栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
17 巻, 4 号
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  • MetaおよびPyrophosphateの影響について
    宮辺 豊紀, 大平 伸夫
    1964 年 17 巻 4 号 p. 225-232
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    本研究の異常乳とは搾乳直後の新鮮乳であるにも拘わらずアルコールテストによって乳凝固を引き起こすアルコール不安定乳の略称である。
    1) 異常乳のcurd tensionを殆んど0にするためにはmetaまたはpyrophosphateを約180mg%加えてやる必要があった。これに反して正常乳では約80mg%の添加で完全に0となった。すなわち異常乳は正常乳の約2倍以上の燐酸塩の添加量を必要とした。またpyrophosphateの場合はmetaphosphateの場合より約20~40mg%だけ多く加えないとcurd tensionは殆んど0にならなかった。Curd tensionの低下曲線は互いによく似ていた。
    2) Metaphosphateの添加量1mg当たりのカゼイン1gの結合カルシウムの増加量 (絶対量mg) は異常乳が7.5×10-2, 正常乳4.4×10-2で前者は後者の約1.7倍だけ多く結合し, pyrophosphateの同じカルシウム結合量 (mg) は異常乳が6.2×10-2, 正常乳が3.1×10-2を示し, 約2.0倍だけ多く結合した。そしてmetaphosphateの場合はpyrophosphateの場合より約20%だけ多くカルシウムを結合した。
    3) Metaphosphateの添加量1mg当たりのカゼイン1gの燐結合量 (mg) は異常乳が約15.0×10-2, 正常乳が17.8×10-2で約0.85倍の減少を示し, pyrophosphateの同じ燐結合量 (mg) は異常乳が11.0×10-2正常乳13.8×10-2で約0.79倍の減少を示した。そしてmetaphosphateの場合はpyrophosphateの場合よりも約25%だけ燐を多く結合した。
    4) すなわち自然状態における異常乳のカゼイン粒子は正常乳のそれよりも, これら燐酸塩の添加により燐の結合能よりもカルシウムの結合能が強く, カルシウムイオンを減少させ, 非解離性の複合体を形成した。正常乳ではこれとは逆の現象を示すので, カゼインの結合Ca: Pの比率の低下は極めて顕著でcurd tensionも急速に0に近づき, 異常乳より少量の燐酸塩の添加によって早くsoft curd milkになることが認められた。
    異常乳では燐酸塩添加前の当初から既に多量の燐を結合していたので, 結合Ca: Pの比率も初めから低く, curd tensionの低下も緩慢で, 正常乳に比べてsoftcurd milkになり難かった。すなわち正常乳における燐酸塩の添加によるcurd tensionの急速な低下とカゼイン結合のCa: Pの比率の低下とは相応していることが認められた。
  • CaおよびP代謝におよぼすMg投与量の影響
    五島 孜郎, 関 博麿
    1964 年 17 巻 4 号 p. 233-235
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    さきに, Ca, MgおよびPの代謝におよぼす乳糖およびブドウ糖の影響を報告したが, これらの結果よりMgとCaおよびPとの相互関係について考察した。
    1) 飼料中糖質としてブドウ糖を投与したとき, Mg投与量の増加によってCa, Mgの尿中, Pの尿中排泄率が増加した。Mgの体内保留量はその割には増加しなかった。
    2) 飼料中糖質として乳糖を投与したとき, Mg投与量の増加によって, 尿中CaおよびP排泄率は低下した。Mg体内保留量は投与量の割合に応じて増加した。
    3) 飼料中糖質の種類に関係なくMg投与量の増加によって尿中Mg排泄は増加し, 尿中P排泄は減少した。
    4) MgのCaおよびP代謝におよぼす影響として無機質の量的比とともに飼料中糖質の種類も関係因子となるようである。
  • 不破 英次, 増田 幹夫
    1964 年 17 巻 4 号 p. 236-239
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    In order to know the influence of age on the supplement of polished rice with lysine and threonine weaning male rats were fed on a 90% rice diet supplemented with or without 0.4% L-lysien hydrochloride and 0.24% DL-threonine (diets 2 and 1) from weaning to 15-week-old. Rats fed on diet 2 showed higher growth rate, higher ratio of retained nitrogen to absorbed nitrogen, and higher ratio of urinary allantoin to urinary urea than those of rats fed on diet 1 throughout the periods.
