日本栄養・食糧学会誌
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68 巻, 5 号
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研究ノート
  • 祓川 摩有, 曽我部 夏子, 田辺 里枝子, 五関‒曽根 正江
    2015 年 68 巻 5 号 p. 217-223
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/19
    ジャーナル フリー
    アルカリホスファターゼ (ALP) は, リン酸エステルを無機リン酸とアルコールに加水分解する酵素である。小腸型ALP活性は脂質の投与により上昇することが知られているが, 生理的機能については不明な点が多い。そこで今回, ビタミンK1 (PK) またはビタミンK2 (MK-4) 経口投与によるALP活性への影響について検討を行った。7週齢のSD系雄ラット56匹について, PKを経口投与したPK群, MK-4を経口投与したMK群とし, 投与前, 投与後1.5, 3.0, 4.5時間後に小腸, 肝臓, 腎臓のサンプルを採取した。その結果, PK群またはMK群において, 十二指腸および回腸上部のALP比活性が投与前に比べて有意に高値を示した。一方, 肝臓や腎臓では, ビタミンK経口投与によるALP活性への影響は認められなかった。以上の結果から, PKまたはMK-4の経口投与により, 小腸のALP活性が増強されることが明らかになった。
  • 折居 千賀
    2015 年 68 巻 5 号 p. 225-232
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/19
    ジャーナル フリー
    廃棄物である富有柿幼果を黒麹菌および乳酸菌にて発酵させ機能性の増強を試みた。これらは発酵によりβ-リパーゼ阻害活性を増強した。β-リパーゼ阻害活性は黒麹菌発酵物 (IC50=16 μg/mL) および乳酸菌発酵物 (IC50=29 μg/mL) ともに水画分で高い阻害活性を示した。黒麹菌および乳酸菌発酵物ではアンジオテンシン変換酵素阻害活性の増強もみられた。幼果由来成分および発酵生成物解析の結果, 幼果よりスクロースおよびシトルリンを同定し, これらは7日目に消失することがわかった。黒麹菌と乳酸菌では7日目以降の発酵生成物に相違がみられた。黒麹菌発酵物より血圧上昇抑制効果を有するマンニトールを同定した。乳酸菌発酵物ではマンニトールの生成がみられなかったため, 両化合物では各種阻害活性に関与する化合物が異なることが示唆された。以上のことより, 黒麹菌および乳酸菌を用いた発酵は富有柿幼果の機能性を増強することを明らかにし, 機能性素材として活用できる可能性が示唆された。
資料
  • 松元 圭太郎, 村上 太郎, 石原 健吾, 岡村 浩嗣, 矢口 友理, 小野 智子, 藤井 久雄, 橋場 直彦
    2015 年 68 巻 5 号 p. 233-241
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/19
    ジャーナル フリー
    健康科学系の女子大学生における特定保健用食品の食用油 (食用油トクホ) の利用実態を質問紙で調査した。回答した1,223名の47%が食用油トクホの利用経験があった。利用理由の69%が, 同居の家族が利用していたことだった。保健用途が期待されるのはBMIが23以上の者である。利用者の49%が保健用途の期待される対象者を理解していた。しかし, 対象者に該当したのは利用者の13%であり, 保健用途の体感率は1%未満だった。食用油トクホの保健用途の体感率が低かった一因として, 保健用途が期待されにくい者による利用が多いことや, 食用油は主に調理に用いられるため, 日常の多様な食生活で保健用途が発揮されるための目安量を安定して摂取しにくいことが考えられた。
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