日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
55 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 宅見 央子, 大西 律子, 鏡 義昭, 松田 賢一, 高山 英子, 田中 恵子, 山内 睦子, 福田 泰樹, 米谷 俊
    2002 年 55 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2002/02/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 健常者の食事コントロールのために, 糖尿病食事療法のための食品交換表を基に, 新たに嗜好食品も組み込んだ食品交換表 (N) と, 交換表 (N) による日々の食事コントロールを簡便化することを目的とした単位式食事記録用紙を作成し, それらの精度を検証することである。栄養学を専攻していない一般の健康な女性13名 (年齢: 39.2±7.0歳, 身長: 155.6±5.0cm, 体重: 54.9±6.7kg) を対象に, 食事記録法による食事記録と単位式食事記録用紙の記入を7日間させた。食事記録法より算出した栄養素等摂取量と, 単位式食事記録法より算出した栄養素等摂取量を比較した結果, エネルギーおよび三大栄養素では, 両者より算出した摂取量の比率は, 0.97-1.09で, 両者の相関は0.97-0.99であった。食物繊維と微量栄養素では, 両者より算出した摂取量の比率は0.79-1.09で, 相関は0.70-0.93であった。また, 嗜好食品を摂取している健常者では, 糖質と脂質の摂取量において, 単位式食事記録法は, 糖尿病食品交換表より食事記録法により算出した摂取量に近かった。さらに, 単位式食事記録法のデータベースを五訂食品標準成分表に対応できることも確認できた。以上より, 嗜好食品の単位配分を行った交換表 (N) および単位式食事記録法は, 健常者の食事摂取状況を把握するのに有用である可能性が示唆された。
  • 長南 治, 伊藤 彰敏, 大橋 あけみ, 綿貫 雅章, 古江 尚
    2002 年 55 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2002/02/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    イチョウ葉抽出物摂取が高血圧者の血圧に及ぼす影響を調べる目的で, プラセボを用いた比較対照試験を実施した。高血圧者16名を対象者とし, イチョウ葉抽出物40mgを含む飲料もしくは対照飲料を1日1本, 12週間飲用した際の血圧変化を調べた。さらに, 飲用開始時ならびに飲用終了時に採血を行い, 一般血液検査および血液生化学検査を行った。試験期間中, 対照飲料摂取による血圧変化は観察されなかったが, イチョウ葉抽出物飲料摂取により, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 平均血圧の有意な低下が観察された。また, イチョウ葉抽出物飲料摂取により, 血中尿酸濃度の低下が認められた。飲用終了後のリバウンド現象はみられず, 自覚症状, 体重および一般血液検査・血液生化学検査などの諸検査においても, イチョウ葉抽出物飲料摂取によりGOT, GPTの上昇が認められた一例を除き, 問題となる変化は認められなかった。
  • 活性部位近傍アミノ酸残基置換の影響
    岡田 麻希, 中山 亨, 野口 秋雄, 西野 徳三, 菅 由紀子, 岩下 孝, 上田 隆史
    2002 年 55 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2002/02/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    好熱性細菌 Bacillus sp. SAM1606株が生産する耐熱性α-グルコシダーゼは, α-グルコシダーゼとしては最も幅広い基質特異性と高い糖転移活性をあわせもつ酵素であり, トレハロースに効率良く作用しうる数少ないα-グルコシダーゼの一つである。本酵素のこのような特徴を生かし, ビフィズス菌の選択的増殖促進作用や抗う蝕作用のある機能性オリゴ糖である6-O-α-グルコシルトレハロースおよび関連オリゴ糖の, 効率の良い酵素的合成を試みた。本酵素を1.32Mトレハロースと60℃, pH6.0で反応させたところ, 三糖類 (6-O-α-グルコシルトレハロース) と四糖類: (6-O-α-イソマルトシルトレハロース) を著量生成し, 本酵素を用いれば, トレハロースを唯一の基質 (グルコシル基供与体ならびに受容体) としてこれらのオリゴ糖を合成できることが示された。また, 活性部位近傍のアミノ酸残基がこの糖転移反応の反応性や特異性に及ぼす影響に関する知見を得るため, 273位のGlyをさまざまなアミノ酸で置換した変異体を作成し, トレハロースと反応させた。その結果, 野生型酵素が最も高いオリゴ糖生成能を示したのに対し, 他のすべてのアミノ酸置換体では糖転移能が減少していた。とくにLys, Arg, His, Phe, Trp, Tyrに置換した変異体は糖転移活性をほぼ完全に失っていた。この結果は, SAM1606α-グルコシダーゼの273位のアミノ酸側鎖の性質がトレハロースとの糖転移反応の反応性に大きな影響を与えていることを示唆している。
