日本栄養・食糧学会誌
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40 巻, 1 号
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  • 鳥居 邦夫
    1987 年 40 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 田中 紀子
    1987 年 40 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    タンパク質欠乏ラットにおける尿素窒素 (N) の利用をNの中間代謝の面より検討したいと考え, 15N尿素投与後の体内分布を調べた。また外因性尿素をどれほど利用しうる能力があるかについて調べ, さらに尿素Nの栄養効果をラットの成長速度から検討した。
    1) 10mg/100g B.W. の割合で15N尿素投与後2日目の全身の15N蓄積率は, 低タンパク質食 (5%カゼイン食で5週間飼育) (LPD) 群で25.34%であって, 標準食 (20%カゼイン食) (SPD) 群では5.26%にすぎなかった。その内訳は臓器とくにcarcassタンパク質への蓄積が最も多かった。
    2) 外因性尿素N利用はアンモニアと血漿タンパク質の15N取込みからみると, 15N尿素投与量30mg/100gB.W. までは直線的に増加するが, 50mg/100g B.W. で限界に達した。したがって, 利用しうるN量には一定の適量があると考えられた。また15N尿素50mg/100gB.W. を投与したときの全身のタンパク質に取り込まれた15Nの総量をmgで計算すると, 体重275gのタンパク質欠乏ラットで5.39mg 15Nであった。この値は低タンパク質食の摂取量から計算すると, 摂取Nの5%ぐらいは尿素Nから供給できることになる。
    3) 尿素N利用の有効性を確かめるため幼若ラットを尿素を添加した低タンパク質食 (5%カゼイン食) で4週間飼育して成長速度を調べた。その結果尿素添加試料で飼育した場合にはタンパク質食だけで飼育したときの50%ほどの体重増加がみられ, 尿素は確かに体タンパク質合成に利用された。
  • 尾井 百合子, 奥田 豊子, 三好 弘子, 小石 秀夫
    1987 年 40 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食事性肥満ラットにエネルギー制限食を与えたとき, タンパク質代謝への影響を検討した。
    Sprague-Dawley系雄ラットに高脂肪食 (30%Fat群) を投与し, 対照群 (5%Fat群) とともに12週間飼育した。12週間後, 30%Fat群の体重が5%Fat群よりも有意に増加した。この食事性肥満ラットに2週間の食事制限を行なった。すなわち, 飼料摂取量を5g/日に制限し, 飼料中の脂肪含量は全群5%と一定で, 50%カゼイン食群 (HPD), 25%カゼイン食群 (SPD) および5%カゼイン食群 (LPD) とした。2週間後, 体重はいずれも急激に約100g減少した。しかし摂取タンパク質レベルの違いによる体重減少への影響はなかった。
    窒素出納は, 5%Fat群より, 30%Fat群が有意に高く, また制限食のHPD群およびSPD群では正の出納を示したが, LPD群で著しい負となった。
    体組成のうち, 水分含量は各群間に有意差はなかったが, 脂肪の割合はHPD群がSPD群およびLPD群よりも有意な低下を示し, タンパク質の割合はHPD群が有意に高くなった。
    肝組成では, 制限食群間にいずれも重量に差は認められなかったが, LPD群は脂肪含量 (%) およびタンパク重量は, 5%Fat群の値とほぼ等しくなった。
    血液性状においては, 血漿中タンパク質濃度は5%Fat群に比べ, HPD群では差はなかったが, LPD群が有意に低下した。
    以上のことより, 各制限食での体重減少量は同程度であったにもかかわらず, HPD群では体脂肪だけが減少し, 体タンパク質および肝タンパク質が保持されていたことから, 制限食投与時の食餌中のタンパクレベルは, 体タンパク質代謝に大きな影響をもつということが考えられる。
  • in vivoレベルの検討
    立屋敷 かおる, 今泉 和彦, 戸田 典子, 鷹股 亮, 上杉 公仁子, 荻田 善一
    1987 年 40 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    無制限給餌 (水) 下で飼育したラットにエタノール (EtOH) を経口投与し, そのEtOH代謝に対する日内変動の有無を定量的に明らかにする目的で研究を行なった。そのため, 8: 00と20: 00にEtOHを投与し, その血漿EtOH濃度 (p [EtOH]) の経時変化を測定し解析した。また, EtOH投与前12時間にラットが摂取した餌と水の重量を測定し, これらの各量とp [EtOH] の関係をしらべた。さらに, p [EtOH] が消失した直後に, 胃内 [EtOH] と胃内容物重量を測定した。SpragueDawley系雌ラット (184±10g) を温度25±2℃, 湿度50~60%の条件で飼育し, 20: 00に消灯し, 8: 00に点灯するようにセットした。ラットにはEtOH投与直前まで任意に餌と水を与えた。投与EtOH量は100mg/100g体重 (20%EtOH溶液) とした。その結果, 以下の結論を得た。
