日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
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58 巻 , 2 号
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  • 菊沢 歩, 田中 紀子, 市川 みね子, 宮坂 京子
    58 巻 (2005) 2 号 p. 51-57
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    L-アラビノースは小腸スクラーゼの活性を阻害することが知られており, スクロースの過剰摂取による肥満を抑制することが期待されている。この実験では, 内臓脂肪型肥満・2型糖尿病モデルである Otsuka Long Evans Tokushima Fatty rat (OLETFラット) を用い, L-アラビノース摂取によるエネルギー消費の変化および骨格筋線維組成との関係について調べた。OLETFラットを20%スクロース食を与えるC群と20%スクロース食に1.5%L-アラビノースを添加して与えるA群に分け, 21週間飼育した。29週齢時でC群では, 内臓脂肪の重量および細胞横断面積が著しく増加したが, A群では増加は抑制され, 耐糖能試験も改善された。長指伸筋, ひらめ筋および大腿直筋の筋線維をタイプI, IIAおよびII Bに分類した。A群では脂肪燃焼比は12.8%増え, 多くの他の骨格筋と同様にタイプIとタイプIIの混合筋である大腿直筋では, タイプIが有意に増加した。これらの結果からL-アラビノースにより筋線維が解糖系から酸化系線維へ変化し, 内臓脂肪の増加を抑制することが示唆された。この筋線維組成の変化は2型糖尿病を改善すると考えられる。
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  • 中嶋 洋子, 野本 裕子
    58 巻 (2005) 2 号 p. 59-64
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    成長期における脂肪摂取量の差異が, 成熟後の脂肪の摂取嗜好に与える影響を調べた。3週齢のSD系雄ラットを36匹購入し, 1群12匹ずつの3群に分け, 標準食飼料 (以下標準食群とする), 低脂肪食飼料 (低脂肪食群), 高脂肪食飼料群 (高脂肪食群) で9週間飼育後, 各群6匹ずつのラットを解剖した。残りのラットには低脂肪食飼料と高脂肪食飼料を同時に与え, 選択摂取を3週間行わせた。実験期間中, 3群間の体重に有意な差はみられなかった。しかし, 後腹壁脂肪組織と副睾丸周辺脂肪組織重量は高脂肪食群が最も高く, 標準食群が最も低かった。選択摂取期間の低脂肪食飼料摂取割合は, 低脂肪食群が38-49%, 高脂肪食群は約20%であり, 標準食群は16%から徐々に増加し3週間後には47%となった。したがって, 成長期ラットにおける脂肪摂取量の差異は, 成熟後の脂肪摂取嗜好に影響を及ぼすと考えられた。
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  • 石原 健吾, 森田 恭古, 柳沢 信子, 藪 芳志江, 福谷 洋子, 安本 教傳
    58 巻 (2005) 2 号 p. 65-68
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    コメの産地判別法を確立するために, 玄米の微量元素組成を測定した。23府県から収集したコシヒカリ玄米26試料をマイクロ波で湿式灰化した後, ICP-MSで質量スペクトルを解析した。試料中の水分含量を補正した後, クラスター分析を行い, 各地方によるクラスターの分離が最も明確に現れる元素の組合せについて検討した。測定できた23元素のうち, 18元素は産地による含有量の違いが認められた。その中でも特に, Mg, Co, Ni, Te, Auの5元素の組成によって, 東海地方産米, 関東・甲信地方産米, 九州地方産米を明確に区別することができた。
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  • 江崎 治, 窄野 昌信, 三宅 吉博, 三戸 夏子
    58 巻 (2005) 2 号 p. 69-83
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    日本人の食事摂取基準 (2005年版) のコレステロールに関する基本的考え方を解説した。至適コレステロール摂取量は, 疾病の罹患率, 死亡率が低くなるように, 今までの大規模観察研究や介入研究の報告を基に, 日本人のコレステロール摂取量を考慮して設定されるべきである。食事性コレステロール摂取量は血中コレステロール値に一般的には大きな影響を与えないが, 個人差があり, 欧米人に比べ, 肥満が少なく, 飽和脂肪酸摂取量の少ない日本人では, 食事性コレステロールによる血中コレステロール値の影響が欧米人に比べ, 大きい可能性がある。日本人も欧米人と同様, 血中総コレステロール値が高くても, 低くても死亡率は増加する。