日本栄養・食糧学会誌
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68 巻, 2 号
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速報
  • 伊藤 太二, 山﨑 俊介, 太田 一樹, 大村 正史, 親泊 政一
    2015 年 68 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/20
    ジャーナル フリー
    合成洗剤の好気性・嫌気性微生物分解や, 合成樹脂等に使用される酸化防止剤の酸化・加水分解などにより生成されるノニルフェノールは, 内分泌攪乱化学物質の一つである。このため, 食品へのノニルフェノール混入によるヒト内分泌系に対する攪乱作用の検証とその分子機構の解明が重要である。これまでにノニルフェノールは, 男性生殖器系 (精巣・前立腺) を主な標的とし, 雄の親マウスへの投与により, F1およびF2の雄マウスでの精巣・前立腺の縮退や精子分化不全が報告されている。本研究では, 前立腺でのAndrogen受容体 (AR) による転写活性化にも必要なヒストンアセチル化酵素AIB1のホルモン受容体結合領域に対して, ノニルフェノール存在下で結合するタンパク質をヒト正常前立腺cDNAライブラリーから探索して, ヒトタンパク質NPR1 (Nonylphenol Receptor 1) を単離した。in vitroでの分子間相互作用解析の結果, NPR1はノニルフェノールを高い特異性で結合した。従って, エストロゲン受容体を介した機構に加え, NPR1を介した新たな内分泌攪乱機構の存在が示唆された。
研究ノート
  • 檜垣 俊介, 松尾 達博
    2015 年 68 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/20
    ジャーナル フリー
    ラットにおける希少糖D-プシコースの長期摂取 (6-18カ月) による安全性は報告されている。しかし, D-プシコースを甘味料として日常的に摂取することを考えると, さらに長期の安全性を検討する必要がある。本研究ではD-プシコース添加飼料をラットに生涯摂取させ, 寿命への影響を調べた。Wistar系雄ラット61匹を, 高炭水化物食 (HC) 群, 高脂肪食 (HF) 群, 3%D-プシコース添加高脂肪食群 (HFP) 群に分け, 4週齢から死亡するまでの生存期間を比較した。その結果, 飼育30カ月までの体重は, HC群に比べてHF群, HFP群で有意に高値であったが, 30カ月における血清生化学検査値に有意な差は見られなかった。平均生存期間には各群間に有意な差を認めなかったが, HFおよびHFP群に比べてHC群で短い傾向にあった。以上の結果から, 少量のD-プシコースを生涯にわたって摂取しても安全性に問題がないことが示唆された。
資料
  • 村上 太郎, 石原 健吾, 松元 圭太郎, 岡村 浩嗣, 矢口 友理, 小野 智子, 藤井 久雄, 橋場 直彦
    2015 年 68 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/20
    ジャーナル フリー
    特定保健用食品 (トクホ) は, 科学的根拠によって保健用途の表示が許可された食品であるが, 日常の食生活において保健用途が発揮されない場合のあることが報告されている。また, トクホの利用者の多くは保健用途を実感していない。理由の一つに, トクホの保健用途が発揮されるための利用法が, 消費者に正確に認識されていない可能性が考えられる。本研究では, 健康や栄養への関心が高く, ある程度栄養学の知識を有していると思われる健康科学系の女子大学生が, トクホの広告や科学用語による商品情報から保健用途発揮のための条件をどのように認識するかを調査した。その結果, 広告や科学用語による商品情報からは, 約30%の学生にはトクホの対象者や摂取方法が認識されず, トクホの保健用途に関する情報が正確に伝達されていない可能性が示唆された。
訂正
  • 2015 年 68 巻 2 号 p. 83
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/20
    ジャーナル フリー
    日本栄養・食糧学会誌第65 巻第6 号271-276 ページ (2012) 「ラットにおける玄米発酵食品の血糖値上昇抑制およびインスリン節約効果」 (山内有信) の論文において, 「方法」 の 「2. 実験動物および経口投与試験でんぷん液」の最後の文章について, 下記のとおり訂正する。
    訂正前 : なお, 本実験は, (中略) 鈴峯女子短期大学実験動物委員会における倫理審査を経て実施した。
    訂正後 : なお, 本実験は, (中略) 鈴峯女子短期大学食物栄養学科における倫理的承認を得て, 鈴峯女子短期大学動物実験規程に則って実施した。
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