豚, 牛, 鶏の筋肉及び肝臓に就き特に調味せず炒める茹でる, 等の基本的調理操作を施行し, この際ビタミンB
2に及ぼす影響を観察した結果を総括すれば次の如くなる。
(1) 炒める, 茹でる等の調理操作に依り肉類のビタミンB
2は総括的に約20%損失せられるが炒める場合より茹でる方が影響が大である。
(2) 筋肉のFRはこれ等の調理操作に依つて殆んど消失した。
(3) 従つて調理肉では生肉に比し総B
2量に対するFAD及びFMNの比は可成り増加したが, この傾向ばFADよりFMNにおいて著しい。これは調理操作によりFADよりFMNに移行したためであろう。
(4) 肝臓においてはFADの減少は筋肉に比して少なくFMNの変化も著しくはない。調理後も約60~70%のFRが残存し肝臓のB
2は調理操作に対して可成り安定である事が考えられる。
(5) 螢光燈の照射に依り肝臓のB
2は総量的に10~20%減少する。その場合生の方が炒めたものよりも影響が大で約10%も多い。
(6) なお照射後, 生及び炒めたものは何れもFADの減少が著明で前者では照射前の約35%, 後者では45%である。
(7) これに反しFMN量は照射前に比し生で約150%炒めたもので約170%であり, 著しく増大する。従つてFADの減少と共にFMNの増加が認められ, FADよりFMNに変化したことを思わせる。
(8) 鶏の肝臓につき炒めたもの, 及び茹でたものに就き, B
2組織化学的方法に依りフラビンの分布の状態につき検索した。
抄録全体を表示