日本栄養・食糧学会誌
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47 巻, 4 号
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  • 前田 安彦
    1994 年 47 巻 4 号 p. 257-266
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Most of the chemical problems associated with the production of pickles from vegetables have been elucidated, and the technology of pickle production to suit the tastes of modern consumers has been systematized on the basis of chemistry. The most important consideration is the low content of salt and the texture of vegetables and preservation of fragrance during the pickling process. Thus, efforts have been made to popularize the production of pickles using refrigerators or chillers. As for pickled radish, formation of the yel1ow intermediate compound β-carbolyn due to complex bonding of decomposition products of the hot component of radish, “4-methylthio-3-butenyl isothiocyanate” during pickling, and formation of the low-molecular-weight sulfur fragrance are suppressed. Seasoned pickles preserved in 20% sodium chloride during the optimum season for vegetables, and then desalted in a refrigerator, are low-salt pickles, and we have succeeded in developing “fresh pickled vegetables preserved in salt” with abundant vegetable taste to avoid desalting.
  • 増山 律子, 上原 万里子, 鈴木 和春, 五島 孜郎
    1994 年 47 巻 4 号 p. 267-271
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    トリポリP酸カリウム (K5P3O10) を用いてPレベルを0.5% (正常P食) と, 1.5% (高P食) の2段階に調整した飼料をWistar系雄ラットに投与し, さらに精巣を摘出除去 (摘除) し, 高P食投与およびテストステロンの存在が生体内Ca, Mg, P代謝にどのような影響を及ぼすかについて検討を試みた。
    Caの尿中排泄量に精巣摘除の影響は認められず, 高P食投与により尿中Ca排泄量は有意に減少した。また, Pの尿中排泄量は高P食投与により有意に上昇し, 精巣を摘除することにより有意に減少した。腎中Ca, Mg, P量は高P食投与および精巣を摘除することにより有意に増加した。血清中Ca濃度に対する精巣摘除の影響は観察されなかったが, Mg, P濃度については精巣を摘除することにより有意に低下した。大腿骨乾燥重量1g当りのCa, P量は高P食投与および精巣を摘除することによる影響は観察されなかった。
    血清中副甲状腺ホルモン (PTH), カルシトニン (CT) 濃度は高P食投与することにより有意に上昇した。また, 精巣を摘除することによりPTH濃度は有意に上昇し, CT濃度は逆に有意に低下した。さらに尿中cAMP量は高P食投与により有意に低下した。
  • 辻原 命子, 谷 由美子
    1994 年 47 巻 4 号 p. 273-277
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ブタプラズマ利用の拡大の目的でブタプラズマペプチドの脂質代謝系への影響およびその機能発現機構を検討した。
    Wistar系雄ラットを飼料窒素源にミルクカゼインを用いたカゼイン食群, カゼインの約半分をブタプラズマペプチドに置換したペプチド置換食群 (ペプチド食群), ペプチドの代りに同組成のアミノ酸混合を用いたペプチドタイプアミノ酸混合食群 (アミノ酸食群) の3群に分け, 2週間飼育した後, 血清および肝臓脂質を測定した。尿中窒素排泄量および糞中コレステロール排泄量は飼育終了3日前にラットを1匹ずつ代謝ケージに移し, 48時間の尿と糞を採取し測定した。
    (尿中N排泄量/摂取N量) ×100はカゼイン食群に比べペプチド食群, アミノ酸食群で増加した。血清T-cholはカゼイン食群に比べてペプチド食群は低下傾向を示し, アミノ酸食群は有意に低値を示した。糞中コレステロール排泄量はペプチド食群, アミノ酸食群ともカゼイン食群よりも高値であった。ペプチド食群のTBA価は血清, 肝臓とも低値を示し, アミノ酸食群は, 血清TBA価は低下し, 肝TBA価は増加した。
    以上, コレステロール代謝については, ブタプラズマペプチドのアミノ酸組成がその機能性に関与していることが推察されるが, TBA価についてはペプチドの形態が関係していると思われる。
  • 西明 眞理, 片山 吉穂, 柴田 三知子, 田代 操
