栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
20 巻, 5 号
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  • マグネシウムの定量について
    長田 博光, 後藤 郁子
    1968 年 20 巻 5 号 p. 349-354
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食品中のマグネシウムを迅速にしかも正確に定量する目的で原子吸光分光分析法を検討した結果十分応用できることを認めた。
    (1) 原子吸光分光分析法によるマグネシウムの定量について基礎的な検討を行ないその測定条件を定めた。
    (2) 共存元素の影響について試べた結果アルミニウム, ケイ素がかなりの干渉作用を示したがいずれも測定液中に塩化ストロンチウム溶液 (測定液中のストロンチウム濃度が2500ppmとなるよう添加) を添加することによりこれらの干渉を抑制することができた。
    (3) 塩化ストロンチウムの添加によりノイズが大きくなり測定が困難になるが, 測定液中にエチルアルコール20ml (測定液100mlに対して) 添加し, 測定前にバーナーヘッドを1%フィチン酸液に約10分間浸漬し水洗することにより完全にノイズを抑制することができた。
    (4) 添加回収試験を行なったがほぼ満足な結果を得た。
    (5) 原子吸光分光分析法とE.D.T.A滴定法との定量値の比較を行なったがほぼ同一の値を得た。
    (6) 本法による定量値の再現精度は同一試料液について6回測定した結果変動係数は3.3%であった。
    (7) 水産食品中のマグネシウム含量は30~60mg%であり, 一般に魚類より貝類に多く含まれていた。
  • レンチオニンの理化学的性質
    和田 正三, 中谷 弘実, 富士縄 昭平, 木村 博, 芳谷 道男
    1968 年 20 巻 5 号 p. 355-359
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    シイタケの香気成分, レンチオニンの理化学的性質, とくに安定性を中心に研究した。
    (1) レンチオニンは水, アルコールには難溶, 植物油または無極性溶媒には溶解する。
    (2) レンチオニンは結晶の状態或いはアルコール, プロピレングリコール, 植物油などに溶した状態では安定である。水溶液ではその液性によって影響され, pH 2ないし4では安定であるが, pH 5以上になると不安定となる。
    (3) 酸素, 有機酸・無機塩類, 界面活性剤などはレンチオニンの安定性に影響しないが, 光線, システインまたは亜硫酸塩のような還元剤はその分解を若干促進させる。
    (4) 水溶液でのレンチオニンの分解形式はその液性によってことなる。すなわち, pH 4ないし6の溶液では1モルの硫化水素とチオカルボニル化合物が, またpH 10の溶液では, 最終的に約5モルの硫化水素が分解生成物として確認される。
  • レンチオニンの食品への利用
    和田 正三, 中谷 弘実, 戸田 準, 芳谷 道男
    1968 年 20 巻 5 号 p. 360-362
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    シイタケの香気成分, レンチオニンについて, その匂いの性質, 閾値, 食品への利用を検討し次の結果を得た。
    1) レンチオニンの匂いからシイタケを連想することができる。
    2) レンチオニンの閾値は水溶液中で, 0.25~0.53ppm, 植物油中で12.5~25ppmである。
    3) 実際の食品へは1~20ppmの添加で, 食品ヘシイタケフレーバーを付与することができる。
  • 即席ラーメンの脂肪について
    橋本 美佐子, 森 量夫
    1968 年 20 巻 5 号 p. 363-367
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. 市販即席ラーメンの脂肪の経時変化を測定するため, 製造直後のラーメンおよびこれを30℃に70日および30日間保存したものより脂肪を抽出した。
    2. 比較のため脂肪にサラダ油を20%混用し即席ラーメンを試作し, 同様に保存した。
    3. 抽出脂肪につき, 脂肪恒数の測定, モノマーとダイマーの分画およびガスクロマトグラフィーを行なった。
    4. 製造直後の市販ラーメンの中一つは70日間30℃に保存しても過酸化物価およびダイマーの含量はそれ程上昇しなかった。しかし他の一つは30℃に30日間保存することにより過酸化物価もダイマーの含量も共に著二しく上昇し, ガスクロマトグラフィーの結果植物油を混同していることが認められた。
    5. サラダ油を混用して試作した即席ラーメンの脂肪は30℃に70日間保存することにより脂肪がかなり変敗した。
    6. 店頭より購入した即席ラーメン2種の脂肪には特に変敗の状態は認められなかった。
