ハスおよびクワイデンプンについて, その性質を調べ, ジャガイモおよびサツマイモデンプンと比較検討し, 以下の結果を得た。
1) ハスデンプンの最多粒は30~40μm, クワイデンプンの最多粒は10~20μmの粒径をもち, また平均粒径はハスデンプン32.7μm, クワイデンプン14.5μmで, ハスデンプンはジャガイモデンプンの35.4μmと, クワイデンプンはサツマイモデンプンの14.2μmとほぼ同じであった。
2) クワイデンプン粒の酵素による分解性は, トウモロコシデンプン粒に比較的近い高い分解性を示したが, ハスデンプン粒は24時間の反応でも50%の分解しか示さなかった。
3) ハスおよびクワイデンプン粒の酵素による分解残渣のSEMによる観察の結果, ハスデンプン粒に, 段丘状や内部の層状構造が観察できた。 また, クワイデンプンについても内部の層状構造を観察できた。
4) 電流滴定によるヨウ素親和力からアミロース含量を算定すると, ハスデンプン21.0%, クワイデンプン28.7%であった。 また, イソアミラーゼで枝切り後, ゲル濾過を行なった結果からアミロース含量を算出すると, ハスデンプンで21.3%, クワイデンプン29.4%であった。
5) フォトペーストグラフィーによる糊化開始温度は, ハスデンプン53.5℃, クワイデンプン610℃, またDSCによる糊化開始温度は, ハスデンプン58.6℃, クワイデンプン67.4℃であった。
6) X線回折図型はハスデンプンB図型, クワイデンプンC
A図型を示すことがわかった。
7) ブラベンダ-アミログラフによる6%濃度でのハスデンプンならびにクワイデンプンの糊化温度はハスデンプン62℃, クワイデンプン70℃であった。 また, ハスデンプンの最高粘度は958B. U. と高く, ブレークダウンも768B. U. で大きかったが, クワイデンプンは最高粘度640B. U. 冷却時の粘度増加478B. U. で, 粘度が比較的安定していることがわかった。
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