日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
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71 巻 , 5 号
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総説
  • (平成30年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
    松村 成暢
    2018 年 71 巻 5 号 p. 231-235
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー

    油脂を多く含む食品は魅力的なおいしさ (嗜好性) を持つ。我々はこれまでの研究により脂肪酸結合タンパク質CD36が舌の味細胞に発現していることを見出し, 油脂が受容体を介して味細胞を刺激することを示してきた。本研究ではGタンパク共役型の脂肪酸受容体GPR120が舌の味細胞に発現していることを新たに発見した。次に油脂の嗜好性の脳内メカニズムについて検討を行った。嗜好性の高い食品の摂取は脳内でβエンドルフィン分泌を促進することが知られている。そこで, マウスに油脂を摂取させ検討したところ, 脳内でβエンドルフィンニューロンが活性化されることが明らかとなった。βエンドルフィンは快感を生み出す神経ペプチドであることから, 油脂はCD36とGPR120を介して味細胞を刺激し, 味覚神経を介して脳内でβエンドルフィン分泌を引き起こす。これが快感を生み出し, 油脂の高い嗜好性の発生に関与する可能性を示した。

  • (平成30年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
    東村 泰希
    2018 年 71 巻 5 号 p. 237-241
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー

    大腸がんや炎症性腸疾患をはじめとする大腸疾患群は, 大腸粘膜における酸化ストレスの蓄積や, それに起因した炎症病態を素地とすることから, 抗酸化経路の活性化に基づく炎症制御が肝要とされている。本研究では, 生体の持つ酸化ストレス防御機構と大腸炎発症に関する基礎的な研究を施行した結果, 大腸粘膜固有層に存在するマクロファージにおいて抗酸化経路の一つであるヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1) を介した応答系を活性化させることが大腸疾患の抑制に効果的であることを動物実験により明らかにした。さらに, 食品由来因子を用いた応用的研究に関しては, アガロオリゴ糖がHO-1発現誘導を介して大腸炎を抑制することを明らかにした。また, マクロファージはHO-1の高発現により炎症抑制型であるM2型マクロファージへと形質分化することを見出した。以上より, マクロファージの形質分化制御に関する食品機能学的研究は, 食品因子を用いた大腸疾患予防を目指すうえでの新たな標的と考えられる。

研究ノート
  • 好田 裕史, 淡路 友香子, 内田 雅昭, 永井 成美
    2018 年 71 巻 5 号 p. 243-250
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー

    ウイスキーの香り刺激後の眠気感覚を体温や自律神経活動と共に評価することを目的とした。若年女性12名に, 異なる2日間の午前9時に, ウイスキー (8倍希釈) もしくはブランク (水) 10 mLを染み込ませた角綿をマスクに挟んで65分間連続で香りを負荷し, 主観的眠気・覚醒感覚, および深部 (鼓膜温) ・末梢 (足先) 体温, 自律神経活動 (心拍変動) を経時測定した。その結果, 1) 主観的な眠気スコア (絶対値) には両試行間で有意な差はみられなかった, 2) 深部体温は, ブランクでは負荷後65分まで緩やかに上昇を続けた (約0.05℃上昇) が, ウイスキー試行では負荷後30分まで上昇 (約0.15℃) した後低下する変化を示した。3) ウイスキー試行では, 負荷後の深部体温 (最大値からの低下量) と眠気スコア増加に有意な相関が認められた。本研究で用いたウイスキーの香りには, 深部体温を変化させる作用を有することが示唆された。主観的眠気に関しては, 評価方法を改善した検討が必要である。

資料
  • 久永 絢美, 杉浦 実
    2018 年 71 巻 5 号 p. 251-256
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー

    近年, 消費者庁で新たな食品表示法が施行され, 生鮮農産物も栄養機能食品の対象になった。ウンシュウミカンは日本国内で最も良く食される国産果実の一つであり, ビタミンCを多く含む。そのため, 栄養機能食品としての期待が高い。しかしながら, ウンシュウミカンに含有されるビタミンC量の品種群や果実品質 (等級) による違いに関して, 詳細に調査した報告は少ない。そこで本研究において, 我々は国内主産地で収穫されたウンシュウミカン中のアスコルビン酸含有量を調査し, その含有量と糖度との関連性について検討を行った。その結果, ウンシュウミカン果実中の総アスコルビン酸含有量は早生品種で最も高く, その後, 出荷時期が遅い果実ほどその含有量は低値を示し, また酸化型アスコルビン酸の割合が増加することが明らかとなった。また果実中のアスコルビン酸含有量は糖度と有意に正相関し, より等級の高い果実ほど含有量が多いことが明らかとなった。

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