日本栄養・食糧学会誌
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42 巻, 1 号
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  • 今井 陽
    1989 年 42 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 隆, 山内 恒治, 川瀬 興三, 冨田 守, 清沢 功, 小此木 成夫
    1989 年 42 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    人乳および牛乳の鉄飽和ならびに脱鉄ラクトフェリンをin vitroでpH 4.5においてペプシン, 次いで, pH 7.5においてトリプシンにより連続消化し, 6% TCA可溶性窒素量, 鉄結合能, 免疫学的反応性, ディスクゲル電気泳動および免疫電気泳動の経時的変化を観察した。さらに, ラクトフェリン消化物の病原性大腸菌E. coli0111に対する静菌作用についても検討し, 以下の結果を得た。1) ペプシン2時間およびトリプシン3時間消化後における6% TCA可溶性窒素量の増加率ならびに鉄結合能と免疫学的反応性の残存率は, それぞれ, 人乳鉄飽和ラクトフェリン6.0, 85.0, 100%, 人乳脱鉄ラクトフェリン32.0, 44.4, 62.9%, 牛乳鉄飽和ラクトフェリン5.2, 82.8, 89.5%, および牛乳脱鉄ラクトフェリン35.0, 39.5, 34.7%であった。2) ディスクゲル電気泳動および免疫電気泳動のパターンは, 人乳と牛乳の脱鉄ラクトフェリンとの間で著しく異なった。3) 鉄飽和ラクトフェリンは, 消化の有無にかかわらず, 人乳, 牛乳ともに静菌活性を示さなかった。これに対して, 人乳および牛乳の脱鉄ラクトフェリンでは, 消化の時間経過とともにその活性は著しく減少したが, ペプシン2時間およびトリプシン3時間消化後においても依然として静菌作用が認められた。
  • 竹中 麻美, 水上 戴子, 堀川 蘭子
    1989 年 42 巻 1 号 p. 21-32
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    妊娠ラットに10%SPI食を投与すると出産が非常に困難であったことから, 0.3% Met, あるいは0.15%Thr+0.2% Val+0.3% Metを添加することにより質の改善を, SPIレベルを20, 25, 35, 50%に上げることにより量的な改善を試みた。また, SPI 10%, 50%食を投与した場合のタンパク質利用効率, 血漿遊離アミノ酸, 胎仔, 胎盤等に及ぼす影響について妊娠前・中・後期に分けて観察し, これらの影響がいつごろ現れるかを10% WEP食と比較検討した。結果は次のとおりである。
    1) SPI食群ではS50群を除いて, 妊娠19~20日ごろから飼料摂取量が著しく低下し, 体重が減少した。出産状況はタンパク質レベルが上がるにつれて改善の傾向がみられたが, W10群と同様に良好な出産状況と認められたのはS50群のみであった。
    2) 妊娠前, 中期においては, タンパク質の利用効率 (BV), 胎仔・胎盤重量, 母体カーカス重量等に, 群間に差は認められなかった。妊娠後期にW10, S50群のBVが向上するのに対し, S10群では15~16日にW10群より有意に低くなり, 以後, 向上は認められなかった。血漿遊離アミノ酸濃度は, W10, S50群では21日において, 7, 14日に比べて低下したが, S10群では逆に上昇した。これは妊娠後期にS10群のアミノ酸の体内利用が悪く血漿中に残留したためと思われる。
    3) 以上より, S10群で出産が非常に困難であったのは, 妊娠後期において, 10% SPI食のアミノ酸組成が母体と胎仔のアミノ酸必要量を充足することができず, タンパク質の利用効率が低下し, 摂食量が著しく減少したためと考えられる。したがって妊娠後期において, 10% SPI食のアミノ酸組成は母体の代謝亢進と胎仔の発育にとって不十分であると考えられる。SPI 10%レベルに制限アミノ酸を添加しても, 質の改善は認められなかったが, SPIの量を50%レベルまで上げることによって, 十分な改善が認められた。
  • 大山 珠美, 佐久間 慶子
    1989 年 42 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    低タンパク質食が肝臓細胞に与える影響を4週齢の雄ラットを用いて調べた。低タンパク質食群は3%カゼイン含有, コントロール食群は25%カゼイン含有の餌を用いて10日間の飼育を行った。
    肝臓のDNA, RNA, タンパク質定量の結果, 肝臓1グラム当たりのDNA量は低タンパク質食により減少を示した。RNA量は変動がみられなかったが, DNA当たりの核RNA量は有意に増加した。核タンパク質量は1.4倍もの増加を示した。核タンパク質のクロマチンタンパク質を尿素およびヒドロキシルアパタイトを用いてヒストンタンパク質, 非ヒストンタンパク質 (NHP) に分画し, NHPについては尿素可溶性NHPとDNA結合性NHPにさらに分画を行った。その結果, 核タンパク質にみられた増加は尿素可溶性NHPの増加によるものであった。
