野菜類から抽出した脂質の不鹸化物中のステロール量を第1報, 第2報と同様にβ-シトステロール相当量としてあらわした。遊離型およびエステル型ステロールの比は, シリカゲルカラムを用いて第1, 2報と同様に求めた。また第2報と同様に不鹸化物の薄層クロマトグラフィーをおこない, ステロール部分をガスクロマトグラフィーにかけたこ。
1) 可食部100mg当りのステロール量は, 乾物のカンピョウを除いては1.4mg~49.7mgであった。
2) 遊離型とエステル型ステロールの割合は測定した40種のうち32種では遊離型ステロールが多かった。タケノコではエステル型ステロールが遊離型ステロールの約4倍あった。
3) ガスクロマトグラフイーでの分析の結果次のことがわかった。
a) 一般にβ-シトステロールが最も多量に含まれていたこが, パセリ, ウド, クワイ, セロリー, トマト, リョクトウモヤシではスチグマステロールが最も多く, ホウレンソウではα-スピナステロールがおもなステロールであったこ。
b) β-シトステロールはホウレンソウを除くどの試料にも見いだされたが, スチグマステロールとキャンペステロールのどちらか一方, または両方ともに含まれていないものもあった。
c) コレステロールとまったく区別できないピークがカブの葉, キョウナ, ダイコン葉, タイサイ, ワケギ, アスパラガス, サンショウの実, タマネギ, トマト, ナス, ニンニク, 葉ネギ, ラッキョウ, ワラビで顕著にあらわれていた。
d) β-シトステロールのピークの直前, または直後に未同定のピークが見られるものがあり, とくにウリ類ではβ-シトステロールとその直後に出る未同定のピークに相当するステロールとがおもなステロールであるものが多かった。
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