日本栄養・食糧学会誌
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41 巻, 5 号
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  • 斎藤 衛郎
    1988 年 41 巻 5 号 p. 343-363
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
  • 金子 みち代, 福場 博保, 市瀬 孝道, 嵯峨井 勝
    1988 年 41 巻 5 号 p. 365-371
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1) VE無添加食を与えたラットの呼気中ペンタン量は, VE添加食を与えた場合より有意に高かった。
    2) 抗生物質を与えて腸内細菌の作用を抑えても, 呼気中ペンタン量の減少は見られず, ペンタンは, 腸内細菌由来ではないことが示された。
    3) セレン添加食を与えた場合, 無添加食を与えた場合より呼気中ペンタン量は低下する傾向が示された。
    4) 過酸化脂質代謝関連酵素の活性は, VE添加食群よりVE無添加食群で低かった。また, セレン添加食群の活性は無添加食群の活性より高かった。
    5) 血液中および臓器中のVE量, 臓器のTBA値, 呼気中ペンタン量の3項目間に有意な相関性が認められ, 呼気中ペンタン量は体内過酸化脂質量とVE量の指標となり得ることが示された。
    6) ヒトの呼気中ペンタン量と血漿中VE量との間に有意な相関が認められた。
  • 石田 裕美, 本郷 哲郎, 大場 保, 鈴木 久乃, 鈴木 継美
    1988 年 41 巻 5 号 p. 373-380
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    某女子大学学生25名を対象に7日間にわたる食物摂取調査を行い, エネルギーおよび各種栄養素の摂取量を計算によりもとめた。また同調査期間中に採血および24時間蓄尿を実施し, 血漿, 尿中亜鉛濃度を原子吸光分析法により測定した。
    1) 血漿中亜鉛濃度の平均値は749±94μ9/l, 1日の尿中亜鉛排泄量の平均値は366±107μg, クレアチニン19当たりの濃度で351 (1.5) μgであった。
    2) 175人日分の食事記録より1日当たりのエネルギーおよびタンパク質摂取量の平均値はそれぞれ1, 648±281kcal, 63.2±11.4gであった。また, 亜鉛摂取量は6. 5±1.4mg, 体重1kg当たり0.125±0.030mgであった。
    3) エネルギーおよび各種栄養素摂取量の間の相関係数を計算したところ, 亜鉛摂取量との間で大きな係数が認められたものはタンパク質 (0.800), リン (0.799), 鉄 (0.736) であった。この相関行列をもとに因子分析を行った結果, 四つの因子が抽出されこの4因子において亜鉛と類似した因子負荷量のパターンを示したものはタンパク質のみであった。
    4) 食品群の中で亜鉛摂取量に対する寄与率の最も大きい食品群は米類であり, 豚肉類, 大豆・大豆製品, 乳類, 乳製品類の順であった。
    5) 単位体重当たりの亜鉛摂取量と血漿, 尿中亜鉛濃度の間に有意な相関は認められなかった。
    以上の結果より,
    1) 今回対象とした女子大学学生の亜鉛摂取量はかなり低値であり, 総体としての摂取食品量が少ないこと, 亜鉛含量の低い嗜好飲料, 野菜, 乳, 果物等の摂取量が多いのに対し, 亜鉛含量の高い米2肉, 大豆等の摂取量が少ないことがその原因と考えられた。
    2) 低亜鉛摂取状態は血漿, 尿亜鉛に直接反映しておらず, 亜鉛の生物学的半減期が長いことを考慮すると, 血漿・尿中亜鉛濃度はかなり長期にわたる過去の亜鉛栄養状態を反映していると考える必要のあることが示唆された。
  • 三好 弘子, 奥田 豊子, 小石 秀夫
    1988 年 41 巻 5 号 p. 381-387
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    低タンパク質摂取時に尿素が体内でどの程度利用されるかについて, 幼若ラットを用いて検討した。20%カゼイン食群, 5%カゼイン食群, 5%カゼイン食に15%カゼインに相当する窒素を含む尿素に置き換えた尿素添加食群の3群とした。
    尿素添加食群では5%カゼイン食群に比べ体重の増加率が高く, 窒素出納値も大きかった。摂取タンパク態窒素に対する体重増加, 窒素出納値の比は尿素添加食群で他の2群に比べ有意に高かった。血漿遊離アミノ酸は尿素添加食群で5%カゼイン食群より, スレナニン2リジン, アルギニン濃度が高く, 合計の必須アミノ酸でも高くなり, E/N比も高くなり, 体タンパク質合成のために好ましい血漿遊離アミノ酸パターンとなった。
