栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
22 巻 , 3 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 満田 久輝, 藤野 正子
    1969 年 22 巻 3 号 p. 127-130
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Rice, the staple food in this country, provides a 60% of total caloric intake and a 30% of protein. Fortification of rice grain with lysine becomes feasible as the price of lysine declined and the techniques for the enrichment of the grain with lysine in a premix formula was developed by the author; this unique “double soaking method” eliminates the washing/cooking loss of the enrichment ingredient (s). The lysine-enriched rice is expected to make a great contribution for improving the quality of the national diet and thus to give a great impact on the nutrition welfare.
    An abundant crop of rice is ensuing for these several years in this country. Supplementation of a small amount of the lysine-enriched rice at the time of cooking is found to improve the palatability of the cooked product; stale flavor, the characteristic off-flavor of long-stored rice, is eliminated. Added lysine easily reacts with volatile carbonyl compounds which are responsible principles for the stale flavor, and seemingly forms non-volatile products. Under-water/-ground and sea- or lake-bed are proposed as adequate places for rice storage. Husked or brown rice packed in a laminated plastic film bag under a controlled atmosphere is found stored long in these stations. The costs of construction and maintenance of this novel storage system appear fairly low compared with those needed for the temperature-controlled storage in powered stations built on the ground; rice and other seed crops can be reserved for needs of a nation-wide scale with least deteriorative changes.
  • 大村 浩久, 筬島 豊, 浅野 嘉之, 清木 一克
    1969 年 22 巻 3 号 p. 131-134
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    緑藻の酵素は抽出されにくいので適切な前処理が必要である。尿素脱水素酵素についてその存在を追及するとともに抽出に必要な前処理について検討した。
    (1) そのままあるいはアセトン乾燥粉末として, 石英砂またはガラス粉末とともに乳鉢中で磨砕するか, あるいは10KCで音波処理しても酵素活性は抽出されない。
    (2) 緑藻をトルエンとともに室温で3日間自己消化させたのち磨砕ならびに音波処理で抽出すると多少の活性をもつ酵素液が得られた。しかし盲験の値が大きく研究に用いるには好ましくない。
