日本栄養・食糧学会誌
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55 巻 , 6 号
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  • 田中 邦明, 小西 史子, 丸山 功, 雪野 繼代, 木柎 久雄, 熊谷 多妙子, 羽田 尚彦, 林 雅弘
    2002 年 55 巻 6 号 p. 323-330
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    DHA富化クロレラ, Chlorella vulgais CK22株 (D-CVP) を中年健常人6名に9週間投与した場合の安全性および血清脂質への影響を検討した。安全性への配慮から, 最初の6週間はD-CVPを, 2週間ごとに1日当り4g (DHA含有量: 150mg), 8, 12gと順次増量し, 最後の3週間は20gとして, 合計9週間投与した。開始時, 空腹時血清総コレステロール (T-CHO) 値は5名が, またトリグリセリド (TG) 値は1名のみが正常範囲より高い値を示していた。今回のDHA富化クロレラの9週間の投与条件では, 体重や血圧, 体脂肪率等への影響は認められなかった。DHA富化クロレラ投与後の血清DHA濃度の変動については, 個体差が大きく評価できなかったが, 血清T-CHO値はDHA富化クロレラの6週間の投与で明らかな低下を示すとともに, さらなる3週間の投与期間および投与終了後3週間以上この状態が維持され, 終了後6週間でほぼ投与前の値にまで戻った。LDL-コレステロールやエステル型コレステロールも同様の変化を示した。HDL-コレステロールは9週間の投与でのみ有意な低下を示した。TG値にはDHA富化クロレラ投与による影響はみられず, その他の血液生化学的, 血液学的検査項目にも影響がなかった。以上, D-CVPは軽度高脂血症の健常人に対して安全に投与できることがみこまれるとともに, 軽度高脂血症の予防や改善に寄与する可能性が示された。
  • 雪野 繼代, 田中 邦明, 丸山 功, 小西 史子, 熊谷 多妙子, 羽田 尚彦, 林 雅弘
    2002 年 55 巻 6 号 p. 331-337
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    工業パイロットスケールで大量培養したドコサヘキサエン酸 (DHA) 富化 Chlorella vulgais CK22株の脂質特性を分析した。純度92.9%のDHAを培養液に添加・培養し, DHA富化 C. vulgaris CK22の細胞成分を調べたところ, DHA添加量と関係し, クロロフィル含量は減少傾向を示したが, 総脂肪酸およびDHA含量はいずれも増加した。しかもDHAの取り込み増加による脂質過酸化の進行はなかった。また, 細胞内に取り込まれたDHAは中性脂質 (NL) のみならず, 糖脂質 (GL) およびリン脂質 (PL) においても認められた。さらにDHA富化 C. vulgaris CK22株の6カ月間にわたる脂質安定性をみたところ, 保存中DHAの若干の減少はあったものの, 過酸化物価の上昇はなかった。
  • 上西 一弘, 根岸 由紀子, 松田 早苗, 古賀 憲治, 鈴木 久乃, 菅原 龍幸, 香川 靖雄
    2002 年 55 巻 6 号 p. 339-345
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    DHA含有魚油と豆乳を組み合わせた食品の摂取による, ヒトにおける抗肥満効果を身体組成, 安静時代謝量の面から検討した。健康な女子大学生34名 (年齢18-22歳) を2群に分け, 1群には1本200mL中にDHAが1,000mg含まれるようにDHA含有魚油を含むDHA含有豆乳 (以下試験飲料) を, もう1群には魚油の替わりにコーン油を含む対照飲料を6週間摂取させた。その結果, 試験飲料, 対照飲料摂取両群ともに6週間の摂取後に体重が減少し, その結果BMIも減少した。体重減少の内訳は試験飲料群では体脂肪量および除脂肪体重の両方, 対照飲料群では除脂肪体重の減少であった。臍水平断面のCTスキャンによる内臓脂肪と皮下脂肪面積をみると対照飲料摂取群では試験前後で差はみられなかったが, 試験飲料摂取群では皮下脂肪面積が有意に減少, 内臓脂肪面積も減少傾向にあった。安静時代謝量は試験飲料摂取群では3週間後に増加傾向, 6週間後には有意に増加した。一方, 対照飲料摂取群は有意な変動はみられなかった。以上の結果よりDHA含有豆乳摂取による安静時代謝量の亢進を伴う抗肥満効果が示された。
  • 杉澤 彩子, 山田 和彦, 梅垣 敬三
    2002 年 55 巻 6 号 p. 347-352
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    X線全身照射マウスの骨髄染色体損傷に対するビタミンC投与の影響について検討した。ビタミンC投与後の血漿・骨髄ビタミンC濃度は, 投与方法 (経口あるいは腹腔内投与) に関わらず2時間後で最大となり, 20時間後に元のレベルに低下した。ビタミンC濃度は血漿では投与後著しく増加したが, 骨髄では4g/kg体重の投与量でもわずかな増加しか示さなかった。この血漿・骨髄中ビタミンC濃度が増加する条件に基づき, ビタミンC (3あるいは4g/kg体重) 投与の2時間後にマウスにX線 (0.5, 1, 1.5Gy) を全身照射し, 末梢血を用いた小核試験法により骨髄染色体損傷を評価した。その結果, ビタミンCの単回投与はX線による骨髄染色体損傷を抑制しなかった。ビタミンCの抑制効果は, ビタミンC溶液 (20g/L) を飲料水として5週間継続投与した実験においても認められなかった。ビタミンCによるマウス骨髄染色体損傷の抑制効果が認められなかった理由として, マウスに過剰量のビタミンCを投与しても骨髄ビタミンC濃度が上昇しないことが考えられた。
