日本栄養・食糧学会誌
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36 巻, 2 号
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  • 鵜飼 光子, 福場 博保
    1983 年 36 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    炭素鎖長8~16の偶数飽和脂肪酸を単一に含むTGを合成し, これを唯一の脂肪源として摂取させたChol, 負荷ラットの血漿, 肝臓および脂肪組織の脂質組成の変動をサフラワー油を比較として調べた。
    (1) ラットの体重増加率はいずれの実験群でもC18: 2群とほぼ等しかった。
    (2) C18: 2群では血漿TC, FC値ともCF群とほぼ等しい値を示したが, これらの値に比べC14およびC16群の値はTCおよびFC値とも著しく高くなった。MCT群ではC10およびC12群がTC値で, C10群はFC値でもC16群の値よりも有意に低下した結果になった。
    (3) HDL-ChoL値はC12およびC14群が高い値を示し, これC18: 2群の値とほぼ等しく, C16群の値より有意に高くなった。
    (4) 血漿PL値はいずれの実験群でもC18: 2群の値とほぼ等しくなった。
    (5) 血漿TG値はC12およびC14群がC18: 2群とほぼ等しい値を示したが, 他の実験群はいずれも著しく低下した。
    (6) 肝臓の総脂質量およびChol. 量はChol. 負荷により高まった。C8群は特異的にChol. 量を増すものの, 各実験群はほぼ等しい総脂質量およびChol. 量を示した.
    (7) 肝臓および後腹壁脂肪の脂肪酸組成はC18: 2群に比べ, いずれの実験群でもモノエン酸やトリエン酸などの脂肪酸が多く, ジェン酸が少ないというEFA欠の組成を示した。
  • 鵜飼 光子, 福場 博保
    1983 年 36 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    炭素鎖長2~12の偶数飽和脂肪酸を単一に含むTGを合成し, これを唯一の脂肪源として摂取させたChol. 負荷ラットの血漿, 肝臓および脂肪組織の脂質組成の変動をサフラワー油を比較として調べた。
    1) ラットの体重増加率はC18: 2群に比べC4, C8およびC10群で若干低下したが, 他の実験群はいずれもC18: 2群とほぼ等しい体重増加率を示した。
    2) FERは実験群間で差はみられなかったが, いずれもC18: 2群よりは低下した。
    3) 血漿TCおよびFC値はC6群が特異的に高い値を示したが, 他の実験群はいずれもほぼ等しい値を示した。
    4) C4群が著しく高いHDL-Chol. 値を示し, 他の実験群はC12群とほぼ等しい値であった。
    5) 血漿PL値はいずれの実験群もほぼ等しい値を示したが, C6およびC8群は高い値を示し, とくにC6群で著しく高まった。
    6) 血漿TG値はC6群で特異的に高かったが, 他の実験群はほぼ等しい値であった。
    7) 肝臓の総脂質量およびChol. 量はChol. 負荷により高まった。C8群はとくにChol. 量を増すが, C6~C12群はほぼ等しい総脂質量およびChol. 量であった。C2およびC4群は総脂質量を, C4群はChol. 量を低下させた。
    8) 肝臓および後腹壁脂肪の脂肪酸組成はC18: 2群に比べ, いずれの実験群でもモノエン酸やトリエン酸などの脂肪酸が多く, ジエン酸が少ないというEFA欠の組成を示した。
  • 菅原 園, 坂入 威久子, 山下 亀次郎
    1983 年 36 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおける高コレステロール食と高繊維食の影響について検討した。
    1) 血清総コレステロール値の増加はグァーガム添加で有意に抑制された。2) LDL-コレステロール値は, グァーガムおよびセルローズ添加で低下したが, 両者の作用に時間的な差異を認めた。3) HDL-コレステロール値は, グァーガム添加により増加傾向を認めた。
    以上から, 繊維の種類によりコレステロール代謝に及ぼす影響は異なるが, 高繊維食は糖尿病における糖代謝の改善とともに, 血清リポタンパク分画コレステロール値の検討からコレステロール代謝の改善に有効であることが, 示唆された。
  • 豊田 正武, 伊藤 誉志男, 一色 賢司, 加藤 丈夫, 神蔵 美枝子, 深澤 喜延, 米田 孟弘, 慶田 雅洋
    1983 年 36 巻 2 号 p. 85-96
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 1976~1980年の5年間, 仙台, 山梨, 大阪・神戸, 島根, 北九州の全国5ブロックにおいて, それぞれ2, 59896日本栄養・食糧掌会誌検体, 1, 297検体および1, 415検体の食品についてサッカリンナトリウム, BHTおよびBHAの分析を行なった。各試料よりの3種添加物の検出率はそれぞれ17.5, 10.4および12.0%であった。
    2) 国民栄養調査成績および農林水産統計を用いた含量実態調査方式による1日総摂取量, ならびに陰膳方式から求めた推定値は, それぞれサッカリンナトリウムが10.4mg, 8.3mg, 4.8mgで, BHTが0.273mg, 0.293mg, 0.008mg, BHAが0.216mg, 0.578mg, 0.166mgであった。
    3) FAO/WHOの評価によるADIの50kg体重値, すなわちサッカリンナトリウムの125mg, BHTの25mg, BHAの25mgに対する本報告の平均摂取量は, サッカリンナトリウムが88~87%, BHTが0~1.2%, BHAが0.7~2.3%であった。
  • 岡本 博夫, 菊地 武夫, 大堀 昭子, 橋 高志, 島津 肇
    1983 年 36 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    正常ラットおよび1週間絶食した飢餓ラットに, 投与カロリー量の異なる3種の栄養輸液を13.5ml/kg/hrの速度で48時間投与し, 出現する栄養素過剰負荷症状について検討した。投与栄養輸液のグルコース濃度は, I群: 5.0%, II群: 14.8%, III群: 20.6%で, その他の成分である電解質, アミノ酸, ビタミン, 微量元素は各群とも同量含んでいる。
