日本栄養・食糧学会誌
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44 巻, 1 号
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  • 吉田 精作, 吉田 綾子, 池辺 克彦
    1991 年 44 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1~3歳の保育園児30名について, 陰膳方式によりNa, K, ClおよびMg摂取量を実測した。
    Na 1日摂取量は, 平均値で1歳児1.91g, 2歳児1.77g, 3歳児1.66gであった。
    K 1日摂取量は, 平均値で1歳児1.33g, 2歳児1.26g, 3歳児1.02gと満足のいく摂取量であった。Na/K比は, 平均値で1歳児2.50, 2歳児2.43, 3歳児2.82であり, 3.0を超えるものは7例のみであった。
    Cl 1日摂取量は, 平均値で1歳児3.50g, 2歳児3.07g, 3歳児3.06gであった。Cl量から換算した食塩摂取量は平均値で5.3gであり, Na量から換算した食塩摂取量の平均値4.5gより有意に高かった。
    Mg 1日摂取量は, 平均値で1歳児139mg, 2歳児118mg, 3歳児106mgであり, 個人差も少なく満足のいく摂取量と考えられた。Ca/Mg比は, 平均値で1歳児4.69, 2歳児4.33, 3歳児4.23であった。
  • 池田 明良, 笹村 泰造, 菊地 武夫, 佐藤 誠
    1991 年 44 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    完全静脈栄養法 (TPN) 施行時におけるエネルギー投与法の生体に及ぼす影響を知る目的で, 飢餓ラットにTPNを施行し, 肝機能を中心に検討した。
    段階的にグルコース濃度を上昇させて投与した場合には, TPN期間中を通して血漿グルコース, GOT, GPT値および尿中グルコース排泄量に変化は認められなかった。一方, TPN開始時から高濃度グルコースを投与した場合には, これらの指標は一過性に上昇し, 正常域に復した時点においても肝臓トリグリセライド, コレステロール含量および肝臓重量の増加や肝臓ミクロゾーム酵素含量の低下が認められた。またTPN施行群の肝臓リン脂質およびミクロゾーム酵素含量は自由摂餌群より低い値を示し, 肝臓トリグリセライドは高い値を示した。
  • 杉山 圭吉, 江川 真, 高田 康二, 恩塚 博, 大場 健吉
    1991 年 44 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    脱脂イワシ魚粉の酵素加水分解物 (FPH) について栄養価を検討して以下の結果を得た。
    1) アミノ酸組成からみると, FPHは脱脂イワシ魚粉に比べてトリブトファンの比率が若干低下するものの, 全体的に加水分解によるアミノ酸組成の変動は少なかった。アミノ酸スコアはFAO/WHO (1973) のパターンに対して, 100であり, もとの魚粉に遜色のない良質なタンパク素材であることが示された。
    2) 成長期ラットを用いた栄養試験の結果, FPHは増体重5.3g/日, タンパク効率 (PER) 3.2, 正味タンパク効率 (NPR) 5.2, 生物価 (BV) 86, 真の消化率 (TD) 99%, 正味タンパク利用率 (NPU) 85の値を示した。FPHのタンパク栄養価はアミノ酸混合物には若干及ばないが, 脱脂イワシ魚粉とほぼ同等, カゼインに比べるとやや上回るレベルであり, 非常に優れていることが確認された。
    3) さらに, 上記栄養試験に用いたラットについて血液成分12項目, 肝臓重量および肝脂質量を測定した結果, FPHは他の供試品とともにほぼ正常値の範囲と考えられ, これらに対する特異的な影響はないものと思われた。
  • 秋山 隆, 早川 享志, 中村 カホル, 滝田 聖親, 印南 敏
    1991 年 44 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    穀類ふすま (脱脂米糠, ライ麦ふすまおよびオート麦ふすま) を試料とし, Ex処理が各種ふすまの成分組成, 保水性, DF含量, 粒子形態などの性状および, ラットの消化管機能, 栄養素の消化吸収率その他の生理作用に及ぼす影響を明らかにすることを目的として実験を行った。結果は次のとおりである。