    (3) 緑藻をドライアイスを用いて凍結融解を繰り返してから抽出すると有効であった。しかし, これをさらにn-ブタノールで処理すると酵素は失活した。
    (4) 緑藻を凍結乾燥しさらにボールミルで粉砕すると酵素は音波処理によって容易に抽出された。
    (5) 緑藻に尿素脱水素酵素が存在することが確認された。
  • 大村 浩久, 筬島 豊, 波多野 昌二, 峯浦 和幸
    1969 年 22 巻 3 号 p. 135-138
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    凍結融解を繰り返し凍結乾燥後ボールミルで磨砕した緑藻の乾燥粉末から尿素脱水素酵素液を調製する方法について, 抽出溶媒, 抽出操作, ブタノール処理, 透析, エタノール沈澱など若干の条件を検討し, 次の方法を定めた。乾燥粉末をpH 8のリン酸緩衝液で音波処理および35℃での保温によって抽出し冷アセトンで分別沈澱し33%ないし75%の分画を集める。これを冷水に溶がし, 冷却した流水に対し透析, そのまま, またはトリス緩衝液 (pH 7.5) を加えて再び音波処理後遠心分離した上澄液を酵素液とする。抽出に先立つブタノール処理ならびにアセトンの代りにエタノールでの沈澱を行なっても差支えない。
  • 大村 浩久, 筬島 豊, 内尾 良輔, 中村 泰彦
    1969 年 22 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    緑藻の尿素脱水素酵素反応液で観察される340mμの吸光度の増加はNADH2の生成によることを確認するとともに酵素は次のような性質をもつことを明らかにした。
    (1) 反応の最適温度は35℃であり酵素は40℃以下では比較的に安定であるが50℃ではかなり活性が低下し60℃ではほとんど完全に失活する。一方最適pHは7.6であり酵素の安定性もこのpHで最も高い。
    (2) FADやFMNによってはほとんど影響されず他の組織の尿素脱水素酵素や同じ緑藻の硝酸還元系ないしアンモニア脱水素系とは異なっている。
    (3) 尿素脱水素酵素は少量の無機リン酸では活性化されるが量を増すとかえって阻害される。一方アンモニア脱水素酵素は少量のリン酸によっても阻害される。反応液に用いる緩衝液としてはトリス緩衝液が適切であり, リン酸緩衝液は好ましくない。
    (4) システインは酵素活性にはほとんど影響しないが盲験値の増加をきたすのでその添加は好ましくない。
    (5) 適量の緑藻加熱抽出液によって酵素活性は多少高められる。
    (6) 酵素はNADならびにNADPの両者に作用し“尿素: NAD (P) oxidoreductase”ということができるが, 肝臓の酵素とは異なりNADPの方がNADより有効である。
    (7) DEAEセルロースには吸着されずアンモニア脱水素酵素と同じ分画に得られこれとともに数倍の精製が可能である。
  • 小柳 達男, 武田 三恵子, 桜井 和人
    1969 年 22 巻 3 号 p. 144-147
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    AAに欠乏したモルモットにDHAを与えるとネズミの場合のように糖尿になるか, それともAAに還元されてAA欠乏に伴う肝のSDの低下を防ぐかを明らかにするために欠乏モルモットへのDHAの影響を研究した。またAA欠乏の際にモルモットの炭水化物代謝の障害が起きるといわれているので, この代謝に関係したSDのほかにピルビン酸脱水素酵素についても検討した。
    その結果 (1) AA欠乏モルモットではSDは低下するがピルビン酸脱水素酵素は変化しなかった。
    (2) AA欠乏モルモットにDHAを注射するとこれは直ちにAAに還元され, 低下していたSDは正常に復した。このようにDHAはモルモットに対しAAの効果を出すことができるが体内のSHを減少させるという欠点がある。これは老化現象と関係があると思われる。
  • 小柳 達男, 古川 令子, 宮仕 くに子
    1969 年 22 巻 3 号 p. 148-151
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    ネズミに蛋白質の十分な飼料を与えているときでも酸化魚油を飼料に配合するとV. Eの欠乏が起きやすい。 これに対し蛋白質の不足の場合は酸化しない魚油でもV. Eの欠乏が起き, 酸化魚油だと一層体内のV. Eを消耗させる。ダイズ油はこれに反しV. Eを消耗しない。
    緑葉粉末投与はこれらのV. E欠乏を軽減する効果はなかったがV. Eの結晶はその量が十分なら完全にV. Eの不足を補い体脂肪の褐色化を防げた。 この脂肪の褐色化は老化のときにも見られるものであるのでV. Eの不足は老化を促進すると言えよう。
  • 上月 叡子
    1969 年 22 巻 3 号 p. 152-159
