日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
50 巻, 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 岸田 太郎, 佐伯 茂, 桐山 修八
    1997 年 50 巻 4 号 p. 251-260
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究により以下のことが明らかになった。
    1) DWB, DOFおよびPSFは二価鉄の利用性を促進した。PSFはその発泡度が高いほど大きく二価鉄の利用性を促進した。
    2) DWB, DOFおよびPSFは三価鉄の利用性には大きな影響を与えなかった。
    3) DOFおよびPSFの二価鉄利用性促進はFe吸収の促進によるものと推測された。
  • 広井 祐三, 岡 達三, 谷口 己佐子
    1997 年 50 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    離乳直後のウイスター系雄性ラットを固型飼料, 10%カゼイン飼料, 10% SPI飼料, さらにメチオニンまたはシスチンを含む10% SPI飼料で3週間飼育して, 低分離大豆タンパク質飼料による肝臓γGT活性の上昇のメカニズムについて次の結果を得た。
    1) SPI飼料群のγGT活性はカゼイン飼料群と比較すると, 3週間でカゼイン飼料群の約5倍に上昇した。この活性上昇はメチオニンのSPI飼料への添加でカゼイン飼料群と同じレベルまで抑制されるが, シスチン添加は抑制の効果がなかった。このことは, 飼料中のメチオニン含量の低さが活性の上昇の抑制に関与していることを示唆している。
    2) ノーザンプロットおよびドットプロットの結果より, SPI飼料によるγGT活性の上昇はγGT mRNA量の増加を伴うことが示唆された。
  • 大呑 尚子, 片山 徹之
    1997 年 50 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ショ糖あるいはオロト酸摂取ラットの肝臓脂質蓄積に対する食餌ミオイノシトールおよびフィチン酸の影響について検討した。ショ糖摂取ラットにおける肝臓脂質蓄積あるいは肝臓のG6PDおよびME活性の増大は, 食餌ミオイノシトールあるいはフィチン酸によりほぼ同様に抑制された。このとき, ミオイノシトールやフィチン酸による血清脂質に対する影響は認められなかった。一方, 脂質合成は抑制するにもかかわらず, 肝臓からのリポタンパク質の放出の抑制の原因で生じるオロト酸摂取によるラット肝臓脂質蓄積に関しては, ミオイノシトールおよびフィチン酸ともにその脂肪肝の緩和効果を示さなかった。これらの結果より, フィチン酸は脂質代謝に関してビタミン様物質であるミオイノシトールと類似した効果を示し, とくに食餌ミオイノシトールあるいはフィチン酸は, 肝臓脂肪酸合成の促進に起因する肝臓脂質蓄積に対して緩和効果を有するのではないかと推定した。
    また, ミオイノシトールはオロト酸摂取による飼料効率の低下や成長の遅延を緩和した。このことは, オロト酸摂取下で食餌からのミオイノシトールの供給が重要であることを示しており, オロト酸摂取による飼料効率の低下や成長の遅延が, 必ずしも肝臓脂質蓄積と関係しない可能性が示唆された。
  • 福井 健介, 桑田 五郎, 今井 正武
    1997 年 50 巻 4 号 p. 273-278
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    10%食塩水処理により脱脂大豆から脱フィチン酸大豆タンパク質 (PFS) を作成した。成長期の雄ラットに20%のPFS, 分離大豆タンパク質 (SPI) またはCaseinを含む食餌を与え, ミネラル吸収性に及ぼす大豆タンパク質のフィチン酸除去の影響を検討した。食餌中の総リン (P) 量は無機P (P1) を添加して0.59%になるよう調節した。また, PFS食中のPがほとんど外因性のP1であったため, P1添加量を0.59%にした群をさらに設定した (各SPI-IおよびCasein-I群とした)。結果概要を以下に示した。
