栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
24 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 関 博麿
    1971 年 24 巻 5 号 p. 263-268
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    妊娠後期以降に胎仔のCa蓄積・骨形成が盛んになるが, 母体の蓄積量はそれと平行しないように推察されるので, 初妊の白ネズミを用い, 妊娠期間中同一組成の飼料を与え, Caの吸収率と蓄積量の増大する時期および新生仔への移行量を知るため出納観察を行なった。またCa代謝と骨形成に影響のあるPおよびMgの出納も併せて観察した。
    (1) 胎仔の発育は妊娠14日目以降の後期に著しく, 後期における胎仔のCa, PおよびMgの要求量はそれぞれ (18~2.1) mg/日, (2.0~2.3) mg/日 , (0.15~0.18) mg/日である。
    (2) 妊娠後期にCaの吸収率, 蓄積量は低下し, 全胎仔のCa要求量1日20mg前後に対, 親の蓄積量13.4mg/日で, 妊娠後期に親は明らかな負の出納になる。
    (3) Pの吸収率・蓄積量は全期間を通じて余り変化はないが, 妊娠後期の親はややP不足の傾向になると思われる。蓄積量のCa/P比は初期に高く, 後期では1より小となりCaとはまた異なった動きを示すようである。
    (4) MgはCaと類似の代謝傾向を示すが, Caよりはよく吸収利用されて, Caのごとく負出納にはならない。
  • 三好 正満, 伊吹 文男, 牧 善輔, 金森 正雄
    1971 年 24 巻 5 号 p. 269-274
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    succinic anhydrideによってκ-カゼインのアミノ基を4.8~93.2%修飾したサンプルを用いて, そのαs-カゼイン安定化力, 構成成分の被修飾性, 等電点変化, 会合度変化, Caとの反応性等を調べた。アミノ基のサクシニル化反応では全てのアミノ基が一様に修飾されるのではなく, 反応性の遅いアミノ基も存在することが推定された。αs-カゼイン安定化力は, 8.8%修飾までは変化なく, 15.9~19.6%修飾にかけて次第に低下し32.3%修飾で完全に消失した。このように最も反応性に富んだアミノ基がαs-カゼイン安定化力に無関係である事実は, κ-カゼインのアミノ基が直接αs-カゼインとのミセル形成に関与していないことを意味するものと考えられる。 還元κ-カゼインの電気泳動の結果, κ-カゼイン構成成分のうち, 尿素中でpH6付近に等電点を持つ成分がpH5付近の成分よりサクシニル化の初期段階でより速く修飾されることが判明した。 従ってより中性側に等電点を持つ成分がκ-カゼイン複合体の表面構造を形成していると考えられた。 また, αs-カゼイン安定化力も, これ等の表面構造を樹成する成分が修飾されると共に低下し, κ-カゼインの等電点がαs-カゼインのそれと同じ5.0付近になると完全にαs-カゼインを安定化する能力が失われた。 また, サクシニル化によってκ-カゼイン複合体の解離が認められた。
  • 吉倉 和子, 浜口 陽一
    1971 年 24 巻 5 号 p. 275-278
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    (1) 金時豆の種皮の色素はペーパークロマト法により4種類存在することを認めた。
    (2) 金時豆を1%塩酸-メタノールで抽出後アンバライトCG-50によるカラムクロマト法, アビセルによるカラムクロマト法, マスペーパークロマト法により4種類の色素を単離した。
    (3) 得られた各々の結晶について加水分解を行なった結果, 結合糖はいずれもグルコースであり, 色素A, Cのアグリコンはペラルゴニジンで, 色素B, Dのアダリコンはシアニジンであった。
    (4) 吸収スペクトル, 部分加水分解等により, 色素Aはペラルゴニジン-3-モノグルコサイド, 色素Bはシアニジン-3-モノグルコサイド, 色素Cはペラルゴニジン-3, 5-ジグルコサイド, 色素Dはシアニジン-3, 5-ジダルコサイドであった。
  • 大堀 均, 木村 修一, 小柳 達男
    1971 年 24 巻 5 号 p. 279-283
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    加令および, ビタミンA欠乏によるシロネズミ皮膚ムコ多糖類の変化について実験を行ない次の結果を得た。
    (1) 脱脂皮膚固型成分は, 3カ月から6カ月にかけて増加がみられたが, その後は減少の傾向が認められた。
    (2) 脱脂皮膚中の総ムコ多糖類の含量は, 3カ月から6カ月にかけて増加が認められたが, 6カ月以後では変化はみられなかった。一方, ビタミンA欠乏は, この変化に影響をおよぼさなかった。
    (3) ムコ多糖類の各成分において, ヒアルロン酸, ヘパリチン硫酸は加令にともなって増加する傾向がみられたが, コンドロイチン硫酸, ヘパリンは逆に減少するこのが認められた。
    (4) ビタミンA欠乏は, ヘパリンを除いて, 加令による変化と同じような変化をおよぼすことが認められた。
    (5) 加令によるムコ多糖類の変化は, 老化時期よりも成熟期までにみられることが明らかになった。
  • 内藤 博, 嶋矢 督
    1971 年 24 巻 5 号 p. 284-286
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    In an attempt to investigate enzyme-catalyzing degradation of lipid peroxide in the living body, methyl linoleate hydroperoxide (MLHP) was tested as a substrate for peroxidatic reaction catalyzed by a commercial hepatocatalase (E. C. 1. 11. 1. 6.), Caperase.
