1. B
2-But強化パンのB
2-But含有量と分布均等性の検討
強化パン中央部1g中のB
2-But含有量の算術平均値は36.1μg/gである。表1のごとく33.3μg/g~37.1μg/gの確率分布であるから, ばらつきは比較的少ない。また, B
2-Butの残存率は97%であるから, 製パン中の損耗はほとんどないといってもよい。しかし, 強化パンの端の部分では, 製パン中の損耗がかなり認められ, ルミフラビン螢光法にて定量した結果, 算術平均値は24.9μg/gと低い含有量を示し, また分布均等性も低い。端の部分のB
2-But残存率は69%となり, 中央部と端の部分の含有量は明らかに差がある。このことは, B
2-Butが製パン中に高温加熱のために分解したものと考えられる。
2. 保存によるB
2-But強化パンのB2
2-But量の変化
製パン直後のB
2-But含有量は35.2μg/gであり, 10日経過後のB
2-But含有量は32.3μg/gであるから, 10日間保存による損耗は約8%となり, この両値をt分布で検定すると, 危険率1%で有意差が認められ, 強化パンのB
2-But含有量は, 10日間経過により約8%の損耗を来たすことになる。しかし, 10日間も保存することは実際にはあまりないから, 経時的損耗もほとんど無視してよいと思う。
3. 強化パンの加熱処理による影響
120℃, 2時間加熱処理した場合には, 約1/3程度のB
2-Butの分解を認めた。実際にトースターなどによる加熱処理はパンの表面がこれより高温になるものの, はるかに短時間処理であるし, パンの褐色の部分の残存率が約70%であることをみても, パンを加熱調理する場合のB
2-Butの損耗は30%を越えることはあるまい。
4. B
2-But強化パンの味覚
表5に示す如く, 強化パンの色については, 今回は食パンについて実施した故, 市販食パンの白色に対する既成意識のためか, 従来の市販食パンと今回の強化パンとの間に有意差が認められた。しかし, 市販エッグパンのようにすでに黄色の地色である場合には, B
2-Butを強化しても色の変化は認め難く, 恐らく有意差は認められなくなると思う。味覚については市販食パンよりも良い評点を与えているパネルもあり, 市販食パンと強化パンとの間にTukeyの表より分析した結果では有意差は認められなかった。
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