    1) カルシウム (Ca) 吸収率に及ぼす大豆タンパク質のフィチン酸除去の効果は, 1%程度の上昇傾向にとどまった。
    2) 一方, マグネシウム (Mg) および亜鉛 (Zn) の吸収率においては, 大豆タンパク質のフィチン酸除去により5~10%程度の有意な改善または改善傾向がみられた。
    3) ミネラル吸収に関するCasein, SPIおよびPFSの関係は, 食餌中のPの合わせ方の違いによって影響を受けなかった。またP1量の多い群でミネラル吸収率が低くなる場合が多くみられた。
    4) SPIのCa, MgおよびZnの吸収率は, Caseinと同等あるいは上回る数値であった。
    これらの結果より, 大豆タンパク質のミネラル吸収率はCaseinと同等であるが, フィチン酸を除去することでMgおよびZnの吸収性がさらに改善される可能性が示唆された。
  • 長澤 宏昭, 佐藤 清仁, 金沢 文子, 藤本 健四郎, 中村 強, 水口 恒夫, 繁田 晴美
    1997 年 50 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    n-3系ポリエン酸の消化器における炎症への影響を検討するため, コーン油, ペリラ油および魚油の3種の油脂を含む食餌をSD系雄ラットに与え, TNBS誘発潰瘍性大腸炎の1週間後の症状を比較し, あわせて好中球によるLTB4産生能およびリン脂質の脂肪酸組成を測定した。
    その結果, n-3系ポリエン酸を大量に含む油脂の投与で大腸炎の症状は悪化した。好中球リン脂質アラキドン酸含量は, コーン油群で他の2群の約2倍高く, LTB4の産生能も最も高かった。n-3系ポリエン酸に富むペリラ油および魚油群の投与で, 炎症の主要メディエーターとされるLTB4の産生が減少したにも係わらず, 症状がコーン油群より悪かったのは, 正常な粘膜保護作用をもつエイコサノイドの産生が抑えられたためと推定された。
  • 浅野 敏彦, 湯浅 一博, 吉村 康美, 竹縄 誠之, 福場 博保
    1997 年 50 巻 4 号 p. 287-294
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    グルコン酸は遊離の酸の状態 (GA) と無水物であるラクトン体の状態 (GDL) およびナトリウム塩 (GNA), カリウム塩 (GK), カルシウム塩 (GCA) 等の塩を形成した状態が存在する。これらの形態におけるグルコン酸類のラットでの消化管吸収と残存について比較した。
    in vitroにおけるヒト唾液, 人工胃液, ブタ膵液パンクレアチンおよびラット小腸粘膜酵素の各種消化液中で, グルコン酸はその形態にかかわらず常に安定であった。
    in situでのラット小腸ループでの吸収性試験 (50mg/kg注入) で, 30分後にグルコン酸の塩類は腸管内に100%残存していたのに対して, GDLは45%, GAは86%になり, 形態によって差が見られた。
    各種グルコン酸をラットに500mg/kg経口投与し, 30分後の血漿中濃度はグルコン酸塩類はわずか1.7~2.2μg/mlであるのに対してGDLは91μg/ml, GAは38μg/mlとなり, 吸収量に大きな差があった。
    各種グルコン酸50mg/kg経口投与後の尿中排泄率は, グルコン酸塩類で0.8~1.5%, GDLで19%, GAで5.5%となった。これに対して, 各種グルコン酸10mg/kg静脈注射後の尿中に排泄される量を測定すると, GNAは87%が尿中に回収されたのに対してGDLは36%, GAは58%の回収率であった。このことから, GDLとGAは経口投与後に血中に吸収されても代謝を受けるため, 尿中には一部しか排泄されないことが示唆された。
    無菌ラットを使用して50mg/kg経口投与8時間後の消化管内に残存する量を直接測定すると, GDLは25%, GAは68%, GCAは90%の残存率であった。
  • 小櫛 満里子, 原田 禄郎
    1997 年 50 巻 4 号 p. 295-301
