日本栄養・食糧学会誌
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44 巻, 6 号
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  • 城田 知子, 安武 律, 北野 隆雄, 二塚 信, 西野 幸典, 糸川 嘉則
    1991 年 44 巻 6 号 p. 429-435
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    糖質摂取量が比較的多い農業従事者のビタミンB1摂取量を把握するとともに, B1強化米を長期間 (6カ月間) 投与し, 血中B1値, トランスケトラーゼ活性などの測定によりその改善効果を検討した。
    1) 調理損耗を見込んだB1摂取量は, 男0.67±0.20mg, 女0.60±0.21mgで, 摂取率 (摂取量/所要量×100) は, 72.2±25.7%, 89.5±30.8%であった。
    2) 血中B1値は, 投与前23.3±5.8ng/mlが, 投与後は42.5±7.9ng/mlと改善された。
    3) 血中B1値の投与前後の変化率は, 192±70%で, 変化率を高, 中, 低の3区分ごとに食事摂取内容をみると高率群において体重当り米摂取量, 穀類エネルギー比, 糖質エネルギー比が有意に高く, タンパク質エネルギー比は有意に低値であった。
    4) 血中B1値とタンパク質摂取量, Ca摂取量に正相関, また男においてアルコール摂取量と負相関, 女では糖質エネルギー比に負相関が認められた。
    5) 血中B1変化率別にみた食事内容から, とくに米摂取量が多く, タンパク質エネルギー比の低いグループにB1強化米投与の有効性を確認した。
  • 石永 正隆, 松田 久美子, 田茂井 盛子, 向井 加織, 鬼頭 誠
    1991 年 44 巻 6 号 p. 437-440
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    女子大生28名を対象に, 1人当り3日間延べ84日食の脂肪酸組成, コレステロールおよび不ケン化物を調べ, それぞれの1日摂取量の実測値を求めた。脂肪酸, コレステロールおよび不ケン化物の1日摂取量はそれぞれ約30.0g, 2.3gおよび0.26gであった。これをEPA, DHA欠食群 (33日食) とEPAあるいはDHA摂取群 (51日食) に分けると, 脂肪酸摂取量には差がなかったが, 不ケン化物は1.8gと2.7gで後者が有意に高く, また, コレステロール量は約0.22gと0.30gと後者が有意に高かった。一方, n-6系多価不飽和脂肪酸量は6.6gで各群間に差はなかった。しかし, n-3系多価不飽和脂肪酸量はEPA, DHA欠食群で0.8g, 摂取群で1.3gであった。この場合, α-リノレン酸の含量は両者に差はなかった。n-6系多価不飽和脂肪酸とn-3系多価不飽和脂肪酸の比は全体で5.9, EPA, DHA欠食群で8.4, 摂取群で5.0であった。
  • 林 直樹, 吉原 大二, 柳井 稔, 川西 悟生
    1991 年 44 巻 6 号 p. 441-446
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ラット空腸の20cm分節 (小腸の約30%) で作製したThiry-Vella loopを十分に洗浄した後, このloop内に, [14C] glucose (GLU) を含む液状栄養剤を投与して吸収状態を確認した。つぎに [1-14C] trioctanoin (MCT) あるいは [1-14C] triolein (LCT) を含む液状栄養剤を投与し, それぞれ標識脂肪の3時間累積吸収率と呼気中14CO2の3時間累積回収率を測定してエネルギー基質としてのMCTの有効性をLCTと比較検討した。その結果,
    1) GLU栄養剤を投与した場合, 累積吸収率は98.3±0.5%と高率であった。このことから, ラットThiry-Vella loop内の吸収機能は良好であると判断した。
