日本栄養・食糧学会誌
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44 巻, 5 号
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  • 五十嵐 脩
    1991 年 44 巻 5 号 p. 335-343
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 大隈 和喜, 坂田 利家, 藤本 一眞, 深川 光司, 衛藤 宏, 黒川 衛, 待鳥 浩信
    1991 年 44 巻 5 号 p. 345-349
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    グラフ化体重日記等による食事確立療法に, 超低エネルギー液性食を併用し, 減量効果を検討した。対象は外来で食事確立療法施行中の中等度肥満患者13名 (すべて女性。BMI=30.1±1.3) で, 減量効果が緩徐化, ないしは停滞した者とした。超低エネルギー液性食 (オプティファースト-70®) 5包/日 (420kcal) を連続2日間毎週投与し, 4週間継続した。1日当り無カロリーの水分1, 500ml以上を摂取させた。グラフ化体重日記記載は期間中を通して継続させた。治療前後, および治療終了後, 1, 3カ月の体重を比較検討した。13名の対象中, 12名を投与終了3カ月後まで追跡した。併用療法が完了した4週目の減量幅は4.0±0.4kgであり, 有意な体重減少が得られた (p<0.01)。Body mass index (BMI) は30.4±1.4から28.7±1.5に改善した (p<0.01)。投与終了3カ月後の減量幅は4.8±1.0kg, BMIは28.6±1.5で, 減量値は維持されていた。投与終了12カ月後まで追跡できた7名でも, 減量幅は4.7±1.8 (p<0.05) であった。投与2日目に空腹感を訴えた以外は, 自, 他覚的に異常を認めなかった。食事確立療法を基盤に, 導入時期や治療効果の強度を考慮して投与すれば, 外来でも超低エネルギー液性食週2日反復投与で十分な減量効果が得られ, しかも減量維持も可能なことが判明した。
  • 横山 元裕, 福本 四郎, 島田 宜浩
    1991 年 44 巻 5 号 p. 351-356
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    In a similar way, it can be inferred that uncooked soy sauce used as a seasoning results in foods with a high NH3-N content. It appears that patients with high blood NH3-N levels in liver cirrhosis should eat foods with a low NH3-N content. Consequently, since non-heat-treated soy sauces contain a great deal of NH3-N, such patients should refrain from comsuming unprocessed soy sauce with their meals. We believe that education based on the above finding will have a significant therapeutic effect in preventing hepatic encephalopathy in association with hyperammonemia in patients with decompensated liver cirrhosis. The NH3-N content of a variety of foods was measured using the method described by Fujii and Okuda. A slightly high NH3-N content was detected in meat, chicken, and various canned foods. Extremely high concentrations of NH3-N were found in all soy sauces except the processed Dashiwari variety. Low NH3-N concentrations were found in fresh miso and milk. Since Dashiwari soy sauce was the only one with a low NH3-N content, it was concluded that NH3-N content decreased to 1/3 to 1/5 when foods were heated.
  • 吉田 宗弘
    1991 年 44 巻 5 号 p. 357-363