  • 奥 和之, 笠木 健, 澤谷 郁夫, 福田 恵温, 栗本 雅司
    2002 年 55 巻 6 号 p. 353-356
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    乳糖負荷後の呼気水素排泄および腹部症状に及ぼす4G-β-D-Galactosylsucrose (ラクトスクロース: LS) 摂取の影響について検討した。乳糖不耐を訴える被験者10名に, LS1日当り5gを1週間摂取させた。LS摂取前後に乳糖負荷試験 (乳糖20g) を行った。乳糖負荷後の呼気中への水素ガス排泄は, LS摂取により減少した。LS摂取により乳糖負荷後の腹部症状 (腹痛, 腹鳴, 腹部膨満感) が緩和された。以上の結果から, LS摂取による乳糖不耐症状の軽減作用が示唆された。
  • 江頭 祐嘉合, 真田 宏夫
    2002 年 55 巻 6 号 p. 357-360
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    ラットに脂質を経口投与するとトリプトファンからナイアシンへの転換率が上昇した。その転換率に影響を与える脂質の構造を調べたところ, 炭素数18以上の多価 (一価) 不飽和脂肪酸が影響を与えた。トリプトファン・ナイアシン代謝経路の酵素活性を測定したところ, トリプトファン・ナイアシン代謝経路の鍵酵素α-amino-β-carboxymuconate-ε-semialdehyde decarboxylase [EC4.1.1.45] (ACMSD) の活性を多価不飽和脂肪酸が抑制したことを明らかにした。初代培養肝細胞の実験でも同様の現象が認められた。ACMSDの精製, cDNAのクローニングを行い, ウエスタンブロット分析, ノーザンブロット分析を行ったところ, 多価不飽和脂肪酸摂取によりACMSDの酵素量およびmRNA量が著しく減少し, 血清キノリン酸レベルが上昇することを明らかにした。脂質がトリプトファン代謝系の鍵酵素に転写レベルで影響を与える可能性が示唆された。
  • 河合 美香
    2002 年 55 巻 6 号 p. 361-365
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    一流競技者は, 科学的なトレーニングに加え, 栄養面 (食事の量・質などの内容や摂取タイミング) にも気を配るようになっている。また, 選手の身体組成, 体力, 疲労からの回復, トレーニングや食事に対する代謝的応答, 食事の摂取パターン, 嗜好などに個人差があり, これらは同一個人であっても日々変化している。2000年シドニーオリンピック女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手は, 競技を開始した当初, 栄養に対して興味や関心はなく, 食欲や気分に任せて食事を摂ることの多い選手であった。しかし, マラソンのトレーニングを実施する上で, 食事に対して興味・関心をもつようになり, これに伴って意識が変わってきている。それまで提供される食事を摂っていたのが, 自分自身の体調やトレーニングに合わせて摂る成分を考え, 選択するようになった。また, 同選手の指導者も食事の内容について配慮している。トレーニングの効果を高めるために栄養のサポートをする場合, 選手の様々な環境や段階を熟慮する必要がある。
  • 摂取状況と摂食障害, 月経異常
    岡野 五郎
    2002 年 55 巻 6 号 p. 367-371
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    発表されたいくつかの文献をみる限り, わが国のエリート・アスリートの栄養摂取状況は, ジュニア選手からオリンピック選手まで, 必ずしも良好な状態にない。この背景には知識の欠如あるいは経済的理由などもあるが, 競技力向上と減量を過度に結び付ける sport subculture の存在も大きい。このため, 女子アスリート, 特に持久系 (中・長距離走, マラソン) や審美系 (体操, 新体操, チアリーディング) のアスリートでは, 摂食障害 (神経性食欲不振症・大食症など) の発生率が高い。摂食障害は難治性の疾患である。また摂食障害に至らずとも, トレーニング時に過度の食餌制限が加えられると, 下垂体-性腺系に障害が生じ, 無月経を招く。無月経により, 骨塩量, 免疫能, 認知能力などが低下する。アスリートの減量指導においては, むやみに体重や体脂肪率の値に意識を集中させるのではなく, 生活習慣の変更に力点を置くべきである。すなわち, 1) 夜遅くの飲食を避ける, 2) 高脂肪食を避ける, 3) 練習後早めに食事をとる, 4) 持久系のトレーニングを取り入れ, 遅筋で脂肪を燃焼させる, 5) ウェイトトレーニングで筋量を増やし, 基礎代謝を上げる-など, 具体的な行動を提示することである。
  • 下村 吉治
    2002 年 55 巻 6 号 p. 373-376
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    スポーツの世界で, 栄養の重要性についての関心が高まっている。運動競技において良い成績をおさめるためには, スポーツに適した体づくりをすることと, 十分なスタミナづくりをすることが必要であろう。最近のスポーツ栄養に関する研究では, 食べるものの質と量に加えて, 摂取するタイミングの重要性が明らかにされつつある。この総説では, 体づくりとスタミナづくりについてのこれらの最近の知見を紹介する。
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