    2) MCT栄養剤を投与した場合, 累積吸収率は70.1±14.4%であり, LCT栄養剤の19.7±6.3%に比較し有意に高値であった。このことから, MCTはLCTに比べて膵液および胆汁の分泌がなくても良好に吸収されることが示された。
    3) MCT栄養剤の呼気中14CO2累積回収率は18.8±6.1%であり, 吸収されたMCTはエネルギー源として利用されることが認められた。一方, LCT栄養剤では1.7±1.1%であり, MCT栄養剤に比較して著明に低値となり, LCTはほとんどエネルギー源として利用されなかった。
    以上, 膵液, 胆汁が欠損した状態でも栄養剤中のMCTはLCTと比較して効率よく吸収され, 吸収後もエネルギー基質として有用であると判断された。
  • 池上 幸江, 土橋 文江, 中村 カホル, 印南 敏
    1991 年 44 巻 6 号 p. 447-454
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    血糖値の変化に対する大麦の影響を明らかにするために正常動物と実験的糖尿病発症動物を用いて検討した。実験にはSprague Dawley系雄ラットを用い, 糖尿病動物はストレプトゾトシン (40mg/kg体重) を腹腔内投与して作成した。
    実験Iでは4週齢ラットに大麦食, 玄米食, 小麦ふすま食, α-コーンスターチ食を64日間摂取させた。その後すべてのラットを糖尿病とした。糖尿病を発症させた後のラットの体重は大麦食と玄米食のみ増加が見られたが大麦食では飼料摂取量はもっとも低かった。正常期ラットの飼料摂取後およびグルコース負荷後の血糖値は大麦食摂取ラットで低く, 糖尿病発症後でもグルコース負荷後の血糖値は大麦食での抑制が顕著であった。大麦食-糖尿病ラットでは腹腔内へのグルコース負荷でも血糖値の上昇が抑制されており, 体内における糖代謝の改善が認められた。さらに塘尿病発症後の空腹時血糖値は, 25日目には大麦食ではほぼ塘尿病発症前のレベルに回復し, 47日後の血清インスリンはα-コーンスターチ群より有意に高くなっていた。
    実験IIでは大麦とα-コーンスターチ食を摂取させて, 正常ラットと糖尿病ラットの間で比較した。糖尿病発症後33日目では大麦食ラットは, グルコース負荷後の血糖値の変化はα-コーンスターチ食-正常ラットよりむしろ低くなっていた。
    以上の結果より, 大麦は糖尿病患者の治療食として用いた場合に糖代謝の改善が期待されることが示唆された。
  • 小田 泰士, 青江 誠一郎, 真田 宏夫, 綾野 雄幸
    1991 年 44 巻 6 号 p. 455-460
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    オーツならびに大麦から調製したガム質を, 遺伝性肥満Zuckerラットならびに同系で肥満を生じない正常ラットに摂取させて, 脂質代謝に及ぼす影響について, 標準飼料摂取群を対照として検討した。
    オーツガム質ならびに大麦ガム質標品の成分分析の結果, それらはおもに非デンプン性グルカンで構成されていた。
    動物実験の結果, 標準飼料を摂取させた遺伝性肥満ラットは, 正常ラットに比べて, 高脂血症ならびに肝臓の肥大および脂質蓄積, 体脂肪の蓄積が観察された。オーツガム質ならびに大麦ガム質を摂取させた肥満ラットは, 標準群に比べて, 肝臓中の脂質蓄積, ならびに, 血漿コレステコール濃度の上昇をそれぞれ抑制したが, 血漿トリグリセリド濃度はむしろ高い値を示した。各ガム質が, 正常ラットの血漿ならびに肝臓脂質濃度に及ぼす影響は肥満ラットよりも小さかった。
    以上の結果, オーツガム質ならびに大麦ガム質は, 遺伝性肥満Zuckerラットの脂肪肝の発生ならびに血漿コレステロール濃度の上昇を抑制するなどの, 肥満に伴う症状を緩和することが認められた。
  • 佐々木 康人, 玉井 洋介, 林 洋一, 窪田 正二郎, 藤尾 高志, 小笠原 武雄, 江頭 祐嘉合, 真田 宏夫, 綾野 雄幸
    1991 年 44 巻 6 号 p. 461-470
