 p. 33-42
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究では抗がん剤投与による静脈炎を, ウサギを用いて作製し静脈炎の病態を組織学的により詳細に観察すること, 作製した静脈炎に対し臨床で行われている罨法を実施し, その効果について組織学的に検討することを目的に実験を行った. その結果, 肉眼的には薬液注入後は6匹すべてのウサギで耳介静脈と周囲の血管が拡張し, 24時間後には耳介静脈の拡張とともに耳介に発赤を認め, 72時間後には耳介に強い発赤がみられ, 大きな違いを認めなかった. 組織学的には, 24時間後は耳介静脈周囲に浮腫がみられ, 血管内皮の傷害や血栓を認め, 72時間後にはその程度が重篤化していた. 72時間後の病態を比較すると, 薬液注入のみ施行したウサギが最も重篤で, ついで薬液注入後に温罨法を施行したウサギ, 薬液注入後に冷罨法を施行したウサギが最も病態が軽度であった. これらのことから, 静脈炎発生時に行う看護ケアとしては冷罨法が温罨法よりも静脈炎の病態を軽症にとどめる可能性がある.
  • 小島 悦子, 藤長 すが子, 草薙 美穂
    2018 年 17 巻 p. 43-50
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 温タオル清拭, 石鹸清拭, 清拭料清拭, 重曹清拭の4方法について, 皮膚表面pH, 油分量, ATP値の減少率, 皮膚表面温度および主観を比較し, 清拭方法による影響を評価することである. 調査方法は, 準実験デザインとし, 健康な成人男女15名全員に4方法の清拭を無作為の順番で実施した. 結果, すべての清拭方法において, 清拭前とくらべて清拭直後に末梢である第3指腹部の皮膚表面温度が上昇し, ATP量が減少したが, 重曹清拭は温タオル清拭や石鹸清拭とくらべ有意にATP減少率が低かった. 皮膚表面pHは, 温タオル清拭, 泡立て石鹸清拭, 清拭料清拭において入浴後と同じような経過をたどった. 主観的評価において, すべての清拭において爽快感, 快適感が得られた. 臨床では, 温タオル清拭を日常的に行いながら, 皮膚の汚れに応じて石鹸清拭を選択する必要があるが, いずれの方法においても清拭後の皮膚ケアが重要と考えられた.
  • 金子 真弓
    2018 年 17 巻 p. 51-60
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     起立・着座介助でとることの多い両足を前後にずらした立位での足向角と, 姿勢の安定性の関連を明らかにすることを目的とした. 対象は, 健常成人で, 女性28名, 男性6名, 平均年齢29.3歳であった. 足向角0度, 45度, 90度 (直角立ち) の足配置を決定し, それらの支持基底面積を測定した. さらに, 支持基底面積が0度と同等で足向角90度の足配置 (三角立ち) を決定した. 4種類の足配置の姿勢安定度評価指標 (IPS) と主観的安定度を測定した. その結果, 支持基底面積は足向角45度, 直角立ち, 0度と同等の三角立ちの順で大きかったが, IPSは, 三角立ち, 直角立ち, 45度, 0度の順で高かった. 主観的安定度は, 三角立ち, 45度, 直角立ち, 0度の順で高かった. 以上より, 両足を前後にずらした立位において足向角0度, 45度, 90度のなかで, 客観的に姿勢の安定性が高いのは足向角90度の足配置であることを明らかにした. さらに, 姿勢の安定性を高める足配置として, 支持基底面積以外に足向角が一つの要因となることが示唆された.
  • 前田 耕助, 習田 明裕
    2018 年 17 巻 p. 61-70
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     足部への異なる温度刺激が前頭前野の脳血流量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 健常成人25名の足部に40℃, 16℃, 30℃の温度刺激を180秒間実施し, 近赤外分光法による左右の前頭前野の脳血流量の変化と温度の感じ方, 気持ちよさの主観的評価を行った. 結果, 左前頭前野の群内比較では, 40℃の温度刺激は安静時にくらべて温度刺激開始から120秒で脳血流変化量が増加し (P<0.05), 群間比較では, 開始から60秒と120秒で40℃の温度刺激は16℃の温度刺激にくらべて大きかった (P<0.05). 一方右前頭前野は変化を認めなかった. 主観的指標では, 40℃は「温かい」感覚刺激で「快感情」を伴い, 16℃は「冷たい」感覚刺激で「快ではない感情」を伴った. これらより足部への「温かい」感覚刺激による「快感情」は, 「冷たい」感覚刺激による「快ではない感情」より左前頭前野の脳血流量を増加させるが, 右前頭前野の脳血流量に変化を及ぼさないことが明らかとなった.