    1) 20: 00から8: 00まで (暗期) と8: 00から20: 00まで (明期) の摂餌量は, おのおの5.7±1.6, 1.6±0.7mg・g-1B.W. ・hr-1である。前者は後者の約3.6倍である。摂水量は暗期が明期に比べて約2.2倍大きい。したがって, ラットの摂餌量と摂水量はともに暗期が明期に比べて有意に大きい。
    2) 20: 00にEtOHを投与して得られたp [EtOH] の最大値 (A), Aに達するまでの時間 (B), 血漿EtOHの消失時間 (C) および血漿EtOHの積分値 (D) は, 8: 00のEtOH投与で得られたA, B, C, Dの値に比べおのおの2.0, 1.5, 1.6, 3.2倍となり, 有意に高い。したがって, 無制限給餌下で飼育したラットのp [EtOH] の経時過程に, みかけ上の日内変動が明らかに認められる。しかし, EtOHの消失速度定数 (k) 値には暗期と明期で差がみられない。この現象が, 代謝レベルによるのか, または他の生理的特性と関係があるのかを明らかにするため, さらに解析した。
    3) 肝細胞質内の肝ADH比活性値は, 8: 00と20: 00にEtOHを投与したグループとの間に有意な差が認められず, 日内変動はみられない。したがって, EtOH分解能は両群の間に差がない。
    4) 胃内容物重量と胃内 [EtOH] から求めた胃内Et-OH残存率は, 8: 00投与の実験で25.8±10.7%, 20: 00投与の場合で0.3±0.4%である。前者が後者に比べて約86倍大きく, 日内変動が明らかにみられる。
    5) p [EtOH] の経時過程から得られた各パラメータ (A~D) 値と胃内容物重量または胃内EtOH量との間には, 高い負の相関が認められ, ほぼ逆比例の関係が成立する。
    以上の結果より, ラットのp [EtOH] の経時過程に著しい日内変動が認められるのは, 胃内容物量の多少により, 投与されたEtOHの胃内残存率が大きく変化し, 血漿へのEtOHの移行も大きく変動するためと推定できる。
  • 東元 稔, 半田 八十三, 俣野 景典
    1987 年 40 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    PFP誘導体をGCで分析する方法により, 酢, 味噌, 醤油および混合調味料中の1-MTHBCを定量したところかなり高濃度のものがあった。なかでも, 醤油は, 4~250ppmと最も高く, 関東, 関西, 徳島のメーカー3社の製品には含有量の差があった。醤油中の1-MTHBCの濃度は, メタノールの濃度と正の相関が見られたが, 1-MTHBC-3-CAやエタノールの濃度との関連は見られなかった。この1-MTHBCが実験操作に由来するものではないことを明らかにするため, HPLCを用いて醤油中よりそれを分離し, 質量分析法で確認した。
  • 舟木 淳子, 阿部 啓子, 本間 清一, 相田 浩
    1987 年 40 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) Myrothecium verrucaria IFO 4株, IAM 1株の計5株について, 胞子の生成量が大でAsA酸化酵素活性の高い菌株をスクリーニングした結果, IAM5063を選択した。胞子はL-AsA, D-iso AsA両者をそれぞれ酸化したが, D-iso AsAに対する酸化能はL-AsAに対する酸化能の約1/10であった。
    2) Myrothecium verrucariaの胞子のAsA酸化酵素をDEAE-Sephadex A-50クロマトグラフィー, Sepharose 6Bゲルクロマトグラフィー, CM-Sephadex C-50クロマトグラフィー操作により部分精製し, その比活性はSepharose 6Bの段階で約700倍に上昇した。
    3) 本酵素の分子量は約38万ダルトンであった。また, 本酵素はL-AsAを酸化し, DHAを生成することが確認された。至適pHは6~7, 至適温度は30℃付近であった。また40℃以下では安定であった。
    4) 本酵素はL-AsAは酸化するが, D-iso AsAは酸化しなかった。またD-iso AsAの添加によりAsA酸化酵素活性が阻害され, その阻害様式は非拮抗阻害であった。
    5) 本酵素はジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム, フェニルチオ尿素, 8-ハイドロキシキノリンおよびアザイドに阻害されなかったが, Cu2+を10-4M添加することで活性が5.7倍に上昇し, 本酵素の活性に対しCu2+が大きな影響をもっていることがわかった。
  • 梶本 五郎, 吉田 弘美, 芝原 章, 山庄司 志朗