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    小麦フスマ (WB) を, 水とエタノールで数回, 撹拌洗浄して得た精製小麦フスマ (PWB), WBからアルカリ抽出して得た水不溶性ヘミセルロース画分 (HC-A), 水溶性ヘミセルロース画分 (HC-B) の各標品を, 高コレステロール飼料 (コレステロール1%, コール酸ナトリウム0.25%を含む) に添加してラットに投与し, 血清ならびに肝臓コレステロールレベルに及ぼす影響について調べた。添加量は, WBおよびPWBを食物繊維として5%, HC-AおよびHC-Bを2%とした。さらに, PWBが血清コレステロール上昇抑制能を有することから, その作用機序解明の一助として, ラットの消化管通過速度に及ぼす影響と, その消化管中での形態変化について, 走査型電子顕微鏡観察と, 構成糖分析により, WBと比較検討を行った。
    1) WBに比較して, PWB, HC-A, HC-Bは血清コレステロール上昇抑制能を示した。HC-AとHC-Bの比較では, HC-Bがより強い血清コレステロール上昇抑制能を示した。
    2) WBとPWBの, 消化管通過時間には顕著な差がみられなかった。
    3) PWBは, WBに比較して細胞壁からのHC-Bのような非セルロース多糖類 (ヘミセルロース) の溶出が著しかった。
    これらの結果から, 血清コレステロール上昇抑制能は水溶性のヘミセルロース画分が強く, PWBの血清コレステロール上昇抑制能発現機序も, 消化管通過時間の短縮化によるものではなく, HC-Bのような非セルロース多糖類 (ヘミセルロース) の作用によることが推定された。
  • 若林 茂, 里内 美津子, 野上 義喜, 大隈 一裕, 松岡 瑛
    1991 年 44 巻 6 号 p. 471-478
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    馬鈴薯デンプンを加熱分解して調製した難消化性デキストリン (PF: 食物繊維含有量58.2%, およびPF-C: 91.6%) の脂質代謝に及ぼす影響をラットを用いて検討し, 以下の成績を得た。(1) コレステロール無添加飼料で5週間飼育したラットの血清コレステロール (119±7.6mg/dl) およびトリグリセライド値 (218±39.0mg/dl) は, PF-C 10%摂取により, それぞれ有意な低下 (94.2±6.0および145土20.0mg/dl) を示した。(2) 市販固形飼料を給餌したラットに飲料水としてPF (20%水溶液) およびPF-C (5~20%水溶液) を5週間与えたとき, 血清および肝臓コレステロール値は有意に低下し, その程度は摂取したPFおよびPF-C水溶液の食物繊維含有量に依存していた。(3) そのときの糞便中への総胆汁酸排泄量は, PFおよびPF-C摂取群で有意な増加を示し, 同様に, (4) 盲腸内容物中の総短鎖脂肪酸量, とくにプロピオン酸量は有意に高値であった。また, (5) 体重, 血清総タンパク質, カルシウム, GOTおよびGPT活性は, PFおよびPF-C摂取によってなんら影響を受けなかった。さらに, (6) 飲料水交換法により, PF-C摂取の有無によって血清および肝臓コレステロール値は容易に変化することが確認された。
  • 岡野 登志夫, 津川 尚子, 東野 雷太, 小林 正, 五十嵐 千恵, 江澤 郁子
    1991 年 44 巻 6 号 p. 479-485
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ビタミンD欠乏ラット (D欠乏ラット) を用いて牛骨粉 (bovine bone powder: BBP) のCa栄養効果を炭酸Caを対照に比較検討した。D欠乏ラットに炭酸CaあるいはBBPをCa量として1.2%含む飼料を与え, D補給および非補給条件下, 28日間飼育した。その間および飼育終了直後の血中Ca代謝ならびに大腿骨骨長, 重量, 骨密度および骨強度を測定し以下の結果を得た。
    1) D補給の有無に拘らず, BBP添加群は炭酸Ca添加群に比べ順調な体重増加を示した。一方, 炭酸Ca添加群では体重増加はきわめて悪く, Dを補給してもまったく改善は見られなかった。炭酸Ca添加群において血中リン濃度の急激な低下が見られたことにより, この群で見られた体重抑制は腸管よりのリン吸収阻害が原因となって惹起されたものと推察された。
