日本栄養・食糧学会誌
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50 巻, 5 号
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  • 渡辺 道子
    1997 年 50 巻 5 号 p. 343-348
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    In our series of studies aimed at improving food proteins by enzymatic hydrolysis and resynthesis (plastein reaction), we first isolated and identified a series of bitter peptides occurring in a peptic hydrolysate of soybean protein. We then applied the plastein reaction to the bitter hydrolysate and succeeded in debittering it. We also found that the papain-catalyzed resynthesis reaction permitted covalent incorporation of added amino acid esters. This led to improving the functional and nutritional properties of food proteins, giving rise to peptide surfactants with considerable oil-emulsifying capacity and modified peptides with balanced amino acid compositions. The products we then developed are exemplified by a low-phenylalanine, high-tyrosine peptide for patients with phenylketonuria. The products aiso include peptides with maximized branched-chain amino acids and minimized aromatic amino acids as well as those with an enriched glutamine content. Recently, we extended our studies to analysis of cereal allergens and the design of hypoallergenic foods. Our first success was the design of rice grains with removed allergenic prateins. The process for producing this kind of functional food was subsequently industrialized, and the product “Fine Rice” was approved as the first “food far specified health use” by the Japan Ministry of Health and Welfare. This was followed by the current study, aimed at producing a hypoallergenic wheat flour preparation by controlled enzymatic hydrolysis. In this study, we have determined a major epitope unit (Gln-Gln-Gln-Pro-Pro) of glutenin origin and also developed a haptenic peptide that may be usable as an antiallergenic factor for patients with wheat-associated atopic dermatitis. An important aspect of these studies is that we took special care not to jeopardize acceptability or palatability, which is one of the most important considerations when dealing with food.
  • 岡田 和子, 松村 晃子, 真鍋 祐之, 坂本 貞一, 大中 政治, 中屋 豊
    1997 年 50 巻 5 号 p. 349-354
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    腎臓病食の無機質 (Na, K, Ca, P, Fe, Mg, Zn, CuおよびMn) 含量を各献立 (235種) ごとに, 42日間にわたり実測した。また, 食品成分表より求めた計算値と比較するとともに調理法別, 料理別にっいても検討した。さらに代表的な献立を個別に調理し, 各元素の残存率を調べた。その結果,
    1) 1日平均供給量においてCa, FeおよびZnは供給不足となりやすいことがわかった。ZnとCuを除く無機質の実測値は計算値より低く, とくにKおよびFeは計算値の67および62%であった。計算上ほぼ満足した献立であっても調理損失が大であるためFeは不足すること, Kは計算値より3~4割低い供給となることがわかった。
    2) 献立を調理法別 (煮物, 焼物, 揚げ物, 妙め物, 蒸し物, お浸し, サラダ) に分類し, 各元素の計算値に対する実測値の割合をみると, 調理法によって差があり, 水浸・水戻しや茹で操作を伴う調理では無機質の流失が多く, とくにKはその損失が大であった。ヒジキの煮付, きんぴら料理で約30%, お浸し, 酢の物で約50%, 茹でサラダで約60%と茹で操作を加えた料理で計算値に比べ実測値が低かった。