    細胞質タンパク質, 尿素可溶性NHPおよびDNA結合性NHPについて2次元電気泳動を行った結果, 低タンパク質食群において細胞質タンパク質は, 分子量30,000, 等電点6.8, および分子量20,000, 等電点7.0のタンパク質に減少がみられた。尿素可溶性NHPは分子量約30,000, 等電点7.0付近の3種のタンパク質に減少がみられた。DNA結合性NHPタンパク質電気泳動パターンには, 変化が見られなかった。
  • 原 征彦, 松崎 敏, 中村 耕三
    1989 年 42 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    緑茶に固有なカテキンであるエピガロカテキンガレート (EGCg) と, それを主成分とする粗カテキンを用い, これらがマウスおよびラットに移植された腫瘍の増殖に対し抑制効果をもつか否かにつき調べた。腫瘍細胞としてはSarcoma 180, Ehrlich, P-388およびL-1210を用い, それらをマウスに移植し, 腹水腫瘍もしくは固型腫瘍とした。さらに20MC誘導腫瘍片をラットに移植して実験に供した。EGCgおよび粗カテキンは腹腔内, 皮下, 経口 (強制または混餌) により投与した。
    その結果, EGCgおよび粗カテキンは腹水腫瘍に関しては効果を示さなかったが, いくつかの固型腫瘍に対しては増殖抑制効果を示した。すなわち両者とも, マウスEhrlichに対しては移植後の皮下投与で, 20MC腫瘍に対しては移植後の腹腔内投与で, それぞれ対照群に比べ腫瘍の増殖を抑えた。そして粗カテキンの場合20MC腫瘍移植前に経口投与を加えることにより抑制率が倍増した。Sarcoma 180に対しても, 粗カテキンは腹腔内投与による腫瘍増殖抑制効果とともに移植前経口投与による効果増強を示した。そこで移植腫瘍に対する粗カテキン長期摂食の効果を調べた。マウスを粗カテキン添加飼料で8.5カ月間飼育し, Sarcoma 180を皮下移植し, ひき続き19日間飼育後の腫瘍重量を計ったところ, 粗カテキン0.5%混餌群では29.1%, 1%混餌群では55.8%, それぞれ対照群に比べて腫瘍重量減がみられた。さらにその機作の確認のため, マウスにSarcoma 180移植後粗カテキンを皮下投与し, その後LPSを腹腔内投与したところ, おのおのの単独投与より優れた抑制効果が得られた。
    以上の諸知見から, EGCgおよびそれを主成分とする粗カテキンは, 移植腫瘍細胞の増殖過程に直接作用するというよりはむしろ, 生体の免疫機構に働いて腫瘍の増殖を抑制するという可能性が示唆された。
    なお本報の一部は第43回日本癌学会総会において発表した。
  • 末綱 邦男, 筬島 克裕
    1989 年 42 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) イワシ筋肉を酵素分解して得た, 分子量1,000~2,000のペプチドは, in vitroでのACE阻害能としてID50=27.1mg/gであり, アスパラギン酸, グルタミン酸アルギニン, プロリン, イソロイシン, リジン等のアミノ酸含量が高かった。
    2) イワシ筋肉由来ペプチドはSHRラットを用いた降圧効果試験の結果, 静脈内への投与で明らかに降圧効果が認められた。
    3) 生理食塩水に溶解した被検試料の経口投与では降圧効果は明瞭ではなく, これは腸管で被検試料が吸収されにくいのが原因ではないかと推察した。
    4) 被検試料を卵黄に溶解して, 経口投与すると, 投与量に応じて確実に降圧効果を示したが, これは卵黄がpicocytosiS吸収を促進したためと考えた。降圧効果は2~3時間で最大に達し, 6時間後もなお持続した。
    5) ウサギを用いた血管拡張試験の結果, 被検試料を卵黄に溶解しての経口投与で, いずれの投与量に関して, 試料投与後, 20分で耳血管の拡張が観察され, 投与後2時間を経過しても血管拡張の持続が観察された。
  • 青江 誠一郎, 太田 冨貴雄, 綾野 雄幸
    1989 年 42 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    脱脂米ヌカから抽出, 分離したヘミセルロース標品 (RBH) による血清コレステロール上昇抑制の作用発現機構について, 高メトキシルペクチン (HMP) の作用機構と比較することにより, 検討した。コレステロール1%, コール酸ナトリウム0.25%を含む高コレステロール飼料に, RBHおよびHMPをそれぞれ2%レベル添加した飼料をラットに投与し, 9日間飼育した。
    RBHとHMPは, いずれもラットの血清コレステロールの上昇抑制を示したが, コレステロール吸収率, 肝臓コレステロールの蓄積率, 糞中へのステロールの排泄量の成績から, その作用機構は異なると考えられる。1) RBHは, 外因性コレステロールの吸収を阻害せず, 肝臓コレステロールの蓄積を抑制しなかった。RBHにより中性ステロールの排泄も促進されず, 酸性ステロールの排泄のみが促進された。したがって, RBHは, 胆汁酸の排泄を促進することにより, 結果として, 血清コレステロールの上昇を抑制すると推定した。2) HMPは, 外因性コレステロールの吸収を阻害することにより, 中性ステロールの排泄を促進し, 血清ならびに肝臓コレステロール値の上昇を抑制することが確認された。
  • 河田 哲典, 飯島 健志, 前川 昭男, 増山 翠, 和田 忠夫, 竹内 政保
