日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
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64 巻 , 4 号
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総説
  • 薩 秀夫
    64 巻 (2011) 4 号 p. 207-214
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    本研究では食品因子の腸管上皮透過機構および腸管上皮細胞機能に対する生理作用を主に細胞レベルで解析した。食品因子はトランスポーターや細胞間隙経路など様々な経路を介して腸管上皮細胞層を透過すること, 一方で腸管上皮トランスポーター活性は他の食品因子によって制御されることが見出された。また腸管上皮モデルCaco-2細胞と活性化マクロファージモデルTHP-1細胞との複合培養系を用いて, 抗腸炎症作用を有する食品因子を探索および解析することに成功した。並行して, ある種のポリフェノールなどが炎症悪化に関与するインターロイキン8の腸管上皮からの分泌を抑制することで, 腸炎症を予防・改善することも示された。さらに生体異物の侵入を防御する解毒排出酵素の発現が, ある種のフィトケミカルによって受容体型転写因子の活性化を介し制御されることが明らかとなった。これらの知見は腸管上皮と食品因子の相互作用を分子・細胞レベルで解析したものであり, 今後さらなる研究の進展が期待される。
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  • 桑波田 雅士
    64 巻 (2011) 4 号 p. 215-219
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    血清アルブミンは栄養状態の評価に利用される代表的なマーカーである。アルブミン合成の調節において, 食事は最も重要な因子の一つである。アルブミン遺伝子の転写活性がタンパク質栄養状態の影響をうけることが知られており, 我々はアミノ酸供給によるアルブミン遺伝子発現の調節が, ビタミンB6誘導体ピリドキサール5′-リン酸 (PLP) の細胞内濃度変化を介していることを見出した。PLPが転写調節因子に直接結合することでアルブミン遺伝子の転写活性に影響を及ぼす可能性を示唆する。一方, 絶食に伴うアルブミン合成の抑制には, 遺伝子転写後調節が深く関与している。我々はRNA結合タンパク質の一つであるPolypyrimidine tract-binding protein (PTB) がアルブミンmRNAのコード領域に結合し, 翻訳反応を抑制することを見出した。アルブミンmRNA-PTB複合体形成量の変化が, 絶食時におけるアルブミン合成の調節に関与する可能性を示唆する。
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  • 田中 啓二
    64 巻 (2011) 4 号 p. 221-228
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    生体を構成する主要成分であり, 生命現象を支える機能素子であるタンパク質は, 細胞内で絶えずダイナミックに合成と分解を繰り返しており, ヒトでは, 毎日, 総タンパク質の約3%が数分から数カ月と千差万別の寿命をもってターンオーバー (新陳代謝) している。タンパク質分解は, 不良品分子の積極的な除去に関与しているほか, 良品分子であっても不要な (細胞活動に支障をきたす) 場合, あるいは必要とする栄養素 (アミノ酸やその分解による代謝エネルギー) の確保のために, 積極的に作動される。タンパク質分解研究は, 過去四半世紀の間に未曾有の発展を遂げてきたが, 現在なお拡大の一途を辿っており, 生命の謎を解くキープレイヤーとして現代生命科学の中枢の一翼を占めるに至っている。我々はタンパク質分解システムについて分子から個体レベルに至る包括的な研究を継続して進めてきた。その研究小史を振り返りながら, タンパク質分解 (リサイクルシステム) の重要性について概説したい。
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報文
  • 野口 律奈, 平岡 真実, 陣内 瑤, 北原 裕美, 渡部 芳徳, 香川 靖雄
    64 巻 (2011) 4 号 p. 229-238
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    日本人健常者を対象とした観察研究において, 男性の血清葉酸濃度, および葉酸摂取量が鬱スコアと逆相関することが報告されている。しかし, 日本人鬱病患者を対象に葉酸栄養状態を調べた研究はない。そこで本研究では, 精神科通院中の日本人患者103名の血清葉酸・ホモシステイン・VB12濃度, 葉酸・VB2・VB6・VB12摂取量, メチレンテトラヒドラ葉酸還元酵素 (MTHFR) 遺伝子多型を調べ, 鬱病症状との関連を検討した。結果, 男性患者の血清葉酸濃度, および葉酸・VB2・VB6の摂取量が鬱病精神症状と有意な逆相関を示した。女性ではこうした関連はなかった。血清葉酸濃度は男性より女性の方が有意に高く, 葉酸・VB2・VB6摂取量も女性の方が有意に多かった。一方, 精神疾患のリスクとされるMTHFR遺伝子TT多型の出現頻度は, 日本人の一般的な出現頻度と有意な差は見られなかった。本研究の結果から, 精神疾患男性患者の葉酸栄養状態は, その精神症状と逆相関することが示唆された。
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研究ノート
  • 新井 陽一, 白幡 登, 深澤 純一, 土田 真由子, 中島 義信, 中浦 嘉子, 堀端 哲也, 井ノ内 直良
    64 巻 (2011) 4 号 p. 239-243
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    糖質米のあゆのひかりは, 難消化性構造を持ち, 他の品種米よりも消化され難い。本研究では, あゆのひかりのヒトにおける食後血糖値およびインスリン分泌に及ぼす影響について検討することを目的として, 普及米であるコシヒカリと比較した。健常成人男性8名 (平均年齢: 39.0±1.7歳, body mass index (BMI) : 23.3±0.6 kg/m2, 空腹時血糖値: 96.4±2.1 mg/dL) を対象に, 無作為化単盲検交叉比較試験を実施した。糖質として55 gを含むあゆのひかりまたはコシヒカリの炊飯米を摂取し, 240分までの血糖値とインスリン濃度を観察した。あゆのひかり摂取時の240分までの血糖IAUC (incremental area under the curve of blood glucose concentration) は, コシヒカリ摂取時に対し17.5%低い傾向を示した (p=0.07) 。また240分までのインスリンIAUCでは, コシヒカリ摂取時に対し41.3%低い値を示した (p<0.01) 。以上の結果より, あゆのひかりは, 糖尿病の一次予防として有用な米品種であることが示唆された。
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