栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
27 巻 , 5 号
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  • 柴田 長夫, 内藤 初枝
    1974 年 27 巻 5 号 p. 191-201
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    初体重40g前後, 100g前後のWistar系ラットを用い健常時, CCl4注射時, 腹腔開放 (短期間胃腸露出) 時, 左片側副腎摘出時のcyp. の食欲増進効果を調べた。
    1. cyp.0.1mg/kg/日, 0.2mg/kg/日, 1mg/kg/日, 2mg/kg/日, 4mg/kg/日をラットに経口 (時に注射, 食餌中) 投与し摂食量, 体重増加量, 摂食状況を観察し, その結果相互間に差を認めなかった。 そこで以後の実験では, cyp. 投与量を2.5mg/kg/日とした。
    2. CCl4 0.05ml/100g, 0.1ml/100gの腹腔内注射を行なった場合
    1) cyp. 投与群と無投与群では摂食量, 体重増加量に差を認めなかった。
    2) 14~16日後の血液生化学所見では, 両群ともにCCl4障害による影響を認めたが, 両群間の差は認めなかった。
    3) 効率に関してはcyp. 投与群の方がCCl4注射後4~5日間は高かったが, その後両群に差を認めなかった。
    4) 組織学的検索では, CCl4により両群の肝小葉には14~16日後でも中心性脂肪化および肝細胞破壊を著しく認めた。 その他副腎, 腹部筋肉等は両群ともに異常を認めなかった。
    3. 一時的に腹腔開放を行なった場合
    側腹部に切開を加え, 胃・腸を取り出し数分露出した場合, cyp. 投与の有無に関係なく摂食量, 体重増加量, 血液生化学所見, に差を認めなかった。
    4. 左片側副腎摘出手術を行なった場合
    1) 術後の体重減少率はcyp. 投与群の方が好成績で, 2~3日後には両群とも同程度の増加率を示した。
    2) 摂食量, 体重増加量, 効率には差を認めなかった。
    3) 血液生化学所見では Ht, Hbについてはcyp. 群がやや高値を示した。
    4) 肝臓, 副腎の組織学的検索でも両群ともに正常であった。
    5) 両群ともに術後腹膜, 胃, 肝臓等の癒着したものも見られたが, 食物の通過その他に支障はなかった。
  • 赤星 千寿
    1974 年 27 巻 5 号 p. 203-209
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    農家の栄養, ことに高齢者栄養の実態とその問題点把握のため, 農家296世帯の栄養摂取量調査と, 同世帯内の20歳以上の男子314人, 女子393人の個人摂取量調査をおこなった。 その結果は, およそ以下のようにまとめられる。
    1) 全般的に栄養摂取状況としては, 個々の栄養素についてはなお不足なしとしないが, しかしこれまでの文献値に比べるとややまさっており, 昨今の農民栄養レベルの向上がうかがわれる。
    2) 各栄養素別にみるとV. A, V. B2, Ca, 脂肪などはどの年代でも不足している。 しかしその他の栄養素については, 若い年齢層では摂取熱量の高いのに応じて摂取量も高く, 所要量を上回っているが, それが高齢層になると摂取熱量の低下とともに全般的に低下し, とくに総たん白質量と動物性たん白質の比率とが低くなっている。
    3) 栄養摂取量を年齢別に比較すると, 男女とも40歳代までの間には有意差は認められず, 50歳代から一部栄養素に低下が見られ, 60歳代になるとV. Cを除く栄養素が有意に低かった。
    4) たん白質, 脂肪, 糖質の三養素の熱量構成比には年齢層間の有意差は認められない。
    5) 個人のたん白熱量比は, 同じ世帯の平均たん白熱量比とよく相関し, 個人の摂取栄養が世帯の食事のわくを出ないことを示唆している。 ただし70歳代のたん白熱量比はその世帯平均の割には高くなっており, 高齢層の摂取への配慮がうかがわれる。
    6) 総たん白質に対する動物性たん白質比は40歳代以降では20, 30歳代に比べて有意に低い。
    7) 以上の成績から見ると, 世帯の中で同じ献立で食事する場合, 壮年層と高齢層の間には絶対量の差はあるが, 質のうえでの差はほとんど認められない。 したがって食物摂取量の多い若い年代では摂取栄養の不足状態も少ないが, 加齢につれて摂取量の減少にともない不足のおそれがあり, とくにたん白質の低下は着目すべきことである。 このことから農家の高齢者栄養は, とくにたん白質を中心とした摂取食質の改善をまたなければ, その向上は望まれないといえる。
  • 小柳 達男, 中原 経子, 鷹觜 テル, 及川 桂子, 赤沢 典子
    1974 年 27 巻 5 号 p. 211-219
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 女子大学生にビタミン混合 (サイアミン, リボフラビン, ニコチン酸, パントテン酸, アスコルビン酸, V. A) を与えて暗調応能を測定してみると, 最初不良あるいはやや不良であったものが, 2週間経過するうちに次第に正常な値に改善されるものが現われた。 なお疲労, 風邪あるいは月経のときは暗調応能力は低下した。
    2) 学童の場合はビタミン混合の服用だけでは暗調応能は正常にならず, ビタミン混合とともに牛乳あるいはメチオニンを併用すると正常になった。ビタミン混合と牛乳を与えている学童は, これを与えていないクラスの学童に比べ, 風邪に対する抵抗が強いことが示された。