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    大阪府下の事業所に勤務する健康な男性104名を対象にして, 血中および尿中セレン濃度を測定するとともに, 簡易質問紙を用いて高セレン含量食品 (パン, タマゴ, 肉類, 魚介類) の摂取状況, 喫煙量, 飲酒量を推定し, 血中および尿中セレン濃度の変動要因について検討した。血漿, 赤血球および尿中セレン濃度の幾何平均値は, それぞれ110ng/ml, 261ng/ml, 27μg/g creatinineであった。
    赤血球セレン濃度は, 魚介類の摂取頻度との間に強い正の相関 (rs=0.479) を示した。また, 食品摂取頻度とともに, 年齢, 喫煙量, 飲酒量, Broca指数を説明変数に用いた重回帰分析において, 魚介類の摂取頻度のみが赤血球セレン濃度の変動要因として選択された。尿中セレン濃度は, 採尿前2食の高セレン含量食品の摂取と正の相関 (r=0.248) を示した。重回帰分析においても, 採尿前の高セレン食品の摂取のみが変動要因として選択された。
    高血漿セレン濃度は, 採血前の高セレン食品の大量摂取と有意な関連があった。また, 重回帰分析においては, これに加えて, 年齢と飲酒量が血漿セレン濃度の変動要因として選択された。さらに, 年齢と強い負の相関を有する血清アルブミン濃度が, 血漿セレン濃度と正の相関 (r=0.236) を示した。
    以上の結果は, 対象集団において, (1) 調べた要因の中では, 魚介類の摂取習慣が赤血球セレン濃度の最大変動要因である, (2) 尿中セレン濃度は採尿前のセレン摂取量を反映している, (3) 血漿セレン濃度は採血前のセレン摂取に加えて, 年齢と飲酒の影響を受けることを示している。
  • 三橋 重之, 村田 信子
    1991 年 44 巻 5 号 p. 365-372
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Bifidobacterium培養物の抗菌作用について, 検討するために, Bifidobacterium属267株の脱脂乳培養物の上澄液の, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Stophylococcus aureus, Bacteroides fragilis, Clostridium perfringensなどに対する生育抑制作用を検討した。
    上澄液のpH調整前 (4.0~4.5) においてほとんどの菌株は, E. coli, P. aeruginosa, B. fragilisに対して抑制作用を示した。pH 5.4に調整すると一部の菌株がB. fragilisに対してのみ抑制作用を示した。
    このpH 5.4で抑制作用を示した菌株の上澄液は, カタラーゼ処理によっても効力を失わなかったことから, 有効物質は有機酸もしくは過酸化水素以外の物質であると推測される。
  • 大熊 浩, 伊東 禧男, 遠藤 章
    1991 年 44 巻 5 号 p. 373-376
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    酸およびエタノールに耐性のあるエタノール資化性酵母Candida solicola WY-1がアルコールを投与されたラットの血中アルコールおよびアセトアルデヒド濃度に及ぼす影響について検討した。
    1) C. solicola菌体 (3g/kg体重) はアルコール投与5分前に投与したとき, コントロール群に比べてアルコールおよびアセトアルデヒドの最高血中濃度を最も有意に低下させた。
    2) C. solicola菌体は加熱処理されることによって, その低下効果を示さなくなった。
    3) 飼料 (3g/kg体重) の投与においても, 血中アルコールとアセトアルデヒド濃度は低下する傾向を示した。
    4) 発酵工業関連酵母と比較して, エタノールを含有する培地で培養されたC. salicola菌体は両物質の血中濃度を最も低下させた。
    以上の結果より, エタノールを含有する培地で培養され, 加熱処理を受けていないC. salicala菌体は血中アルコールおよびアセトアルデヒド濃度を低下させることが明らかとなった。また, 加熱処理を受けた本菌体を投与すると, 両物質の血中濃度が低下しなくなることから, 本酵母のエタノール資化性すなわちエタノール代謝関連酵素の作用がアルコールとアセトアルデヒドの血中濃度の低下に寄与していることが示唆された。
  • 中村 強, 林 直樹, 吉原 大二, 柳井 稔, 川西 悟生
    1991 年 44 巻 5 号 p. 377-383
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    従来, 消化吸収障害モデルとして使用されてきた膵管結紮ラットは, 比較的短期の飼育でも膵臓が萎縮することが知られている。そこで, 本実験では膵機能は正常であるが消化吸収能が障害されたラット (MWラット) を栄養実験に使用することとし, このラットのモデルとしての有用性について検討するとともに, 中鎖脂肪酸トリグリセリド (MCT) を摂取させた場合の栄養状態に及ぼす影響について, サフラワー油 (LCT) を対照として比較検討した。