  • 浜本 典男, 下田 幸三, 松浦 法夫, 松浦 弘明
    1988 年 41 巻 5 号 p. 389-395
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    牛乳, 乳製品を対象に, Cの分画, アルカリ加水分解の条件ならびに放射能測定用の反応液組成など, Cの分画定量条件を検討した。
    1) 分画に用いる過塩素酸溶液は, 2~6%濃度のいずれによっても, 酸可溶性-C, 酸不溶性-Cの測定値に差を生じなかったが, 清澄な遠心上清がえられる6%濃度 (最終濃度3%) を採用した。
    2) 6%過塩素酸溶液 (最終濃度3%) で分画した酸可溶性画分には, 主として炭素数10以下の短鎖結合型-Cが, 酸不溶性画分には主として長鎖結合型-Cが分画されたが, 炭素数8~12の脂肪酸の結合型は, 少量ながら両画分に移行し, その境界は炭素数で明瞭に区分されるものではなかった。
    3) 過塩素酸分画でえられた結合型-Cの加水分解は, 比較的高濃度のアルカリ処理によるのが適当であった。また3.5N KOH中でも, 遊離-Cの損失はみられなかった。
    4) 牛乳のCは分画操作, アルカリ処理操作によって希釈され, 放射能測定用の検液50μ1中には1nmol以下となった。微量のCを測定するために, 反応液に含まれるacetyl-CoAの放射能を0.05μCi/5nmolにする必要があった。
    5) 反応液にトリス緩衝液を用いると, Cacetyl-transferaseの添加後の時間経過に伴って, 放射能測定値が高くなり, 測定精度が低下するが, リン酸緩衝液ではこの現象を認めなかった。
    6) 以上の結果から, Cの分画定量法を設定したが, 測定限界は放射能測定用の検液50μl中のC量として0. 05nmolで, 回収試験, 繰返し精度でも, ほぼ満足すべき結果がえられた。
  • 浜本 典男, 下田 幸三, 松浦 法夫, 松浦 弘明
    1988 年 41 巻 5 号 p. 397-404
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    牛乳, 乳製品の各種形態Cを測定し, 以下の結果をえた。
    1) 生乳は全-Cとして166nmol/g量を含んでいたが, 長鎖結合型-Cは少なく, 遊離-Cと短鎖結合型-Cの割合は, ほぼ1: 1の構成を示した。
    2) 殺菌牛乳, ヨーグルト類の各種形態Cは, 含量. 構成とも生乳に類似するものであった。
    3) LL牛乳の全-C量は生乳と差がなかったが, 遊離-Cの割合がやや多く, 短鎖結合型-Cがやや少ない点で有意差があった。
    4) 無糖れん乳は, 全-C量が生乳の2倍程度あり, また遊離-Cの割合が著しく多かったが, 遊離-Cが多い原因は高温長時間加熱による結合型-Cの分解によると考えられた。
    5) 低脂肪のコーヒー用クリーム類では, 各種形態Cの割合は, ポーションタイプでは生乳と大差がないものであったが, 缶詰めタイプでは遊離-Cの割合が多く, この原因は加熱による結合型-Cの分解程度の差によると考えられた。
    6) バターとチーズはいずれもC含量が著しく少なく, 各種形態Cの割合はともに長鎖結合型-Cが多く, バターでは短鎖結合型-C, チーズでは遊離-Cが少ないのが特徴的であった。
    7) 粉乳類ではC含量は多かったが, 各種形態Cの割合は牛乳と大きく異なるものではなかった。C含量は粉乳の種類によって異なるが, 原料乳中のCがそのまま脱水濃縮されたと思われ, 乳糖含量との間に比例関係が成立した。
    8) 調粉のC量は製造者によって大きく異なったが, 配合設計の違いによると思われ, 同一製造者の製品では, 各種形態C量のばらつきは少なかった。
    製造工程における各種形態Cの変化を検討し, 以下の結果をえた。
    9) 瞬間加熱 (約2秒間保持) では, 140℃以上の温度で結合型-Cが分解して遊離-Cを生ずるが, 分解率は小さかった。
    10) 保持加熱 (15分間) では, 比較的低い温度でも結合型-Cの分解が進むが, 炭素数の少ない脂肪酸と結合したCが, 容易に分解する傾向を示した。
    11) クリーム分離によっては, Cの大部分は脱脂乳に移行し, 脱脂乳の各種形態Cの割合は生乳と大差ない比率を示した。クリーム部分では, 生乳と比較すると遊離-Cと短鎖結合型-Cが減少し, 長鎖結合型-Cの割合が著しく増加して, 全-C量がかなり減少するなどの変化が認められた。
