日本栄養・食糧学会誌
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36 巻, 1 号
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  • 須田 正巳
    1983 年 36 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 柏原 典雄, 丸山 博隆, 山下 佳子, 近藤 敏
    1983 年 36 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ラットに食餌性の亜鉛欠乏症を発現させ, pair fed対照群および自由摂食対照群との比較により, 血清中の亜鉛濃度, 酵素活性, ホルモン, 糖, 脂質, および含窒素成分量におよぼす亜鉛欠乏の影響を調べた。さらに回復実験も行ない, 亜鉛欠乏の影響が残るか否かも検討した。その結果
    1) 亜鉛欠乏により血清亜鉛濃度は低下したが, その濃度低下は亜鉛摂取量の減少に対して敏感ではなく, 極端な欠乏下ではじめて認められた。また亜鉛添加により完全に回復した。
    2) 血清AIP, GOT, GPT, LAP, LDHおよびアミラーゼのいずれも, その活性に影響を受けた。このうちAIP, LAP, およびアミラーゼ活性は低下し, 他は上昇した。アミラーゼの活性低下は摂食量不足の影響が考えられた。なお, LAPを除くいずれも, 亜鉛添加により回復した。
    3) 糖, 脂質, および含窒素成分では, 尿素窒素, 尿酸, ビリルビン, コレステロール, トリグリセリド, およびβ-リポタンパクが影響を受けた。このうち明らかに亜鉛欠乏そのものの影響と考えられたのは尿素窒素の増加のみで, 他の変化はいずれも摂食量不足によるものとみられた。またこれらは亜鉛添加により回復した。グルコース, クレアチニン, およびリン脂質は変化しなかった。
    4) T3, T4, テストステロン, およびインスリンのいずれも, 血清中濃度が低下した。このうちテストステロンとインスリンは, T3とT4よりも亜鉛欠乏の影響が大であった。またいずれも亜鉛添加により回復した。
    5) 血清総タンパクは減少し, タンパク分画像中γ-グロブリンが増加した。αおよびβ-グロブリンの挙動は一定せず, 亜鉛欠乏の影響が定かでなかった。なお, 亜鉛添加により総タンパクは回復したが, γ- グロブリンは回復しなかった。
    以上のように, 食餌性の亜鉛欠乏はラットの血清亜鉛濃度, 酵素活性, ホルモン, 脂質, および含窒素成分量に影響することがわかった。しかし亜鉛添加によりほぼ回復し, 一部を除き亜鉛欠乏の影響は残らなかった。
  • 菅原 和夫, 熊江 隆, 町田 和彦, 島岡 章, 大下 喜子, 鈴木 継美
    1983 年 36 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    同一食事について, 秤量法, 買上げ計算法, 思い出し法の3種の調査を同時に行ない。その結果につき三訂補食品成分表を用いタンパク質, ナトリウム摂取量を計算した。さらに買上げ計算法に用いたサンプルをホモジナイズし, 窒素量を測定し粗タンパク質量を求めさらにナトリウムを測定した。
    計算値と実測値を比較すると,
    1) 秤量法値と実測値との関係では, タンパク質についてはr=0.933と高い相関を示し実測値と計算値の平均値間に統計学的有意差を認めなかった。ナトリウムについては計算値と実測値間に有意の相関を認めなかったが, 両平均値間に有意差はなかった。
    2) 買上げ計算法値と実測値との関係では, タンパク質については計算値と実測値間にはr=0.897の相関を認めた。なお, 両平均値に有意差があり, 計算値が実測値より少なかった。ナトリウムについてはr=0.478の相関を認め, 両平均値間には有意差はなかった。
    3) 思い出し法と実測値の関係は, タンパク質については, 相関係数は0.715とやや小さかったが両平均値間には有意差を認めなかった。ナトリウムについては実測値と計算値の間には有意な相関を認めず, 両平均値の間には有意差は認められなかった。
  • 関本 邦敏, 星野 信行, 戸塚 耕二, 渡部 昭, 山下 光雄
    1983 年 36 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    市販の乾燥された海藻を水浸潰したときのミネラル類の溶出率を調べた。各海藻に含有されるミネラルのうち, ヨウ素含量はコンブに最も多く, ヒジキの約5倍, ワカメの約13倍であった。20分間の水浸漬でコンブ中のヨウ素は90%以上が溶出し, ワカメとヒジキでは約30%が溶出することがわかった。コンブ中のヨウ素は浸漬する溶液の種類 (水道水の冷水, 熱湯, 再蒸留水) に無関係に90%以上溶出することがわかった。ヨウ素以外のミネラルの浸漬水への溶出率は海藻間で差はあまりみられず, ナトリウムとカリウムは約60%, リンは約50%が溶出したが, マグネシウムとカルシウムは少なくそれぞれ約20%と10%以下であった。
  • 北條 祥子, 松久保 隆, 三宅 誠志, 真木 吉信, 高江洲 義矩
