日本栄養・食糧学会誌
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63 巻 , 2 号
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総説
  • 伏木 亨
    63 巻 (2010) 2 号 p. 61-68
    公開日: 2010/06/02
    ジャーナル フリー
    エネルギーの過剰摂取や運動不足による肥満は種々の生活習慣病増加の原因となっている。高カロリー食の摂取欲求やエネルギーを消耗する運動の忌避はともに動物としての本能に根ざしたものであり, 動物行動科学的な視点なくして改善は容易ではない。現代人の過剰なエネルギー摂取を改善するための食嗜好の制御と無理のないエネルギー消費促進を目的として, 基礎となる次の三つの問題をおもに実験動物を用いて解析した。 (1) 油脂をはじめとする高嗜好性食品のおいしさのメカニズム: 油脂の口腔内受容機構を明らかにし, 味細胞表面に受容体候補タンパク質を見出した。一方, 動物行動学実験によって油脂の摂取がマウスに報酬効果をもたらすことを明らかにし, 高嗜好性食品への執着のメカニズムを示した。 (2) 運動によるエネルギー代謝変化の解析: 長時間の水泳運動を課したラットの脳脊髄液中に, マウスの自発行動を抑制する物質が増加することを見出し, 活性型TGF-βであることを明らかにした。脳内TGF-βは血中の乳酸濃度の上昇などに伴って増加し, 体温上昇や末梢の脂肪酸化を促進する作用をも有していた。疲労の指標となることが期待できる。 (3) エネルギー消費促進としての食品成分による自律神経の制御: 香辛料を中心として, 人間の自律神経活度を高める成分の探索とメカニズム解析を行った。京都大学の矢澤が発見した無辛味トウガラシから抽出した新規カプサイシン様物質に, エネルギー消費を促進する作用があることを見出し, 自律神経を介してマウスやヒトの体脂肪蓄積抑制効果があることを明らかにした。
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報文
  • 餅 康樹, 角田 伸代, 柴 祥子, 村木 悦子, 加園 恵三
    63 巻 (2010) 2 号 p. 69-77
    公開日: 2010/06/02
    ジャーナル フリー
    魚油のウェイトリバウンドに及ぼす影響について検討を行った。KK-Ayマウスを用い, 増量期・減量期・リバウンド期を再現した。脂質源として牛脂 (B食) または魚油 (F食) を含有した2種の高脂肪食を作成した。増量期はすべてB食を与え, B食で減量しB食でリバウンドした群をB-B群, 同様にB-F群, F-B群, F-F群およびB食をアドリブにて全期間摂取させた群 (Control群) を設けた。リバウンド後の体重は, B-B, F-B群に比べ, B-F, F-F群でそれぞれ減少した。肝臓重量および肝臓中脂質量は, Control群と比べ, B-B, F-B群では増加したが, B-F, F-F群では減少した。またB-B, F-B群と比べ, B-F, F-F群では肝臓のSREBP-1c, FAS mRNA量が低下し, PPAR-α, HSL mRNA量およびMTPタンパク質量が増加した。以上より, リバウンド期の魚油摂取は, 体重増加と肝臓への脂肪蓄積を抑制することが示唆された。肝臓での脂肪蓄積抑制の機序として, 肝臓での脂肪酸合成の抑制, 脂肪分解や脂肪酸酸化の亢進および肝臓からのリポタンパク質分泌の正常化が関与すると推察された。
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  • 喜多村 尚, 小原 郁夫
    63 巻 (2010) 2 号 p. 79-85
    公開日: 2010/06/02
    ジャーナル フリー
    唾液分泌と月経周期との相互関係については明らかにはなっておらず, さらに, 月経周期各期における唾液成分の日内変動に関する報告はない。本研究では, ヒトの月経周期による唾液分泌量および唾液成分の変化に着目し, 月経周期におけるこれらの日内変動について検討した。11名の健常女子大生の唾液採取を9時から20時まで1時間おきに12回行った。このとき採取した唾液を用いて, 唾液分泌量, 唾液タンパク質分泌量, 唾液アミラーゼ活性および唾液pHの日内変動を測定した。唾液分泌量はすべての周期で, さらに唾液タンパク質は卵胞期および黄体期のみで, 午前, 午後, 夕方にかけて上昇する日内変動がみられたのに対し, 唾液アミラーゼ活性および唾液pHは日内変動が観察されなかった。月経周期別においては, 唾液分泌量および唾液アミラーゼ活性は黄体期で有意に高い値となったが, 唾液タンパク質および唾液pHは黄体期で有意に低い値となった。これらのことから, 唾液分泌および成分の日内変動があることが観察され, また月経周期によってこれらが変動することが示唆された。
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