    1) DF素材の成分組成は, Ex処理後もほとんど変化はなく, またDF含量およびSDFとIDFの割合ともに変化はなかった。しかし保水性はEx処理による増加がみられた。
    2) SEM像からは, 脱脂米糠において, Ex処理後, 粒度が細かくなること, 脱脂米糠とオート麦ふすまにおいては, 粒子表面にやや破壊を受けることが観察された。
    3) 動物試験では, Ex処理ふすまの投与により, 小腸の長さと盲腸の重量が減少することを認めた。
    4) 糞の排泄量 (湿重量) はEx処理ふすまの投与による有意な低下が認められたが糞の保水性や消化管通過時間に対してはその影響がほとんどみられなかった。
    5) 見かけの消化吸収率は, タンパク質ではEx処理による上昇が, 脂質では低下がみられた。各種ミネラルの見かけの吸収率は, Ex処理ふすまの投与により, Ca, P, Mg, Feにおいて低値を示したが, Na, Znにおいては差はなかった。
    6) TDFの見かけの糞中排泄率はEx処理ふすま群において有意に低下し, とくに, O.B. 群ではIDF, SDFともに低下がみられた。
  • 加藤 康仁, 池田 なぎさ, 岩波 健文, 尾崎 明, 大村 和隆
    1991 年 44 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    大豆オリゴ糖に含まれる3糖4糖であるRaf, Staの消化性について検討した。
    1) in vitroの実験よりRaf, Staは, 唾液アミラーゼ, 胃液, 小腸粘膜酵素でほとんど水解されなかった。
    2) 通常ラットでは摂取されたRaf, Staは胃, 小腸を通過し盲腸で腸内細菌によりほぼ完全に分解されることが示唆された。
    3) 無菌マウスにSOR水溶液を投与し糞および尿を回収した。Raf, Staを分析したところ7~8日間に排泄された糞中から投与量の約80~90%が回収された。なお尿中には検出されなかった。また消化管内での経時的な移動についても調べたところ同様の結果が得られた。
    以上のことよりRaf, Staは, 難消化吸収性の糖で大腸に到達し腸内細菌に利用されることが示唆された。
  • 藤川 茂昭, 岡崎 昌子, 松元 信也
    1991 年 44 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    キシロオリゴ糖摂取により腸内ビフィズス菌が増加することが明らかにされている。本報では, キシロナリゴ糖摂取に伴う, 腸内腐敗産物の挙動について検討した。
    腸内腐敗産物 (p-クレゾール, インドール, スカトール) はキシロオリゴ糖を摂取することにより減少する傾向が認められた。腸内腐敗産物 (アンモニア, p-クレゾール, インドール) は腸内バクテロイデス菌の増加と有意に正の相関が認められた。他方ビフィズス菌の割合が増加するとこれら腸内腐敗産物は減少する傾向が認められた。
  • 岡崎 昌子, 好田 祐史, 泉 玲子, 藤川 茂昭, 松元 信也
    1991 年 44 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    The digestion of xylobiose was investigated in vitro. Xylobiose was not hydrolyzed by saliva, pancreatin, gastric juice or intestinal mucosa homogenate. The fate of xylobiose was studied after oral administration. The xylobiose ingested was not excreted into feces and urine during 24h after administration. These results suggest that xylobiose is utilized in vivo not by the action of digestive enzymes but by the action of the intestinal flora.