    2) D補給の条件では, 炭酸CaおよびBBP添加群ともに高いCa栄養効果を示し, 両群間に有意な差は見られなかった。しかし, Dの補給がない場合ではBBPのほうが炭酸Caに比べ高いCa栄養効果を示した。
    3) D補給の有無にかかわらず, BBP添加群は炭酸Ca添加群に比べ有意な骨成長, 骨密度および骨強度の増大を示した。これらの結果より, BBPは腸管よりのリンの吸収に影響を及ぼすことなく, 高いCa栄養効果を示す食事性Ca源となるものと考えられる。
  • 亀田 健治, 高久 武司, 村上 恵子, 松浦 幸永, 奥田 拓道, 立石 憲彦, 前田 信治
    1991 年 44 巻 6 号 p. 487-492
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ノルエピネフリンによる血管平滑筋収縮に対する各種食品の作用を調べた。血管平滑筋収縮を増強する食品として, トマト, ほうれん草があった。とくに, ほうれん草は, 単独でも血管平滑筋収縮作用を示した。豚肉, 牛肉, 芝えび, 鮭, かき, ほたて貝柱, はまぐりなど魚・肉類や貝類は, ノルエピネフリンによる血管平滑筋収縮を抑制した。ただし, わずかであるが, 鶏肉は, 血管平滑筋収縮促進作用を示した。
    また, 芝えび, 鮭, 平日中に含まれる血管平滑筋収縮抑制物質の一つは, AMPであったが, 腸管から吸収された後に作用するのは, 脱リン酸されたアデノシンであると考えられる。さらに, アデノシンがin vivoにおいてラット腸管膜細動脈のノルエピネフリンによる収縮を抑制することがわかった。
  • 梶本 五郎, 嘉ノ海 有紀, 吉田 弘美, 芝原 章
    1991 年 44 巻 6 号 p. 493-498
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    油脂中のトコフェロール (Toc) の熱分解, 油脂の熱酸化および着色に及ぼすオリザノール, BHT, セサモールもしくはチオジプロピオン酸とアスコルビルステアレート (As. S) との併用効果について検討した。
    1) オリーブ油, 大豆油, 大豆硬化油中のTocの熱分解に対してオリザノールおよびAs. Sは単独添加では, 加熱初期では防止効果を示すが, 10時間後では防止効果は認められなくなった。しかし, 10時間後でも両者併用の場合は, オリーブ油と大豆硬化油で高い防止効果を示し, かつ, As. Sの添加量が多いほどその効果は大きい。
    2) Tocの熱分解防止にBHTはほとんど効果を示さないが, As. Sとの併用で効果が得られ, ことにオリーブ油で防止効果は顕著であった。
    3) 加熱初期ではセサモールは単独添加でもオリーブ油中のTocの熱分解を防止したが, その後は防止効果は急減し, 10時間後ではTocは完全に分解した。セサモールとAs. Sとの併用では, 10時間後でもTocは残存し, ことにAs. Sの添加量が多いほどTocの残存率は高い。大豆油においても両者の併用はTocの熱分解をいくらか防止した。
    4) 加熱による油脂の着色は, オリザノール, BHT添加ではあまりみられないが, セサモール添加オリーブ油で濃い赤色がみられた。大豆油は濃赤色を呈さなかった。セサモール添加によるオリーブ油の着色は, As. Sの添加でかなり抑えられ, As. Sの添加量が多いほど赤色が強く減色された。
    5) チオジプロピオン酸はAs. Sとの併用で, それぞれの単独添加に比べTocの熱分解をより多く防止した。また, 加熱油の着色も少なく, かつ, As. Sの添加でさらに着色は抑えられ, アニシジン価やカルボニル価も低い。したがって, 油脂の熱酸化, 着色およびTocの熱分解防止面で, チオジプロピオン酸とAs. Sとの併用は, 先に報告した没食子酸, 大豆レシチン, カテキンや今回使用したBHT, オリザノールもしくはセサモールとAs. Sとの併用よりもすぐれていた。
  • 梶本 五郎, 嘉ノ海 有紀, 小薗 伸介, 田村 幸一, 田口 信夫
    1991 年 44 巻 6 号 p. 499-505
