栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
28 巻, 7 号
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  • 岡田 美津子
    1975 年 28 巻 7 号 p. 353-361
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    This review summarizes our work on some aspects of amino acid and protein metabolism in B6-deficient rats.
    1. Functions of B6 enzymes of mitochondrial origin, especially aspartate and ornithine transaminases, were studied. The former enzyme was shown to produce aspartate from glutamate efficiently by coupling with TCA cycle. The latter enzyme catalyzed an efficient conversion of α-ketoglutarate, a member of TCA cycle, to glutamate.
    2. In rat liver some B6 enzymes predominantly exist as holoenzymes while others exist as apoenzymes to a considerable degree. The changes of absolute amounts as well as apo/holo ratios of representative B6 enzymes in B6 deficiency were studied.
    3. Severity of B6 deficiency in the rats fed 70% or 10% casein diet was compared. Severe deficiency was observed in the rats fed 70% casein diet as evidenced by a retardation of growth, and decreases in pyridoxal content and enzyme activities in the livers.
    4. Metabolic disorders were studied in the rat fed the 70% casein B6-deficient diet. a. In B6 deficient rats, the changes of hepatic enzyme activities did not necessarily reflect the degrees of impairment of amino acid metabolism. In the deficient animals, metabolism of glycine, serine, threonine and some members of urea cycle was markedly impaired. b. Fatty liver was induced in the deficient rats as a result of accumulation of triglyceride and cholesterol ester.
  • 高木 兵治, 岡本 玲子, 大村 浩久
    1975 年 28 巻 7 号 p. 363-370
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    農家自家醸造味噌の中には, チラミンを顕著に含むものがあり, その生成について, 製麹過程と仕込み後の熟成過程に分けて検討を加えた。
    1) 味噌麹から分離した麹菌は, 麹の場合, チロシンと反応させても, チラミンの生成はいずれも, まったく認められなかった。
    2) 麹をチラミンとインキュベートした場合, チラミンの分解割合は低く, また麹をチラミン生成細菌とともに, チロシンとインキュベートした場合のチラミン生成量は, いずれも細菌単独の場合よりも多く, とくに耐塩性を獲得したNo. 31菌株では, チラミンの生成量が著しく増加した。
    3) 製麹の際, No. 35菌株を接種した場合にはチラミンを生成し, その量は約3mg%で, 製麹日数の増加に伴い完全に消失した。
    4) チラミン含量の異なる自家醸造味噌を18ヵ月間, 室温または冷蔵室で保存した場合, 室温ではチラミン含量の増加はなく減少する事例があり, 冷蔵では逆に増加する事例がみられたが, いずれもチラミン含量の著しい変化は認められなかった。
    5) 味噌仕込みの際, 水分と食塩含量を調整し, さらにNo. 35菌株を接種, 炭酸カルシウム, 大根搾汁等を添加した。その味噌について, 一般性状とチラミン含量を調べた結果, 水分, 食塩含量の高い場合には, 味噌の熟成はおくれた。味噌の熟成度とチラミン含量の間には関連がなく, また添加物によるチラミンの生成促進作用は, 炭酸カルシウムに若干認められた程度で一般に低く, 多量にチラミンを生成する場合はなかった。
    6) チラミンを含まない味噌を用いて, No. 35菌株を接種し, 食塩濃度と添加物の関係を調べた結果, チラミンの生成は食塩濃度が決定的な要因であり, 添加物は二義的な効果をもつものであることを認めた。 食塩濃度の増加に伴い, チラミンの生成は著しく低下し, 食塩濃度の低い場合には炭酸カルシウム, ブドウ糖の添加はその生成を促進する作用が大きく, 食塩濃度の高い場合にもブドウ糖, 大根搾汁の添加はその生成を促進する作用が認められるが, 味噌のチラミン含量は著しく低下し5~10mg%となった。
  • 松井 年行, 山田 勝治
    1975 年 28 巻 7 号 p. 371-376
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    精製白糖に比べ和三盆糖の独特の風味が含有する不純物質によるところが大であるという考えをもとにアミノ酸, 有機酸, 糖の分析を行ない, あわせて精製工程中の成分変化を見て以下のことを明らかにした。
    1) 製品において遊離アミノ酸ではアスパラギン酸, アスパラギン, アラニンが多く, γ-アミノ酪酸は0.88mg%であった。
    2) 製品において, 除たん白はほぼ完全であると考えられる。しかし, 共存するショ糖の影響が考えられる加水分解法は今後検討を要する。
    3) 糖ではシュークロース, フラクトース, グルコースを定量した。
    4) 有機酸ではcis-アコニット酸が製品において全有機酸の49.4%を占めており, ピログルタミン酸は全有機酸の11.4%であった。