    When rats of about 20-week-old were fed on diets 1 and 2, the ratio of retained nitrogen to absorbed nitrogen, biological value, true digestibility and net protein utilization did not differ among rats of both dietary groups.
    By the depletion-repletion technique, increase in body weights of adult rats fed on an 85% rice diet supplemented with 0.2% L-lysien hydrochloride and 0.24% DL-threonine was found significantly greater than those of adult rats fed on an 85% rice diet.
  • 不破 英次
    1964 年 17 巻 4 号 p. 240-243
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Growth rate of young rats and ratio of retained nitrogen in absorbed nitrogen were capable of measuring the effect of supplement of a diet containing 85% of polished rice with 0.2% L-lysine hydrochloride and 0.24% DL-threonine.
    Although weaning male rats grew at approximately the same rate when they were fed on diet C (a 85% polished rice diet supplemented with 0.2% L-lysine hydrochloride and 0.24% DL-threonine) and diet D (the same diet as diet C except that double amount of L-lysine hydrochloride was added), ratio of retained nitrogen to absorbed nitrogen and ratio of urinary allantoin to urinary urea of rats fed on diet D were significantly higher than those of rats fed on diet C.
  • 平 宏和, 平 春枝
    1964 年 17 巻 4 号 p. 244-247
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 種実類 (ギンナン・マツ・クルミ・ペカン・クリ・アサ・ケシ・カラシナ・アーモンド・サンショウ・ゴマ・シソ・カシュー・スイカ・カボチャおよびクリカボチャ) のアミノ酸組成を, 微生物法により定量した。
    2) 種実類と穀類および豆類など34種食用種子のアミノ酸組成において, alanineとleucine, glycineとarginineおよびglutamic acidとprolineに正相関, aspartic acidとprolineおよびaspartic acidとglutamic acidに負相関がそれぞれみられた。
  • 納豆製造工程中のアミノ酸
    平 春枝, 平 宏和, 桜井 芳人
    1964 年 17 巻 4 号 p. 248-250
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 納豆製造工程における全アミノ酸および遊離アミノ酸の変化を, 原料・蒸煮・醗酵8時間および醗酵16時間の各試料につき, 微生物法により定量量した。
    2) 納豆製造工程中, 全アミノ酸においては, 蒸煮ならびに醗酵処理によりarginineが減少を示したほかは変化が認められなかった。一方, 遊離アミノ酸は, 醗酵工程中増加の傾向を示した。なお, 醗酵両試料中の遊離アミノ酸含量は, glutamic acidが多く, cystineは少ない。
    3) 醗酵8時間および16時間各試料の全アミノ酸に対する遊離アミノ酸の遊離度は, それぞれ約4%および約11%であり, alanine, tryptophanおよびthreonineは遊離度が高く, aspartic acid, proline, cystineおよびserineなどは低い。
  • 石崎 有信, 坂元 倫子, 相 静江
    1964 年 17 巻 4 号 p. 251-254
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Caのキレート滴定法に必要な除燐に, オキシ塩化ヂルコニウムを用いる方法のpHの調整法を改良して, メチルレッドを指示薬としてアンモニアおよび塩酸でpH5.5~4.0にすれば良いことを明らかにした。