血中総コレステロール高値による死亡率増加はLDL-コレステロール値増加によって生じる動脈硬化が主因と考えられるが, 血中総コレステロール低値による死亡率増加は, 基盤にある消耗性疾患 (がん, 呼吸器疾患, 貧血, 感染症等) が原因と考えられる。観察研究では, 食事性コレステロール摂取量と総死亡率, 虚血性心疾患発症率, 脳卒中発症率との関連は認められていない。しかし, 日本人高齢者の糖尿病罹患率はこの5年間で増加しているため, 今後血中コレステロール値が増加すると, 糖尿病等の動脈硬化性疾患の危険因子をもった人では, 動脈硬化性疾患が増加する可能性が高い。また, 食事性コレステロール摂取量は肺がん, 消化器がん (膵臓がんや大腸/直腸がん) と正の関連を示す報告がある。以上の結果から, 多量のコレステロール摂取は好ましくなく, 成人ではコンステロール摂取量の上限値設定が必要と考えられた。
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  • 本間 清一
    58 巻 (2005) 2 号 p. 85-98
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    食品の褐変により生じた色素 (褐色色素) であるメラノイジンの性質と主な前駆物質を食品ごとに明らかにした。褐変の原因として一般性が高いグルコースとアミノ酸から調製したモデルメラノイジンを材料に, 焦点電気泳動パターン, 金属キレート能, レクチン親和性, 酸化・還元, 調製時のpH条件, ラットにおける出納試験を調べた。Streptomyces werraensis TT14, Paecilomyces canadensis NC-1, Coriolus versicolor IFO30340の3種類の菌で褐色色素を含む食品や各種モデル褐色色素と培養したときの脱色率の差異が, 食品メラノイジンの特徴解析に有効であることをみとめた。さらに, 3-デオキシオソン類, 糖その他の成分分析, 金属キレートアフィニティーを併用した。その結果, 魚醤とタマネギのソテーの褐色は糖質系メラノイジンが主体であり, 凍り豆腐の褐変は多価不飽和脂肪酸の酸化で生じたカルボニル化合物がタンパク質と反応して生じるエーテル可溶性の褐色色素であった。コーヒーの褐変はショ糖とアミノ酸・タンパク質とのメイラード反応にクロロゲン酸などのフェノール系酸化重合物を多量に巻き込んだ高分子である。
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  • 饗場 直美, 近藤 雅雄
    58 巻 (2005) 2 号 p. 99-102
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    高齢者のQOLを高める上で重要な因子として免疫機能があげられるが, 加齢に伴って胸腺の萎縮が観察されてくることから, これが免疫能の低下に関連していることが推測されている。老齢マウス胸腺において抗酸化酵素の活性低下がみられることより, 老齢マウスの胸腺はストレスに対して抵抗性が低下し, 酸化ストレスの影響を受けやすいことが明らかとなった。また, 細胞死に関連している細胞内活性酸素上昇を抑制する因子を探索するため, 食品中に含まれる26種の抗酸化成分について細胞内抗酸化能を評価した結果, 13種に抑制効果が認められた。日本の高齢者は, 免疫機能保持に重要なタンパク質摂取においては, 十分に摂取できていた。したがって現在の食生活に加えて, 高齢者で不足傾向にあったセレンなどの抗酸化酵素関連微量元素を多く含む食品摂取や, 細胞外のみでなく細胞内においても抗酸化能力を発現できうる抗酸化成分を多く含む食品群 (おもに野菜, 果物群) の選択的摂取を十分に摂取することが, 高齢者の低下した抗酸化能力を高め, 免疫能を保持し, 高齢者のQOLを高めるために重要であることが考えられた。
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  • 神山 かおる
    58 巻 (2005) 2 号 p. 103-106
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    高齢者用食品のニーズが近年増加している。加齢と歯の状態が食物の咀嚼に及ぼす影響について筋電図を用いて解析し, 高齢者に咀嚼しやすい食品の調製法について, 嗜好性の高い日本型の食素材を用いて考えた。健常高齢者は若年者よりも, 一噛み当たりの筋活動量が小さく, より多くの咀嚼回数, 咀嚼時間を示した。この傾向は, 歯の状態が悪い高齢者ではより顕著であった。6種類の食品の咀嚼しやすさの順序は, 年齢や歯の状態に関わらず, 共通であった。全粥は白飯よりも, 同一重量当たりの咀嚼量は少ないが, 同一エネルギー当たりでは差がなかった。また, キュウリの薄切りは一口大よりも咀嚼量を増加させた。これらは, 大量の水を加えて加熱調理すること, 細かく切ることは, 咀嚼しやすさにはつながらないという例である。したがって, さまざまな食品について, 異なる状態の被験者により咀嚼測定を行い, 客観的データを示す必要があると考える。