    1989 年 42 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    トウモロコシデンプンの製造過程における副産物であるグルテンミールの有効利用の端緒としてグルテンミールからのツェインの抽出, 回収条件を検討した。またグルテンミールから抽出したツェインのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動ならびにSephacryl S-200カラムクロマトグラフィーを行い, 生トウモロコシから抽出したツェインと比較した。
    グルテンミールからのツェインの抽出は3%塩化ナトリウムであらかじめ抽出した残渣を用いて10倍容の60%エタノールで60℃, 30分間, 2回抽出の条件で高抽出率が得られた。またツェインエタノール抽出液を1%以上の塩化ナトリウム溶液に滴下することにより簡単にツェインが回収され, 高い収率が得られた。さらにグルテンミールから抽出したツェインはαおよびβの主ポリペプチド鎖, α, β-ツェインから成る二量体重合体が確認され, 生トウモロコシから抽出したツェインと大きな差は認められなかった。以上の結果から, グルテンミールからのツェインの抽出, 回収は10倍容の60%エタノールで60℃, 30分間, 2回抽出し, 1%塩化ナトリウム溶液で回収するのが最適と判断される。
  • 徳江 千代子, 片岡 栄子, 谷村 和八郎
    1989 年 42 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    台湾産大型, 丸型および日本産茶種子の成分および脂質の品質性状を明らかにした。
    1) 種子中の脂質含量は, 台湾産大型が50.7%といちばん高く, 3種子とも高い油分を示した。タンパク質も9.7~13.5%含まれていた。
    2) 種子脂質のAVは1.8~2.4, SVは197.3~199.4, IVは87.2~88.4と不乾性油としての性質を示すものであった。不けん化物は0.5~0.8%存在した。
    3) 種子脂質の脂質組成はNLが90.7~94.4%, GLが3.6~7.4%, PLが1.6~2.0%であった。
    4) 種子脂質のNL, GLおよびPLの脂質組成はNLはTGが75.5~80.1%と高い割合を示し, GLはASGとMGDGが多く, PLはPE, PCが多く認められた。
    5) 種子脂質のTL, NL, GLの主要脂肪酸は, C18: 1, C18: 2, C16: 0であり, PLはC18: 2, C18: 1, C16: 0であった。
    6) 種子脂質のDeMS含量は73~143.8mg/100g脂質で, その組成では7-スティグマステノール, スピナステロールが多く認められた。DMS組成についてはβ-アミリン, ルペオールが認められた。
    7) 種子脂質の総Toc含量は14.2~33.1mg/100g脂質であり, α-Tocのみ認められた。
  • 津田 淑江, 福場 博保
    1989 年 42 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    天然色素の中で不安定な化合物の一つであり, 調理, 加工, 貯蔵中に変色して, その品質を劣化させる主要な原因となっているアントシアニンの分離同定に細管式等速電気泳動法を利用することを試み以下の結果を得た。
    1) 島津細管式等速電気泳動I.P. -1BおよびI.P. -3Aを用いアントシアニン, アントシアニジンの分離定性を行った結果, リーディング液: 0.01N塩酸+0.5%トリトンX-100, ターミナル液: 0.01Nトリス, 定電流100μAで陽イオンとして泳動した場合シャープなピークとして分離できた。
    しかし, 単体の場合はシャープなピークとして現れたが, デルフィニジン, シアニジン, ペラルゴニジンのPU値は非常に接近しており, 相互に分離することはできなかった。
    2) 食品からのアントシアニン抽出法について検討を行い1%塩酸-メタノールを用いた場合にはH+量の増大からアントシアニンピーク出現がやや遅くなるが, 0.01%塩酸-メタノール液の場合と比較し泳動に大きな影響のないことが確かめられた。
    3) アントシアニン類のように類似構造を有し, OH基の位置や数のみが異なる化合物を泳動するとき, リーディング液にアルミニウムを加え, 錯体効果を利用して移動度を変化させた場合の効果について検討を行った。その結果リーディング液: 0.01N水酸化ナトリウム+0.2%トリトンX-100+0.5mM塩化アルミニウム, ターミナル液: 0.01Nトリス, 定電流100μAで陽イオンとして泳動した場合これら化合物の移動度を変化させることができ, 相互分離が可能となることを確かめた。
  • 今中 雅章, 松永 和義
    1989 年 42 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 脊山 洋右, 安本 教傳
    1989 年 42 巻 1 号 p. 90-94
    発行日: 1989/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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