日本看護技術学会誌
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実践報告
  • 郡 ハルミ, 田中 美智子
    原稿種別: 実践報告
    2025 年 24 巻 p. 1-8
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究は, 高齢者の転倒予防を目指す簡便な支援の予備的研究と位置づけ, 若年者を対象に熱布温罨法が足浴に劣らない方法であることを明らかにし, 足部に及ぼす効果を比較することを目的とした. 若年健常者26名 (22.1±2.1歳) に足浴 (40±1℃) と熱布温罨法 (60℃の高温槽の湯で絞ったタオルを2枚使用) を10分間実施した. 評価項目は膝窩深部温度 (温熱効果), 足関節背屈角度 (足関節の柔軟性), 足趾把持力 (姿勢保持力) である. 膝窩深部温度の非劣性検定では熱布温罨法が足浴に劣らない温度の上昇が得られることが確認された. どちらの方法も膝窩深部温度, 足関節背屈角度, 足趾把持力が向上し, 効果の比較では左足関節背屈角度で熱布温罨法の方が有意に拡大した. 熱布温罨法が足浴に劣らないだけでなく, 足浴より効果が得られる場合もあり, 高齢者の転倒予防を目指すケアとしても期待される.

  • 岡本 佐智子, 中村 睦美, 光樂 香織
    原稿種別: 実践報告
    2025 年 24 巻 p. 9-16
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

     患者は健康な人と異なり, 身体的な苦痛から長時間, 同一体位を保つことが困難であり, 浮腫などにより皮膚表面に強い圧をかけられないことが多い. このような患者にも活用できるタッチングの手法を検討するために, 健常成人12名を対象に, 介入時間が5分間で皮膚表面の圧が10gf/cm2で, 3cm/秒の速さで実施したタッチングの生理的・心理的効果を検証した. その結果, タッチングの介入前と比較して, 介入直後と介入10分後について, 有意に皮膚温が上昇し, 脈拍数が減少した. 心理尺度を用いてリラクセーション効果を測定した結果, タッチングの介入前と比較して, 介入直後と介入10分後について, 有意にリラックス度が高まる方に数値が変化した. このことから, 短時間の弱い力で実施するタッチングのリラクセーション効果を示すことができた.

  • 石井 遥, 堀 悦郎
    原稿種別: 実践報告
    2025 年 24 巻 p. 17-26
    発行日: 2025/04/20
    公開日: 2025/04/20
    ジャーナル フリー

     コミュニケーションを効果的に行うために, ベッドサイドの環境調整は看護実践において重要な課題である. 本研究は, ベッド上における対象者の姿勢がコミュニケーションに与える影響を明らかにすることを目的とした. 一般的な床上姿勢とされる仰臥位および床上背面開放座位を比較検討し, 健常者を模擬患者として主観的な話しやすさおよび自律神経活動を測定した. その結果, 床上背面開放座位は仰臥位よりも主観的な話しやすさが有意に高く, 交感神経活動が抑制される傾向が認められた. 一方仰臥位では, 主観的な話しやすさと交感神経活動が有意な負の相関にあった. これらの結果から, 床上背面開放座位は仰臥位に比してコミュニケーション時の心理的・身体的負担が軽減されたことが示唆された. 本研究の結果から, 患者の「話しやすさ」を促進するためには, 患者の姿勢を調整する必要があることが示された. また, 心拍変動解析は看護現場において話しやすい姿勢を調整するための指標として活用できる可能性が示唆された.

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