栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
17 巻, 5 号
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  • 脂肪吸収に及ぼす蛋白質およびリボフラビンの影響
    広野 治子, 有山 恒
    1965 年 17 巻 5 号 p. 309-311
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 食餌蛋白の質と脂肪の吸収との関係をみるために蛋白源としてゼラチン, グルテン, カゼインを用い, シロネズミを飼育してその脂肪の吸収率を測定, 比較した
    2. 脂肪の吸収率はカゼイン食に於いて最も高くグルテン, ゼラチンの順で低下した。すなわち蛋白が良質なほど脂肪の吸収がよいという結果を得た。ただし蛋白質による脂肪吸収率の差は, その栄養に及ぼす影響の差に比べると僅少であった。
    3. リボフラビンの摂取量と脂肪の吸収率の関係を知るために, リボフラビンの投与水準を3群にわけてシロネズミの脂肪吸収率を比較した。
    4. 脂肪吸収率はリボフラビン無投与に比べて, 2.5γ投与の群は或る程度向上しているが, 全体的に見て, リボフラビンの摂取量は脂肪の吸収に影響することは少ないことがみられた。
  • 高脂肪食シロネズミの酵素能に及ぼすアスコルビン酸投与の影響
    広野 治子, 有山 恒
    1965 年 17 巻 5 号 p. 312-313
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 大豆油45%の高脂肪食にアスコルビン酸を添加してシロネズミを飼育し, 体重増加, 血清アルカリフォスファターゼ, 肝臓, 膵臓のリパーゼ活性度を測定した。
    2. 生長に対してはアスコルビン酸の影響はなんら認められなかった。
    3. 血清アルカリフォスファターゼ活性度はアスコルビン酸の投与により有意の差をもって増加した。
    4. 肝臓並びに膵臓のリパーゼ活性度はアスコルビン酸によって影響を受けなかった。
  • 道 喜美代, 江沢 郁子
    1965 年 17 巻 5 号 p. 314-318
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    必須アミノ酸最小必要量を与えるようにカゼイン蛋白質6%に必須アミノ酸混合物1.56%を補足したカゼインアミノ酸飼料 (必須アミノ酸-N, 0.73%, 可欠アミノ酸-N, 0.37%) を用い, グルタミン酸, アスパラギン酸, グリシンおよび, クェン酸アンモニウムなどの非必須-Nの添加効果を試験した。
    可欠アミノ酸-Nおよび, クェン酸アンモニウム-Nはそれぞれ, 無添加 (I), N, 0.10% (II), N, 0.19% (III), N, 0.29% (IV) およびN, 0.48% (V), の各レベルにおいて添加した結果, 体重増加量 (2週間) には著しい相異は認められなかったが肝臓のキサンチンオキシダーゼ活性において相異が認められ, グルタミン酸添加においてはN, 0.19%添加が酵素活性最高となり必須アミノ酸-N/可欠アミノ酸-N比 (I/D) が1.30でグルタミン酸の添加量として適量であることが認められた。
    基本飼料のみの無添加群 (I/D=2.0) および, 添加量が過剰となるとキサンチンオキシダーゼ活性は低くなり, アルギナーゼ活性はやや高くなることが認められた。
    アスパラギン酸添加においてもグルタミン酸と同様の添加効果が認められ, グリシン添加においてはN, 0.10%からN, 0.48%にわたり効果が認められ, 特にN, 0.29%添加 (I/D=1.1) が最も効果があることが認められた。
    クエン酸アンモニウムーNの添加は添加量の多少にかかわらず, キサンチンオキシダーゼ活性を高める効果は認められず, この基本飼料カゼイン・アミノ酸飼料の不足する可欠アミノ酸-Nの代りとして殆んど役立たないように見られた。
  • フライ油の疲れと脂肪酸の重合度合
    梶本 五郎, 向井 克憲
    1965 年 17 巻 5 号 p. 319-322
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    フライ油の疲れ度合 (泡延距離で表わし, mm値の大きいほど, 疲れが大である) と脂肪酸重合の程度および泡立性を検討するため, 大豆油を150℃, 190℃, 230℃, で加熱し疲れ度合の異なる油脂を調製し, 1N-KOHメタノール液で鹸化処理し, 得られた脂肪酸についてカラムクロマトグラフィーと薄層クロマトグラムを行なった。