  • 下村 吉治, 長崎 大, 尾林 麻理子, 徐 明, 下村 典子, 浜田 晃, 高橋 親法
    2002 年 55 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2002/02/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    90分間のエアロビック運動による血漿グルコース, 血中乳酸, および血清インスリン, 遊離脂肪酸 (FFA), およびケトン体濃度の変動に対する, 運動中の4%エリスリトール飲料 (試験飲料1) 摂取の影響を, 運動中の4%グルコース飲料 (試験飲料2) 摂取と対比して検討した。同様に, 2%エリスリトール/2%フルクトース飲料 (試験飲料3) の影響についても, 2%エリスリトール/1.1%フルクトース/0.8%グルコース飲料 (試験飲料4) と対比して検討した。試験飲料2の摂取により, 血漿グルコースと血清インスリン濃度は上昇する傾向にあったが, 試験飲料1ではそのような上昇はなかった。血清FFAとケトン体濃度は, 運動中徐々に上昇したが, それらの上昇度は試験飲料1において高く, 運動終了直後と30分後において両飲料間に有意な差を示した。血中乳酸濃度は運動により上昇することはなく, 両飲料間にも差を示さなかった。運動中の試験飲料3もしくは試験飲料4の摂取は, 血漿グルコースと血清インスリン濃度にほとんど影響しなかった。一方, 運動中の血清FFAとケトン体濃度は, 試験飲料1と2の実験でみられたのと同様に, グルコースを含まない試験飲料3の摂取において顕著に上昇し, 運動後の両飲料間で有意差を示した。これらの結果より, エアロビック運動による脂肪酸代謝の上昇は, 運動中に0.8-4%のグルコース溶液を摂取することにより阻害されるが, 4%エリスリトールもしくは2%エリスリトール/2%フルクトース溶液を摂取してもそのような阻害作用はないことが示唆された。
  • 滝田 潤, 河東田 茂義, 五十嵐 喜治
    2002 年 55 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2002/02/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    Rhodotorula 属酵母は菌体外にコンニャクマンナンとは構造の異なるβ-1,3結合とβ-1,4結合の繰返し構造を有するマンナンを分泌するが, その産業上の利用は行われていない。また本マンナンの生理機能に関する知見もほとんどない。本研究は, ロドトルーラマンナンの生理機能の一つを明らかにするため, その血清および肝臓の脂質濃度に及ぼす影響についてコレステロール無添加食および添加食給与ラットを用いて検討した。血清トリアシルグリセロール濃度は, コレステロール無添加食, 添加食のいずれの場合においてもロドトルーラマンナンの給与によって有意に低下した。またコレステロール添加食の場合, ロドトルーラマンナンの給与によって血清コレステロール濃度が低下傾向を, 動脈硬化指数が有意な低下を示した。動脈硬化指数においてはコレステロールとロドトルーラマンナンとの間に交互作用が認められ, ロドトルーラマンナンがコレステロール給与に伴う動脈硬化指数の上昇を抑制することが明らかになった。肝臓脂質濃度はコレステロール添加食の場合, ロドトルーラマンナンの給与で有意な低下を示した。また肝臓脂質濃度にはロドトルーラマンナンの影響が観察されるほか, コレステロールとロドトルーラマンナンの交互作用が認められた。糞中胆汁酸および中性ステロイド排泄量はロドトルーラマンナンの給与によって増加しなかったことから, ロドトルーラマンナンによる血清コレステロールの低下傾向はその糞中へのステロイド排泄促進作用とは異なる作用によることが推測される。
  • 平 宏和
    2002 年 55 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2002/02/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
  • 山田 一哉, 野口 民夫
    2002 年 55 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2002/02/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    細胞内コレステロール濃度の上昇により転写が抑制される一群の遺伝子のプロモーター領域には, 共通の塩基配列 (sterol regulatory element, SRE) が存在している。このSREに結合する転写因子として, SRE-binding protein (SREBP) がクローニングされてきた。最近の研究から, SREBPはたんにコレステロール代謝系だけではなく, 栄養素やホルモンによる糖質・脂質代謝系酵素遺伝子群の発現に関与すること, ならびに, 肥満, インスリン抵抗性, 糖尿病発症などにも深く関与していることが示されている。
feedback
Top