日本栄養・食糧学会誌
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43 巻, 6 号
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  • とくに単身赴任者の食生活と栄養
    木村 美恵子, 松本 晶博, 永井 清久, 糸州 嘉則
    1990 年 43 巻 6 号 p. 379-393
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    A survey of the food habits of businessmen staying with or away from their families, working in Tokyo, Osaka, Fukuoka and Sapporo, Japan, was carried out in September 1986. The following results were obtained. 1) Nutrient intake was as follows; 2, 200-2, 300 kcal total energy, 75-85g protein, 55-66g lipid, 260-280g non-fiber carbohydrate, 2, 500-2, 900IU retinol potency, 1.1-1.3mg thiamin, 1.3-1.5mg riboflavin, 58-77mg ascorbic acid, 370-500mg calcium, 10-11mg iron, 5, 000-5, 500mg sodium, 2, 400-2, 800mg potassium, 1, 100-1, 300mg phosphorus, 230-250mg magnesium, 14-18mg zinc, 2.4-2.8mg manganese, and about 1.2mg copper. 2) The percentages of energy intake were 15.2% for breakfast, 30% for lunch, 40-44% for dinner and 10.5% for snacks between meals on average. 3) Intakes of calcium and ascorbic acid in young businessmen away from their families were very low compared with the other groups and young businessmen were found to drink a large amount of alcohol every day.
  • 岡崎 昌子, 藤川 茂昭, 松元 信也
    1990 年 43 巻 6 号 p. 395-401
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    キシロオリゴ糖の腸内フローラに及ぼす影響について検討を行うために健康な成人男子を対象に, 毎日1gもしくは2gずつ3週間にわたって摂取させ, 摂取前, 摂取中, 摂取後に採便し, 腸内フローラ, 水分の測定を行った。
    その結果, 摂取前に比べ, 摂取中は腸内菌叢に占めるビフィズス菌の割合が有意に増加し, 摂取を中止すると低下することが示された。また, 便の水分含量は80%へと収斂し, 軟便, 固い便がちょうどよい固さになる傾向を示した。
    キシロオリゴ糖摂取量の増加に伴い, 腸内のビフィズス菌も増加したことから, ビフィズス菌の増加は確かにキシロオリゴ糖摂取によるものと考えられた。
  • 光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡による構造の研究
    鈴木 道子
    1990 年 43 巻 6 号 p. 403-411
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    モルモット膵臓の内在神経叢の構造を, 光顕免疫組織化学法と走査型電子顕微鏡法により検討した。
    1) 膵臓の外分泌部 (導管近傍, 小葉間結合組織, 腺房, 介在部) と内分泌部 (ランゲルハンス島周囲および内部) にグリア細胞を検出した。
    2) 膵臓の内在神経叢は神経節, 神経束, 自律神経基礎網を構成要素とする網目である。
    3) 膵臓の自律神経基礎網では, 一つのグリア細胞が複数のニューロンの突起を束ねる。
  • 山田 幸二, 水野 時子
    1990 年 43 巻 6 号 p. 413-419
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    米飼料にコール酸またはコレステロールとコール酸を負荷し, さらにスレオニンを添加してラットの成長, 血漿遊離アミノ酸, 血漿と肝臓のコレステロール濃度への影響をDonryu系ラットとSprague-Dawley系ラットを用いて検討した。
    1) コール酸単独またはコレステロールとコール酸負荷米飼料摂取で, D系ラットの成長は阻害され体重は減少したが, Sprague-Dawley系ラットの体重は増加した。
    2) コール酸単独, またはコレステロールとコール酸負荷米飼料摂取で生ずる成長阻害はスレオニン添加で部分的に軽減された。
    3) 米飼料へのコール酸添加でDonryu系ラットの血漿中スレオニン濃度は顕著に低下したが, Sprague-Dawley系ラットでは変動はなかった。
    4) コール酸負荷米飼料へのスレオニン添加で, 血漿コレステロール濃度はDonryu系ラットでは上昇したが, Sprague-Dawley系ラットでは変動がなかった。
    5) Donryu系ラット, Sprague-Dawley系ラットともコレステロールとコール酸負荷米飼料へのスレオニン添加で, 血漿と肝臓のコレステロール濃度は上昇した。とくにDonryu系ラットの血漿コレステロール濃度の上昇は顕著であった。
    6) コレステロールとコール酸負荷米飼料へのセリンやグリシン添加で, Donryu系ラットの成長や血漿コレステロールへの影響はないが, 血漿HDL-コレステロール濃度は上昇した。
  • 武野 史朗, 山田 裕之, 関谷 啓治, 藤谷 武一, 大津 啓嗣
    1990 年 43 巻 6 号 p. 421-425