    1. 脂肪酸のカラムクロマトグラフィーの結果では, 石油ベンゼンでモノマー部が溶出され, ついで2%メタノールベンゼン液でダイマー部, トリマー部が溶出されエチルエーテルで2次生成物が溶出された。
    油脂の疲れが大きくなるにしたがい, モノマー部の減少は多く, 反対にダイマー部, 2次生成物量は増加した。その増減傾向は泡延距離40mmまでがダイマー部, 2次生成物部の蓄積量は多く, それ以後では蓄積速度がおそい。また俗にカニ泡の出はじめは泡延距離32mmにあたり, 2次生成部の蓄積量が5%にあたる頃である。
    2. 加熱温度をかえ疲れ度合を同じにした大豆油脂肪酸では加熱温度とモノマー, ダイマー, 2次生成物含量の変化は必ずしも一致しないが, 2次生成物部は比較的よく一致した。
    3. カラムクロマトグラムで分別したモノマー部, ダイマー部, トリマー部, 2次生成物部について薄層クロマトグラムを行なった。その結果, モノマー部に比ベダイマー部のRfは低く, さらにトリマー部は小さく, 2次生成物部は原点近くに展開した。
  • 油脂の種類と疲れ度合
    梶本 五郎, 向井 克憲
    1965 年 17 巻 5 号 p. 323-327
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    180℃で大豆油, なたね油, ごま油, 鯨油, オリーブ油, やし油, ラード, ヘットを加熱し, 加熱時間と疲れ度合, 脂第17巻 第5号肪酸重合の程度および栄養価を調べた。その結果,
    1. 加熱時間の経過とともに各油脂の泡延距離は次第に拡がり, なかでも鯨油, ラード, オリーブ油, やし油は短時間にて拡がってくる。すなわち疲れが早く, ごま油, 大豆油, なたね油, ヘットは疲れがおそい。
    2. 加熱油の泡延距離と酸価の増加傾向とはよく一致し, AOM安定性試験ではオリーブ, やし油の両油脂が安定なるも, 加熱時は疲れやすいといった異なった傾向を示す。
    3. 疲れ度合の異なる加熱油脂肪酸のカラムクロマトグラムを行ない, 脂肪酸重合の程度を調べた結果, 各油脂の疲れがいちじるしくなるにしたがい, モノマー部は減少し, ダイマー部, 2次生成物部の蓄積量は増加した。
    特異な泡立ちを示すやし油は, 未加熱油でもダイマー部は10%をしめている。しかし持続性の泡立ちでなく, 持続性の泡立ちは2次生成物部によると考えられる。
    4. 各油脂の疲れがいちじるしい程, 白ネズミの体重増加量は少なく, 毛並はあれ, 持久力にとぼしい。ただし鯨油のみは加熱油の方が未加熱油に比べ栄養価が高い。
    5. カラムクロマトグラフィーで分別した大豆油脂肪酸のモノマー部, ダイマー部, 2次生成物部の各エステルを未加熱油に5%添加し, 基本飼料に15%になるよう配合し, 飼育した結果, モノマー部, ダイマー部エステルはいずれも栄養価に変化なく, 2次生成物部エステル投与群のみ体重の増加量は少ない。
  • ムツゴロウ, ワラスボのアミノ酸組成について
    山添 義隆, 石井 勝三
    1965 年 17 巻 5 号 p. 328-330
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 有明海産のムツゴロウ, ワラスボについてそのアミノ酸組成をJ. Awaparaの呈色斑抽出法, p-ジメチルアミノベンズアルデヒドを用うる比色法及びニトロプルシッドによる比色法などを用い定量した。
    2) 含量アミノ酸としてはAspartic acid, Alanine, Histidine, Tryptophan, Valine, Tyrosin, Leucine, Iso-Leucine, Phenylalanine, Methionine, Cystine, Glycine, Arginine, Lysine, Threonine, Glutamic acid, Serineなどが確認された。
    3) 必須アミノ酸はその全てを含み, ムツゴロウはワラスボに比べて極めて含有量は多く特にHistidine, Tr-yptophanが多かった。
    4) ワラスボダシ汁中のアミノ酸含量は新鮮物の65%で, Glutamic acid, Serineは認められなかった。
    5) ワラスボをダシとして用うるには5%, 3分間の煮沸が最適である。
  • ムツゴロウ, ワラスボのコレステロールおよび燐脂質含有量について
    山添 義隆, 石井 勝三
    1965 年 17 巻 5 号 p. 331-332
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. ムツゴロウ, ワラスボの卵, 肉質中のコレステロールおよび燐脂質含有量の測定を行なった。
