栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
24 巻, 8 号
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  • リボフラビンとパラアミノサリチル酸との反応 (第2報)
    大村 浩久, 西沢 天善, 堤 将和, 飯尾 雅嘉
    1971 年 24 巻 8 号 p. 413-422
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    RFとPASとを少量のピリジンの存在下に高濃度で加熱反応させると非透析性の赤色物質のほか紫外線で黄色を呈する2, 3の物質を生成した。この赤色物質は反応液のゲル濾過によって分離され, また反応液を十分に透析すれば析出した。その吸収スペクトルには266mμ, 525mμおよび565mμに極大が認められた。 赤色物質の生成にはPASが必要であって構造の類似した種々のフェノール誘導体は無効であった。 一方フラビンではRFが特に有効であって, FMN, FADあるいはLFではほとんど問題にならなかった。 またその生成量は加熱時間に比例し温度が高いほど増加した。 さらにRFとPASとの量比も問題であってRF0.5mgに対しPAS10mg以上を要し12mgで最高となるがそれ以上ではかえって低下した。 溶媒の量も関係し, 上記条件で0.2mlないし0.5mlを要した。 溶媒としてはDMFも有効であったが, 効果はピリジンにはおよばなかった。 氷酢酸を用いても同じように赤色物質を生じたがその性質は異なった。 これに対してブチルアルコールおよびオクチルアルコールでは赤色物質は生成しなかった。
  • 片山 (須川) 洋子, 前川 ソヨ子, 小石 秀夫
    1971 年 24 巻 8 号 p. 423-427
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    摂取たん白レベルを0. 8, 20%と変えてシロネズミを3週間飼育し, それぞれのたん白レベルにおいてインシュリンを投与したものと投与しない対照群に分け, 成長状態および肝臓の諸酵素活性について観察した。
    (1) 無たん白食を与えたシロネズミの成長は非常に悪く, 8%の低たん白食でも20%レベルにくらべると成長は著しく劣ったが, いずれのたん白レベルにおいても, インシュリンを投与したものと対照群との間で食餌の摂取量, 体重の増加には差がみられなかった。
    (2) 一方, インシュリン投与に対する肝臓の諸酵素活性の応答と摂取たん白レベルとの関係は無たん白食を与えたシロネズミではインシュリンを投与しても概して応答することができず, 低たん白食においてもそれらの応答は標準のたん白レベルにくらべると鋭敏でないことがわかった。
    (3) 本実験におけるインシュリンの3週間連続投与の場合の肝諸酵素活性の応答は, 短期間投与の場合にみられる傾向とは必ずしも一致せず, G6PDHについてはむしろ逆の傾向がみられた。
  • 天野 稔, 三宅 義雅, 伊藤 敏子
    1971 年 24 巻 8 号 p. 428-433
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ラットにシイタケ, レンチジン, リノール酸, コレステロールを添加した食餌を与え, 血漿, 肝臓脂質量および, その脂肪酸組成への影響について検討した。
    (1) 血漿中の中性脂質, リン脂質, コレステロール量は, シィタヶ, レンチジンにより減少し, 肝臓では増加の傾向が認められた。
    (2) 血漿中ではエステル型コレステロールの減少が大きく, 肝臓ではエステル型, 遊離型の両者の変動が認められた。
    (3) シイタケ投与群の血漿コレステロールエステルの脂肪酸量は減少し, レンチジン, リノール酸投与群は増加した。
    (4) 中性脂質の脂肪酸組成は, 血漿ではオレイン酸がレンチジン, リノール酸投与により減少し, 肝臓では, レンチジン投与でむしろオレイン酸は増加した。 コレステロール投与群は脂肪酸量が減少した。
    (5) 血漿リン脂質の脂肪酸組成は, レンチジン, リノール酸投与群のリノール酸, アラキドン酸に増加が認められ, ステアリン酸は減少した。 脂肪酸量は血漿では, シイタケ投与により減少し, レンチジン, リノール酸投与で増加した。肝臓では, シイタケ投与群は増加することを認めた。
  • 高橋 布往, 後藤 由美子, 下村 得治
    1971 年 24 巻 8 号 p. 434-437
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    うるち米 「新雪」 種の発芽過程におけるアミラーゼおよびマルターゼ活性, 糖含量および糖成分の変化を調べた。 その結果, 酵素活性の低い発芽初期の段階ではグルコース, フラクトースおよびスクロースしか認められないが酵素活性が増加するとともに糖含量も増加し, 糖成分も二糖類, 三糖類および四糖類と推定される少糖類の生成が認められた。
    発芽中に生成された二糖類のうちスクロース, ニゲロース, マルトース, コージビオースおよびイソマルトースを単離, 同定した。 生成量はスクロース>マルトース>イソマルトース>コージビオース>ニゲロースの順で, イソマルトース, コージビオースおよびニゲロースはマルターゼの糖転移作用によって生成されたものと考察した。
  • 食品中の微量成分に関する研究 (第6報)
    橋永 文男, 筬島 豊, 古谷 貞治
    1971 年 24 巻 8 号 p. 438-441
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    食品中のゲルマニウムの定量を行なうに当って, 四塩化炭素抽出後フェニルフルオロンで発色する方法を検討し, つぎのごとく改良した。