    1983 年 36 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    著者らは食品のう蝕形成能はその食品のう蝕誘発に及ぼす基質としての性質 (酸産生能, 歯垢形成能) とその作用時間 (嚥下までの時間, 嚥下後の口腔内停滞時間) の四つの基準により評価することが可能であると提唱してきた。
    本研究では基準の一つである食品の歯垢形成能をin vitro系で評価しようと試みた。
    日常間食として頻繁に摂取する食品で糖質組成の異なる42種類の市販菓子を被験した。これらの食品の水溶液をS. mutans6715 株のglucosyltransferaseの粗酵素とともに37℃で16時間インキュベートした。この反応により生成された不溶性グルカン量を指標にして食品の歯垢形成能を評価し, 食品の糖質組成と歯垢形成能との関係について検討した。食品中のショ糖含有量と歯垢形成能との間に比例関係が存在した。食品中にマルトースやマルトトリオースがショ糖含有量の50%以上含まれるとその食品の歯垢形成能は40~50%抑制された。
    以上の結果は個々の市販食品の糖質組成がわかると食品の歯垢形成能が推測できることを示唆している。
  • 土井 裕司, 北浦 勝寿, 井手野 祥次, 伊吹 文男, 金森 正雄
    1983 年 36 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    糖含量のみ異なるウシ常乳κ-カゼイン各画分へのCa2+添加の影響を, 紫外吸収スペクトルおよび自然蛍光スペクトルによって検討した。κ-カゼインへのCa2+添加により, 紫外吸収スペクトルはブルーシフトをおこし, その差スペクトルの極大および極小波長は, 279, 282および286nmにあった。Ca2+添加濃度が大きいほど, ブルーシフトは大きく, 糖含量の小さいκ-カゼイン画分ほど変化が大きかった。自然蛍光は, 主としてトリプトファン残基によるものと考えられ, 蛍光極大波長は, 糖含量の大きいほど長波長側にあり, 蛍光強度は小さかった。Ca2+の添加によって, 蛍光強度は若干ではあるが小さくなった。また, 糖を含む画分へのCa2+添加によって, 蛍光スペクトルのレッドシフトが観察された。これらの結果から, 糖を含むκ-カゼイン画分は, 糖を含まない画分よりも, その疎水性領域をタンパク質表面に露出させており, しかも, Ca2+の添加は, 疎水性領域の表面への露出を促す働きをしていることが考えられた。さらに, κ-カゼインに不均一性の存在することによって, κ-カゼインポリマーは, より安定な構造をとり, しかも, 他のカゼイン成分ともより安定な複合体を形成していたという事実から, 糖鎖による不均一性存在の必然性を考察した。
  • 大武 由之
    1983 年 36 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食肉工場で原料肉処理の際, 輸入めん羊枝肉から得られた3頭分の上腕骨, 大腿骨, 肩甲骨および肋骨から, それぞれ骨髄脂質を抽出し, それらの脂肪酸組成と, 骨髄脂質のトリアシルグリセロール (TG) 内の脂肪酸分布を調べた。ついで, めん羊骨髄脂質をアセトン分別結晶法によって分画し, 製取した画分についても脂肪酸組成と脂肪酸分布を調ベた。
    めん羊の骨髄脂質は, 融点が40℃近くで, 飽和脂肪酸に富み, C18: 0が比較的多かった。骨髄脂質はほとんど大部分が中性脂質から成っていたが, そのリン脂質画分は全脂質に比べてC16: 0やC18: 1が少なく, 多価不飽和脂肪酸に富んでいた。
    骨髄脂質のTG内の脂肪酸分布では, C16: 0は1-位置に多く, C18: 0は1-および3-位置に多く結合していて, これに反してC18: 1とC18: 2はTGの1-位置と3-位置よりも, 2-位置に多く結合していた。
    アセトン分別結晶法によって骨髄脂質から, 飽和脂肪酸含量が多くて融点の高い2画分と, 軟質な脂肪の画分と, 室温では淡黄色の液状油の画分とを分取した。画分の融点が低くなるにつれて飽和脂肪酸が減少し, 不飽和脂肪酸は増したが, Frac. 1はその90%近くが飽和酸から成り, 液状油ではその70%近くが不飽和酸から成っていた。
    分別した画分にあっても, C18: 0はTGの1-位置と3-位置に多く, C18: 1とC18: 2は2-位置に多く結合していて, 1-および3-位置は2-位置に比ベて飽和脂肪酸含量が多かった。
  • 金子 佳代子, 小池 五郎
    1983 年 36 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 若い成人女子79名を被検者として1日尿を7回に分けて採尿し, 食塩, カリウム, クレアチニン排泄量を測定するとともに, 採尿当日の飲食物を調査して食塩摂取量を算出した。
    2) 1日尿中への食塩排泄量の平均値は, 摂摂食塩量の平均値にほぼ見合っていたが, 個々についてみると両者は必ずしも一致していなかった。
    3) 食塩の尿中排泄は朝に多く, 就寝中は少ないという日内変動がみられた。就寝中の食塩排泄量を7時間当たりの排泄量に換算して, それが1日排泄量に占める割合を調べると21%であった。