    また灰化法を簡易化し, カルセインを指示薬とする滴定法と組合わせて, 生物学的試料のCa定量に適する分析方式を決めた。
    食品および屎尿にこの分析法を実施して, 従来の方法よりも簡便であり, また, より正確であることを確かめた。
  • 栄養係数による学校給食献立の解析
    藤原 邦達, 福原 貞介
    1964 年 17 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    われわれが前9報にのべた栄養係数論にもとづく献立解析の方法は, 本報において京都市学校給食の解析に適用された結果従来ややもすれば典型的献立との単なる類比にとどまりがちであった献立立案もしくは評価の仕方を, 栄養学的知見に従ってより精密な数値を媒体として考えなおし, あるいは図形としてみなおすために有用であることが明かになったといえよう。
    学給献立についてはさらに基本的に, 文部省の基準量によらず, その地域の体位, もしくは目標とする体位にもとづく府, 県, 市など地域独自の摂取基準栄養量を設けるべきであり, そのほか問題点は多いのであるが少なくとも献立解析の手法としては本論の方法が現状では要をつくすものと考えたい。
    なお本論のもうひとつの目的である京都市昭和37年度学給献立の評価については各論にのべたのでここには再掲しないが, 関係各位の献立作製に注がれたなみなみならぬ努力のあとが偲ばれると共に, われわれの方法によってなお仔細に検討すれば今後に残された課題もまた多いことも明かである。
  • 小柳 達男, 鷹觜 テル, 晴山 信一
    1964 年 17 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    栄養状態の不良なひえ地帯の学童に肝油を与えることにより暗調応は著しく改善されたがまだ正常にはならなかった。脱脂粉乳の給食が長期行なわれた結果ほとんど正常にまで回復した。
    毛髪シスチン含量は初めきわめて低い値を示し, 肝油だけの投与では僅かしか高まらなかったが脱脂粉乳を9カ月与えるとほとんど正常な値にまで上昇した。
    肝油投与により尿中の窒素, 燐の排泄の減少, 硫黄およびサイアミンの増加が認められた。肝油とともに水溶性ビタミン (除B12) の投与を行なうと燐は減少し硫黄は増した。
    水溶性ビタミンの投与によりサイアミン, リボフラビンの排泄が著しく増したことはこの学童達にこれらビタミンの不足があったことを示すものと思われる。
  • えびの呈味成分について
    武 恒子, 本田 良二, 大塚 一止
    1964 年 17 巻 4 号 p. 268-274
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    さくらえび (乾物) と南蛮えび (生) の熱水処理液および加水分解液の4試料について, えびの呈味性がいかなる成分から構成されているかを検討した。その結果を要約すると,
    1. 核酸関連物質として, アデニン, アデノシン, ヒポキサンチン, イノシン, が認められたが, えびの呈味性とは関係がない。
    2. 有機酸はコハク酸を主体とするか, 含量は極めて少量で, えびの旨味を決定する成分ではない。
    3. グリシンおよびグルタミン酸を主体とするアミノ酸類が, えびの駐味成分を構成しており, また, アミノ酸類の緩衡能が大で呈味性にかなり寄与している。
  • 肉類の加熱溶出液中のアミノ酸含量について
    矢吹 ユキ, 泉 清
    1964 年 17 巻 4 号 p. 275-277
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 肉類の加熱処理液中に溶出した遊離アミノ酸について, イオン交換樹脂, およびペーパークロマトグラフィーによって定性をおこなった。
    2) Awaparaのペーパークロマトグラフィーによる, アミノ酸の呈色班点抽出比色法によって定量した。
    3) その結果, 10数種類のアミノ酸が加熱処理液中に溶出していることがみとめられた。
  • 新井 健一, 田中 ツネ, 斎藤 恒行
    1964 年 17 巻 4 号 p. 278-282
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Cation exchange chromatographic method proposed by S. Katz and D.G. Comb was modified for determination of 5'-ribonucleotides.
    By using Dowcx-50 (H+) column, 1.0×13.0cm2, authentic 5'-ribonucleotides, AMP, GMP, IMP, ATP, and acid-soluble ribonucleotides in the muscles of both carp and scallop were separated quantitatively and determined.
    The method was applied successfully to the determination of the quantities as small as 100μg of individual 5'-ribonucleotides.