  • とくに病人の食餌について
    井上 哲夫, 野副 真弓, 桂 英輔
    1968 年 20 巻 5 号 p. 368-372
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    蛋白の質の表現に, FAO PSのように人間の各必須アミノ酸の必要量のPatternを基準としたものと, 卵A/E比のように食品の各必須アミノ酸の総EAA量に対する比率を基準としたものと, その他いろいろのものがあり, そのいずれがよいかはにわかに断じ難く, われわれが卵A/E比, E/Tのみを用いたことは問題点として残っている。さらにわれわれが蛋白の良否の判定に用いた各EAAの必要量も今後の研究課題であり, とくに井上のMet., Phe. の必要量はCys., Try. の存しない時の値であり, Cys., Try. が存すればその必要量はすくなくなることが考えられるがその値は不明である。しかもCys., Try. の存しない食餌は考えられず, 本報告の蛋白良否の判定にも問題点がある。しかし, この前提条件において, 総EAA量ないし蛋白量にScoreをかけた値が, 同じ摂取蛋白量の領域でEAA不足の有無を比較的明瞭に区分し得た事実は注目されるべきである。
    将来, 先述の問題点の値が変るとしても, 病人の食餌で摂取蛋白量を増すことのできない場合, このようなScoreの活用によって蛋白の質の改善を計る試みは当然なされるべきであり, ここに広義のProtein Scoreの実用化の意義が存すると信ずる。
  • ヨモギ葉の構成炭水化物の分別
    槇 光章, 佐藤 幸夫
    1968 年 20 巻 5 号 p. 373-377
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ヨモギ葉の炭水化物を各種溶剤で分別検索をした結果, 熱80%メタノール抽出区分よりは, グルコース, フラクトース, シュクロース, オリゴサッカライドの遊離糖類を, 熱50%メタノール抽出区分よりは, キシランを附随した低分子ペクチンを, 冷水可溶性抽出区分よりは, キシランを附随した水溶性ペクチンを, 熱水可溶性区分よりは, ガラクトース, グルコース, マンノース, フラクトース, キシロース, ラムノースを構成糖類とする熱水可溶性複合多糖類を, 0.5%蓚酸アンモニア抽出区分よりは, キシランの附随するプロトペクチンを, 5%苛性ソーダ抽出区分よりは, ガラクトース, キシロースよりなるヘミセルロースを, 冷20%苛性ソーダ抽出・酢酸中和沈澱区分よりは, ヘミセルロースのβ-セルロースを, 冷20%苛性ソーダ抽出・酢酸中和非沈澱区分よりは, ヘミセルロースのγ-セルロースを, 熱5%硫酸抽出区分よりは, ヘミセルロースを含むα-セルロースを検出し, 最終残渣はリグニンの陽性反応を呈示した。
    構成多糖類の中では, 冷5%苛性ソーダ抽出区分であるヘミセルロースの収量が16.55%で最も多く, γ-セルロースが12.4%で次ぎ, プロトペクチン7.65%, 低分子ペクチン6.1%, 熱水可溶性複合物質, 水溶性ペクチンの順であった。
    また各フラクションの多糖類の構成糖にキシロースが常に検出されたことは, 興味深く感じられ, おそらくキシランの形で附随しているのではなかろうかと推察されたが, その結合様式などについては今後の研究の課題として追跡して行くことにしている。
  • ヨモギ葉のヘミセルロースの分離
    槇 光章, 佐藤 幸夫
    1968 年 20 巻 5 号 p. 378-381
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ヨモギ葉から調整したホロセルロース20gより, ヘミセルロースA1.746g, ヘミセルロースB 0.100g, ヘミセルロースC 0.072gを得, 全糖値はヘミセルロースAが44.248%, ヘミセルロースB 75.715%, ヘミセルロースC 77.965%であり, BとCでは全成分の約4/5が糖類より構成されていることを知り, 純度の点でもAには, 水分, 粗蛋白質が, BとCに比較し多く, 従って不純物も多く含有する結果を得た。
    ヘミセルロース構成糖類としては, キシロース, ガラクトースの2スポットを検出し, 構成モル比はキシロース: ガラクトースは4: 1であって, 何れもキシロースが多い定量結果を得た。これより考察して, ヨモギ葉中のヘミセルロースはガラクトキシランであると推定した。このようにガラクトキシランの存在は非常に興味深く感じられ, このガラクトキシランはどんな結合をしているかについては目下検討中である。
  • 出納試験成績について
    五島 孜郎, 関 博麿
    1968 年 20 巻 5 号 p. 382-386
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    成長期ラットを用い, 各試験群の飼料中Ca, P量を一定にし, タンパク質とMgレベルを変えたときのCa, PおよびMgの出納を観察した。