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    以上の実験成績を総括し, 特徴ある所見を列記してみると,
    1. 血清総コレステロール: 植物性脂肪投与によるコレステロール低下作用が確認できた。
    2. 血清蛋白: 僅かに植物性脂肪投与により下降傾向を示した。
    3. 血糖値: 一旦, 下降を示した後, 動物性脂肪投与により上昇し, 植物性食品投与期間に入り下降を示した。
    これらの成績より考察すると, 総カロリー, 脂肪, 糖質, 蛋白質ともに一定とし脂肪の組成内容のみを変動させた食餌内容による影響については, 一般的概念としても動物性脂肪を多く投与した場合変動が著明で, 植物性脂肪を多く投与した場合, 代謝位相への影響は良好で変動が少ないと言える。 ただ今回のような極端な処方で与えた場合は, 前回の処方よりもその特徴が明白となったと考えられる。 しかし実験期間中摂取困難を訴える場合もあり, またアミノ酸組成ではバランスの不均衡が伺われるので, 私見としても植物性脂肪のバランスを前回程度 (動物性, 植物性ともに各50%平均) の処方が一般成人食と大差がなく病人食また成人病食として食べやすく代謝上好結果が期待できるものと考える。 また一方, 高脂血症, 動脈硬化症などの高度な場合の治療食としては植物性脂肪食を中心とした治療食を一定期間薬物療法と平行して行なうことが望ましいと考える。
  • 塚本 桂子
    1969 年 22 巻 3 号 p. 160-163
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) リン酸制限下に黒麹菌を振盪培養して得た菌体外酵素液を使って, フィチンの分解生成物をDowex 1×1 (Cl型) を用いて, カラムクロマトグラフィーを行なった。
    2) 麩麹抽出液, 菌体内酵素液についても同じようなクロマトグラムを得た。
    3) フィチンはこの菌のフィターゼによって, at randomに分解されると推定される。
    4) クロマトグラフィーにおける各画分のイノシトールのリン酸に対するモル比を測定したところ, 上原の結果とほぼ一致した。
  • 真野 つい子, 千住 紀子
    1969 年 22 巻 3 号 p. 164-167
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    魚貝類中に分布するCarnosine様物質をPPCによって分別し, Carnosineに対するE. coli変異株の標準発育曲線を用いてその微生物学的定量を試みた。 その結果, 魚貝類中PaAおよびβ-Alanineは多くのものに分布しているが, Carnosine様物質を含有するものは余り多くなかった。
    あわび, くるまえび, 水いかなどにはβ-AlanineとCarnosineの中間に菌発育帯がみられた。 この物質がβ-AlanineまたはCarnosineと全然別個の物質であるかどうかは今回は追求することができなかった。
    以上を総括すると
    1) うなぎ, あなごのごとき比較的身の軟らかい魚にCarnosine様物質が多く, 貝類では赤貝, しじみ, さざえに比較的多量に含有され, 甲いか, 水いかにも相当量含まれている。 鯛, さば, あじなどには比較的少量しか分布していないことが判明した。
    2) くるまえび, あわび, 水いかについてはRf 0.27-0.28のところに別な発育帯がみられた。 これがCarnosine, β-Alanineとは別の物質であるかどうかについては現在のところ不明である。
    3) Carnosineの生化学的意義については, 現在なお不明であるが, ATP aseの酵素作用の活性化にCarnosineが何らかの影響をしているとの報告9) もあり, それが主に筋肉中に分布していることにからんで, 興味あることと思われるので, 将来の問題としたい。
  • 牧 善輔, 金森 正雄
    1969 年 22 巻 3 号 p. 168-171
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    牛の初乳より得た免疫グロブリンをプロナーゼで繰返し分解し, Shephadex G-25およびG-50によるゲル 過, DEAEセルロースクロマトグラフィによりヘキソースを含む区分を集め, 比較的良い回収率をもってグリコペプチドを5つの区分にわけることが出来た。
    これらグリコペブチドはいずれもヘキソース, フコース, シアル酸, グルコサミンを含んでいるが, 糖部分に付随するアミノ酸の量が異なるのみならず, ヘキソースとシアル酸の比がちがっていた。
  • 野田 克彦, 山本 茂, 吉田 昭
    1969 年 22 巻 3 号 p. 172-177
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. スレオニン-U-C14を含む食餌を1時間白鼠に摂取させ, C14の分布を経時的に追跡した。