研究報告
  • 平原 優美, 河原 加代子, 早野 貴美子, 黒澤 泰子, 習田 明裕
    2018 年 17 巻 p. 71-79
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究は, 在宅ケアで活用できる『温罨法を併用した手のマッサージ法』 (以下, 温罨法マッサージ法) の生理的・心理的効果の確認を目的とした. 対象は地域住民6名 (平均年齢50.2±3.3歳) とし, 事前研修を受けた看護師6名が温罨法マッサージ法を実施した. 測定方法は自律神経活動指標に加速度脈波測定器 (TAS9VIEW) を使用し心拍変動解析による高周波成分 (以下, HF) と, 低周波成分 (LF) とHFの比 (以下, LF/HF) を採用した. 主観的評価には日本語版POMS短縮版 (以下, POMS) を使用した. 結果, HFは温罨法マッサージ法開始直後から100%をこえ1分後138.4%に上昇しその後温罨法マッサージ法実施中, 実施後も上昇が継続した. LF/HFは直後から1分後約69.5%となり8分後まで低下が継続した. POMSでは前後に有意な差はみられず「緊張-不安」がやや減少し「活気」が上昇する傾向を確認するにとどまった. 温罨法マッサージ法は実施10分間程度で副交感神経の活動を上昇するケアであることが示唆された.
  • 佐久間 愛里, 髙橋 由紀, 大江 佳織, 北島 元治, 吉田 和美, 松田 たみ子
    2018 年 17 巻 p. 80-89
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究は, 心疾患患者のセルフケアの拡大に向けてより安全な自己清拭動作の方法を開発するため, 心臓の負荷状態と自己清拭動作の継続時間との関係を明らかにすることを目的として行った. 実験は, 健康な成人男性10名を対象とし, 60度のベッド拳上座位で両上肢・胸腹部位の自己清拭動作を行い, 実施前・中・後を通して心拍数・血圧・分時酸素摂取量 (VO2) を測定し, 心筋酸素消費量 (DP) を算出した. 各部位を拭く回数は往復5回と往復10回とし, 50回/分の速さで実施した. その結果, 動作中に心拍数・DP・VO2は有意に増加を認め, VO2においては継続時間に伴い増加傾向を示し, 低強度の活動であっても継続時間に伴い心臓への負荷が大きくなることが明らかとなった. さらに, 動作中は呼吸循環動態や代謝が高まることから, 心疾患患者への安全な自己清拭の実施において, 心拍数を目安に心臓への負荷状態を考慮するとともにケアの継続時間を検討する必要性が示唆された.
短報
  • 人見 太一, 谷地 ちぐさ, 山口 創
    2018 年 17 巻 p. 90-94
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     皮膚の問題を抱える高齢者への保湿剤塗布は, 非常に重要な看護業務の一つであると考えられる. 本研究では, 健康な成人16名を対象に, 下腿部へ保湿剤塗布を行い, 自律神経活動や主観的重心感覚について介入前後で比較した. その結果, 介入前後で副交感神経指標であるHFの増加, 心拍数の減少, そして左右の重心感覚の変化を認めた. これらの結果は, 患者への心肺系の休息活動や, 転倒予防へ向けた身体感覚を向上させる可能性を示唆した. また, 自由回答では上半身の変化を自覚した回答が得られた. 今後はさらに, 下腿部のみならず, 全身への効果を検討していく価値があると考えられた.
     これらの結果から, 下腿部への保湿剤の塗布は, 単なる保湿ケアのみならず, 副交感神経系, 主観的重心感覚の変化をもたらす可能性を示唆した.