    12) バターのCは, 遊離-Cと短鎖結合型-Cはゼーラム部分に存在し, 長鎖結合型-Cはオイル部分とゼーラム部分の両方に存在した。バターのC含量が少ないのは, オイル部分のC量が少ないためであった。
    13) 全粉乳, ヨーグルトの製造工程では, 各種形態C量にほとんど変化が認められなかった。
  • 梶本 五郎, 高岡 真由美, 吉田 弘美, 芝原 章
    1988 年 41 巻 5 号 p. 405-410
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    加熱油より分別した酸化生成物 (石油エーテル不溶酸化脂肪酸) を大豆油, 硬化なたね油に添加し, 60℃保存および180℃加熱による油脂中のトコフェロール (Toc) の分解, ならびに酸化生成物によるTocの分解に対する没食子酸 (GA) の防止効果などについて検討した。
    1) 180℃で30時間加熱した大豆油から分別した酸化生成物を0.1, 0.5, 1.0および1.5%添加した大豆油中のTocは, 60℃, 1日保存で20.0, 30.2, 52.4および65.9%分解した。
    2) 同時間の加熱であれば, 大豆油から分別した酸化生成物のほうが硬化なたね油の酸化生成物よりも油脂中のTocを分解させる作用は大きい。
    180℃で, 10, 20, 30時間加熱した大豆油から分別した酸化生成物による大豆油中のTocの分解率は, 60℃1日保存でそれぞれ33.0, 48.0および52.0%であった。すなわち, 加熱時間の長い油脂から得た酸化生成物ほど油脂中のTocをより多く分解させた。
    3) 60℃保存時の大豆油の過酸化物価の上昇は, 酸化生成物添加油ほど高いが, その酸化生成物添加油にGAを添加したものは過酸化物佃の上昇は抑えられた。1.0%酸化生成物添加大豆油のTocの残存率は保存2日目で5.0%であったのに対し, GA併用の場合は, Tocの分解は抑えられ, 保存7日目でも75.0%のTocが残存していた。
    4) 油脂を含まないアルコール溶液系でもTocは酸化生成物により分解された。一方, GA併用の場合は, 酸化生成物によるTocの分解はかなり防止され, 保存5日目でTocの残存率は76.0% (GA未添加の場合, 33.0%) であった。
    5) 自動酸化時と同様, 加熱時でも酸化生成物によって油脂中のTocは著しく分解が促進され, 0.1%酸化生成物添加大豆油の180℃, 5, 10時間加熱でTocの分解率は35.0および50.0%であった。
    6) 30時間加熱大豆油のアニシジン価とカルボニル価176.9と29.3に比べ, 同加熱油から得た酸化生成物のアニシジン価とカルボニル価は560.6と44.6であった。また, 酸化生成物のペルオキシド, エポキシド, アルデヒド, α-ケト酸の呈色反応はいずれも陽性であった。
    酸化生成物によるTocの分解機構は, 各官能基に富んだ酸化生成物によって酸化的にTocが分解されるものと思われる。
  • 藤田 修三, 中井 晴美, 藤田 静子, 広川 清, 曽根 良昭, 中谷 延二
    1988 年 41 巻 5 号 p. 411-414
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    昭和60年から61年にかけて三重県南勢町五ケ所浦で養殖されたヒトエグサの各生育段階のものを収集し, 成分変動にともなう抗酸化活性と腫瘍抑制効果を検討した。
    1) 12, 1, 2, 3, 4, 5月期に採集した6種類のヒトエグサの塩化メチレンおよびメタノール抽出した区分は, 両画分ともに強い抗酸化性を示した。とくに1月期に採集した区分にもっとも強い抗酸化性がみられ, その後生育にともない抗酸化活性が弱まった。しかし今回の結果は粗抽出物でありながらα-トコフェロールよりも強い抗酸化性を示していた。
    2) 1, 3, 5, 9月期に採集したヒトエグサのSarcoma 180移植マウスに対する腫瘍抑制作用を調べたところ, 9月期の遊走子嚢には抑制効果は認められなかった。そして1月期の試料にも抑制効果が認められなかった。しかし3, 5月期に採集したものには50%以上の抑制率が示された。このことより, 同じヒトエグサであっても生育段階が異なれば抑制効果が異なることが示唆された。
  • 石渡 比奈子, 矢野 誠二, 奥田 祥子, 小谷 忠男, 辻 啓介
    1988 年 41 巻 5 号 p. 415-422
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
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