植物組織中のAscorbin酸量を精確簡便に測定し得る方法を求める目的でRoe氏原法の改良法である‘37°, 3hrs.’法に対し更に改良を加えて実際的に正確にして便利な様に改善しようと試みて実験を行った結果以下の知見を得た。
1) Incubation timeを最も短縮しとた考えられる‘ 100°, 10分’法を検討した結果, 共存するAsAの酸化による影響が著しく, DHAとの分離定量が困難であるのみならず, 操作上における再現性に乏しいことを知った。
2) Incubationの温度と時間を種々に変えてAsAが共存する場合のDHA量を測定した結果, AsAの酸化による影響をほとんど受けない条件は‘50°, 60分’であった。
3) 天然植物組織内におけると同様に多量のAsAが共存する試料中のDHA量を‘37°, 3hrs’及び‘50°, 60分’で測定した結果, 何れの場合もAsA量の増加に比例してその酸化による影響が現われた, 但し, それは検液に2%TU液を加える事にょり防止する事が出来た。EDTAの添加は効果がなかった。
4)‘37°, 3hrs,’ 法においても共存するAsA酸化による影響は完全には免かれ得ないが, ‘50°, 1hr.’では37の場合よりむしろその影響が少ない。従って‘37°, 3hrs, ’法に代るincubationの条件は‘50°, 1hr,’ が妥当であるとの結論を得た。
5) 天然植物組織中のAsA量を‘50°, 1hr, ’法で測定し‘37°, 3hrs,’ 法と比較した結果, 両法は約2%の誤差範囲内でほぼ同値を得, また回収実験の結果も再現率97%であった。
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