    4) カリウムの排泄にも日内変動がみられ, 就寝中の排泄量が最も少なかった。Na/K比には, 朝, 昼, 夜, 三つの山がみられ, 食事後この値が高くなる様子がみられた。
    5) クレアチニン排泄量は, 夜間に若干減少するという日内変動が認められた。しかしこの変動の幅は小さいので, 随時尿についてNaCl/クレアチニン比を測定して, 1日の食塩排泄量を測定することは, ある程度可能であると思われた。それには夜間尿を用いるのが最も相関が高いという結果が得られた。
  • 妹尾 寛子, 鈴木 継美
    1983 年 36 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    幼児の食物摂取行動に与える各種条件の影響を研究するために食事行動の観察・記録方法について検討した。都内私立K保育園の3歳児クラス (平均年齢3歳3か月) 12名を対象とした。2週間の準備期間を設けた後, 1人を15秒に1回観察する方法 (A) と被観察者12人を5秒おきに観察し1人については1分に1回観察する方法 (B) の二つの方法を用いて昼食時の食物摂取行動を観察した。結果は以下のごとくまとめられる。
    1) 方法 (A) を12人について行ない, これから210種類の動作が得られた。得られた動作から36のサブカテゴリーを作り, さらに五つのカテゴリーに分類した。
    2) 方法 (A) の記録を各人について1分ごとと15秒ごとの観察として比較すると, どの被観察者についても1分ごとと15秒ごとの記録結果から得られたカテゴリー別出現頻度に著しい差はなかった。
    3) (B) の観察20回の結果と (A) の12人全員についての結果を比較したところカテゴリー別出現頻度割合はよく一致していた。
    4) (B) の観察を20回行なった結果とそのなかから抽出した10回についての結果とを比較すると, 各個人についてのカテゴリー別出現頻度割合の一致度は低かった。しかし, 各人のカテゴリー別出現頻度割合の大小の12人における相対的な順位はよく一致した。
    5) (B) の10回の記録を20回のときと同様に (A) の記録と比べると (A) との一致度は20回のほうが高かった。
    以上より, 36のサブカテゴリーを用いて各人1分の観察でその日の食事行動の内容は把握できるが, 日々の食事行動の変動を考慮するとある期間継続して観察することが, 個々の特性をとらえるうえでは必要であると結論される。
  • 石井 靖子
    1983 年 36 巻 1 号 p. 53-55
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Sugar components of some dry fruits were determined by gas-liquid chromatography. Reducing sugar and sucrose contents were also determined by Bertrand method. All samples were obtained from commercial source. Sugars were extarcted with 99.9% methanol and concentrated methanol solution was used for analysis. Quantitative gas-liquid chromatography was carried out on TMS derivatives of sugars using 3% silicon OV-1 column.
    Glucose, fructose and sucrose were the major sugar components. Glucose and fructose were contained nearly at the same ratio except prune and black jujube. In prune, glucose was contained 2.3 times as much as fructose.
    Sucrose was found in very small quantities in raisin, prune and banana. In other dry fruits sucrose was contained high percentage. Besides these sugar components sorbitol was found in both apricot and prune, while sorbose was contained in prune only.
  • 1983 年 36 巻 1 号 p. 64
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    本誌Vol.35, No.6 (1982), pp.423~430に掲載の報文 菊地武夫他著「糖濃度の異なる栄養輸液によるラットの成長ならびにタンパク質代謝に及ぼす影響」中, 下記の誤りがありましたので訂正いたします。 (誤)2nd-7th day (正)1st-7th day
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