栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
25 巻, 9 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 団野 源一, 名武 昌人
    1972 年 25 巻 9 号 p. 663-666
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ディスク電気泳動法で, 小麦粉の水溶性たん白質を十数本のバンドに分けることができた。アミドブラック10Bでゲルを染色した場合, 呈色の強さと実際のたん白質含量とが比例しないことが認められた。バンドNo. 5はかすかにしか認められない微少バンドであるが, そのたん白質含量は主バンドのそれに近い。バンドNo. 5のたん白質と色素との結合能は主バンドのそれの1/5~1/6であった。バンドNo. 5はグルタミン酸とプロリン含量の高いグリアジン様のたん白質であった。
    泳動後, ゲルを10%三塩化酢酸に浸すと, アミドブラック10B染色法で得られたバンドとほぼ同じ位置に鮮明な白濁バンドを検出した。各バンドの相対的な濃度は, 実際のたん白質量をかなり正確に示していることを認めた。この方法で, 強力粉, 中力粉, 薄力粉の水溶性たん白質のディスク電気泳動パターンに差のあることを認めた。
  • 伊東 清枝
    1972 年 25 巻 9 号 p. 667-670
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 豆みそおよび米みその加熱抽出液のたん白質およびペプチドの挙動を粘度法および電気泳動法によって検討した。
    2) 豆みその加熱抽出液の粘度とたん白質量の間には抽出温度および98℃における抽出時間に関係なく, 相関関係が認められた。米みそには相関がなく, これは米麹に由来する澱粉量の影響によるものと思われた。
    3) 各種みその加熱たん白質の泳動図は溶媒和の状態を示すもので, 加熱処理方法によって異なることがわかった。
  • 伊東 清枝
    1972 年 25 巻 9 号 p. 671-674
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 豆みそ水抽出たん白質の加熱による変化をUV法および粘度法で検討した。
    2) 温度の上昇および保温時間をそれぞれ10分間とした場合, 差スペクトルにおける吸光度は55℃まで減少し, 80℃において240~250mμの吸光度の増加をみた。また粘度の特異性がみとめられた。それらの結果から, 加熱変性温度は54℃前後であると考えた。
    3) 加熱に要する熱量が多い場合は50℃以下で変性がおこった。
  • 大武 由之
    1972 年 25 巻 9 号 p. 675-680
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食肉脂質の性質をさらに明らかにする目的で, 食肉加工用に輸入されたマトンの5屠体について背肉 (背最長筋), 腿肉 (大腿直筋), 肩肉 (上腕三頭筋) から抽出した脂質について, その脂肪酸組成ならびにトリグリセ680栄養と食糧リド構造, 組成をしらべた。
    マトンの全脂質や中性脂質では, C18: 1が45~47%を占め, C16: 0 25~27%, またC18: 0は17~18%で, 比較的C18: 0の多いものであったが, 背肉は肩肉よりもC14: 0やC16: 0が多く, C18: 2, C18: 3が少ない傾向があった。
    マトンのトリグリセリドでは, 不飽和酸およびC14: 0はトリグリセリドの2の位置に多く存在し, 飽和酸はおおむね1と3の位置に多く存在していた。
    マトン脂質では, ジ飽和トリグリセリドとモノ飽和トリグリセリドが, 約40%ずつ, またトリ飽和グリセリドとトリ不飽和グリモリドが約10%ずつを占めていた。
    なお, パルミト-2, 3-ジオレイン, 1-パルミト-2-オレオ-3-ステアリン, 1-ステアロ-2, 3-ジオレイン, 1, 3-ジパルミト-2-オレイン, トリオレイン, 1, 2-ジパルミト-3-オレイン, 1, 3-ジステアロ-2-オレインなどが, マトンの脂質を構成する, おもなトリグリセリドであると考えられた。
  • 谷口 巳佐子, 山内 亮子, 中村 元臣
    1972 年 25 巻 9 号 p. 681-685
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    白ネズミの肝臓ミトコンドリヤによるパルミチン酸誘導体の酸化に及ぼすリボフラビンの影響をしらべ, リボフラビン欠乏によって, パルミチル-CoAとL-カルニチンとの酸化のほうが, パルミチル-L-カルニチンのものより減少が大きいことが見いだされた。
    離乳ネズミをリボフラビン添加対照食で18日間飼育し, ついで31日間欠乏食で飼育したとき, ミトコンドリヤのパルミチル-CoAとL-カルニチンの酸化活性は, 欠乏食で飼育をはじめたものと同様の減少を示したが, パルミチル-L-カルニチンのものは欠乏食飼育前に対照食を与えたもののほうが酸化活性の減少が少なかった。
    ミトコンドリヤの呼吸調節率は, 欠乏食で4週間飼育することにより, パルミチン酸の両誘導体ともに減少した。しかし, 酸化的リン酸化の比はパルミチル-L-カルニチンを基質とし, 欠乏による影響はなかった。
  • 芦田 輝子, 山田 敏男, 吉村 寿人
    1972 年 25 巻 9 号 p. 687-695
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Whitehead ratio was investigated as an indicator of protein nutrition, observing the effect of low protein diet.
    Twelve male adults were divided into 3 group. The first group was given low protein diet and allowed to live quiet daily life. The second group was given more 1000Cal in the period of low protein diet living quiet daily life as well, and the third was treated to do hard work of R.M.R. 8 for two hours daily in the period of standard and low protein diet.
    The result was as follows.
