日本栄養・食糧学会誌
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71 巻 , 6 号
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総説
  • (平成30年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞)
    堀尾 文彦
    2018 年 71 巻 6 号 p. 267-274
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー

    糖・脂質代謝異常症の原因遺伝子の同定と, 発症抑制する食事因子の探求とを目的とした。遺伝因子に関しては, マウス SMXA 組換え近交系統の中に高脂肪食誘発性2型糖尿病と脂肪肝を呈する SMXA5 系統を見出した。SMXA5 の原因遺伝子を同定するために高脂肪食摂取下で遺伝解析を行って, 糖尿病遺伝子座を第2番染色体に, 脂肪肝遺伝子座を第12番染色体に検出することに成功した。これらの遺伝子座を含む染色体部分置換マウスを作出して原因遺伝子の染色体上の存在領域を限局して, 糖尿病遺伝子については4つの候補遺伝子を, 脂肪肝遺伝子については1つの候補遺伝子を選抜した。食餌因子に関しては, コーヒー, 植物性タンパク質, キノコ由来ペプチドなどの糖尿病の発症抑制効果を見出した。コーヒーは, 2型糖尿病でのインスリン抵抗性を改善させて高血糖の発症を抑制すること, また膵臓β細胞の保護作用により1型糖尿病も抑制することを見出した。これらの成果は糖尿病・脂肪肝の新規の発症機構の発見と, 疾患を予防する食生活の構築に寄与するものである。

  • (平成30年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
    財満 信宏
    2018 年 71 巻 6 号 p. 275-281
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー

    腹部大動脈瘤 (AAA) は, 腹部大動脈の進行的な拡張を特徴とする疾患であり, その瘤径が拡張するにつれてAAA破裂の危険性が増す。AAAの発症や破裂に至る機構は完全には解明されておらず, 現時点ではAAAの治療薬は存在しないが, 近年, エイコサペンタエン酸などの機能性脂質を豊富に含む魚油の投与がAAAの進展と破裂の予防に効果的である可能性が示されてきた。我々は, 栄養血管の狭窄による血管壁の循環不全がAAA形成の原因となりうることと, 血管壁に異常出現する脂肪細胞がAAA破裂の原因となりうることなどをヒトAAA病理解析とモデル動物を用いた解析によって明らかにしてきた。本総説では, AAAの病理解析に用いた生体分子イメージング法である質量分析イメージング法の概説と, これまでの研究から推測されたAAAの発症や破裂に至る機構, 予防・治療の可能性について議論する。

研究ノート
  • 青江 誠一郎, 小前 幸三, 井上 裕, 村田 勇, 峰岸 悠生, 金本 郁男, 神山 紀子, 一ノ瀬 靖則, 吉岡 藤治, 柳沢 貴司
    2018 年 71 巻 6 号 p. 283-288
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー

    本研究は, 異なる配合率のモチ性の大麦品種「キラリモチ」混合米飯の摂取が米飯と比較して食後血糖値の上昇を配合率依存的に抑制するかとGlycemic Index (GI) が配合率依存的に低下するか検証するため実施した。対象は健常な成人10名 (男性6名, 女性4名) とした。糖質50 g分の米飯 (基準食) とモチ性大麦の配合率が30, 50, 100%の大麦混合米飯 (試験食) のそれぞれを摂取し, 摂取前および摂取開始から15, 30, 45, 60, 90, 120分後の血糖値を測定した。血糖値, 血糖値上昇曲線下面積 (IAUC) , Glycemic Index (GI) について解析した。大麦の配合率が増加するほど血糖値とIAUC0-120が低下した。GIは, 基準食を100とした場合, 大麦配合率30, 50, 100%でそれぞれ, 79.7, 67.5, 48.3であった。モチ性大麦混合米飯には, β-グルカン量に依存して米飯と比較して血糖値の上昇を抑制する効果が示唆された。

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