    飼料中タンパク質レベルが同一のとき, Ca出納は飼料中Mgレベルに影響されなかったが, P吸収率および尿中排泄率は低Mg食摂取群で高くなった。またMg出納では, 高タンパク-低Mg食のとき吸収率の低下をみた。
    飼料中Mgレベルが同一のとき, 低タンパク食においてCa, Pの吸収率の低下およびCaの尿中排泄率の増加をみた。Mg出納については, 低タンパク-高Mg食のときMg吸収率は高く, 高タンパク-低Mg食ではMg吸収率の低下をみた。
  • 長田 博光, 後藤 郁子
    1968 年 20 巻 5 号 p. 387-390
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. 魚介類の鮮度と硫化水素との関係について試べた。
    2. 魚介類は一般に低温 (5℃) 保存の場合生成硫化水素量と鮮度との間には明らかな相関関係は認められなかったが, 高温 (室温) 保存の場合はそれらの間に明らかな相関関係が認められた。
    3. 一般に硫化水素量をもって魚介類の鮮度を判定する場合生成硫化水素量50γ%をもって腐敗初期と提唱する。
  • 貯蔵中に於けるアサリの有機酸含量の変化について
    長田 博光, 後藤 郁子
    1968 年 20 巻 5 号 p. 391-394
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. 貯蔵中に於けるアサリの有機酸含量の変化について試べた。
    2. ホモジネートにして貯蔵した場合筋肉部ではコハク酸, フマール酸, 乳酸, 酢酸, シュー酸, リンゴ酸の増加が認められ, 他の有機酸はあまり変化が認められなかった。一方内臓部では乳酸の増加が認められた以外他の全ての有機酸は2日目に減少していることが認められた。
    3. アサリが生存している時, 全有機酸の約8割は内臓に, 残りの2割が筋肉に含まれていることを認めた。
    4. 殻付のまま貯蔵した場合フマール酸以外の有機酸は殆んど変化が認められなかった。フマール酸は貯蔵中に増加していることを認めた。
    5. 全有機酸量は10月のアサリに比べて1月のアサリは著しく少ないことが認められた。
  • 高田 直子, 市川 竜資
    1968 年 20 巻 5 号 p. 395-396
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    大豆とその代表的製品の90Sr, 137Cs濃度を測定した。1962年, 1963年の高いフォールアウト降下の影響は90Srより137Csによく反映した。大豆の可食部中90Srが90Srの土壌中蓄積量によく依存し. 一方137Csがその時の137Cs降下率によく依存することがわかる。豆腐の90Sr濃度 (Ca 1gに対するpCi) は大豆および他の製品に比して著しく低い。
  • 吉田 昭, 喜来 良子
    1968 年 20 巻 5 号 p. 397-400
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    白米が唯一のタンパク源である飼料でネズミを飼育すると肝臓に異常に脂質の蓄積が見られるが, 制限アミノ酸であるThrおよびLys含量が白米飼料と略同じである小麦飼料では肝脂質量の異常な増加は見られずこれまでばく然とアミノ酸バランスの相異によると考えられていたが, 小麦タンパク質のアミノ酸組成に類似するアミノ酸混合物を含み, 炭水化物として蔗糖とバレイショでんぷんを含む飼料では予期に反して肝脂質量は白米飼料の場合と同程度に増加し, 白米飼料に小麦飼料と比較して少ないアミノ酸を全部補足してもまたグルタミン酸の単独添加で小麦飼料と窒素含量が同じになるようにしても肝脂質量の増加を阻止することはできなかった。さらに小麦飼料をでんぷんでうすめても肝脂質の増加する傾向は認められなかった。吸収の速度や体内の利用においてタンパク質中のアミノ酸とアミノ酸混合物中のアミノ酸が全く同じではないからこの差が一つの因子になりうることは否定できないけれども, 白米飼料と小麦飼料の肝脂質に及ぼす影響の差が, アミノ酸組成だけによるばかりでなく, 他の成分によってかなり大きく影響されているのではないかと思われる。
  • 異なった洗浄剤により抽出したグルテンにっいて
    川端 晶子
    1968 年 20 巻 5 号 p. 401-406
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    (1) 異なった洗浄剤を用いてグルテンを抽出した場合のグルテンの収量は, 洗浄剤の性質によってかなりの違いがある。蒸溜水は, グルテンを蒐集するのが一番むづかしく, 食塩水によるものは収量が最も高い。
    (2) 希醋酸溶液中のグルテンの溶解性については, 蒸溜水, 希燐酸ソーダ溶液で抽出したグルテンは, いずれも80%以上の溶解度を持っているのに対し, 食塩水で抽出したグルテンはおよそ50%でしかない。