    Autoxidized methyl linoleate was further fractionated on a cellulose-powder column with n-hexane then with methanol, and MLHP in the latter eluate was applied on the enzyme assay.
    The approximate reaction constant, k1, was calculated from the linear relationship of substrate concentration and the maximum velocity on the color development of the excess amount of guaiacol as a hydrogen donor.
    Although MLHP did not react with the intact enzyme at all, partial alkali-denaturation within the close pH range between 11.0 and 11.3 made it possible to catalyze the decomposition of both H2O2 and MLHP at approximately the same rate of the order of 102 sec. -1, mole-1, with higher value on MLHP than on H2O2, provided that one mole of hydroperoxide is contained per mole of MLHP.
  • 関 博麿
    1971 年 24 巻 5 号 p. 287-291
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    出産, 授乳することによって親はCaおよびP不足になるといわれているので, 初産で授乳中の親にCa846mg%, P622mg%およびMg93mg%を含む飼料を投与して, 仔が開眼にいたるまで (16-18日間) のCa, PおよびMg出納と母乳から仔に移行するそれらの量を求め, 親の脱Caの様相を観察した。
    (1) 仔は出生後16-18日間に体重26.4g, Ca量202.7mg, P量152.7mgおよびMg量6.8mgを母乳を通して親から得ている。 親の摂取量, 蓄積量また授乳仔数に関係なく仔の体重, Ca, PおよびMg量は大差なく発育する。
    (2) 親のCaは正出納を示すが, 仔のCa要求量が親の蓄積量より多い時は, 親の体内Caが母乳中に溶離移行するようで仔数の多い親は脱Caを起こす。
    (3) PもCaとおなじ傾向を示したが, 親の体内Pを母乳中に動員するほどのP不足にはならなかった。 仔の体内Ca/P比は新生仔とは逆に1より大となって, 体内CaがPより多く, 骨格の形成が一応整ったものと思われる。
    (4) Mgの出納は負を示す親もあったが, 仔の要求量に比較して親の摂取量が多かったためか, 親は脱Mgにはならない。
    (5) 親が飼料から摂取した無機質を乳汁中に分泌する量には限界があり, 仔の要求量がその限界量以上であれば, 親が体内に保留する無機質を動員して仔の要求量を満たすようである。
    授乳によって親の体内無機質は失われるようであるから, 無機質の補給は授乳時にはもちろんであるが, 妊娠時から充分に補給して体内に保留させておく必要がある。
  • 北川 雪恵
    1971 年 24 巻 5 号 p. 292-297
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    根菜類の根部を上下別数個所に区分し, 各部位におけるV. C量を測定するとともに, 更に根部における組織別V. Cの分布を, 木部肥大型である大根と師部肥大型のにんじんについて検討した.
    (1) 収穫期における大根及びにんじんの上下部位によるV. C含量の差異はかなり顕著であり, 先端部と上部に多く下部がこれにつぎ中部が最も少ない。 また, 酸化型 C についても上下差は顕著であり, その順位は総 C の場合と概ね同様である。
    (2) 根菜類の根の上部では, V. Cは葉のつけ根に近い程多い。 このことは葉の同化作用に負う所が大きく, また頂端生長点を含んだ細胞分裂の激しい部位に近いこともその一因であると考えられる。
    (3) 大豆幼根を用いて, 根の生長とV. C含有量との関係について追求したところ, V. Cは細胞分裂が最も盛んで, 生理作用の旺盛な先端部と胚軸上部に多く, 生長の少ない幼根上部と胚軸下部に少なかった。 また, 酸化型Cについても同様の傾向がみられた。 これらの結果から推定して, 根菜類の根部においても, その生理作用とV. Cとの間には密接な関係があるものと考えられる。
    (4) 抽台期のにんじんのV. C量の分布は, 適熟期のものと様相を異にし先端部に最も少なくなったが, これはこの時期になると, 先端部の生長が止って生活現象が衰え, 逆に抽台現象という異常に活発な生活現象がつけ根部分に近い地上部で行なわれているためと思われる。
    (5) 組織別の観察では, 木部肥大型の大根, 師部肥大型のにんじんの何れについても, 一般に根の肥大生長を司る形成層を含む維管束周辺部に特に多く, ついで皮部に多かった。 他方, 生活現象の比較的緩やかな貯蔵的役目を持つ柔組織には少なかった。 また, 酸化型Cも同様なことがいえる。 なお, 何れの組織についても, 収穫適期においては, V. Cは先端部と上部に多く, 下部がこれにつぎ中部に最も少なかった。
  • 1971 年 24 巻 5 号 p. 298-304
    発行日: 1971/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 1971 年 24 巻 5 号 p. 308
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    211頁住所訂正いたします。 (誤)板橋区前野町5-3 (正)埼玉県北葛飾郡松伏町
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