    3) 水田地帯の成人の試験で水溶性ビタミン混合からパントテン酸を除いたものよりも, これを加えたもののほうが暗調応能改善効果が高かった。 このことから, パントテン酸も暗調応能に関係することが推定された。
    4) 女子短大生に水溶性ビタミン混合とメチオニンを与えると暗調応能はかなり改善されるが, これにV. Aが加えられるまでは正常にならなかった。 尿中クレアチニンは, 女子短大生の場合も農村成人の場合もメチオニンの服用により増加した。 これは, 彼らの食餌に動物性たん白が少ないことを示すものと思われる。 尿中エーテル硫酸は, V. Aの服用により著しく増した。
    5) 水溶性ビタミンとメチオニンを与えられている人の暗調応がこれにV. Aを併用した場合に改善される程度は, その人のV. A体内飽和度を示すものと考えられる。 また, 尿中の全硫酸中エーテル硫酸の割合が25%に達しないときは, V. A不足のおそれがある。
  • 石束 哲男, 中村 槙吾
    1974 年 27 巻 5 号 p. 221-224
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    脂肪酸残基の鎖長や飽和度の異なる, 種々の親水性のショ糖脂肪酸エステルとデンプンとの相互作用について検討し, 次の結果を得た。
    1) デンプン溶液に添加したショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基の鎖長が長く, 飽和度が高くなるにつれてデンプン溶液の粘度上昇開始温度は高く, また, 最高粘度は低下し, 低温化によるゲル組織の形成は促進された。
    2) ショ糖脂肪酸エステルの添加によりデンプンゲルのゲル硬化度および膨潤度の経日変化は少なくなり, この傾向はその脂肪酸残基の鎖長が長くなればなるほど顕著であった。
    3) デンプンとショ糖脂肪酸エステルの相互作用はその親水性に依存するのではなく, むしろ化学構造と関連していることを見いだした。
  • 大和田 国夫, 田中 平三, 植田 豊, 伊達 ちぐさ
    1974 年 27 巻 5 号 p. 225-231
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    大阪市愛隣地区における男子の単身労働者41名を対象として, 「聞きとり調査」による栄養摂取状態とこれに関与していると考えられる二, 三の血液検査を実施し, 次の結果を得た。
    1) 栄養摂取量の平均値は, 総カロリー1, 774.4cal, たん白質52.4g, 動物性たん白質25.4g, 脂肪31.5g, 鉄8.8mg, ビタミンB10.56mg, ビタミンB20.73mg, ビタミンC47.2mgで, 対照群 (某建設会社の常勤肉体労働者) や昭和43年度国民栄養調査成績 (日雇労働者世帯) の平均値よりもきわめて低い値を示した。
    2) 昭和44年改定日本人の栄養所要量および昭和50年を目途とした栄養基準量を充足している者の頻度は少なく, おおよそ18%であった。
    3) アルコールのカロリー比の平均値は22.3%で, 約70%の者がアルコール常用者で, この者のカロリー比の平均値は38.2%であった。カロリー比50%をこえる者が17.1%も認められた。
    4) 当地区の低栄養摂取状態は, 体位にまで影響をおよぼしていることがうかがわれた。
    5) 全血比重の平均値は1.0562, 1.054未満の出現率は17.1%で, 血色素の平均値は14.3g/dl, 13g/dl未満の出現率は14.6%であった。
    6) GOT40単位以上GPT35単位以上の高値を示したものは19.5%で, このものは, アルコール摂取量が多く, 各栄養素の摂取状態は劣悪であった。
  • 柏崎 浩, 石川 俊男, 鈴木 継美
    1974 年 27 巻 5 号 p. 233-235
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食生活調査には多大な時間と費用がかかり, 調査法に多くの問題点があり, それが十分に整理されていない。食事歴インタビューもその例外ではない。 ここに用いた大学生の食事歴調査は, 面接者と被面接者が同級生であり, 互いによく見知った関係であるためインタビューについての主旨はすぐに了解され, インタビューの内容についてもかなり的確な反応を示した。 インタビュー結果についてのあいまいさは, 主としてインタビューの内容に厳密さが足りなかった点, 内容をより詳細に整理しなかったために起こる説明不足, 面接者の訓練不足によると思われる。 またインタビューの対象となった者のほとんどが10歳以前の食事についての記憶がなく, 10歳以前の食事歴についていかに掘り起こすかも, 今後に残された問題であろう。 同時にこの頃から食事に対する興味を示しだしたとも推察できるが, いずれにせよ何歳くらいから食事に対する興味が生まれるか, 食品, 料理, 食事といった区別をいつからするようになるか, いつから具体的に何をどのようにして食べたいと考えるようになるかといった個別の課題についても今後検討が必要である。
    本報告で実施した程度のインタビューによっても, 人々の食生活が居住地域の影響を受けながら生活経験の積み重ねによりなりたっていることがある程度推察できる。 食事歴についての調査は, 前述した問題点を考慮にいれたうえで被面接者が食についてどのような認識を持っているかを探りうるようなものにしなければならない。 それによって, 食習慣形成の要因や地域の食生活パターンの変化の要因をつかむデータを提供する可能性がある。
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