    5) 市販グラニュー糖, 上白糖を和三盆糖と比べた場合に, 一般分析値から推定して市販精製糖の有機酸, 遊離アミノ酸が風味に与える影響は少ないと考えられる。
    6) 和三盆糖の独特の精製法である「押し」と「研ぎ」をくり返す方法では, 精糖工業で古くからいわれている有害性窒素成分および侠雑物を完全に除去しえない。逆にこのことが幸いして, 特徴的な風味を作り出していると考えられる。
  • 木村 恒
    1975 年 28 巻 7 号 p. 377-382
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    長期間PMD施設にはいり, 一般病人食を給与されているD型男子患者の栄養状態を観察し, 次のような結果を得た。
    1) PMDのカロリー, たん白質摂取量は, 対照者に比べて著しく少なかったが, 単位体重当りに換算するとその差は認められなかった。 しかし動物性たん白質比は, 本症患者のほうが優っていた。
    2) 摂取カロリーと消費カロリーは辛うじてバランスされていたが, 成長, ストレスなどに対する安全率を考慮すると十分であるとはいえない。 そのうえ, N蓄積率も劣る傾向がみられた。
    3) 本症患者の血中たん白質保持状態は, 良好であるとはいえない。 すなわち, 全血比重, 血清比重, 血清尿素Nが対照者に比べて明らかに低かった。 また血中遊離アミノ酸濃度では, Val, Leu, Ileなど必須アミノ酸群が低い, いわゆる飢餓状態に近似した様子がみられた。
    4) 身長, 体重発育は6歳ごろからすでに劣っており, 体重発育は思春期に著しい発育遅滞を認めた。
    5) 以上の結果から, PMD施設における患者の栄養管理のあり方9) を再検討する必要があると考える。
  • 尊田 民喜, 村中 誠, 大村 浩久
    1975 年 28 巻 7 号 p. 383-388
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) リンゴ酵素・カテコールおよびリンゴ酵素・カテコール・メチオニン両褐変系において生成した透析性ならびに非透析性成分のESRスペクトルを測定し, フリーラジカルの存在を確認した。 これらすべての成分のシグナルは反応時間に関係なくいずれも同一のg値を示し, 照合物質がDPPHの場合2.004, Mn2+の場合2.007であった。
    2) 非透析性メラノイジンのフリーラジカルの量は時間とともに変化し, 比較的早い時期に最高に達したのち減少した。 この変動は酵素活性にも影響され, 活性が高い場合に早く最高に達した。
    3) 酵素活性が一定のときはフリーラジカルの量は基質濃度に依存し, カテコール濃度が高いほど多かった。 さらにメラノイジンのフリーラジカル量は, 抗酸化能に関係しているように思われた。
  • 祐川 金次郎, 松本 多計治
    1975 年 28 巻 7 号 p. 389-393
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    乳牛の硝酸塩中毒症と関連して, 血中硝酸, 亜硝酸が乳汁中に移行することが考えられるので, 牛乳・乳製品中の硝酸, 亜硝酸をカドミウム・カラム還元法によって測定した。なお参考として, 人乳についても行なった。
    1) カドミウム・カラム還元法による牛乳・乳製品中のNO3-Nの回収率, 再現性は良好で精度よく定量できる。
    2) 硝酸イオンメーターによる牛乳中の硝酸イオン測定は, 妨害イオンである塩素を完全に除去しなければならないので, 実際上応用は困難である。
    3) 牛乳150試料のNO3-N含量は, ほとんど0.5ppm以下, 粉乳では1.0~3.5μg/gで, いまのところ牧草中のNO3-N含量たNO2-Nとの関係は認められなかった。またNO2-Nは, ほとんど検出されなかった。一方, 人乳中のNO3-Nは1~5ppmで, 牛乳に比較してかなり高かった。
  • 川端 晶子, 澤山 茂
    1975 年 28 巻 7 号 p. 395-402
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 新鮮果実より分離調製したペクチン質の収量は, 柑きつ類では0.80~3.21%で, その他の果実類では0.45~1.50%であった。これらのペクチン質の成分を分析定量した結果, 無水ガラクチュロン酸含量は50%前後のものが多いが, バナナペクチン質の含量は低く, 果肉26.2%, 果皮36.9%で夏みかんしぼり粕ペクチン質は最も高く, 74.7%であった。
    重量法によるメトキシル基の定量値は, 2.80~9, 09%であるが, 無水ガラクチュロン酸ベースに換算すると, りんごしぼり粕ペクチン質を除き, 9.21~13.84%となり, 高メトキシルペクチンといえる。
    市販ペクチンについて, 未処理および精製したものについて成分を分析定量した結果, 精製したものの無水ガラクチュロン酸およびメトキシル基含量がやや高くなっている。
    2) 液体クロマトグラフィーによる中性糖の分別定量の結果, 果実ペクチン質に含まれる中性糖の量は異なるが, 種類はほぼ一定していることが認められた。
    総体的に, アラビノース, ガラクトースの含量が高く, つづいてラムノース, キシロースがほとんどのペクチン質に含まれ, グルコースは, 極端に多いものと少ないものがある。
    含量の高いアラビノースとガラクトースの比には一定の傾向は見られず, 中性糖の総含量にも一定の傾向はなく, また無水ガラクチュロン酸と中性糖の含量にも相関はなさそうである。
  • 浅川 具美, 松下 雪郎
    1975 年 28 巻 7 号 p. 403-405
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Trial manufacture of POV and TBA test papers for detecting lipid oxidation was attempted. One drop of oxidized oil is placed on the POV test paper and let stand for one min. Then the paper is put into water, and blue color appears depending on the oxidation degree. On the TBA test paper, one drop of oxidized oil and three drops of water are placed. The paper is heated under infrared lamp for 5 min, and pink color is developed.
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