看護学生は, 基礎看護技術の習得時に動画を視聴する機会が多い. 字幕や音声解説, 映像の視点や人・物の画面サイズのような言語的・視覚的情報の提示手法は, 認知的情報処理に影響し, 学習の促進や阻害につながることがマルチメディア学習理論として知られている. 本研究では, 基礎看護技術動画のうち, 血圧測定を例にあげ, 書籍やwebで視聴可能な動画16本について, 字幕・音声解説の有無と両者の一致度を言語情報として, 視点と撮影サイズを視覚情報として, 集計し割合を算出した. 解説は字幕が多く, 字幕・音声の併用では, 両者が一致する動画が多かった. 一方, 視覚情報は3人称視点で, 看護師や患者の上半身を映すミディアムショットが多く, 人や物の空間的位置関係や状況の説明に主眼を置いていることが示唆された. 言語情報は処理促進に寄与するが, 字幕の過多は処理の負荷につながる可能性がある. また, 手技そのものの習得には1人称視点やアップショットの方が注意を引き付けやすく有用である可能性もあり, 今後の検討が必要である.
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