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    生あごを塩干しした干しあごと焼き干しした焼きあごについてエキス成分を比較した。干しあごでは天日乾燥により生あごよりもIMPが減少し, また, 生あごに大量に含まれた遊離Hisも一部減少したが, 他の遊離および結合アミノ酸は増加し, とくにGlu, Asp, Ala, Lys, Argなどうま味に富む遊離アミノ酸類が著しく増加した。多量に残存するHisも他のアミノ酸と共存するときうま味を与え, 多量の乳酸, NaClも呈味に関与すると思われるが, 結局干しあごの呈味にはおもに多量に増加した遊離アミノ酸系の成分と水分の減少による濃厚化が大きく寄与している。
    焼きあごは製造の際, 最初の焼く工程でIMPが著しく増加し, クレアチニンも増加したが, 遊離アミノ酸類は減少し, 酵素の失活により乾燥工程ではほとんどアミノ酸類は増加しなかった。焼きあごエキスには多量のIMPが含まれ, カツオ節と共通した呈味成分を多くもつ良好な出しのもとである。
  • 加藤 保子, 白木 美絵, 渡辺 陽子
    1997 年 50 巻 4 号 p. 303-309
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    アレルゲン活性が高いオボムコイド (OM) を卵白から除去する条件の設定と, OM除去卵白を用いて卵料理を調理し, 正常卵使用料理と比較検討した。
    1) OM除去卵白の調製法を水溶液の加熱温度, 加熱時間, 塩化ナトリウム濃度の各条件についてSDSPAGEおよびウサギ抗OMIgGを用いた競争阻害ELISA法で調べた。
    2) 卵白を沸騰水中で15分間加熱して得た卵白凝固物中にOMはほとんど残存せず, 溶液中に流出した。
    3) 卵アレルギーの患者の血清を用いた競争阻害ELISA法を行った結果, 凝固卵白の抗OM, OAおよび卵白抗体 (IgE) との反応性は著しく低下した。
    4) OM除去卵白と卵黄を合わせたOM除去卵を用いて, 布丁, 卵焼き, 卵ボーロ, 卵豆腐を調理し, それらの物性を測定した。対照は正常卵を用いて同様に調理した食品とした。布丁, 卵ボーロはOM除去卵で調理したものの方が硬く, 卵焼き, 卵豆腐は軟らかくなった。
    5) 食品系学生27人をパネラーとして, 調理した食品の官能検査を行った結果, 総合評価では, OM除去卵から調理した卵豆腐の評価が悪かったものの, その他の食品では, 両者間に大差はなく, 十分食べられるものであった。
  • 渡辺 敏明
    1997 年 50 巻 4 号 p. 311-315
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    亜鉛欠乏状態のマウス精子形成への影響を, 精子の生存率および形態を指標にして検討した。
    1) マウスを亜鉛欠乏飼料 (亜鉛含量0.5ppm) で6週間飼育した後に屠殺し, 精巣および精巣上体を摘出した。精子数は, 血球計算盤を用いて算出し, エオジンYとアニリンブルーで精子を生体染色をして, 生存精子を判定した。また, 精子の塗抹標本をエオジンYで染色して精子の形態異常を観察した。
    2) 亜鉛欠乏群では, 精子数が対照群のおよそ50%まで減少していた (25.7×106対51.6×106/g)。また, 生存精子の割合も, 有意に減少していた (41.5%対54.5%)。体重増加の少ない個体ほど, 生存精子の割合が低く, かつ精子数が減少している様子が観察された。
    3) 亜鉛欠乏群における異常精子の頻度は13.0~44.0%と, 対照群の5.4~22.8%に比べ, すべての部位で増加していた。とくに, 頭部の異常がもっとも顕著で, ついで中片部の屈曲の異常が増加していた。
    これらの結果, 亜鉛が正常なマウスの精子形成にとって不可欠であることが示唆された。
  • 田中 平三, 横山 徹爾
    1997 年 50 巻 4 号 p. 316-320
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 門脇 基二
    1997 年 50 巻 4 号 p. 321-323
    発行日: 1997/08/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
feedback
Top