    2. コレステロール, 燐脂質ともに卵に多く認められた。またワラスボに比ベムツゴロウに多く, 結合コレステロールよりも遊離コレステロール含有量が多かった。
    3. 脂質燐, コレステリンエステル脂肪酸および中性脂肪脂肪酸はワラスボに多く認められた。
    4. 中性脂肪含有量は回游魚サバの血合筋にはおよばないが, 普通筋に匹敵する含有昼を示し, その性状は抹香鯨脳油, タラ肝油類似のものでリノール酸含量が多いように思われた。
  • 黒川 一夫
    1965 年 17 巻 5 号 p. 333-336
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 大豆食品の水溶性窒素量は味噌, 納豆, 豆腐など製造処理法により異なるが, 味噌は全窒素の60%前後が抽出される。
    2. 抽出された窒素は味噌では, 大部分ホルモール窒素であったがその他では30%程度またはそれ以下であった。
    3. ペプシン, トリプシンなどの酵素は大豆製造工程の処理が進まないもの程よく作用し, かつまたメタノール, ブタノールで処理した大豆にもよく作用した。
    4. 大豆を加工処理して窒素抽出率が増加するとそれに伴って酵素作用による水溶性窒素量もある程度増加するので窒素の利用率はこれらの加工処理により向上する。
  • 栗山 千枝子, 伏崎 峯子, 村田 希久
    1965 年 17 巻 5 号 p. 337-341
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 0.02%5′-RNTおよび1mM5′-IMP, 5′-GMP, 第3表 市販醤油に添加した5′-RNTの残存率 (%) 5′-CMP, 5′UMPをpH3, 5, 7, 9に調整した溶液を100℃, 120℃に加圧加熱し, 残存する5′-RNTSを5′-Nucleotidaseによる酵素法で測定し, それらの残存率を求めた結果, 100℃の加熱ではいずれも著しい損失はなかったが, 120℃加熱においてはpHの低いほど, また加熱時間の長いほど, これらの分解が大となり, その傾向はPyrimidine nucleotidesよりもHydr-oxypurine nucleotidesにおいて顕著であった。
    2) 5′-RNTの3%NaCl, 0.3%グルタミン酸ナトリウム, 3%蔗糖溶液ならびに10P.P.M. のFe+++を加えた5′-RNT溶液を100℃もしくは120℃に加熱しても大きな影響が見られないが, 極くわずかに減少するにすぎなかったが, 3%ブドウ糖溶液中120℃加熱では5′-RNTの分解がかなり促進された。また塩酸, 酢酸, コハク酸, クェン酸でpH3に調整した溶液を100℃加熱しても, 5′-RNTの著しい損失は見られず, また酸による差も認められなかった。
    3) 5′-RNTを0.03%添加した市販醤油を30℃に6カ月保存すれば, 5′-RNTは71~77%, 室温保存では77~97%, 冷蔵保存では92~100%の残存率を示し, 3カ月保存では30℃でも86%以上残存することを認めた。
  • トルラ酵母よりタンパク質の分離抽出について
    満田 久輝, 河合 文雄, 壬生 良, 鹿内 健彦
    1965 年 17 巻 5 号 p. 342-346
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    乾燥トルラ酵母よりタンパク質の分離抽出法を検索した。その結果
    1) 水, 温水, 中性塩類溶液ではタンパク質はほとんど抽出できない。
    2) 0.5%以上のアルカリ溶液はタンパク質をよく抽出し得る。アルカリ濃度の上昇, あるいは抽出時間の延長は抽出率を高め得るが, タンパク質の加水分解を促進し, 製品の着色が著しい。
    3) セルラーゼによる酵素処理, ことに低濃度のアルカリ抽出との併用は, タンパク質抽出法として比較的推奨し得る。
    4) 8~10Mの尿素溶液による抽出は, 収量も良く, 操作も簡易で, 且つタンパク質の加水分解を伴わず優れた方法であることを立証し得た。
    5) 尿素抽出方法による精製タンパク質は, 無臭でほとんど白色に近く, 窒素含量12.8%でほとんど純タンパク質に近い。ペプシン, トリプシンによる消化率も92%以上であった。
  • 牛乳の加熱処理による影響
    津郷 友吉, 谷口 宏吉, 長尾 昭雄, 辻 博康
    1965 年 17 巻 5 号 p. 347-351
