栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
23 巻, 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 越山 育則, 福島 男児
    1970 年 23 巻 5 号 p. 297-311
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • エリスロシンおよびローズベンガルとそのタンパク質複合体の螢光
    相沢 秀俊, 渡辺 歌子
    1970 年 23 巻 5 号 p. 312-319
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    エリスロシンおよびローズベンガルならびにこれら色素のタンパク質との複合体形成による螢光の変化について調べた。
    この結果, 色素単独の場合は, 低濃度の場合は紫外部高濃度の場合は可視部の螢光が相対的に強いことが判った。また両色素とも濃度消光を示す。
    濃度消光がみられる条件でウシ血漿アルブミンを添加すると, ローズベンガルの場合は螢光強度が減少するがエリスロシソでは増加した。
    また色素濃度を一定にしてウシ血漿アルブミンおよびヵゼインを0~0.1%の範囲で添加すると, タンパク質の種類および濃度によって螢光強度に変化がみられた。この際螢光の増加は色素分子の平面性がよくなるためと考え減少の場合は, タンパク質分子附近の色素濃度の増加による消光と考えた。
  • 結合の自由エネルギー測定のための分光学的方法と透析平衡法の比較
    相沢 秀俊
    1970 年 23 巻 5 号 p. 320-324
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    透析平衡法と分光学的方法の比較を結合の自由エネルギーの点で行なった。色素としてアゾ色素のポンソー3R, キサンテン色素のローズベンガル, エオシン, エリスロシン, トリフェニールメタン色素のファーストグリーン, アシドバイオレットにつき実施した。タンパク質はウシ血漿アルブミンを用いた。
    この結果, これら色素とウシ血漿アルブミンの結合の自由エネルギーは-6, 000~7, 500cal/moleの範囲にあった。これは透析平衡法で得られた数値より, アシドバイオレットのpH 5.2を除き一般に小さかった。しかし, この分光学的方法は試料が少なくてすみ, 操作が簡単であるなどの利点を考えると十分有効な方法であると考えられる。
  • 城島 クニ子, 堀川 蘭子, 浜口 陽一
    1970 年 23 巻 5 号 p. 325-329
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    11種の魚卵について, そのタンパク質源としての栄養価を検討した。
    1. 各種魚卵のアミノ酸組成はTry, 含硫アミノ酸に不足するが, 他のアミノ酸組成は鶏卵に匹適する優れたものであり, 特にLysを豊富に含む。
    2. ケミカルスコアは47~62, EAA indexは85~92であった。
    3. 生鮮魚卵のNPUは56~69, NPRは3.7~4.9でEAA indexとの間にそれぞれ相関があった。またケミカルスコアとも関連が認められた。
    4. 11種の中ではサワラ, ハモ, ブリ, タラが比較的良く, カマス, カレイ, サバは劣る。
    5. 加工による影響はそのアミノ酸組成には現われないが, NPUを著しく低下させる。
  • 加水量の決定と温度管理について
    岡田 玲子
    1970 年 23 巻 5 号 p. 330-335
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    集団給食における炊飯方法を標準化する目的で, 竪型ガス炊飯器を用いて, 5~10kgの各炊飯量における炊飯条件を検討した, 主な結果は次の通りである。
    (1) 加水率は重量比で136%が適切であった。これは米の水分量, 米飯の水分量および炊飯中の蒸発量より算定した理論値の136.6%にほぼ近似する数値であった。
    (2) 炊飯器内の温度分布は各部位による差が著しく, 点火後16~18分で300~450℃に達し, 消火後は急速に降温するものの, 蒸らし終了時は130~170℃を保持している。したがって密閉して蒸らす限り保温性が高いので常法の中火および弱火加熱を省略することができる。
    (3) 温度管理は強火加熱のみでよく, 炊飯量によって加熱時間を加減する。すなわち, 5kgでは18分, 6kgでは19分, 8kgでは23分であり, いずれも食缶内米飯の中層 (大体において上, 下, 中層の順に昇温する) が沸点到達後, さらに2分加熱を継続した時間である。なお, 蒸らし時間は15分が適切であった。
    (4) 温度管理を可及的に望ましい状態に維持しても, 食味良好な中層の米飯に比して, 上層は水分量少なく, 粒形は小さくひきしまっており, 下層は水分量多く軟かすぎ, 粒形の伸長が認められる。この傾向は炊飯量に比例して顕著になるので, この場合は, 食缶容量の80%以下が比較的可能な炊飯量といえよう。
    (5) 食缶内米飯水分の均一化を図るため, 蒸らし時間の途中で食缶の反転操作を施すとか, また, 木製の飯櫃に米飯を移すなどの改良策は効果的であった。
  • シイタケフェノラーゼの性状
    藤本 健四郎, 宮代 正子, 金田 尚志
    1970 年 23 巻 5 号 p. 336-340
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    シイタケのフェノラーゼの性質について検討し, つぎの結果を得た。
    1. 至適pHは4.8付近にある。
    2. 数種のポリフェノールを基質として活性を比較すると, カテコールの場合, 最も活性が高い。
    3. 反応時間8分では, 50℃付近で最も活性が高い。
    4. 80℃1分や90℃30秒などのブランチングで, かなり失活する。
    5. 亜硫酸の添加によって, 酵素反応が阻害をうける。
    6. 一酸化炭素処理によって, 酵素は完全に不活性化される。
  • 褐変防止に関する2, 3の試み
    藤本 健四郎, 宮代 正子, 金田 尚志
    1970 年 23 巻 5 号 p. 341-343
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    シイタケの凍結解凍時の酵素的褐変を防止するために2, 3の試みを行ない, つぎの結果を得た。
    1. ブランチングは, 褐変防止という点では有効だが, 組織やフレーバーの維持という点で問題がある。
