日本栄養・食糧学会誌
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67 巻, 1 号
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総説
  • (平成25年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
    近藤 (宇都) 春美
    2014 年 67 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
    高密度リポタンパク質 (HDL) はマクロファージ中のコレステロールを引き抜いて肝臓へ逆転送する機能を有するため, 抗動脈硬化性リポタンパク質と呼ばれている。我々は, 食事因子の中でもポリフェノールに着目し, 細胞培養実験においてコーヒー由来ポリフェノールがコレステロール輸送タンパク質の発現増加によりHDLによるコレステロール引き抜き促進作用を有することを見出した。これらの作用を明らかにするために, 動物実験, さらにヒトを用いた試験まで幅広く検討を行い, その作用機序を明らかにした。本研究により, これまでの食事因子によるHDLコレステロールの増加作用に加え, HDL機能の改善を介して動脈硬化性疾患の予防に貢献する新たな可能性を示唆した。
報文
  • 藤井 彩乃, 渡邉 佑奈, 太田 淳子, 桑原 晶子, 宮脇 尚志, 田中 清
    2014 年 67 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
    近年, 肥満者が増加傾向にあり深刻な問題となっているが, 食事による減量の実践のためには対象者が主体的に食習慣・食行動の問題点を理解し, 実行することが必要である。また肥満解消のためには知識を提供するだけではなく, 管理栄養士など専門の知識や技術を持った者が, 対象者の現段階の正しい変容ステージを見極め, それぞれのステージに合わせた支援をすることが求められている。そこで人間ドック受診者を対象に食品の摂取頻度状況等を横断的に調査し, 食品摂取行動に影響を及ぼす因子の検討を共分散構造分析 (SEM) にて行った。結果, BMI 25.0 kg/m2以上群 (肥満群) においては, 食事改善の意識はあるが実行に移せていない可能性が考えられた。さらに食品摂取行動に対して, 健康面より嗜好が大きく摂取頻度に影響していることが推察され, 効果的な栄養指導を行うためには食行動を規定する食習慣, 特に嗜好を考慮することの必要性が示された。
研究ノート
  • 高木 絢加, 谷口 彩子, 駒居 南保, 村 絵美, 永井 元, 森谷 敏夫, 永井 成美
    2014 年 67 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
    炭酸水の口腔内刺激 (清涼感) に着目し, 炭酸水の飲水が実体温をどの程度変化させるのか, その反応は炭酸の口腔内刺激のみでも起こるのかどうかを明らかにするために, 等温・等量の炭酸水と水を用いた飲用試験と偽飲 (Sham-feeding;SF) による口腔内刺激のみの試験を行った。炭酸水の飲水 (炭酸水) , 水の飲水 (水) , 炭酸水の偽飲 (炭酸水SF) , 水の偽飲 (水SF) の4試行をrandomized crossover designで実施した。前夜10時より絶食した若年女性13名に, 室温を26℃に保持した実験室で異なる日の朝9時にサンプル (15℃, 250 mL) を負荷した。心電図 (心拍数, 心拍変動) をサンプル負荷前20分間および負荷後40分間測定し, 深部体温 (鼓膜温) , 末梢体温 (足先温) を高感度サーモセンサーで連続測定した。鼓膜温は水・炭酸水ともにSFでは変化せず, 飲水で一過性に低下した。足先温は, 飲水 (水, 炭酸水) で約2.5-3℃低下し, 水SFでは約1℃の低下であったのに対し炭酸水SFでは約2.5℃の低下を認めた。心拍数は, 炭酸水, 炭酸水SFで負荷直後に一過性に上昇した。結果より, 炭酸水の口腔内刺激 (味, 炭酸刺激) のみでも足先温や心拍数を変化させることが示された。
資料
  • 三嶋 智之, 中野 純子, 唐沢 泉, 澤田 未緒, 伊佐 保香, 柴田 克己
    2014 年 67 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
    本研究では母乳中の葉酸濃度の経時的変化について縦断的に調べた。25名の授乳婦より提供された産後1週目から8週目までの母乳中の葉酸濃度をバイオアッセイにより定量した。授乳婦の食事調査は行っていないため葉酸の摂取量は不明であった。本研究で分析した200検体の母乳中葉酸濃度は54.2±31.9 μg/L (平均±標準偏差) , 中央値が46.6 (4.9-161.9) μg/Lであり, 被験者全体の葉酸濃度は5週目まで上昇し, 1週目と比較して3週目から8週目の各週では有意に高値を示した (p<0.05) 。また, 1週目の葉酸濃度の中央値にて2群に分けて解析を行ったところ, 高値群の母乳中葉酸濃度は低値群に対してすべての週において有意に高値を示した (p<0.05) 。
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