    2. 投与24時間後のC14の分布は呼気炭酸ガス, 尿, 筋肉, 消化管, 肝臓, 血中にそれぞれ約40, 5, 20, 10, 5, 2%となっていた。
    3. 体内のC14量は消化・吸収の進行とともに12時間まで増加した。各臓器では肝・血中はタンパク質区分への取込みが大きかったが, 筋肉, 屍体, 消化管などでは最初12時間まで遊離アミノ酸としてC14が多くタンパク質区分と同程度であり, 24時間後になってタンパク質区分が相対的に高いC14を含むようになった。
    24時間後には総C14量は肝・消化管において既に減少していた。
    5 Thr-C14の体内保留量から体タンパク合成量を試算したところ筋肉および肝臓で12時間後にそれぞれ100および40mgの体タンパク合成量となった。
  • 野田 克彦, 市原 百合子, 吉田 昭
    1969 年 22 巻 3 号 p. 178-181
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 1日に1時間だけ食餌を摂取させる条件下でのシロネズミの肝臓中の数種のアミノ酸代謝酵素活性の日間変動を測定した。測定した酵素はスレオニンデヒドラターゼ, ヒスチダーゼ, チロシントランスアミナーゼ, アラニントランスアミナーゼの4種類である。
    2. スレオニンデヒドラターゼ, ヒスチダーゼ, アラニントランスアミナーゼの各酵素活性は食餌摂取により, 絶食時の活性より低下し, 24時間後にはふたたびもとの活性にもどった。
    3. チロシントランスアミナーゼ活性は他3種とは異なり, 食餌摂取によって2時間後に急激な増加を示した。しかし8時間後には絶食時の活性よりも低値となり以降24時間後にはほぼ以前の値にまでもどった。
  • 田中 聖英
    1969 年 22 巻 3 号 p. 182-187
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 照射前後のタンパク質栄養はともに照射後の生存率に影響を及ぼし, 低タンパク質食餌飼育は高タンパク質食餌飼育より放射線に対する感受性が高いことを示した。
    2) 照射後低タンパク質食餌飼育を標準タンパク質食餌飼育に切り換えると死亡率の回復がみられた。
    3) 照射後のタンパク質の過剰添加はむしろ死亡率を高めた。
  • 田中 聖英
    1969 年 22 巻 3 号 p. 188-192
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    59Feの血液への取り込みを指標として造血機能を注目して放射線影響とタンパク質栄養との関係について実験を行なってきたが, 前報の死亡率による実験の結果とほぼ平行性がみられる結果を得た。 すなわち照射後低タンパク質飼育を標準タンパク質飼育に戻すことにより造血機能の回復効果がみられた。
    次にタンパク質を一部アミノ酸混合で置き換えた実験では, アミノ酸による置換は放射線障害の造血機能に回復効果を幾分示すがタンパク質そのものに比べて良い結果を示さなかった。 またイノシンの添加効果に関しても明確な結果が得られなかった。
    またこの59Feの取り込みによる方法を用いてタンパク質栄養の放射線障害の回復期における造血機能を経時的にみた実験では, 照射後1週間ぐらいから骨髄機能の回復がみられ, その回復にタンパク質栄養が大いに役立っていると思われる結果が得られた。
    このように59Feの血液への取り込みによる造血機能の放射線障害時およびその回復期における動向についてタンパク質・アミノ酸栄養の量的な影響について追及してきたが, 次にタンパク質の質的な問題すなわちアミノ酸構成の影響について必須アミノ酸に注目して実験を進めたいと思う。
  • 田中 聖英
    1969 年 22 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    アミノ酸欠乏の一般的影響としては, 体重減少, 造血機能の減弱, 貧血, 血清タンパク質減少などの現象としてあらわれ 一種の必須アミノ酸が欠けても食欲減退などの影響が現われてくることは知られていることであるが, 放射線障害とアミノ酸栄養についてみても放射線障害時およびその回復期ともにアミノ酸栄養のバランスが重要であり, 特にトリプトファン, ロィシン・イソロィシン, バリン, ヒスチジンなどが造血機能の回復に重要な役割を果たしているであろうという結果を得た。核実験による放射能被曝および原子力平和利用の発展に伴う事故などによる被曝を無視できない今日, 食生活においても良質のタンパク質を摂るようにつとめることは体位向上の目的のみならずこの意味においても留意すべき問題であると思われる。
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