    正常ラットにおいて, I群では体重減少が著しく, ラットは異化の亢進が著明であった。II群では栄養素の過剰負荷を疑わせる症状はなく投与された栄養素が有効に利用された。一方, III群ではII群に比べて体重減少は少ないものの肝重量の増加を起こしており, 血液化学値, 相対臓器重量あるいは肝組織検査像も栄養素過剰負荷を示唆していた。
    次に飢餓ラットにおいては, I群では体重の著変もなく, とくに栄養素の過剰負荷症状は認められなかった。ところがII, III群では体重の著明な増加, Na, Kの貯留, 高血糖, 尿糖, 肝重量の著増, 肝GLCおよびTGの蓄積, 肝細胞の腫脹と空胞化などを呈し, 栄養素過剰負荷症状の発現が推定された。その程度はIII群で顕著であり, 死亡例も散見された。
    以上より, TPN開始液としてはIII群のものより, グルコース濃度の低いII群のもののほうが安全に使用しうることが明らかとなった。しかし, 手術侵襲直後や栄養状態が著明に低下しているなどの糖利用障害がある例では, II群に用いたグルコース濃度でも, 輸液投与速度が適切でない場合には, 栄養素過剰負荷症状を呈する可能性が考えられるので, 生体の代謝能力に見あった栄養管理が必要と思われる。
  • 北條 祥子
    1983 年 36 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    カップリングシュガーは虫歯の発生を抑制する低う蝕性甘味料として期待されている。本研究ではカップリングシュガーをショ糖に代わる甘味料として食品に添加した場合の食品の物性におよぼす影響についての基礎的検討を行なった。
    1) カップリングシュガーは水アメ状を呈すが麦芽糖水アメより粘性, 動的弾性とも小さく, ニュートン流動体に近い性質を示した。
    2) カップリングシュガー添加によりショ糖添加時と同様に卵アルブミンの熱変性温度およびじゃがいもデンプンの糊化温度が上昇した。この作用は添加濃度依存性で添加濃度が高くなるほど温度上昇率が高まった。
    3) カップリングシュガー添加によりショ糖添加時よりデンプンゲルの硬さ, そしゃく性, 粘調性, 凝集性, 付着性が増加した。
    4) カップリングシュガー添加によりショ糖添加時より卵アルブミン溶液の起泡性, 泡の安定性が高まった。
    5) カップリングシュガーはショ糖よりカルメラ化反応は起こりにくいが, メイラード反応は生じやすかった。
    以上の結果からカップリングシュガーは食品加工用素材としてもショ糖に劣らぬすぐれた特性を有し, 種々の食品加工に利用できるものと考えられる。
  • 7世帯30日間の記録の分析
    高橋 ひろ子, 鈴木 久乃, 柏崎 浩, 鈴木 継美
    1983 年 36 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    東京およびその周辺の都市に居住する7世帯について, 1981年11~12月の30日間について消費された食品の種類; 朝, 昼, 夕別の喫食者の内訳を調査した。
    1) 累積使用食品種類数はすべての世帯において約20日を経過するとその増加割合が小さくなり近似飽和状態に達した。
    2) 累積使用食品種類数, 毎日の使用食品種類数, 毎日の食品使用の個別性指標値には世帯間で差があり, 2人世帯はすべて小さな値を示した。
    3) この世帯間格差の原因の一つに家庭内での食事割合の差があげられ, 世帯構成員の性, 年齢, 就業・就学状態などがそれと関連していた。
    4) 調理担当者が就業している4世帯のうち1世帯は2人世帯で外食の頻度が高かったが, 他の3世帯では週の前半の個別性指標値が後半のそれより高値であった。
  • 大武 由之
    1983 年 36 巻 2 号 p. 119-121
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    市販のブロイラーの上腕骨, 胸骨および大腿骨から骨髄脂質を抽出し, その脂肪酸組成と, トリアシルグリセロール内の脂肪酸分布を調べた。
    ブロイラー骨髄脂質は大部分中性脂質より成り, そのおもな脂肪酸はC16: 0, C16: 1, C18: 0, C18: 1およびC18: 2であり, 脂肪酸の約2/3は不飽和脂肪酸より成り, 不飽和度が高かった。骨髄脂質の極性脂質画分はC20: 4, C20: 5, C22: 5, C22: 6などの多価不飽和脂肪酸が多かった。中性脂質, 極性脂質のどちらの画分も, 骨の種類のちがいによる脂肪酸組成の差異は少なく, いずれも近似した脂肪酸組成を有していた。
    ブロイラー骨髄脂質では, 飽和脂肪酸のC16: 0とC18: 0はTGの1-位置, ついで3-位置に多く結合していて, 不飽和脂肪酸のC18: 1とC18: 2は2-位置に多く結合していた。
  • 毛利 佳世, 道本 千衣子, 活洲 はるみ, 五十嵐 脩
    1983 年 36 巻 2 号 p. 122-124
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ビタミンE欠乏飼料の調製に使用する植物油, 魚油などのビタミンEの簡易除去法として活性炭処理法を考案した。
    1) 本法により, ビタミンE同族体のうち, α-トコフェロールはほぼ100% (サフラワー油, タラ肝油ともに), γ-トコフェロールは77.7%, δ-トコフェロールは46%除去された。その結果, 生理活性値はサフラワー油で358μgα-Toc. 等量/g油から4.0に (1.1%に減少), タラ肝油では0,1μgα-Toc. 等量/g油以下 (0.07%以下に減少) になった。
    2) 本法で処理したサフラワー油を5%含む飼料のビタミンE含量は200μgα-Toc. 等量/kg飼料で十分E欠乏飼料として使用できることが示された。
    3) 本法によりタラ肝油に含まれるビタミンAもビタミンEとともに一部除去され, その除去率は約50%であった。
  • 中塚 晴夫, 庄司 芳男, 津田 恒之
    1983 年 36 巻 2 号 p. 125-128