  • 梶本 五郎, 柴田 真理子, 嘉ノ海 有紀, 吉田 弘美, 芝原 章
    1991 年 44 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    油脂中のトコフェロール (Toc) の熱分解に対する没食子酸, 大豆レシチンおよびカテキンとアスコルビルステアレート (As. S) ならびにパルミテート (As. P) の併用効果について検討した。
    1) オリーブ油中のTocの熱分解に対し, As. SやAs. Pの0.1%添加では防止効果は認められないが, 0.3%以上でわずかに防止効果を示した。As. SとAs. Pでは, ほとんど同程度の防止効果であった。
    2) 没食子酸単一添加に比べ, 没食子酸とAs. Sとの併用のほうがTocの熱分解をより多く防止した。いわゆる没食子酸によるTocの熱分解防止にAs. Sが相乗効果を示した。
    3) 没食子酸添加油の加熱による油脂の着色は, 0.1% As. S添加でわずかながら防止した。しかし, As. S0.4%以上の添加では油脂の着色度は増加した。加熱後の油脂の酸化安定性は, 没食子酸ならびに没食子酸とAs. Sとの併用により著しく高められた。
    4) 大豆油, 硬化なたね油中のTocの熱分解防止, ならびに油脂の熱酸化防止, 加熱後の油脂の酸化安定性に対しても没食子酸単一添加よりも没食子酸とAs. Sの併用添加のほうが効果は大きい。
    5) 大豆レシチンやカテキンとAs. S併用による大豆油, オリーブ油およびなたね油中のTocの熱分解防止効果は, それぞれの単一添加よりも大きく, また, 油脂の熱酸化度も低い。
  • 渡辺 道子, 吉澤 貴史, 柳沢 哲也, 荒井 綜一
    1991 年 44 巻 1 号 p. 51-53
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    酵素処理, 1次水洗, 酸処理, 2次水洗という一連の工程でコシヒカリ新米から作製した米アレルギー患者用の低アレルゲン米の炊飯特性を検討し, 以下の結果を得た。
    1) 米に対する加水重量比は1.2が最適であった。
    2) 消費者パネルを用いて米飯を食味試験した結果, 低アレルゲン米では外観と粘りで高く評価され, 総合評価で標準価格米より優れていた。
  • 樫村 淳, 藤沢 倫彦, 中島 良和, 西尾 弘二, 光岡 知足
    1991 年 44 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ヒトの腸内常在菌菌110株によるパラチノース, トレハルロース, バラチノース縮重合物 (PC), 還元バラチノース (GPS, GPM) の資化性試験を行った。パラチノースはB. bifidumを除くBifidobacterium属の菌株に良好に利用されたが, 他のいくつかの菌属の菌株にも良好に利用された。トレハルロースの資化性バターンはバラチノースの資化性バターンと非常に似たパターンを示した。PCはBifidobacterium属の菌株に良好に利用されたが, 他の属の菌株でPCを良好に利用した菌株は1株もなく, Lactobacillus, Bacteroides, Clostridium属の一部の菌株が微陽性 (±) であった以外すべての菌株で陰性 (-) であった。還元バラチノースは他の糖アルコールと同様に比較的資化されにくい糖であった。本実験の結果はPCがBifidobacterium属の菌株にのみ利用されるオリゴ糖であること, また以前われわれが報告したPCを含んだキャンディをヒトに投与した場合における腸内フローラ中のビフィズス菌の選択的, かつ有意な増加はPCがBifidobacterium属の菌株にのみ利用されたためであることを示した。
  • 出嶋 靖志, 鈴木 継美
    1991 年 44 巻 1 号 p. 60-62
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Ten-week-old mice were given a normal diet (Na: 2.2mg/g) and distilled water (Group 1), a high-salt diet (Na: 8.0mg/g) and distilled water (Group 2), or a normal diet and distilled water and NaCl solution (Group 3) for 2 weeks. In Group 3, the concentration of NaCl solution was raised from 0.0025% to 0.6% stepwise every two days, and the taste threshold was tested for 2 weeks. At the end of the 2-weeks period, preference for 0.9% NaCl solution in all the groups was tested. Preference for 0.9% NaCl solution was defined by comparing the relative intake of 0.9% NaCl solution with total fluid intake (sum of distilled water and 0.9% NaCl solution). Preference in Group 2 (61%) and in Group 3 (75%) was significantly higher than in Group 1 (40%). The salt taste threshold in Group 3 was 0.05%. These results indicate that a history of intake of NaCl in food and fluid affects the preference for 0.9% NaCl solution.
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