日本栄養・食糧学会誌
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42 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 杉山 公男
    1989 年 42 巻 5 号 p. 353-363
    発行日: 1989/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 李 家珍, 安部 正雄, 鈴木 継美
    1989 年 42 巻 5 号 p. 365-368
    発行日: 1989/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    27名の健康な授乳婦の産後約1週間の時点の母乳中亜鉛濃度は5.7±2.0μg/ml, セレン濃度は29.2±6.5ng/mlであった。亜鉛濃度の個人間変動に寄与する要因として, 母の年齢, 児の性が, セレン濃度に寄与する要因として, 出産後日数, 入院している病院, 児の性が, 変数増減法重回帰分析によって選び出された。
  • 小畠 義樹, 黒田 圭一, 西出 英一, 山口 迪夫
    1989 年 42 巻 5 号 p. 369-375
    発行日: 1989/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    2種の脂肪酸組成の異なった卵黄リン脂質がラット血清, 肝臓中のコレステロール等の脂質濃度に与える影響の相違を検討するために, 通常精製卵黄リン脂質または, 水素添加精製卵黄リン脂質を添加した高コレステロール飼料を2週間ラットに投与し, 次の結果を得た。
    1) 血清, 肝臓総コレステロールはリン脂質投与で対照のオリーブ油群に比べ明らかに上昇抑制が見られたが, 水素添加リン脂質投与でも似た効果が得られた。
    2) 血清HDL-コレステロール濃度は卵黄リン脂質投与では対照に比べ高値を示したが, 水素添加リン脂質では対照と差がなかった。血清トリグリセリド, 血清および肝臓リン脂質濃度はどちらの卵黄リン脂質投与でも対照との間に差はなかった。
    3) 実験期間中の糞中のみかけのコレステロール排泄率は対照に比べ, 両卵黄リン脂質投与で上昇したが, コレステロールの腸管からの吸収が阻害されたものと考えられる。また, 水素添加リン脂質投与群でホスファチジルコリン等のリン脂質の糞中排泄が著しかった。
    これらの事実から, 2種の卵黄リン脂質は血清, 肝臓のコレステロールの濃度を上昇抑制効果が著しかったが, 水素添加してもその効果の変化は少ないと推定された。また両卵黄リン脂質は糞中コレステロール排泄を増加させたが, 水素添加リン脂質それ自身の消化吸収は非常に低いことが推定された。
  • 萩原 清和, 津田 明子, 市川 富夫
    1989 年 42 巻 5 号 p. 377-383
    発行日: 1989/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    VE欠乏時におけるGSHの役割を明らかにする目的でラットをサフラワー油を含むVE欠乏飼料で飼育し, 同時にBSOを投与しGSH量を低下させ, GSH低下ならびに過酸化脂質生成阻止系酵素活性の変化と脂質過酸化との関連性について検討した。
    1) VE欠乏飼料による6週間の飼育で臓器中の残存VE量は臓器間で差が認められた。
    2) BSO投与による臓器中GSH量も臓器間で差異が観察された。
    3) VE欠乏状態でのGSHの低下は肝臓, 心臓, 睾丸でTBA値のいっそうの上昇をひきおこした。また, 腎臓では逆にTBA値の低下が見られたが, 腎臓重量の増加および白い変色と合わせ詳細に検討する必要があると考えられた。
    4) VE欠乏GSH低下により肝臓, 心臓, 腎臓でGSH-px活性の低下あるいは低下傾向が, また, GST活性の上昇が認められた。
  • 松尾 眞砂子, 湯本 淑子
    1989 年 42 巻 5 号 p. 385-389
    発行日: 1989/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    おからをRhizopus oligesporxsで醗酵させたおから製テンペ (OT) が食品添加用食物繊維 (dietary fiber, DF) として利用しうると考え, 小麦粉の一部をOTで置き換えたビスケットを調製し, その品質を, OT無置換のビスケットと比較した。OTで小麦粉の30%を置換したビスケットは, つぎの特色を示した。1) 外観や香りに変化がなかった。2) 膨化が不足した。3) レオロメターによるテクスチャーは柔らかく, もろさに欠けたが, 官能的にはテクスチャーの変化を認めることができなかった。4) DF量は約7倍に増加した。5) 脂肪の酸化が強く抑制された。以上のことから, OTはビスケット用DF素材に適していることが明らかになった。