    1987 年 40 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    没食子酸添加による各油脂中のトコフェロール (Toc) の熱酸化防止効果ならびに没食子酸添加大豆油で調製した即席めんの酸化安定性について検討した。
    1) AOM試験管使用時の180℃, 15時間加熱大豆油, とうもろこし油, オリーブ油中のToc残存率はそれぞれ83.4, 77.4および0%であったのに対し, 0.1%没食子酸添加の場合, Toc残存率はそれぞれ98.0, 92.0, 95.0%であった。すなわち, オリーブ油以外の油脂についても没食子酸の添加は油脂中のTocの熱酸化を防止した。
    2) 油脂に添加した没食子酸は加熱に伴いしだいに減少し, その減少傾向はTocに比べて速い。
    3) Toc除去大豆油, Toc除去オリーブ油に添加した没食子酸の加熱時の分解率は, Tocを除去していない油脂に比べて高い。しかし, Toc除去油にα-Tocを添加した場合には, 没食子酸の分解をかなり抑制した。
    4) GA添加大豆油を180℃で10時間加熱後, 60℃で保存し, 保存中のToc, 没食子酸量の変化を調べた。保存日数が長くなるにしたがい, 両者の分解量は増し, ことに, Toc除去油の場合は, Toc未除去油に比べて没食子酸は短時日で完全に分解した。同様, 没食子酸未添加油の場合, 油脂中のTocは速やかに分解した。
    5) 生中華めん揚げ油 (鉄鍋使用) 中のToc分解率は, AOM試験管使用時の加熱に比べて高く, 没食子酸添加によるToc熱酸化分解防止の効果は低かった。
    揚げ即席めんの酸化安定性は, 没食子酸添加物で調製したほうが, 未添加調製即席めんより少し高い程度であった。したがって, 揚げ物食品の酸化安定性と揚げ油中のTocの残存率を高めるためには, 没食子酸の添加量を0.1%より多くする必要がある。
  • 中村 尚夫, 幣 憲一郎, 平田 明子, 林 佑吉
    1987 年 40 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    大麦粉末内75および大麦粉末外25を調製し, 一般組成および食物繊維含量を測定した。さらに, これら2種の粉末を10%添加した飼料により, ラットの水浸ストレスによりひきおこされる胃潰瘍の抑制効果を検討した。それら実験の結果:
    1) 大麦粉内75は, 小麦粉と比較して, 脂肪, 灰分, 食物繊維が豊富に含有した。さらに, 大麦粉外25は, 大麦粉内75と比較して, タンパク質, 脂肪, 灰分, 食物繊維含量豊富であり, エネルギーは, 大麦粉内75の約13%減であった。
    2) 14日間の給飼実験では, コントロールと比較して, 大麦粉内75添加群, 大麦粉外25添加群ともに, 体重増加に有意差は認められなかった。
    3) 水浸ストレス負荷の水浸時間の検討では, 16, 18, 21時間の時間変化では, 各潰瘍抑制率には大差はなかった。以下の実験には, 潰瘍係数に差の大きい21時間を用いることにした。
    4) 14日間給餌, 24時間絶食後, 23℃, 21時間の水浸ストレス負荷を行なった結果, コントロールに対し, 大麦粉内75では, 67.4%, 大麦粉外25では, 47.4%の潰瘍抑制効果が得られた。
  • 片山 (須川) 洋子, 菊崎 泰枝, 泉田 明子
    1987 年 40 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    4%ペクチン食で6週間飼育したラットにおいて, 脂質の消化管内移動と小腸絨毛の形態を4%セルロース食と比較して観察した。
    1) 糞中に排泄される脂質量の割合が, セルロース食群にくらべて経時的に増加した。
    2) 見かけ上の脂質吸収率が, ペクチン食群はセルロース食群よりも低かった。
    3) セルロース食群ラットの小腸絨毛は正常な形態を示したのに対して, ペクチン食群は小腸絨毛の配列が不規則で, 絨毛最先端部に異常な像が観察された。
  • 前田 有美恵, 寺田 志保子, 石川 雅章, 山本 政利, 増井 俊夫
    1987 年 40 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    玄米酢を中心とする健康酢について遊離アミノ酸, 糖および有機酸を分析し, 一般酢との成分比較を行なった。各成分の含有量および組成は食酢の種類によって異なっていた。また同一原料の食酢について健康酢と一般酢とを成分比較すると健康酢は一般酢と同程度かやや少なかった。すなわちこれらの成分の含有量および組成の相違は, 健康酢と一般酢ということよりもむしろ食酢の原料の種類や製法に由来していると思われる。
  • 1987 年 40 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 1987年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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