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究では, 難消化性多糖類の分子量と生理作用の関係を解明する目的で, グアガムおよびそれを酵素で低分子化したグアガム部分分解物が, ラットの脂質代謝あるいは糞便排泄に与える作用について検討した。その結果, グアガムに比べて著しく粘度の低いグアガム部分分解物が, 血漿コレステロール上昇抑制作用と糞排泄量および水分含量の増加作用を保持していることを明らかにした。
  • 阿左美 章治, 平塚 静子, 北野 隆雄, 江指 隆年
    1990 年 43 巻 6 号 p. 427-435
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    生後5カ月齢のフィッシャー系経産ラットにカゼインまたは分離大豆タンパク質の2種類をタンパク質源とし, その含有量をそれぞれ20%と40%とした飼料すなわち20%カゼイン食 (C20), 40%カゼイン食 (C40), 20%分離大豆タンパク質食 (S20), 40%分離大豆タンパク質食 (S40) を16週間与え, その間6, 11, 16週間目にそれぞれカルシウム (Ca), リン (P), マグネシウム (Mg) の出納実験を行った。また, 16週目実験終了時における血清, 大腿骨, 腎臓中のCa, P, Mg量におよぼす飼料タンパク質の影響について調べた。さらにCa尿中排泄量と血清PTH量の関連についても検討した。
    結果は以下のとおりであった。1) C40のCaとPの尿中排泄率はともに他の3群に対してつねに高値を示した。しかし出納は負を示さなかった。またC40のCaの尿中排泄率は加齢にかかわらず高排泄を持続する特徴を示した。
    2) C40のCa体内保留率はS40より低く, Ca代謝におよぼすマイナス効果はC40が大きい傾向であった。
    3) C40のMgの尿中排泄率および体内保留率は他の群間と有意の差を認めなかった。
    4) 大腿骨重量, 脱脂骨重量, 骨中灰分量および脱脂大腿骨1g当りのCa, P, Mg量, 骨中Ca/P比には各群間に差を認めなかった。
    5) C40, S40の腎臓はC20, S20より重く, C40の腎臓1g当りに換算したCa量は各群中もっとも低値であった。
    6) 40%タンパク質食群の血清PTH量が高値傾向を示すことからCa保持に関する機能の亢進が考えられた。
    以上の結果から, タンパク質の過剰摂取はCa代謝にとって危険因子となりうる可能性が推定された。
  • 五十嵐 千恵, 江澤 郁子, 尾形 悦郎
    1990 年 43 巻 6 号 p. 437-443
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究では, 卵巣を摘出し低カルシウム食で飼育した骨粗鬆症モデルラットの骨代謝における乳清カルシウムの利用効果を, リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムと比較検討した。その結果,
    1) 体重増加量, 飼料摂取量および飼料効率には, 各群間で差は認められなかった。
    2) 尿中カルシウム排泄量は, 炭酸カルシウム食群に比べ, リン酸カルシウム食群は高値を, また乳清カルシウム食群は有意な高値を示した。
    3) 脛骨の骨幹部におけるBMDは, 乳清カルシウム食群が炭酸カルシウム食群より高値傾向を示した。
    4) 大腿骨のMD法では, 乳清カルシウム食群における骨密度関連パラメータはすべて炭酸カルシウム食群より有意に高値を示し, またリン酸カルシウム食群を上回っていた。
    5) 大腿骨破断特性は炭酸カルシウム食群に比べ, リン酸カルシウム食群が高値傾向, 乳清カルシウム食群は有意に高値を示した。
    以上の結果から, 乳清カルシウムは骨増強作用を有する有効なカルシウム源であると考えられる。
  • 山下 かなへ, 川越 由紀, 野原 優子, 並木 満夫, 大澤 俊彦, 川岸 舜朗
    1990 年 43 巻 6 号 p. 445-449
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    すりゴマ20%添加食を老化促進モデルマウス (SAM) に投与してゴマの老化抑制効果を調べる実験を行い, 次のような結果が得られた。
    1) SAM-P/1系マウスを生後6週より合成試験飼料で飼育したところゴマ添加群, 非添加群ともにほとんどのマウスが40gを超す肥満傾向を示したが飼育18週 (生後24週) から24週 (生後30週) にかけ体重は減少しはじめこの時点より老化度評点は著しく上昇したが, ゴマ食のほうが体重増加は少なく, 老化度評点も低かった。
    2) ゴマ投与群はコントロール群と比べ出産回数が多く, 皮膚の潰瘍, 眼周囲炎の出現率も少なかった。
    3) 肝臓・腎臓の過酸化脂質はゴマ投与群とコントロール群でまったく差はなかったが, 肝臓・睾丸のリポフスチン量はゴマ投与群でコントロール群より低くなる傾向が認められた。
    4) ゴマ食はコントロール食と比べα-Toc, γ-Toc量とも少ないのにゴマ群の血漿中のα-Toc, γ-Tocはコントロール群より高くなる傾向がみられた。
  • 古川 徳, 松岡 昭善, 山中 良忠
    1990 年 43 巻 6 号 p. 450-453
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    BDF1雌マウスの右腋窩部皮下に移植したLewis肺がん細胞の増殖と臓器に及ぼすヨーグルトおよびケフィールの経口投与の影響を検討した。
    Lewis肺がん細胞を7.2×105/匹移植した1日後から9日間連続してケフィールの凍結乾燥物を2g/マウス体重kgずつ胃内に投与したマウスの移植部位の腫瘍重量は, 無処理の対照区のマウスに比べて有意に軽く, 62%の腫瘍増殖抑制率を示した。この腫瘍増殖抑制率は, 抗がん剤であるPSKを0.5g/マウス体重kgずつ投与した場合より高い値であった。また, 担がん状態に陥ることによって肥大化した脾臓はPSKの投与によって, 増加した白血球数はケフィールおよびPSKの投与によって, その肥大化と増加が抑制され, 対照区との間に有意の差が認められた。
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