    その結果, LCTを摂取させたMWラットの脂肪および窒素の吸収率は, 健常ラットに比較して有意に低下し, とくに脂肪の吸収障害は顕著であった。また, MWラットは体タンパクの異化も亢進し, また低栄養状態下にあることが認められ, 術後の消化吸収障害モデルとして有用であった。
    一方, MWラットにMCTを摂取させた場合, LCTに比較し吸収性が顕著に優れていた。さらに, MCTは体タンパクの異化亢進を緩和させ, 栄養状態を改善させることが認められた。
    以上の結果から, 胆汁・膵液が欠損した消化管術後の消化吸収障害下にあっても, MCTは吸収性のみならず栄養学的にも十分な有効性を示し, 脂肪源素材としてきわめて有用であると判断された。
  • 林 直樹, 中村 強, 吉原 大二, 柳井 稔, 川西 悟生
    1991 年 44 巻 5 号 p. 385-390
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Mann-Williamson吻合術を施し, 消化吸収を障害したラットに, エネルギー源としてデキストリンのみとした飼料あるいはこのデキストリンのエネルギーの一部をMCTで置換した飼料を等エネルギー摂取させた。そして各飼料が術後の体重増加をはじめとする栄養指標に及ぼす影響を比較検討した。その結果,
    1) デキストリンの一部をMCTで置換すると, デキストリン単独に比較して術後の体重増加を促進し, 窒素出納を良好にする効果が認められた。
    2) デキストリンの一部をMCTで置換すると, デキストリン単独に比較し筋タンパク合成を亢進することが示唆された。
    3) 血清生化学検査において, MCT配合による肝機能, タンパク成分に変化はなかった。また, MCT配合では中性脂肪濃度は低下しなかった。
    以上により消化管術後などの消化吸収の障害時においてもエネルギー源の一部として置換されたMCTはデキストリン単独配合に比較し術後の栄養状態の改善に有効であると思われた。
  • 萩原 清和, 岡 純, 小篠 栄, 市川 富夫
    1991 年 44 巻 5 号 p. 391-394
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    VE欠乏ラットのGSH低下による腎臓障害の発症機構解明のために, 過酸化脂質やリポフスチンおよび腎機能の変化を経日的に検討した。
    1) BSO投与1日目でGSHは急激に減少し, またTBA値は経日的に低下した。一方, リポフスチン量はこれとは逆にBSO投与2日目に急激な上昇が認められた。
    2) 血清BUN量とクレアチニン量はGSH低下に伴うリポフスチンの生成開始と同時に値が上昇したが, LDH活性はリポフスチンが大量生成したBSO投与2日目に細胞崩壊を表す高値を示した。
    3) VE欠乏時に生成した過酸化脂質がGSH低下によりリポフスチンを生成し, 近位尿細管上皮細胞懐死を惹起したと推測された。
    4) GSHは過酸化脂質からリポフスチンが産生するのを抑制することが示唆された。
  • 合田 敏尚, 高瀬 幸子, 細谷 憲政
    1991 年 44 巻 5 号 p. 395-398
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ラット小腸粘膜から微絨毛膜ならびにスクラーゼ・イソマルターゼ複合体とグルロアミラーゼを精製して, パラチノース縮合物 (二量体, 三量体, 四量体) の水解速度を検討した。
    1) パラチノース縮合物は, 縮合度に大きく影響されずに, いずれもパラチノースと同程度の速度で, 微絨毛膜のおもにスクラーゼ・イソマルターゼ複合体によって加水分解を受け, グルコースを遊離した。
    2) パラチノース二量体, 三量体, 四量体に対するスクラーゼ・イソマルターゼ複合体の酵素反応速度定数 (Km, Vmax) はいずれの場合もパラチノースと同様であった。
    3) パラチノース縮合物は, グルコアミラーゼによっても一部水解を受けたが, Km値はスクラーゼ・イソマルターゼ複合体に比べて10倍以上も高く, 高い基質濃度になってはじめてグルコアミラーゼの寄与が大きくなると推察された。
  • 松尾 眞砂子
    1991 年 44 巻 5 号 p. 399-402
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    テンペ菌で醗酵させた“おから” (OT) を食品素材として活用するため, OTの食品的機能を脂肪消化と胆汁酸代謝の面から検討した。まず, in vitroにおけるOTのリバーゼやオレイン酸に対する結合力とOTから調製したneutral detergent fiber (OT-NDF) のデオキシコール酸 (DCA) 結合力を調べ, 次いで, 腸内細菌によるOT-NDFの醗酵がコール酸 (CA) 代謝に及ぼす影響を調べ, 以下の結果を得た。
    1) OTはリバーゼやオレイン酸ならびにCAとの結合力が小麦麩より小さかった。これらの結果から, OTは脂肪の消化を妨げる作用が弱いことが示唆された。