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  • 畠山 英子
    58 巻 (2005) 2 号 p. 107-111
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    気分状態プロフィルテスト (POMS) により, 小中学生の心の状態について調べた結果,「怒り-敵意」尺度得点が有意に高いことが明らかになった。POMSのデータと食環境を調べたデータをクロス分析したところ,「怒り-敵意」高得点群は日常の食生活において日本型食品素材の摂取率が低いことがわかった。大学生被験者の協力を得, 日本型食品素材が心身の健康に及ぼす影響について詳しく調べた。日本型食品素材に着目し, 栄養所要量を充たすバランスの取れた食事を摂取してもらう実験を試みた。5日間の実験前後に採血による生化学検査を実施したところ, 男子に多かった中性脂肪高値異常と女子に多かった総コレステロール高値異常が改善された。POMSによる「怒り-敵意」,「緊張-不安」,「抑うつ-落ち込み」ならびに「疲労」の尺度得点も好転した。これらの結果を基に, 日本型食品素材成分がヒトの脳機能調節に及ぼす影響について明らかにする実験を試みた。日本の代表的な食材である緑茶と大豆に着眼し, 玉露茶の旨味成分であるL-γ-グルタミルエチルアミド (テアニン) と大豆タンパク質の酵素加水分解物 (大豆ペプチド)を試料に用いた。脳血液動態の把握をはじめ非侵襲的な手法を適宜用い, ヒトを直接的に計測する実験を行った。近赤外線分光分析法 (NIRS) による各種課題遂行時の酸素化ヘモグロビン濃度を指標にした前頭部脳血液量の毎秒計測データは, テアニンもしくは大豆ペプチドを摂取した場合と非摂取 (プラセボ) の場合で異なっていた。摂取時はプラセボに比べ, 課題遂行に伴う計測値の増加程度が低いレベルで推移した。また, テアニン摂取後のPOMS尺度得点の低下も認められ, テアニンの気分状態改善効果が確認された。さらに大豆ペプチド摂取の場合はプラセボに比べ, 課題遂行後の唾液コルチゾール濃度が低く, ストレスを抑制する効果が示唆された。これらの結果からテアニンや大豆タンパク質の酵素分解物は脳機能を調節したリストレスを抑制する効果を有することが示唆された。日本型食品素材成分は体のみならず心の健康に資するものと推察され, 高齢社会における役割が期待されるものと考えられる。
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  • 嶋津 孝
    58 巻 (2005) 2 号 p. 113-120
    公開日: 2009/12/10
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    (1) 肝における栄養素の代謝がホルモンによる調節とは別に, 神経による直接的な代謝調節作用を受けていることが筆者らによって明示されたのは, 約40年前のことである。代表的な事例である肝グリコーゲン代謝の場合, 視床下部腹内側核 (VMH)-交感神経系の刺激はホスホリラーゼの秒単位での活性化によって肝グリコーゲンの分解をもたらし, 他方, 視床下部外側核 (LH)-副交感神経系の刺激はグリコーゲン合成酵素の活性化をひき起こす。自律神経のこの作用は膵ホルモンや副腎ホルモンを介したものではなく, 神経独自の作用によることが立証された。さらに, 還流肝を用いた ex vivo での交感神経の作用機構に関する研究から, 神経作用の伝達にはノルアドレナリン以外に神経ペプチドやサイトカインの関与が明らかになった。(2) 白色および褐色脂肪組織における脂肪分解はVMH-交感神経系の興奮によって亢進するが, この神経系の刺激はまた, 選択的に褐色脂肪での脂肪合成をも増大させ, 脂肪の代謝回転を促進させることが見いだされた。このことは, 褐色脂肪での熱産生 (エネルギー消費) の代謝学的基盤をなすもので, この神経調節系の障害は肥満の原因となる。(3) 骨格筋は運動時のみならず安静時の基礎代謝の維持においても体内最大のエネルギー消費器官である。骨格筋や心筋におけるグルコースの取り込み・利用は, インスリンの作用以外に視床下部-交感神経系の支配下に制御されていることが見いだされ, 交感神経のこの作用は骨格筋のβ3アドレナリン受容体を介して細胞膜に局在するGLUT-1グルコース輸送体の活性化に基づくと考えられる。また, レプチンはVMH-交感神経系を介して骨格筋におけるグルコースの取り込み・利用を促進するとともに, 骨格筋のAMP-kinase の活性化を初発とするシグナル伝達系によって脂肪酸のβ酸化をも促進してエネルギー消費に大きく寄与することが最近明らかになった。(4) さらに, 香味食品の中には味覚刺激を通じて中枢神経と連動して交感神経系の発動を促し, 体内のエネルギー代謝を盛んにする効果を発揮するものが存在すると思われる。実際に, ショウガとその辛味成分であるジンゲロン, あるいはラズベリーの有効成分であるラズベリーケトンを食餌に添加すると, 生体まるごとの酸素消費量の増大と呼吸商の低下をもたらし, 高脂肪食摂取による脂質代謝異常を改善する効果をもつことが明らかになった。
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