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    安価かつ容易に作製できる小動物用閉鎖式ガス代謝量測定装置を試作した。
    酸素消費量測定にはスパイロメータを用いた。一定量の酸素を系外へ除去して測定法を評定し, 十分な精度を確認した。二酸化炭素産出量測定は, 一定量の二酸化炭素を系内へ注入することにより2種の方法を比較検討し, 1N-水酸化ナトリウム水溶液へ吸収させ塩酸で滴定する滴定法が簡便で十分な信頼性を持つことを見いだした。
    以上のことから, 本装置は十分実用に耐えることが確認された。
  • 特別講演
    Nevin S. Scrimshaw
    1983 年 36 巻 2 号 p. p43
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    It has long been recognized that anemia leads to weakness and malaise. While there are many causes of anemia, by far the most common is iron deficiency. Prevalence rates range from 10 to 20 per cent for some populations in industrialized countries to 30 to 40 per cent or more in some developing countries. What has not been appreciated until recently is the extent to which iron deficiency, even when not severe enough to cause anemia, can be associated with a number of specific functional consequences. These include adverse effects on immunity and resistance to infection, on learning and behavior, physical capacity and work output, and possibly temperature regulation. Most of these effects are rapidly and completely reversed by administration of iron. The causes of iron deficiency are multiple and complex. It is not a simple matter of dietary iron intake because other substances in the diet influence iron absorption. Moreover, a variety of pathological conditions, such as menorrhagia, hookworm, malaria, and schistosomiasis, contribute to iron deficiency.
    The functional consequences of iron deficiency should be of concern to industrialized as well as developing countries, and preventive measures are mandatory. The United Nations University has established a network to collect evidence of the effects of iron deficiency and is cooperating with the International Anemia Consultative Group to stimulate research on practical means of preventing iron deficiency in all populations. These include fortification of staple foods, consumption of foods with more available iron, reduced consumption or altered timing of ingestion of foods that reduce iron absorption, and the prevention of blood loss.
    The paper will attempt to provide a summary and analysis of currently available information on the nature and consequences of iron deficiency in human populations and its prevention.
  • 主シンポジウム
    宮崎 基嘉, 井上 五郎, 岸 恭一, 吉田 昭, 森田 雄平, 荒井 綜一, 橋本 周久, 香川 靖雄, 豊川 裕之, 矢野 敦雄
    1983 年 36 巻 2 号 p. p46-p53
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • パネルディスカッション
    鈴木 継美, 佐藤 俊, 泉谷 希光, 五十嵐 忠孝, 奥田 豊子, 大塚柳 太郎, 河辺 俊雄, 稲岡 司, 鈴木 継美, 秋道 智彌, ...
    1983 年 36 巻 2 号 p. p55-p61
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • シンポジウム
    武藤 泰敏, 岡田 正, 小山 真, 森 昌造, 真島 吉也, 高木 洋治, 岡田 正, 吉田 貴, 武藤 泰敏, 安東 明夫, 細田 四郎 ...
    1983 年 36 巻 2 号 p. p63-p73
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
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