日本栄養・食糧学会誌
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59 巻, 3 号
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  • 渡邊 敏明, 大串 美沙, 前川 紫, 西牟田 守, 柴田 克己, 福井 徹
    2006 年 59 巻 3 号 p. 169-176
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-において, 葉酸の所要量は食事から摂取可能な量として, 成人で200μg/日と策定された。また日本人の食事摂取基準 (2005年版) では240μg/日と改定された。しかしながら, この根拠となるわが国での科学的エビデンスは必ずしも十分でないので, 私たち自身の新しいデータの蓄積と解析が求められている。そこで, 健常な成人男女を対象にして, 所要量に見合った水溶性ビタミンをサプリメントとして与え, 葉酸の必要量を検討した。成人女性では, 血清および尿中葉酸レベルが増加した。一方成人男性では血清葉酸の減少がみられたが, 尿中葉酸排泄量は変化しなかった。このように, 葉酸の必要量に性差がみられ, 今回使用した葉酸量 (200μg/日) は, 男性では不足している可能性があるが, 女性では必要量を十分に満たしているものと考えられる。
  • 真野 博, 清水 純, 任 良赫, 中谷 祥恵, 野口 有希, 増田 和成, 和田 政裕
    2006 年 59 巻 3 号 p. 177-183
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    DNAマイクロアレイ解析法を用いることで, 沖縄伝統野菜ニガナ (Crepidiastrum lanceolatum) を摂取させた実験動物の肝臓では, 遺伝子発現パターンが大きく変動していることを明らかにした。特に, ニガナは強力なエリスロポエチン (EPO) 遺伝子発現誘導活性を有していることがわかった。このことから, ニガナの摂取は体内のEPOタンパク質産生を上昇させる可能性が考えられた。さらに, Potential Free Energy (pF) 1.5, pF 1.8, pF 3.0の条件で灌水量を調節し, 成分量 (栄養成分や硝酸態窒素) を変化させ, 品質を改良したニガナを作製した。3種類のニガナのうちpF 1.5の灌水量条件で栽培したニガナは, 硝酸態窒素含量およびカリウム含量が比較的少なく, その他のビタミンやミネラル含量は他と同程度であったが, EPO遺伝子誘導活能が最も高かった。本研究の結果, 食品を投与した実験動物を用いたDNAマイクロアレイ解析は, 食品の新たな品質設計技術の一部として有用であると考えた。
  • 分析疫学研究ならびに介入研究を中心として
    佐々木 敏
    2006 年 59 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    ヒトを用いた研究 (ヒト研究) は, 実験動物や細胞を用いた研究とは目的が異なるだけでなく, 必要とされる研究方法も異なり, その結果として, 報告の様式, つまり, 論文の執筆様式も異なる。ヒト研究を計画, 実施, 報告する場合に, 注意すべき点として特に「対象者の基本特性」,「交絡因子」,「対象者数」,「測定誤差と統計学的有意性」,「研究の限界」,「集団代表性」を取り上げて概説を試みた。加えて, ヒト研究の論文をまとめる上で注意したい点についてポイントを整理した。ただし, ヒト研究であっても実験条件を厳密に制御できる実験室内での研究は除き, ある程度自由な生活を営んでいる条件下で行う研究, すなわち, 疫学的な方法論を用いて行われる研究に限定した。疫学研究は観察研究と介入研究に大別され, 観察研究はさらに記述疫学と分析疫学に分かれるが, 分析疫学を中心とし, 介入研究についても簡単に触れることにした。
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