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    各種の油脂の組合せと配合割合をかえた配合油の熱酸化安定性およびトコフェロール (Toc) の熱分解度合について検討した。
    1) 大豆油やなたね油にはパーム油を, 綿実油にはオリーブ油を, サフラワー油には高オレイン酸サフラワー油を配合することにより, 大豆油, なたね油, 綿実油, サフラワー油の各単独油脂に比べ自動酸化安定性および熱酸化安定性は向上した。しかし, 加熱時ではむしろ配合油のほうがTocは速やかに消失した。
    2) 大豆硬化油とパーム油の組合せは, 自動酸化および熱酸化に対して非常に安定であるが, 加熱により配合油中のTocは急減した。
    3) 大豆油とごま油の組合せは, ごま油の配合割合が増すにしたがい油脂の酸化安定性は向上し, Tocの熱分解も少なくなった。
    4) 油脂の熱酸化防止の面で望ましい配合割合は, なたね油とパーム油, 大豆油とパーム油, 綿実油とオリーブ油, サフラワー油と高ナレイン酸サフラワー油, とうもろこし油と大豆硬化油, 大豆油とごま油の組合せで, いずれも2: 8 (w/w) であり, 大豆硬化油とパーム油の組合せでは2: 8および4: 6, 大豆油と綿実油の組合せでは6: 4, 大豆油, なたね油, パーム油の3種の組合せでは3: 3: 4の割合であった。
    5) 油脂の熱酸化安定性が高く, かつ, Tocの熱分解の少ない配合油の調製としては, 大豆油やなたね油にごま油を配合する。ごま油を用いない場合は, 大豆油やなたね油にパーム油を配合するか, あるいは, 大豆油, なたね油, パーム油の3種を組合せ, その配合割合は3: 3: 4のものが望ましい。
  • 村松 成司, 山田 哲雄, 高橋 徹三
    1991 年 44 巻 6 号 p. 507-511
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    健康な男子4名を被験者とし, それぞれ5日間からなる安静対照期, 最大酸素摂取量の60%および80%の強度の各運動期を設け, 尿中窒素排泄量, 経皮窒素損失量の相互関係および窒素出納値に及ぽす運動強度の影響について24時間単位で検討した。尿中窒素排泄量は対照期と比べて60%運動期では減少の傾向を, 80%運動期では増加の傾向を示した。経皮窒素損失量は対照期と比べていずれの運動期ともに有意に増加した。両運動期の間には差がみられなかった。尿中窒素排泄量と経皮窒素損失量の和は80%運動期>60%運動期>対照期の順に高く, 対照期と60%運動期の間に有意な差が得られた。窒素出納値はいずれの期においても負であったが, 80%運動期は対照期, 60%運動期に比べ, より負の方向にあった。
  • 岡崎 光子, 田所 忠弘, 西垣 克
    1991 年 44 巻 6 号 p. 512-516
    発行日: 1991/12/19
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    幼児のカルシウム, リン, マグネシウム摂取の実態を把握することを目的に, 対象児 (3歳児の男女児各2人ずつ) が喫食した飲食物中のカルシウム, リン, マグネシウム量を実測した。試料は2, 4, 6月の各月末の連続した2日間, 延べ6日間に喫食された全飲食物を買い上げ, 発光分光分析法 (ICPS) により各無機元素を分析した。結果は以下のようである。
    1) 1人1日平均カルシウム摂取量は505 (244) mgであり所要量を上回っていた。P/Ca比も1~2の範囲内にあり, 好ましい状態であった。
    2) カルシウム摂取量は, 間食で1日の約50%を摂取しており, その主な供給源は乳・乳製品であった。
    3) マグネシウム摂取量は1人1日平均170 (73) mgであったが, Ca/Mg比は1日平均3.0 (1.1) と高値を示した。
    4) 間食におけるCa/Mg比は, 1日平均5.0 (3.0) と高く, これは乳・乳製品に由来するところが大きい。
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