1. 100ml容試験管にTcoおよびBHAをそれぞれ0.02%含む豚脂を180℃, 油浴中で1-5時間加熱し, 加熱後, AOM装置にて自動酸化させ, その安定度を比較すると, いずれも対照に比べ, PO. V, CO. Vは低く, 安定性を高めている。ことにTcoにリン酸あるいはウルトラリン酸などのシネルギスト添加は, 酸化防止性が高い。
2. Tco誘導体およびBHAを0.02%添加した豚脂をフライ鍋中で加熱し, その酸化度合を測定すると, mix-Tcoが最も酸化度が低く, ついで, δ-Tco, α-Tco, BHAの順であった。
3. 加熱による損失は, BHAが最も多く, ついでα-Tco, δ-Tco, mix-Tcoの順である。
4. TcoおよびBHAをそれぞれ添加した豚脂で調製した即席麺の保存性は, BHAおよびmix-Tcoを添加したものが保存性に富み, シネルギストでは, クエン酸よりウルトラリン酸の方がやや効果が高い。
添加油を160℃で2時間加熱後, その油脂で調製した即席麺の保存性は, 未加熱油で調製した即席麺に比べ保存性は劣るが, 対照に比べ, Tcoを添加したものは, いくらか酸敗防止効果があり, 中でもmix-Tcoが最も効果が高く, 逆にBHAを添加したものは, ほとんど防止効果は得られなかった。
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