    2. 一酸化炭素処理はかなり有効で, 褐変を防止し, 組織やフレーバー維持という点でもすぐれている。
    3. シイタケ中のポリフェノール含量の多少が褐変に密接に関係していると考えられる。
    4. シイタケ中のポリフェノールの主成分は, クロロゲン酸型のタンニンであると思われる。
  • ヒドロキシウレアについて
    大村 浩久, 塚本 徹, 篠原 和毅, 鳥巣 隆雄
    1970 年 23 巻 5 号 p. 344-350
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシウレアを合成し赤外線吸収スペクトルの測定, 若干の定性試験ならびに種々の溶媒によるペーパークロマトグラフィーを行なってそのRf値を求めた。しかしその値は尿素のものとはほとんど差はなかった。一方イオン交換カラムクロマトグラフィーおよびゲル 過を尿素と比較して行なったが, かなり接近してはいるが分離ができた。
    またヒドロキシウレアはウレアーゼを拮抗的に, カタラーゼを非拮抗的に阻害することをそれぞれ市販純粋酵素標品を用いて確かめた。
  • 守時 圭子, 吉田 昭
    1970 年 23 巻 5 号 p. 351-355
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Rats fed on a low casein diet supplemented with sulfur containing amino acid produce fatty livers and the liver fat accumulation is prevented by the further supplementation of threonine. From this fact, metabolic interrelationships between methionine and threonine were studied with special reference to the plasma level of free amino acids. Supplementation of 0.3% of methionine or cystine to a 8% casein diet, reduced slightly the plasma level of most free amino acids of rats, but the decreases in the level of threonine, serine and glycine were remarkable. Similar decreases were observed even when threonine was supplemented to the low casein diet previously to meet the requirement of rats. In the next experiments, dietary level of methionine was variously changed by using an amino acid mixture in the diet. The plasma level of threonine, serine, and glycine showed the inverse relation to the dietary level of methionine.
    These results may have relation to the fatty livers due to methionine supplementation and its prevention by threonine.
  • 脱穀機による衝撃
    岡村 保, 松久 次雄, 南部 朔郎, 斎藤 利晴, 芦田 憲義
    1970 年 23 巻 5 号 p. 356-361
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    米の理化学性に及ぼす外因の影響を知ろうとし, 本報では外因として, 機械脱穀において外部から与えられる“衝撃”をとりあげ, これと米の2~3の理化学性との関係を調べ, さらに発芽との関連についても検討し, これら理化学性や発芽に影響を及ぼす米粒の状態を, 可視的な胴割粒や損傷粒の面からだけでなく, 不可視的な組織的損壊としての“歪み (仮称) ”なる考え方からも見ようとした。
    結果は下記のとおりである。
    1) 脱穀機の回転数を異にしたばあいの米の水溶性乾固物量を調べたところ, 回転数が高いものほど小となった。
    2) 全糖量についても同様に, 回転数が高いものほど小となった。
    3) pHは高速回転のものほど小となった。
    4) 米粉末の水浸出液の比電導度は, 高速回転のものほど大となった。
    5) 機械脱穀籾の発芽率が低下することは従来の知見のとおりであるが, 発芽速度は大となった。これは稔実度などの差異によるものとは説明し得ず, 米粒に外部から力が加わって起こる“歪み (仮称) ”, 胴割れ, 籾殻のずれなどにより, 米粒の吸水性・酸素供給量などが増加し発芽速度が早まったものと推察された。
    6) 脱穀機の回転数が大の場合, 籾米粒浸漬水の比電導度 (および糖量) が大となった。
  • 機械脱穀籾の貯蔵
    岡村 保, 松久 次雄, 南部 朔郎, 斎藤 利晴
    1970 年 23 巻 5 号 p. 362-365
    発行日: 1970/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    脱穀機の回転数・脱穀調整の方法等の異なる籾米の貯蔵性をしらべた。脱穀機の回転数は370回転/分, 550回転/分, 640回転/分とし, 室温貯蔵区 (温度10~16℃, 関係湿度40~50%) と高温多湿区 (温度23℃, 関係湿度80%) にわけ, 貯蔵試験開始後50日および130日後にpH, 比電導度, 総糖量 (フェノール・硫酸法による), 水溶性乾固物量 (岡村法2) による) を調べた。結果は下記のとおりである。
    pHおよび比電導度の数値をみると, 脱穀機の回転数が大である場合, および貯蔵時の温湿度が大である場合は, pHは小に, 比電導度は大となり, いずれも著しい劣変を免れなかった。
    一方総糖量および水溶性乾固物量にあっては, とくに脱穀機の回転数による影響が大きく, 貯蔵温・湿度の影響もはっきりとあらわれた。
    また生脱穀に比べ半乾後の脱穀は, 米の理化学性の低下をある程度抑えた。
    収穫後1力年室温貯蔵後の炊飯特性 (炊飯液の水溶性乾固物量) についても, 脱穀時の高水分と高速脱穀が悪影響を及ぼすことを知った。
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