    2) OT-NDFはDCA結合力がセルロースより強かった。したがって, OTの消化残渣は胆汁酸の排泄を促進する可能性が示された。
    3) OT-NDFはラットの腸内細菌によるCA代謝に影響を及ぼさなかった。
    以上の結果から, OTは生理的観点からも食品素材として適性を備えていると考えられた。
  • 木戸 詔子, 安福 英子, 東 順一, 岡村 圭造
    1991 年 44 巻 5 号 p. 403-409
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    水可溶性成分を除去した結球キャベツ葉を, 80℃の熱水で3時間加熱することにより, 可溶化する成分中に存在する糖タンパク質の性質について調べた結果, 次のことが明らかになった。
    1) 熱水抽出により, 水可溶性成分での1/4~1/5に相当する糖と1.2倍に相当するタンパク質が溶出した。この熱水抽出物での高分子成分の占める割合は, 多糖では抽出物中に含まれる全糖の12.3%に相当し, タンパク質では4.1%に相当し, 水可溶性成分の場合の6~8倍に相当する高分子成分が得られた。
    2) 熱水可溶性高分子成分の分子量分布をSepharoseCL-4Bによるゲル濾過で分析した結果, 糖とタンパク質は, 重なりは認められるがそれぞれ別々の一つのピークとして溶出し, 水可溶性成分のそれとはかなり異なっていた。電気泳動の結果, 数種の糖タンパク質の存在が確認されたので, さらに, イオン交換クロマトグラフィーによる精製を試みた。その結果, DEAE-Toyopearl 650Mのカラムを用い, 0.01Mホウ酸緩衝液 (pH 9.0) でNaClの濃度を0.1~0.3Mに段階的に上げることにより, 4種の糖タンパク質を分離することができた。
    3) イオン交換クロマトグラフィーで, 0.15M NaClで溶出した成分 (H-II3) は, ゲル濾過や電気泳動で, 水可溶性AGPのA-II成分と同じ挙動を示した。そのべブチド鎖は, ヒドロキシプロリンを8.2%含むほか, セリン (17.9%), グリシン (12.7%) およびアラニン (11.0%) を多く含み, 糖鎖はアラビノース/ガラクトース/ラムノース/グルコース/ウロン酸=6: 7: 1: 1: 1 (モル比) で構成されているところから, H-II3は水可溶性AGPのA-II成分とよく似たAGPと結論された。このAGPは, 水可溶性AGPのA-IIより2.5倍多く存在していた。
    4) 熱水可溶成分の主成分 (H-II4~II6) は, タンバク質を約2%しか含んでおらず, ウロン酸を約74%含むことから, ベクチン様の成分であることがわかった。
  • 山上 雅子, 高野 克己, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1991 年 44 巻 5 号 p. 411-415
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    パン酵母に通常の含有量の約200倍の量に当る6mg/g湿潤菌体のチアミンを集積させ, 菌体内におけるチアミンおよびチアミンピロリン酸エステルの存在部位を, プロトプラストを調製して, 細胞分画および蛍光顕微鏡観察によって検討した。得られた知見は以下のとおりである。
    1) チアミン集積酵母からプロトプラストを調製した際に, 半分以上のチアミンがプロトプラストに残留した。また, プロトプラスト標本をフェリシアン化カリウムで処理して蛍光顕微鏡によって観察すると, 明らかな蛍光がみられる。これらのことから, 集積されたチアミンの少なくとも半分以上が原形質膜内に存在すると考えられる。
    2) プロトプラストをホモジナイズし, 分画したところ, 遊離のチアミンも, チアミンピロリン酸エステルも, 大部分が細胞質ゾルの分画に検出された。しかし少量は顆粒の分画にも見いだされた。この結果は, 蛍光顕微鏡による観察結果とも一致する。
  • 鈴木 豊, 海津 浩美, 山内 吉彦, 中里 溥志
    1991 年 44 巻 5 号 p. 417-419
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    4週齢のICR系雌マウスに, Sarcoma 180を接種した後, 生理食塩水, ヨーグルト菌液およびビフィズス菌液を0.5mlずつ21日間連日経口投与し, 腫瘍重量, 脾臓重量および腹腔マクロファージの遊走能を測定した。
    ビフィズス菌群では, 生理食塩水群に比べ, 腫瘍重量および脾臓重量がおのおの統計的に有意に (p<0.05, p<0.01) 軽かった。また, 腫瘍重量と脾臓重量との間には, 弱い相関関係 (r=0.48, p<0.01) があった。マクロファージ遊走能は, 無処理群に比べ生理食塩水群で統計的に有意に低く (p<0.05), ビフィズス菌群とヨーグルト菌群では, 生理食塩水群より統計的に有意に (p<0.05) 高かった。
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