    (3) Sephadexによるfractionnementについては, 一般に, 小麦の蛋白質は4つのfractionに分離するが食塩水で抽出したグルテンは, 希醋酸溶液に対する溶解度が低いためか, 第1と第3ピークが不在に等しい。これに反し, 他の洗浄剤で得たものは4つのピークを示している。グルテンの希醋酸溶液に対する溶解度のちがいが第1と第3ピークの不在か否かに影響を持っていると考えられる。
    (4) デンプンゲルによる電気泳動図でも, 異なった洗浄剤による影響が見られるが, 食塩水によるものは, 分画成分が少なく, 希燐酸ソーダ溶液によるものは, 分画成分が多い。
    (5) 蒸溜水を用いたものは “G”とP/Lが中間に位置し “P”と“W”が最も小さい。食塩水を用いたものは“W”が非常に大きく, 希燐酸ソーダ溶液によるものではP/Lのみが最大であった。
    総体的にみて, 同じ洗浄剤を用いた場合, 2種のグルテンの各々の特性は大へん近似していた。
  • 小麦粉とグルテンよりOsborne-Feilletの方法で分離した蛋白成分に関する研究
    川端 晶子
    1968 年 20 巻 5 号 p. 407-412
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    小麦粉およびグルテンから, 0.5M NaClによって, アルブミンとグロブリンを抽出分離し, その残渣に60%エタノール処理を行なってグリアジンを, さらにその残渣から70%M.C.G. 処理によってグルテニンを抽出分離して, 4つの蛋白成分に分離することを確かめ, N定量によって蛋白組成を検討した。
    また, Sephadexによるgel filtration法とデンプンゲルによる電気泳動法は, 分離した小麦蛋白質の異質性を明確にした。
    なお, グルテンの4から8%が0.5M NaCl中に溶解することを確認した。
  • 新井 健一, 小林 喜一郎, 斎藤 恒行
    1968 年 20 巻 5 号 p. 413-415
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ホタテ, ウバガイ, エゾアワビなどの貝類筋肉を凍結乾燥し, さらにこれを水戻しして, これらの操作中に起こるATPおよび関連化合物の変化を追求した。その結果, 凍結乾燥の段階では何れの筋肉の場合もこれらの成分含量は新鮮筋のそれと全く一致して殆んど変化の無いことを認めた。また, 水戻しに際しては, ホタテ, ウバガイではかなりよく復元されたが, アワビでは復元性はきわめて悪かった。さらに酸溶性ヌクレオチドについては, ATPはきわめて短時間のうちに変化して主としてAMPの蓄積するのが認められ, さらに浸漬時間を長くすると, AMPからHxRの生成するのが認められた。また, 凍結乾燥品をデシケーター中で5ヵ月にわたり保存した場合でも変化はなかったが, これを水戻しすると同時にATPの急速な変化が認められた。したがって乾燥食品を水分をさけて保存した場合は筋肉中に含まれる酵素もかなり長期にわたって活性を復元できる状態にあることを知った。
  • L-ascorbic acidおよびDehydroascorbic acidの変化
    北川 雪恵
    1968 年 20 巻 5 号 p. 416-421
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    AsA結晶, AsA溶液 (5~50mg%) およびDAsA溶液 (20mg%) に紫外線照射 (照射距離10~100cm, 時間1~24hr) した場合のVCの安定度を, 同一条件で可視光線照射および暗所放置した場合と比較検討して次の事項を認めた。
    (1) AsA結晶は, 紫外線および可視光線のいずれによっても影響を受けない。
    (2) AsA溶液は, 紫外線により著しい影響を受け, 総C, 還元型Cともに残存率が大幅に減少し特に還元型Cの減少は顕著である。酸化型Cは一たん漸次増大するが照射時間がさらに長くなると減少する。これらの結果はAsAのendiol基の2重結合が, 紫外線エネルギーのためにゆるめられ酸化型Cになり, さらに酸化型Cは次段階へ分解していくためと考えられる。このVCの破壊は照射時間が長くなるにつれて大きくなる。
    (3) AsA溶液に及ぼす紫外線の影響は, 照射距離が近いほど, また溶液の濃度が薄いほどその影響は大きい。
    (4) 液層の浅いほど紫外線の影響は強く, 液層が深くなるにつれてその影響は少なくなる。このことは, 紫外線は水層により幾分吸収されることに基因するものと考えられる。
    (5) AsA溶液に及ぼす可視光線の影響は, 照射距離が短かい場合には若干認められるが, 紫外線に比しその影響は極めて少ない。
    (6) DAsA溶液は, 暗所放置および可視光線照射によっては, 24hr経過後も全く変化せず, 紫外線照射によってもその影響は極めて少なく, AsA溶液に比しはるかに安定である。
  • 行吉 哉女
    1968 年 20 巻 5 号 p. 422-431
