日本看護技術学会誌
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原著
  • 小平 智尋, 落合 有咲, 佐藤 愛, 佐橋 芽依, 宮川 日和, 村松 若奈, 山井 穂乃華, 吉田 麗, ハーネド 明香, 髙橋 智子, ...
    2023 年 22 巻 p. 28-37
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

     ディスポーザブルタオル (以下, ディスポタオル) を用いた背部清拭に10秒の貼用時間および気化熱を抑えるタオルの広げ方と当て方の工夫を加える効果を皮膚温および主観的評価から明らかにした. 健康成人33名を対象に①貼用なし清拭, ②10秒の貼用時間を加えた清拭, ③10秒の貼用時間および気化熱を抑えるためタオルの広げ方と当て方の工夫を加えたオリジナル清拭の3つの背部清拭を実施し, 皮膚温・主観的評価を測定した. 反復測定二元配置分散分析・Friedman検定により分析した. 結果は, 10秒の貼用時間を加えた清拭およびオリジナル清拭の乾拭直後の皮膚温は安静後より上昇し, 貼用なし清拭よりも有意に高かった (P<.001). 主観的評価では, オリジナル清拭のあたたかさの得点が有意に高かった (P<.001) が, 気持ちよさは有意差がなかった. 結果より, ディスポタオル清拭において, 貼用時間を加えることは乾拭直後の皮膚温を上昇させ, 気化熱を抑えるタオルの広げ方や当て方を工夫することは主観的なあたたかさを感じられる効果が期待できることが示唆された.

  • 安田 千香, 深井 喜代子
    2023 年 22 巻 p. 38-50
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

     目的:オキサリプラチンをベースとし, カペシタビンを含む化学療法を受ける大腸がん患者の手指に生じる末梢神経障害の特徴を明らかにする.
     方法:地域がん診療連携拠点病院の外来で化学療法を受ける患者54人を対象に横断的観察研究を行った. 病態と治療情報を診療録から収集し, 手指のしびれ痛み, 触覚感受性, 握力, ピンチ力, 箸を閉じる力, 箸でつまみ上げる力を計測し, 生活習慣等は問診した.
     結果:対象者全員が化学療法開始後から手指のしびれ痛みを経験し, うち43人は症状が慢性化しており, 示指の触覚感受性が低下していた者が28人いた. 触覚感受性と握力, ピンチ力, 箸でつまみ上げる力との間にはいずれも関連を認めなかったが, 触覚感受性が低下した者は箸を閉じる力が弱かった. 触覚感受性に関わらず握力とピンチ力は男性が有意に高かったが, 箸を扱う力に性差はなかった.
     結論:がん化学療法患者の手指に生じる末梢神経障害症状は, 慢性化したしびれ痛み, 指先の触覚感受性低下, 箸を使う等の精緻な指の動作時の筋力低下を特徴としていた.

短報
  • 秦 さと子, 吉田 睦史
    原稿種別: 短報
    2023 年 22 巻 p. 1-8
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究は, 袖付きプラスチックエプロンにおける2種類の脱衣方法「袖先法」, 「腰先法」による身体汚染の状況を明らかにすることを目的に実施した. ガウンテクニックを既習している看護系大学生19人に, 事前練習を行った後, 2種類のガウン脱衣方法それぞれを実施してもらった. 水様性の蛍光塗料を汚染物質とみなし, 噴霧したガウンを脱衣した後, 蛍光塗料が看護衣および身体に付着した区域を汚染部位とした. 身体を20区域に分けて観察し, 20区域それぞれについて, 2種類の脱衣法による脱衣後の汚染の有無の比較, および2種類の方法における汚染区域数について比較した. その結果, 2つの方法間での汚染区域数に有意な差はなく, 共通して, 左右前腕内側部, 左右手掌部/手背部に汚染を起こす可能性が高いことが明らかとなった. そのため, ガウン脱衣直後に前腕までの範囲の手指衛生を行う必要があることが示唆された.

実践報告
  • 上田 ゆみ子, 酒井田 由紀
    原稿種別: 実践報告
    2023 年 22 巻 p. 9-14
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     医療用テープの使用には, テープテアと呼称される皮膚障害のリスクを伴うため, エビデンスに基づいた剥離手技の解明が望まれる. 本研究の目的は, 被着体にバイオスキンプレートを使用した場合の医療用粘着テープの剥離力を剥離速度別に測定することで, 適切な医療用テープの剥離手技に関する基礎的資料を得ることである. 剥離試験は, 被着体をバイオスキンプレート, 試料を医療用テープ4種, 引張速度を5mm/sec・15mm/sec・30mm/secの3条件とし, 実施した. 4種の試料を比較した結果, ジェントルフィックス, ポアテープNo. 12は30mm/sec, トランスポアホワイトサージカルテープは5mm/sec, サージカルテープNo. 12 (共和) は15mm/secにおいて剥離力が最大値を示した. 本試験では剥離力が最小となる剥離速度とそれ以外の速度において有意な差がみられた. 剥離速度は, テープの特性を考慮して選択する必要があり, 適正な速度で剥離することにより剥離力を小さくできることが示された.

資料
  • 栗田 愛, 武田 利明
    原稿種別: 資料
    2023 年 22 巻 p. 15-27
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, 訪問看護師が在宅要介護高齢者に実践したグリセリン浣腸 (GE) と摘便の実施の可否を決定するために必要なアセスメントと実践のプロセスを明らかにすることである. 訪問看護師7名と在宅要介護高齢者17名に対して, 排便の援助を行う場面での参加観察と, 看護師への半構造化面接をした. 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法に基づき, 各看護師のGEと摘便に関するアセスメントをフローチャート式に整理した. その結果, 看護師はバイタルサイン測定, 腹部の聴診, 打診, 触診, 直腸診の順に身体診察を行うほか, 食事量, 最終排便日・排便量の情報も合わせて収集し, 便の貯留状況や便性状をアセスメントし, そのうえで訪問時間内に便が出せるか判断し, GEと摘便の必要性を判断していた. また摘便は, 便の硬さによって実施方法が異なり, 便の硬さに応じて直腸刺激も同時に実施していた. 看護師がGEや摘便の際に出血しやすい, つまり有害事象を起こしやすいと回答した状況は, 硬便であることと痔核があることであった. 今後, 有害事象を回避する視点でGEと摘便のアセスメント基準を構築していく必要がある.

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