  • 金子 憲太郎, 太田 匡子, 角野 猛, 前田 安彦
    1989 年 42 巻 5 号 p. 391-395
    発行日: 1989/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Ca塩および水酸化カルシウムのCaとペクチン質の結合力の差異を検討した。その際, ペクチン質の水溶液CaCl2, (C6H11O7) 2Ca, (C3H5O2) 2Ca, Ca (OH) 2の水溶液を, 別個に混合・透析した後に各ペクチン質のCa含量を比較した。各ペクチン質のCa含量の差異を結合力の差とした。供試したペクチン質は平均分子量が23,000, 当量重量が598, メトキシル含量が10.1%であった。
    1) ペクチン質水溶液のpHは, CaCl2の混合量増加に伴いしだいに低下した。しか, (C6H11O7) 2Ca, (C3H5O2) 2Caを混合した場合は, 混合量の増加に伴い逆に上昇した。Ca (OH) 2を混合した場合は, 混合量がペクチン質の当量の1.5倍以上になると急激に上昇した。
    2) 透析後のペクチン質水溶液のpHは, 各化合物の混合量増加に伴い, しだいに上昇した。
    3) 透析後のペクチン質のCa含量は, Ca (OH) 2を混合したペクチン質が最も多く, 次が (C3H5O2) Ca, そして (C6H11O7) Caを混合したペクチン質であった。CaCl2を混合したペクチン質のCaは最も少なかった。
    4) Ca (OH) 2はペクチン質の当量以上混合すると, ペクチン質に脱メトキシル化が起こり, Caの結合量が急増する。
  • 篠田 粧子, 吉田 勉
    1989 年 42 巻 5 号 p. 397-402
    発行日: 1989/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    すでに行ったin vivo実験に用いたラット用飼料を使って, 多種類のミネラルを含み, かつ食物繊維など他のさまざまな成分が共存するような通常の飼料条件下で, 飼料フィチン酸が各種pH (pH1~12) におけるリン, カルシウム, マグネシウムおよび亜鉛の溶解性に及ぼす影響について検討した。
    供試飼料としては, フィチン酸ナトリウム無添加のもの (以下, 無添加飼料) および1%添加のもの (以下, 1%添加飼料) を用いた。両飼料は, pH 1~12の各種緩衝液で抽出後, 10,000×gで30分間遠心分離して上清 (以下, 可溶性画分) と沈澱残渣 (以下, 不溶性画分) を得た。また, 以下緩衝液のpHの後には, 抽出後の可溶性画分の実測pHを ( ) で示した。
    リン, カルシウム, マグネシウムおよび亜鉛は, おのおの, 各pHにおける可溶性画分および不溶性画分の含量から次のように不溶性比率を求めた。
    各ミネラルの不溶性比率 (%) = [不溶性画分の含量/ (可溶性画分+不溶性画分) の含量] ×100リンの不溶性比率はpH 1~12 (1.0~10.0) のすべての範囲において, 無添加飼料よりも1%添加飼料で高くなった。pH 4 (4.1) 以上でリンの不溶性比率が低下した原因としては, カゼインの溶解により, カゼイン由来のリンが可溶性画分に増加したためと考えられた。
    カルシウムの急激な不溶化が, 無添加飼料および1%添加飼料ともにpH 5 (5.3) 以上でおこり, pH 7 (6.9) 以上では85%以上のカルシウムが不溶性画分に存在した。すでにラットで行ったin vivo実験では, 小腸下部内容物におけるフィチン酸によるカルシウムの不溶性比率の増加が観察されたのに, 今回のin vitro実験では, それと同様なpHである中性領域で, その増加はほとんど認められなかった。
    マグネシウムの不溶性比率の増加は, 1%添加飼料では, pH 5 (5.3) を超すとおこり, それはpHの上昇とともに著しくなった。
    亜鉛の不溶化はフィチン酸の影響を強く受け, 小腸下部内容物のpHすなわちpH 7付近 (6.9) では, その不溶性比率は無添加飼料で25%前後であったのに, 1%添加飼料では60%近くとなった。しかし, すでに行ったin vivo実験の小腸下部内容物中亜鉛に比較すると, 不溶性比率は約30~40%も低かった。
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