    K制限食献立作成時には, 単にK含量の低い食品を用いるのみでなく, 茹でる料理をうまく組み合わせるなどの料理法を工夫することの重要性を示した。
  • 中村 強, 栗林 稔, 吉原 大二, 竹下 保義
    1997 年 50 巻 5 号 p. 355-361
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    胆汁・膵液を回腸下部に分泌するように外科的手術を施して, 消化吸収能を障害させたラット (MWラット) を作製し, このラットに乳タンパク質の酵素加水分解物 (MPH) を摂取させた場合の体内利用性や栄養状態に及ぼす影響を, 基質である乳タンパク質 (MP) を対照として比較検討した。
    1) エネルギー効率において, MW-MPH群はMW-MP群に比べ高値を示す傾向にあった。また体重変化でも, とくに術後早期においてMW-MPH群がMW-MP群に比べ高値を示す傾向にあった。
    2) 生物価および窒素出納において, MW-MPH群はMW-MP群に比べ有意な高値を示した。また, 尿中3-メチルヒスチジン排泄量および3-メチルヒスチジン/クレアチニン比において, MW-MPH群はMW-MP群に比べて有意な低値を示した。
    3) 血清総タンパク濃度およびアルブミン濃度において, MW-MPH群はMW-MP群に比べ有意な高値を示した。
    以上の結果から, 乳タンパク質加水分解物であるMPHはその基質であるMPに比べ, 体内利用性をはじめとする栄養学的有効性が認められ, このことから消化管術後の消化吸収障害下で投与する窒素源として, MPHはMPに比べ有用である可能性が示唆された。
  • 松浦 寿喜, 市川 富夫
    1997 年 50 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    われわれは, 無麻酔無拘束下で長期間にわたって門脈血を採取できるラット消化吸収実験モデルを用いて, キシロースによる糖質の消化吸収抑制作用およびその作用の持続時間について検討した。
    まず, 門脈カテーテル留置ラットの試料注入用カテーテルよりD-キシロースおよびスクロースを投与し, 門脈血中グルコースおよびフルクトース濃度を測定したところ, 門脈血中グルコースおよびフルクトース濃度の上昇はD-キシロース投与5分後から抑制され, とくにフルクトースは強く抑制されることが明らかとなった。さらに, 本実験においてスクロースの場合の2倍量すなわち0.24g/kgのD-キシロースを投与することでマルトースに対しても阻害作用を示すことが明らかとなった。
    次に, スクロースを胃内に持続的に投与することで門脈血中グルコース濃度を一定にした門脈カテーテル留置ラットにD-キシロースを投与して, D-キシロースによるスクロースの消化吸収抑制作用の持続時間を測定したところ, 0.12g/kgD-キシロース投与では, 門脈血中グルコースの有意な低下はD-キシロース投与後20分から45分の25分間であったのに比し, 0.24g/kgD-キシロース投与では投与後10分から60分の50分間に延長されるのが観察された。
    以上の結果より, 門脈カテーテル留置ラットを用いることによりD-キシロースによるスクロースの消化吸収抑制作用およびその作用持続時間を測定できることが明らかとなった。
  • 竹内 久直, 市橋 美穂子, 竹内 弘幸
    1997 年 50 巻 5 号 p. 369-371
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ラットにおける血中脂質濃度, とくに肝臓からの脂質分泌速度に対するオレイン酸の影響について検討した。
    1) 実験1: 体重約90gのウイスター系雄ラットに, コーン油, 高オレイン酸ひまわり油, ひまわり油, 高オレイン酸紅花油または紅花油を15%含む食餌を2週間投与し, 血漿および肝臓中の脂質濃度を測定した。血漿総コレステロールおよびトリアシルグリセロール濃度は, 高オレイン酸ヒマワリ油および高オレイン酸紅花油食群でコーン油, ひまわり油および紅花油食群のそれに比べて有意に高かった。肝臓総コレステロール濃度は, コーン油食群に比べて高オレイン酸ヒマワリ油食群で低く, 紅花油食群で高かった。肝臓トリアシルグリセロール濃度は群間で差はなかった。
    2) 実験2: Triton WR-1339を用いて, コーン油または高オレイン酸紅花油食を2週間投与したラットの肝臓からの脂質分泌速度を求めた。高オレイン酸紅花油食群のコレステロールおよびトリアシルグリセロール分泌速度は, コーン油食群のそれと比べて有意差はなかった。以上の結果から, 高オレイン酸食を摂取したラットにおける血漿脂質の上昇には, 肝臓からの脂質分泌速度の増加は直接関係のないことが示唆された。
  • 小原 章裕, 竹原 学
    1997 年 50 巻 5 号 p. 372-374
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    生薬に含まれ, 抗ヘルペスウイルス作用を有する加水分解型タンニン-ユーゲニインの変異原抑制活性について検討した。変異原抑制率は, 変異原物質であるTrp-P-1, Trp-P-2, 薬物代謝系酵素群を含むS9Mixによって代謝活性化されたact. Trp-P-2や1-NPをSalmonella typhimurium TA 98株に作用させ, 生じた復帰コロニー数の差によって算出した。
    Trp-P-1の変異原性はユーゲニイン65μgにより50%抑制され, その他の変異原物質, Trp-P-2, act. Trp-P-2や直接変異原物質である1-NPの変異原性も強く抑制された。また, この活性は, 代謝活性によって変異原性を生じるTrp-P-1, Trp-P-2よりも直接変異原性を示すact. Trp-P-2に強く示された。以上の結果より, ユーゲニインは薬物代謝系酵素群に作用して変異原性を抑制するのではなく, 直接, 変異原物質に作用することによって抑制し, その活性はすでに同様の活性を有しているPGGと同程度であることがわかった。
  • 多様なmRNA種をつくる遺伝子について
    加藤 久典, 傅 正偉
    1997 年 50 巻 5 号 p. 375-377
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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