    1994 年 47 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    4週齢CD系雄ラットを用い, 5%グルテンにマダラ肝油 (CLO) あるいはスケトウダラ肝油 (PLO) を10%レベルで添加した飼料を7週間投与した際の臓器重量, 血液性状, 肝脂質成分および肝の組織化学的所見について検討した。対照群にはコーン油を10%レベルで添加した。
    1) 飼料総摂取量は, CLO群が対照群に比べ有意に低値を示したが, PLO群では対照群と変わりなかった。体重増加量は, いずれの群も実験開始8日目ごろまでは低下し, 以後7週目まで大きな増減はみられなかったが, CLO群で対照群およびPLO群に比べて飼育2週ごろに体重の有意な低下がみられた。
    2) 血液成分では, 両魚油群においてA/G比, 総脂質および総コレステロール量の低下, TBARS値の上昇がみられた。PLO群では, さらにTGおよびNEFAが, 対照群と比べ有意に低値を示した。なお, 血清Feは, 両魚油群において低下傾向がみられ, CLO群で対照群に比べ有意に低値を示した。
    3) 肝臓中の脂質成分は, PLO群の総脂質とTGが高い傾向にあった。肝TBARS値は, 両魚油群で有意な上昇が認められた。
    4) 肝臓の組織化学的所見では, PLO群においてCLO群に比べ, 著しい脂肪肝の所見が認められた。
  • 高木 茂明, 広尾 禎久, 大田 守也, 木村 吉伸
    1994 年 47 巻 4 号 p. 287-293
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ラットにおけるβ-カロテンの吸収と代謝に関する知見を得るために, 反転小腸を用いたin situ系により調べた。この活性測定系においてNADHとニコチンアミドの併用はβ-カロテンの吸収を増加させた。反応系の最適pHは7.7であった。β-カロテン可溶化剤としてのコール酸ナトリウムは10mMまではβ-カロテンの吸収・代謝活性を上昇させた。生成レチノールの大部分はエステルとして小腸から反応液へ輸送されているので, けん化処理が必要であった。新しい活性尺度として“全β-カロテン吸収量”および“全レチノール生成量”を導入すると, β-カロテンの吸収速度 (38~69nmol/g intestine・h) およびレチノール生成速度 (14~36nmol/g intestine・h) は反応液中の基質β-カロテン濃度に大きく依存していた。β-カロテンの吸収率は基質濃度が高くなると減少し, 基質β-カロテン15, 30, 70μMのときそれぞれ10.8, 5.7, 4.3%であった。また吸収されたβ-カロテンのレチノールへの変換生成率は15~75%であり, 吸収β-カロテン濃度に強く依存していた。これらの結果はラット小腸においてβ-カロテンの多くが速やかに開裂したあとレチナールを経てビタミンAに変換することを推測させ, β-カロテン中央開裂の可能性の高いことを示唆している。
  • 横井 克彦, 木村 美恵子, 糸川 嘉則
    1994 年 47 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ルビジウムの摂取不足が生体に与える影響を検討するため, ルビジウム無添加飼料とルビジウム添加飼料にてラットを飼育し, 組織中ミネラル濃度ならびに血漿生化学パラメータを測定した。なお, 添加したルビジウムの濃度は市販固形飼料に通常含まれる濃度に合わせた。ルビジウム添加飼料を摂取したラットと比較してルビジウム無添加飼料を摂取したラットには以下に示す差が認められた。
    1) 組織中ルビジウム濃度は, いずれの組織においても低値をとった。
    2) ミネラル栄養状態としては, 組織中カリウム濃度が, 血漿, 腎臓, 脛骨中で高値, 精巣で低値, リン濃度が, 心臓および脾臓において低値, カルシウム濃度が, 脾臓で低値, マグネシウム濃度が, 脛骨において高値をとった。
    3) 血漿中尿素窒素濃度の上昇を認めた。
  • 小川 博, 田坂 正綱, 目黒 忠道, 笹川 祐成
    1994 年 47 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食品によるアテローム性動脈硬化性疾患予防を志向し, 杜仲葉粉末投与が, 高脂質食を投与し高コレステロール血症を誘導したSHRSPの脂質代謝に及ぼす影響をリポタンパク代謝を中心として検討した。
    杜仲葉粉末投与は血清中の総コレステロール上昇を顕著に抑制した。これはコレステロールに富むアテローム動脈硬化性のβ-VLDL上昇抑制に基づくものであった。また同時に, 動脈硬化指数 (apoB/apoA-I) も有意に低下しており, 杜仲葉粉末投与は高コレステロール血症改善を有することが明らかとなった。さらに血清トリグリセライドの上昇抑制作用も観察されたが有意ではなかった。
    肝臓においては, 肝臓コレステロール含量上昇が有意に抑制されたが, トリグリセライドおよびリン脂質含量には差が認められなかった。また測定した肝臓脂質代謝関連酵素活性においても有意な変動は観察されなかった。
  • 大塚 正道
    1994 年 47 巻 4 号 p. 307-309
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    種々の生理作用をもつシイタケを主成分とした健康志向食品を提供する目的で研究を開始した。
    シイタケの中毒疹を防止するため湿熱処理 (121℃, 15分) を施した干しシイタケとフラクトオリゴ糖7: 3からなる混合物 (SK-204) について, 排便効果を検討した。
    飼料にSK-204を10%混合して, ラットに7日間摂食させたところ, 糞便中の水分率は63% (摂食前) から70%に増加した。なお, 糞便は供試ラットの半数が軟便となったが, 下痢便を呈した固体はみられなかった。
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