    1) In the period of low protein diet, gradual decline of the function in adrenal and basal metabolism was observed gradual decrease in hemoglobin and serum protein concentration was remarkable in each group. On the second group the anemia and the decrease of basal metabolism were less remarkable than the first group, but it was uncertain that this depended upon the diminished intake of protein. Although all subjects of the third group were sportsmen proficient in exercise, they showed the symptom of anemia, decrease of serum protein, and decline of function in other physiological organs.
    2) On each group Whitehead ratio increased in the period of low protein diet. The increase of Whitehead ratio was considered to indicate, in some degree, the protein deficiency, but the rang of difference was very small.
    3) The increase of N/E ratio in the period of low protein diet is mainly caused by the decrease of essential amino acids and also by increase of nonessential amino acids. This is considered to depend on the degree of protein deficiency.
    4) The correlation between Whitehead ratio and N/E ratio is considerably high. Therefore Whitehead ratio can be used as an indicator of protein nutrition decision, if normal range of Whitehead ratio is applied in many cases under the standard protein level.
  • 新山 喜昭, 遠藤 章二
    1972 年 25 巻 9 号 p. 697-701
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    体重約180~190gのSD系妊娠白ネズミを用い, 妊娠第1日より種々の程度の食餌制限を行なって妊娠維持に対する摂食量の影響を検討した。1日摂食量を10g, 7.5gおよび5g (対照の約2/3, 1/2および1/3に相当) に制限した際の妊娠維持率はそれぞれ100%, 56%および20%であった。また妊娠第3日から0.5μgエストロンおよび4mgプロゲステロンを注射するといずれの制限群においても完全に妊娠を維持しえた。
    食餌制限下で胎仔形成が行なわれる際は母体成分の消耗をともない, その程度は食制限のきびしいほど大であった。また形成された胎仔およびその付属物重量は, 10g群では対照とほぼ同じであったが, 7.5g群, 5g群では有意に小であった。
    肝におけるRNA, DNA総量は摂食量と有意の正相関を示し, また筋DNA量も熱量制限群では低値であった。
    食制限によりひきおこされる栄養性流産の機構について若干の考察を行なった。
  • 麻田 信二, 神明 尚子, 土田 悦男, 松岡 芳隆
    1972 年 25 巻 9 号 p. 703-706
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    マルチット・シラップに夾雑するマルトオリゴ糖アルコールが膵酵素および小腸粘膜酵素によりどの程度分解され生体に利用されうるかをパンクレアチンおよびラット小腸アセトンパウダーを用いて酵素分解を行なった結果,
    1) パンクレアチンによってはほとんど分解されないが, ラット小腸アセトンパウダーによって分解され, α-およびβ-グルコースとマルチトールを生じることがわかった。
    2) マルチトールも小腸粘膜酵素によってわずかながら分解を受け, α-およびβ-グルコースとソルビトールを生成する。
    以上の結果から, カロリー評価にあたっては, 供試料に小腸粘膜酵素を一定条件で作用させたのち, マルチトール, ソルビトールおよびグルコースをそれぞれ定量してマルチット・シラップの有効カロリーを推定した。
  • 大宝 明
    1972 年 25 巻 9 号 p. 709-714
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    1) コンニャクイモのアセトン粉末はポリフェノール酸化酵素を含み, o-ジフェノール類のドーパミン, DL-ドーパ, クロロゲン酸およびカテコールをすみやかに酸化し, とくにドーパミンやDL-ドーパの反応液を著しく褐変した。
    2) 酵素の最適pHはカテコールでは7.0付近, DL-ドーパでは6.0~7.0にあり, 最適温度は前者では25°~30℃, 後者では30℃付近にあった。
    3) 粗酵素液は熱安定性がかなり高かったが, 酸性側のpHで不安定であり, pH 5.8以下で徐々に失活し, pH 4.0以下でほとんど失活した。ミカェリス定数はカテコールに対して1.75×10-2M, DL-ドーパに対して0.90×10-2Mであった。
    4) 酵素は金属ポルフィリン阻害剤のシアン化カリウム, ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムおよびチオ尿素によって強く阻害され, その褐変もこれら阻害剤で抑制された。また, 酵素作用はフッ化ナトリウム, 塩化第二水銀, フェリシアン化カリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムで阻害された。アスコルビン酸は酵素による酸化を見かけ上増大したが, 褐変を抑制した。
    5) コンニャクイモ中にはペーパークロマトグラフィーで数個のポリフェノール類が検出された。
    6) これらの実験結果から, コンニャクイモの切干し加工においてみられる褐変は, ポリフェノール酸化酵素による酵素反応によっておこると考えられた。
  • 大武 由之
    1972 年 25 巻 9 号 p. 715-719
    発行日: 1973/02/01
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    黒毛和種の背肉 (背最長筋), 腿肉 (大腿直筋) および肩肉 (上腕三頭筋) から抽出した脂質について, その脂肪酸およびトリグリセリド組成を調べた。
    牛肉の全脂質や中性脂質ではC18: 1 45~47%, C16: 0が約25%, C18: 0 10~13%であったが, 背肉は肩肉にくらべて, 全脂質あるいは中性脂質でC14: 0, C16: 0が多く, C18: 1や全不飽和酸が少ない傾向があり, 腿肉や肩肉のリン脂質は背肉のより高度不飽和酸が多かった。
    牛肉のトリグリセリドでは, 不飽和脂肪酸はトリグリセリドの2の位置に多く存在し, 飽和脂肪酸は1と3の位置に多く分布していた。
    牛肉脂質のトリグリセリドの平均組成は, S3 7.2%, S2U 36.5%, SU2 42.1%, U3 14.2%であった。またPOO, POP, OOO, POSt, StOOなどが牛肉脂質を構成する, おもなトリグリセリドであると考えられた。
  • 1972 年 25 巻 9 号 p. 736
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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