    試料 (デルマニウムとして8μg以下) を550℃で乾式灰化し, これを9N塩酸10mlで50mlの分液ロートに移し, 5分後四塩化炭素5mlで2分間激しく振盪抽出する。四塩化炭素抽出液2mlを0.01%塩酸酸性0.01%フェニルフルナロン溶液で発色させ10分後 (20℃以下), 508mμの吸光度を測定する。
    20種の食品についてゲルマニウム含量を測定した結果100g中に0.2μgから17.5μg含まれ, 大豆, ニンジン, クコ等に比較的多量含にまれていることを認めた。
  • 笠井 忠, 川村 信一郎
    1971 年 24 巻 8 号 p. 442-445
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    大豆など豆類に含まれる少糖類のうちその約半分あるいはそれ以上に相当するラフィノース, スタキオースなどを分解する酵素が消化液中にはないとされている。しかし腸内には微生物が生存する。また胃液が酸性であるからこの糖類になんらかの影響があると考え胃液の酸に相当する塩酸酸性 (pH0.5~3.0) で37℃, 1.5~6.0時間この少糖類標品を加温してその変化を還元糖の定量とペーパークロマトグラフィーにより調べた。その結果このような酸性ではフルクトースの遊離だけが起こったので, ラフィノース, スタキオースから種々の割合にフルクトースが遊離したものに相当する混合糖の還元糖定量値からこれら少糖類の遊離フルクトースの割合を算出すると, 胃液中に3時間存在するとして, ラフィノースで0.7~12.6%, スタキオースで0.57~9.3%のフルクトースを遊離することになる。この程度は直接消化しうることになり, また残基の糖はもとの糖よりも微生物の影響を受けやすく, 間接的消化の可能性も増大するものと考える。
  • 野中 修
    1971 年 24 巻 8 号 p. 446-448
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥豚肉を約24週間にわたり2週間目ごとにペプシン, トリプシンで消化し, 遊離したアミノ酸およびペプチド量を測定した。またその間の油脂の自動酸化を過酸化物量, TBA法で追究した。
    (1) その結果, 遊離アミノ酸の生成は乾燥後2~4週にかけて最大を示し, 以後下降の一途をたどり特に12~14週にかけて著しい減少を示した。
    (2) 消化の中間体であると考えられるペプチドの生成は貯蔵時間の経過とともに漸増をつづけていた。
    (3) TBAの変化は第2週目に極大を示し, 3~6週にかけて下降し, 以後第7週目に第2週目とほぼ同値となり以後漸増の傾向を示した。
    (4) 過酸化物量は上昇下降のくり返しで, TBAとの関連した一定の傾向は認められなかった。
    (5) 油脂自動酸化物生成量とたん白質の消化度の変動との間には直接の関係はみいだされなかった。
  • 北川 雪恵
    1971 年 24 巻 8 号 p. 449-451
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    茎菜類であるわらびとたけのこについて, 部位によるV. Cの分布を検討し, つぎの結果を得た。
    (1) わらびのV. Cは生長の著しい頂部に最も多く, 基部に近づく程少なかった。 酸化型Cも同様であった。
    (2) たけのこは頂部と各節間の基部にある生長帯で著しく伸長するが, V. Cの分布もこれに比例し, 全体としては頂部に著しく多く, また, 各節間内においてはその基部に最も多かった。 酸化型Cについても同様の傾向がみられた。
    横隔壁は稈壁に比べ生理的意義に乏しく総C, 酸化型Cともに少なかった。
    なお, わらび, たけのこのいずれについても, 単位乾燥物当たりのV. C量を求めたところ, 生体重当たりの場合と同様の傾向にあった。
  • 牧 善輔, 堀内 晶子, 金森 正雄
    1971 年 24 巻 8 号 p. 452-456
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    牛初乳たん白質の分娩後の経時的変化をしらべるために, 乳清たん白質はセルロースアセテート膜電気泳動, カゼインはポリアクリルアミドゲル電気泳動により, それぞれ分画し, さらにカゼイン中のシアル酸およびリンの分析を行ないつぎのような結果を得た。
    分娩直後の初乳たん白質は非常に多く, そのうちでも特に乳清たん白質中の免疫グロブリンが多い。免疫グロブリンをオイグロブリンとプソイドグロブリンにわけると, オイグロブリンの占める割合は分娩直後の初乳では乳清たん白質の65%もあったが, その後急激に減少して常乳ではプソイドグロブリンより少なく乳清たん白質の3.5%となった。分娩後の時間によってα-カゼインの分離のしかたが異なり, 分娩後48時間に得た初乳のカゼインは最も良く分離した。-カゼインは分娩直後の初乳には多く含まれているが, その後一時常乳より少なくなった。炉カゼインの量とシアル酸の量はかなり一致した傾向を示している。
  • 森高 真太郎, 沢田 幸七, 安松 克治
    1971 年 24 巻 8 号 p. 457-460
    発行日: 1971/11/20
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    精白米をn-ヘキサンで脱脂処理しても, 米飯の食味に影響は認められない。 一方40℃で貯蔵試験を行なうと, n-ヘキサン処理することにより品質の劣化はおさえられる。 しかし, 低温に貯蔵するほどの効果は認められない。 40℃に貯蔵して食味が明らかに劣化した精白米をn-ヘキサンで処理すると, 食味はよくなるが低温に貯蔵した無処理精白米ほどよくはならない。
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