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    牛乳中のヌクレオチドを陰イオン交換樹脂 (Dowex 1×8ぎ酸型, メッシュ200~400) を用いたカラムクロマトグラフィーによって分析した。牛乳中に存在するヌクレオチドはCMPとAMPで, その量は100ml当りそれぞれ2.02mgおよび0.18mgである。
    牛乳に5種のヌクレオチド (AMP, CMP, GMP, IMP, UMP) を100ml当り各5mg添加した後, 加熱して, ヌクレオチドの牛乳中における熱安定性を試験した。ホスファターゼ活性を加熱処理して破壊した牛乳に添加して, 加熱した場合, 115℃, 15分の加熱によっても添加したヌクレオチドの大部分は変化を受けない。しかし原料乳に添加した場合, 加熱によって乳のホスフアターゼの作用を受け, 実験を行なった添加濃度では, ヌクレオチドの大部分が脱りん酸を受けヌクレオシド 変化する。このことは牛乳にヌクレオチドを添加する 合, 乳中のホスファターゼを不活性化した後, 行なう きであることを示している。
    乳中に最初から存在しているヌクレオチド (CMP) 乳のホスファターゼ作用を受けない。この最初から存 しているヌクレオチドのホスファターゼ安定性につい 若干検討を行なった。
  • 小柳 達男, 晴山 信一, 鷹觜 テル
    1965 年 17 巻 5 号 p. 352-356
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 貧しい食事をとっている学童にミネラル, 各種ビタミンあるいはこれとともにメチオニンを与えると, 毛髪シスチン含量が高まった。この投与物にさらに脱脂粉乳を加えると一層シスチン含量の増加がみられた。
    2) ミネラルとビタミンとだけの場合, あるいはこれとメチオニンを併用した場合に, 暗調応は改善されるがまだ正常でない。脱脂粉乳をこれとともに同時に与えるとはじめて正常になった。
    3) ミネラル, ビタミンとともにメチオニンを与えた群では尿中にクレアチンの濃度が増し, 体重増加も他のメチオニンを加えぬ群に比べて大であった。
  • アミノ酸インバランスにおけるシジミの影響
    稲垣 長典, 金光 洋子, 北島 照子
    1965 年 17 巻 5 号 p. 357-361
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) アミノ酸インバランスによる肝疾患に対するシジミの予防効果をB12と比較して検討した。
    2) 10%または18%蛋白レベルのグルテンを蛋白源としたアミノ酸インバランス基本飼料に, それぞれにL-メチオニン, L-リジンを添加補正したもの, シジミ粉末, またはB12を添加したものそれぞれ4群について, 白ねずみを用いる動物実験を行なった。これが判定として, 成長状態, 肝窒素量, 肝脂肪量, 肝重量, 肝XO値, 血清GOT値, 肝QO2値の測定を行なった。その結果いずれもアミノ酸添加群最良で, 次にシジミ粉末群, B12群でこれらは大体同様で, インバランス群は最も悪かった。
    3) アミノ酸インバランスによる肝疾患に対してシジミ粉末が有効で, その主なる有効成分はB12であると考える。
  • 粘質物の構成糖類, アミノ酸および灰分中金属の検索
    石沢 清
    1965 年 17 巻 5 号 p. 362-367
    発行日: 1965/02/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ワラビ粘質物を磨砕した若い葉柄の水抽出液からアルコールおよびエーテルによって分離し, ペーパークロマトグラフィーおよびその他の検出法により, その構成成分の検索同定を試みた結果次の事実を明らかにした。
    (1) 粘質物の主要成分は炭水化物であって, それは比較的多量のフコース, キシロース, ガラクトースとやや少量のリボース, アラビノース, マンノースおよびグルクロン酸から溝成されている複雑な多糖類と考えられる。
    (2) 粘質物の窒素含量は1.15%で, その構成アミノ酸としてアスパラギン酸, グルタミン酸, グリシン, アラニン, チロシン, プロリン, バリン, ロイシンおよび3種のニンヒドリン陽性物質が確認され, また蛋白質呈色反応ならびに金属塩との沈澱反応などから, 粘質物は一種のムコ多糖類であろうと考えられる。
    (3) 粘質物は約10%の灰分を含み, その大部はカルシウムとマグネシウムであり, そのほか少量のナトリウムとカリウムを含んでいた。そしてこれらの金属は粘質物とイオン結合しているものと推測される。
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