  • 二, 三の動物性および植物性食品蛋白質のアミノ酸組成
    品川 孝雄, 垣生 俊夫, 村上 明美
    1964 年 17 巻 4 号 p. 283-285
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    表1にあげた食品についての文献がきわめて少ないため, 数値の比較対照が困難であるが, 従来広く用いられたOrr-Wattの“食品のアミノ酸含量表”の中にあられている食品のアミノ酸組成値と, 表1のそれとを比較すると, isoleucine arginine, lysineについては我々の得た値がOrr-Wattの値より高いものが多い。たとえばisoleucineについては, きゅうり, 玉葱, ピーマン, ほうれんそう, lysineについては, 芝えび, 大根, 玉葱, ピーマン, ほうれんそう, またarginineについては, 芝えび, 玉葱, ピーマン等の場合かなり高い値が得られた。Block-Bolling5) によると, 芝えび (Shrimp) ではlysine 325および518mg/1g N, arginine 356および413mg/1g N, ほうれんそうではlysine 325mg/1g Nであり, またBlock-Weissのアミノ酸組成表6) によると, ほうれんそうではlysine 475および294mg/1g Nで, いずれもわれわれが得た値より低く出ている。
    また含硫アミノ酸について表1の値を上記文献の値と比較すると, おおむね大差は認められないが, ただ大根の場合にOrr-Wattの表が9mg/1g Nとしているのに対し, われわれの値は47mg/1g Nであり, この差はあるいは試料品種の差によるものではないかと思われる。
    なおその他大根におけるaspartic acid, glutamicacid, 人参におけるcystine, glutamicacid等Orr-Wattの表の値より低い値の得られたものもあるが, おおむね従来の文献値より高い値の得られたものが多い。その理由としてはおそらく試料の加水分解方法のちがいによるところが大きいのではないかと考える。
    またDNP法によって得たε-NH2 lvsineの定量値についてみると, 微生物定量値に対して, 動物性食品 (3試料) では, 98.6ないし98.9%, また植物性食品では97.2ないし99.5%であって, ほぼ前報と同様の結果が得られた。
    このε-NH2 lysineの定量値は前報においても同様に従来認められている値にくらべてかなり高い。われわれが用いた試料の調製方法は, 前記実験方法 (1) のごとくであって, 加熱を全く避けており, これがε-NH2 lysineの高値が得られた一つの理由ではないかと考えられるが, この点については現在検討中である。
  • 各給食事業場における調理油の疲れ度合について
    梶本 五郎, 笠村 貴美子, 花田 完五, 飯嶋 猛, 山本 正明, 友田 喜一郎, 飯田 泰造
    1964 年 17 巻 4 号 p. 286-289
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    神戸市内の各区より学校給食場, 工場給食場, 病院給食場および揚げ物店をそれぞれ2カ所ずつ, 計45カ所を選び, 使用中のフライ油の品質, すなわち劣化度合を泡延距離, 過酸化物価および酸価より求めた。その結果
    1) 学校給食に使用しているフライ油は比較的新しい。
    2) 工場給食のフライ油は2~3例を除きいくぶん劣化している。
    3) 病院給食のフライ油は2~3例を除き, やや新しい。
    4) 揚げ物店のフライ油は総体的に劣化しており, ことに豆腐, 油あげ製造店, 肉フライ製造店, ドーナツ製造店, てんぷら製造店では変敗度が高い。
  • 家庭における調理油の疲れ度合について
    梶本 五郎, 笠村 貴美子, 真鍋 恵子, 前場 佳子, 向井 克憲
    1964 年 17 巻 4 号 p. 290-292
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    家庭でのフライ油の疲れ度合を調べるため, 市販の大豆白絞油を1.8l購入し, 500mlを支那鍋に入れ, 各揚げの回ごとに100mlをさし油し, 4人家族として各種の献立を作り, 1週に2回 (月曜日と木曜日) フライ物を行ない, 油脂1.5lを消費し終るまでのフライ油の疲れ度合を求めた。
    その結果, つぎのことが明らかになった。
    (1) 調理回数が増すにしたがい, わずかずつフライ油の泡延距離が拡がり, 酸価も増加した。すなわち劣化しだす。ただし, 揚げの回数が5回目まではいちじるしい疲れを示さず, 6回目すぎから疲れが目だった。
    (2) フライ後の調理油を鍋のまま放置, 鍋に蓋をした場合, あるいは瓶に貯蔵した場合とでは瓶に貯蔵したフライ油は疲れがおそく, 次いで蓋をした場合, 無蓋の場合は最も油脂を劣化させた。
  • Amylase活性および存在部位について
    久武 綾子
    1964 年 17 巻 4 号 p. 293-296
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ナガイモの抽出液にはamylaseの活性が僅かあるがこれを硫安67%飽和で沈澱させた糖タンパク質粗標品には活性がなく, またTEAEセルロースカラムで分画したA1, A2の標品にも活性がみられなかった。従って, 抽出液には僅か活性のあるamylaseは標品精製中に変性したものか, これらの糖タンパク質標品以外の部分にあるものと考えられる。
  • シイタケ中の有効成分の分離 (その1)
    徳田 節子, 金田 尚志
    1964 年 17 巻 4 号 p. 297-300
    発行日: 1964年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    シロネズミの血漿コレステロールを低下させるシイタケ中の有効成分は主にシイタケの水抽出物中に存在することを認めた。
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