日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
66 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
報文
  • 西岡 奈保, 田中 紀子, 平野 直美, 中村 満
    2013 年 66 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル フリー
    長期トレーニングを行う高齢者の身体機能の変化について調べ,身体機能と栄養摂取,咀嚼力,包括的QOLとの関連性を検討した。膝伸展力や平衡機能及び歩行能力,複合動作能力は初期値とトレーニングによる変化量との間に有意な負の相関関係があり,トレーニングの効果は身体機能の初期値が低い者ほど大きいことがわかった。歩行能力,複合動作能力や咀嚼力はエネルギー摂取量と有意に関連し,これらの機能が高い者ほどエネルギーを多く摂取していた。また,SF-8による精神的サマリースコア(MCS)はBMIと有意な正の相関関係にあり,栄養状態が良好な者ほど精神的QOLは高いことが示された。以上より,高齢者の継続的なトレーニングは特に身体機能が低い者ほど効果的であり,介護予防として有効であることが示された。また身体機能や咀嚼力が良好な者ほど栄養摂取量は高く,栄養状態が良好であると精神的QOLも高いことが示唆された。
  • 新井 千加子, 宮田 学, 吉實 知代, 小出 一広, 溝手 晶子, 新井 紀恵, 花谷 利春, 新井 成之, 福田 惠温
    2013 年 66 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル フリー
    高脂肪食負荷マウスに2.5%トレハロース(Tre)飲水を8週間行うと他の糖質[グルコース(Glc),マルトース(Mal), 異性化糖(HFCS), フラクトース(Fru)]に比べ,有意な腸間膜脂肪細胞の肥大化抑制,インスリン抵抗性改善が認められたため,今回はランゲルハンス氏島(ラ氏島)への作用を調べた。同試験マウスのラ氏島,α細胞領域,β細胞領域の平均面積を免疫染色を用いて形態計測した。Treは水,Mal,Fruに比べ,有意にラ氏島肥大を抑制した。また,Treは,他の糖質や水投与群に比べて有意にα細胞領域の増加を抑制した。糖質の飲水15週後の糖負荷試験では糖負荷30分後の血中グルカゴン値がMal群に比べ,Tre群で有意に低かった。これらの結果からトレハロースはラ氏島の代償性肥大やα細胞増加による過剰なグルカゴン分泌を抑制するため,メタボリックシンドロームにおいてラ氏島を保護する優れた食品となる可能性が示唆された。
  • 佐藤 明恵, 中嶋 洋子
    2013 年 66 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル フリー
    Znの不足がラード食(LD)と魚油食(FD)の嗜好性に及ぼす影響を調べた。4週齢のオスFischer344系ラットを1群16匹ずつの4群に分け,それぞれ-ZnLD,-ZnFD,+ZnLD,+ZnFDの飼料で3週間飼育後,各群6匹ずつを解剖した。残りの-Zn群のラットには-ZnLDと-ZnFDを,+Zn群のラットには+ZnLDと+ZnFDの飼料を同時に与えて3週間選択摂取させた後解剖した。-Zn群は+Zn群に比べて血漿Zn濃度,飼料摂取量,体重は有意に低く,血漿・肝臓脂質濃度も-Zn群が有意に低かった。+Zn群のラットは両群ともn-6/n-3がほぼ3となるようにLDとFDを選択摂取したが,-Zn群のn-6/n-3はLD群で1.9,FD群で6.6となった。したがって,+Zn群は一定のn-6/n-3で必須脂肪酸を摂取する能力を有しているが,Znが不足するとこの能力が消失すると推察された。
研究ノート
  • 中村 充, 市原 敬司, 栗田 賢一, 治井 敏明, 堀野 成代, 庄條 愛子, 宮谷 秀一, 平井 宏昭, 北村 進一
    2013 年 66 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/22
    ジャーナル フリー
    waxy (wx) amylose-extender (ae) の2重変異体であるwx/ae米は,澱粉が特殊な構造のため難消化性澱粉が多く,また,γ-オリザノールも豊富なことから,機能性食品としての利用が期待されている。本研究では,ウルチ米,および,wx/ae米の各玄米を焙煎・粉末化したものを4週間経口摂取した際の血中脂質代謝に与える影響を調査した。試験は,健常人男性6名が2週間の回復期間を挟んで各被験物質30 gを4週間ずつ摂取する,クロスオーバー試験にて行った。試験の結果,wx/ae米摂取群では,総コレステロール値に低下が見られ,ウルチ米摂取群に対して有意な差が認められた(p<0.05)。また,中性脂肪値,LDL-コレステロール値についても,wx/ae米摂取群では減少傾向が見られた。以上より,wx/ae玄米焙煎粉を長期摂取することで,血中の脂質代謝を改善する働きがあることが示唆された。
feedback
Top