原著
  • 佐藤 祐貴子, 原田 千鶴
    原稿種別: 原著
    2018 年 17 巻 p. 1-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     体位変換は, 褥瘡予防を目的とし, 2時間ごとに実施される. その間の背部挙上背臥位における同一体位持続の苦痛については明らかにされていない. そこで, 本研究では背部挙上背臥位の経時的な苦痛について明らかにすることを目的とした. 被験者は, 健康な成人男女32名とし, 0度コントロール群を含む背部挙上角度30度, 45度, 60度の4群に無作為に割り付け背臥位を持続し, 120分まで主観的側面をVisual Analog Scale (VAS) と身体症状の訴え, 客観的側面を身体位置の移動距離, LF/HF, 体圧, 筋活動について測定した. その結果, VAS, 身体位置の移動距離, LF/HF, 体圧, 筋活動は時間に有意に影響を受けていた. よって, 背部挙上背臥位における同一体位を2時間持続することにより, 時間とともに苦痛は増し, 姿勢は崩れ, 交感神経活動が亢進することで, 安楽とはいえない状態にあることが示唆された.
実践報告
  • 上野 洋子, 前田 ひとみ
    原稿種別: 実践報告
    2018 年 17 巻 p. 11-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     新生児集中治療室 (Neonatal Intensive Care Unit:NICU) の医療従事者は感染拡大を防ぐための知識と信念を有しているにもかかわらず, NICUの医療関連感染率は高い. そこで, 本研究はNICUの医療従事者の手袋使用の障害と, 感染防止のための手袋使用に関連する行動を明らかにすることを目的とした.
     NICUの看護師と医師を対象に, 手袋使用について, Discovery & Action Dialogues (DADs) を用いたグループインタビューを実施した. グループインタビューから, 手袋使用を障害するもの, 手袋使用の障害となっているものを取り除く人, 手袋使用時の行動を抽出し, カテゴリー化した.
     手袋使用に関連する行動は, 手指から肘までの手指消毒, 機器のボタン類への接触方法, 手袋と手指消毒薬へのアクセス方法, 手指衛生のための環境作りなどの8のカテゴリーに分類でき, 手指衛生や手袋使用の障害への対策が確認できた. しかし, その有効性については明らかになっていないものもあった. また, NICUにいる人々を巻き込んでサポートを得ていることも示された.
研究報告
  • 檜山 明子, 田中 広美, 樋之津 淳子
    原稿種別: 研究報告
    2018 年 17 巻 p. 18-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     本研究は全国の病院に勤務している看護師を対象とした質問紙調査によって, 注射準備時の針交換に用いる方法と関係する問題を明らかにし, より安全な注射技術構築に向けた示唆を得ることを目的とした. 分析対象は729名で, 注射準備時に針刺し経験のある者は48.1%であった. 注射準備時の針交換で最も多かった方法は, プロテクターを手に持って露出した針に被せる方法であり, 続いてプロテクターの内側を針ですくいリキャップする方法, 針廃棄ボックスを使用する方法, 指でつまんで針を外す方法であった. また注射準備時の針交換に用いる方法を問題だと回答した者は61.3%であった. このことから, 清潔で安全な方法で針交換できる技術の構築が必要であると示唆された.
短報
  • 新井 直子, 砂見 緩子, 高橋 幸子, 斉藤 倫代, 伊藤 文子, 加藤 志保子, 堀内 裕子, 寺山 範子, 後藤 一雄
    原稿種別: 短報
    2018 年 17 巻 p. 26-32
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     臨床現場では, 手洗い後に手を拭いたペーパータオルで洗面カウンター表面環境の水滴を拭き取る行為が日常的にみられる. 本研究では水滴拭き取り行為による手指の汚染の可能性を, ATP (Adenosine Tri Phosphate : アデノシン三リン酸) を用いて検証することを目的とした. 対象は看護学生および教職員13名とし, 無菌手袋を装着した状態で, 流水手洗い後にペーパータオルで洗面カウンター表面環境の水滴を拭き取る前後の手袋表面 (手掌・指先・指間) のATPを測定し, 拭き取り前後のATPの比較, 拭き取り後のATPと実験環境のATP, 使用したペーパータオルに関する関連を検討した. その結果, 手掌・指先・指間いずれも拭き取り後にATPが有意に増加し, 洗面カウンター表面環境の水滴を拭き取る行為は, 手指の汚染を引き起こす可能性を示唆した. 手袋表面と測定環境のATPおよびペーパータオル枚数に相関は認めなかった. 本結果は, 手洗い後の水滴拭き取り行為に注意喚起を促すものである.
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