日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
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70 巻, 3 号
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総説
  • 山田 和彦, 田中 弘之, 石見 佳子, 梅垣 敬三, 井出 留美
    2017 年 70 巻 3 号 p. 91-99
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/23
    ジャーナル フリー

    食品の機能性に関する表示は, 消費者が食品を選択する際の一つの有効な手段となる。保健機能食品は, 食品表示法に基づく食品表示基準に規定されており, 特定保健用食品, 機能性表示食品および栄養機能食品からなる。特定保健用食品は, 健康増進法においても規定されており, 特定の保健の用途に適する旨を表示するもので, 販売に当たり国の許可が必要である。機能性表示食品は, 2015年に新しく創設された制度であり, 事業者の責任において体の構造と機能に関する機能性表示をすることができる。販売前に機能性と安全性に関する科学的根拠資料を国に届出る。栄養機能食品は, 規格基準型の食品で, 国の許可を受けることなく栄養素の機能表示をすることができる。2015年の特定保健用食品の市場規模は約6,400億円, 栄養機能食品といわゆる健康食品を合わせて1兆5千億円と試算されている。これらの食品の機能性に関する表示は消費者に正しく理解される必要があり, 普及・啓発が重要である。これにより, 人びとの健康の維持・増進が期待される。

報文
  • 野田 聖子, 山田 麻子, 中岡 加奈絵, 五関‐曽根 正江
    2017 年 70 巻 3 号 p. 101-108
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/23
    ジャーナル フリー

    アルカリホスファターゼ (ALP) はリン酸モノエステルを加水分解する酵素であり, 小腸に局在する小腸型ALPは脂質代謝との関係が示唆されているが, その生理機能は未だ不明な点が多い。本研究では, ヒト結腸癌由来細胞で, 培養後に小腸上皮様細胞に分化するCaco-2細胞を用いて, ビタミンK2の1種であるメナキノン-4 (MK-4) がALP発現へ及ぼす影響について検討を行った。コンフルエント後14日間培養し, Caco-2細胞にMK-4を添加 (MK-4濃度: 0, 1, 10 μM) した結果, MK-4濃度が1または10 μMのALP活性が0 μMと比べて, 有意に高値を示した。さらに, ヒト小腸型ALP遺伝子のmRNA発現量も, MK-4濃度1 μMで0 μMと比較し有意に高値を示した。本研究において, ヒト小腸上皮様細胞でのMK-4による小腸型ALP発現の増強作用について初めて示すことができた。今回の結果は, 小腸型ALP発現調節を介したビタミンK2の新たな生理機能の解明につながることが期待された。

研究ノート
  • ―プラセボ対照・二重盲検・ランダム化比較試験―
    河崎 祐樹, 八木(田村) 香奈子, 後藤 純平, 清水 邦義, 大貫 宏一郎
    2017 年 70 巻 3 号 p. 109-115
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/23
    ジャーナル フリー

    目的: 健常な日本人が黒ニンニク含有サプリメントを摂取することによる肝機能への有効性を検証すること。試験デザイン: プラセボ対照・二重盲検・ランダム化比較試験。方法: 40名をランダムに2群に割付, 黒ニンニクまたはプラセボを12週間, 摂取させた。摂取前, 6週間後, 12週間後に血液検査 (肝機能, 腎機能, 血糖, 脂質) , 身体測定などを行った。結果: 12週間後の変化量において, 肝機能マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT) は黒ニンニク群のほうが有意に小さい値を示し (p=0.049) , アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) も黒ニンニク群のほうが小さい傾向を示した (p=0.099) 。結論: 黒ニンニクを12週間摂取することで, 健常日本人に対して肝機能保護作用を示すことが示唆された。本試験はUMINへ登録されている (UMIN000024771) 。

資料
  • ―11週齢ラットにおける4週間の5%ロイシン添加食の投与―
    中岡 加奈絵, 山田 麻子, 奥 裕乃, 野田 聖子, 星野 亜由美, 五関‐曽根 正江
    2017 年 70 巻 3 号 p. 117-125
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/23
    ジャーナル フリー

    分岐鎖アミノ酸の1つであるロイシン添加食の摂取が骨代謝に及ぼす影響について検討した。11週齢Sprague-Dawley系雄ラット18匹をコントロール食 (Cont.) 群 (n=9) , 5%ロイシン添加食 (Leu) 群 (n=9) の計2群に分けた。実験食開始28日後の総脂肪量, 内臓脂肪量, 皮下脂肪量, 筋肉量および体脂肪率において, Leu群とCont.群の間に有意な差は認められなかった。カルシウム (Ca) 出納試験の結果, Ca吸収量, Ca吸収率, Ca保留量およびCa保留率において, Leu群とCont.群の間に有意な差は示されなかった。また, 大腿骨のアルカリホスファターゼ活性や乾燥重量当たりのCa含量, 大腿骨または腰椎の骨塩量や骨密度において, いずれもLeu群とCont.群との間に有意な差は示されなかった。本研究において, ロイシンの添加による骨代謝に及ぼす影響は認められなかった。

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