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    従来より日本人については基礎代謝量 (B.M. 値) に季節変動があること, またこの変動はB.M. の気候駅化によることが明らかにせられているが, 欧米の学者間では欧米人については一般にB.M. の季節変動を認めないとする学説が有力である。著者はこのような意見の相違のよってくるゆえんを明らかにせんがために日本に住むカナダ人カトリック修道士と日本人との基礎代謝量を毎月測定比較して次のような結果を得た。
    1) 日本人のB.M. 値については先人の成績と同様に夏低く冬に高い季節変動が認められた。一方カナダ人の修道士ではそのような季節変動を認めず年間を通じてほぼ一定のB.M. 値を示した。
    かかる日本人と欧米人のB.M. の季節変動の差異は体格, 体質 (内分泌機能), 栄養の摂取状態が関係するものと考えられる。すなわち日本人についても体格の大きい被検者ほどB.M. 値の季節変動の幅が少ない。従ってカナダ人の体格の大きいこともそのB.M. の季節変動の減少に関係するであろう。また欧米人では高脂肪低糖質の食事を摂取しているが, カナダ人の高脂肪食はB.M. の夏期の低下を抑制するに役立っているのであろう。その他生活日課もまたB.M. 値に影響し, カナダ人の夏期の戸外労働は夏期のB.M. 値の低下を抑えるに役立っているとおもわれる。
    3) B.M. 値は甲状腺機能によって影響されることは古くより知られているが, 著者の実験ではカナダ人修道士の甲状腺機能は年間を通じてほぼ一定しており, さらに全般的に日本人よりも比較的に高値を保っている。これに反し日本人では夏期に甲状腺機能が低下の傾向を示している。
    4) 以上の如くB.M. 値は主として生活環境の気温の変動に伴って代謝機能が気候に馴化する結果として季節変動を示すのであるが, その他に体格, 体質 (内分泌機能), 栄養, 労働状態など種々の因子が作用するために, 欧米人では日本人と異なって本来の気温の変動に伴って現われるべきB.M. の季節変動がこれらの要因の相互作用によってかかるB.M. の季節変動を現わさないようになっていると考えるのが妥当であろう。
  • 吉田 昭, 芦田 淳
    1968 年 20 巻 5 号 p. 432-437
    発行日: 1968/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Using a basal diet containing an amino acid mixture simulating the composition of polished rice protein, the effect of amino acid supplementation on growth of rat was studied to explore the difference between the actual effect of supplementation of amino acid to rice diet and the theoretical expectation. When the basal diet contained 6% of amino acid mixture simulating rice protein, single supplementation of 0.4% of L-Lys did not stimulate the growth of rat but the supplementation of L-Lys together with 0.24% of DL-Thr improved greatly the growth just like the case of amino acid supplementation to the natural rice diet. This result may imply the importance of the interrelationships between dietary Lys and Thr in addition to the availability of Thr in rice protein provided the diet containing an amino acid mixture can neglect the problem of digestion of amino acids in food protein. When the level of amino acid mixture in basal diet was increased to 8%, however, significant improvement of growth was observed with single supplementation of Lys. Some problems relating to the basic principles of amino acid supplementation are also discussed.
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