日本栄養・食糧学会誌
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74 巻 , 1 号
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総説
  • (令和2年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞)
    福島 道広
    2021 年 74 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/27
    ジャーナル フリー

    腸内環境はヒトの健康に大きく関わっている。本研究では農産食品素材が腸内環境を改善する効果について検証した。まず小豆等に含まれるレジスタントスターチは盲腸内で短鎖脂肪酸を増加させ, コレステロールや脂質代謝改善効果をもたらした。さらに迅速に腸内発酵特性を検討できるin vitro腸内発酵実験モデルを構築した。その結果, 食品素材の影響や腸内発酵の経時的変化を短期間で調べることが可能となり, in vivoモデルと同様な結果も得られた。最後に化学修飾したヒドロキシプロピル (HP) -澱粉により, 腸内細菌叢ではβ多様性がHP-澱粉と通常澱粉で異なる細菌叢組成を示した。その結果HP-澱粉が盲腸内短鎖脂肪酸を増加させ, 血漿グルカゴン様ペプチド-1 (GLP-1), ムチン量, 免疫グロブリンA (IgA) 量との間に正の相関がみられ, GLP-1は摂食量, 腸間膜脂肪面積との間に負の相関にあった。これらの研究成果は腸内環境改善に関する基礎的研究であるが, 人々の健康長寿の維持・増進に貢献できることを期待する。

  • (令和2年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
    岡崎 由佳子
    2021 年 74 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では, 大腸内の細菌叢, 発酵産物, ムチン, 免疫グロブリンA (IgA) およびアルカリホスファターゼ (ALP) 等の因子を調節する食品因子について検討を行った。著者らは, 北海道産食品のユリネの研究をもとに, ユリネに含まれるグルコマンナン等の水溶性食物繊維や難消化性オリゴ糖が共通して, 大腸特異的にラットALP活性を増加させ, この作用に腸型ALP遺伝子 (IAP-I) の発現誘導が関与することを見出した。また, 難消化性糖質摂取による大腸ALP増加と栄養条件との関連性について検討を加え, オリゴ糖摂取による大腸ALP活性と遺伝子発現上昇作用は, 摂取する脂質の種類により異なることを見出した。さらに, 難消化性糖質摂取による大腸ALP活性上昇は, これまでその増加作用が報告されていた糞中ムチン含量, Bifidobacterium spp.の割合および酪酸含量といった, 腸内環境の機能維持に関わる因子と正の相関関係にあることを明らかにし, 大腸ALP活性増加の大腸内環境機能維持への関与について考察した。

研究ノート
  • 久米 大祐, 喬 穎, 中山 珠里, 保川 清, 島尻 佳典, 伊東 昌章
    2021 年 74 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では, シマグワ (Morus australis) 葉から製造したパウダーを配合したパン (シマグワパン) の血糖値上昇抑制効果を検証することを目的とした。実験1では, シマグワパンの機能性解析として, 1-デオキシノジリマイシン (1-DNJ) 含有量, α-アミラーゼ[3.2.1.1]およびマルターゼ[3.2.1.20]阻害活性を評価した。実験2では, 健常成人を対象として同パンの食後血糖値上昇に対する抑制効果を検証した。実験1の結果, 製パン時に1-DNJ含有量は減少するものの, シマグワパンには1-DNJが残存していることが示された。シマグワ葉パウダーにα-アミラーゼ阻害活性は認められなかった。シマグワパンは, シマグワ葉パウダーそのものよりもマルターゼに対する50%阻害濃度は高値を示すものの, マルターゼ阻害活性を保持していた。実験2の結果, シマグワパンを摂取した後は, 通常のパンを摂取した後よりも, 血糖値およびインスリン値の上昇が抑制された。本研究の結果から, シマグワパンの血糖値上昇抑制効果が明らかとなった。

資料
  • 首藤 由佳, 安田 純, 佐藤 愛, 井上 幹太, 藤田 聡, 海老 久美子
    2021 年 74 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/27
    ジャーナル フリー

    夏季暑熱環境における食欲低下は体重減少を引き起こし, アスリートの運動パフォーマンスに影響を与える可能性が高い。そこで本研究では夏季において, 全国4校の高校硬式野球部に所属する選手1年生94名を, 栄養教育と併せて選手が米を活用するRICE群 (n=38) 及び対照群として栄養教育のみのCON群 (n=56) に群分けし, 栄養教育と併せて選手による米の活用が夏季の食生活に及ぼす影響を検証した。栄養素・食品摂取量は食物摂取頻度調査を用いて算出し, 身体組成とともに介入前後の4月及び8月において評価した。結果, 食欲が低下しやすい夏季にエネルギー消費量が増加する野球部において, RICE群はCON群と比較して体重減少量が有意に抑制され, 米類摂取量の有意な減少量抑制及び野菜類・海藻類摂取量における増加量の有意な高値が認められた。以上より, 高校野球選手において栄養教育と併せて選手自身が米を活用することは, 夏季における米及び副食の摂取量に対し影響を及ぼす可能性が示唆された。

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