オキアミの海水による煮熟処理時間と, プロテアーゼおよびチロシナーゼ様酵素活性との関係, さらに歩留, 塩類の浸透等を調べ, 以下の結果を得た。
1. オキアミを沸騰海水 (3%食塩水) 中で煮熟処理を行なうと, プロテアーゼおよびチロシナーゼ様酵素は, 煮熟処理時間を長くするとともに活性を失ってゆき, 15分間の煮熟処理では, プロテアーゼは完全に, チロシナーゼ様酵素活性はほとんどみとめられなかった。
2. 煮熟処理をしないオキアミを室温放置すると内臓肉質が液化し, 黒変が起こり悪臭を放ったが, 煮熟処理したオキアミでは, 外観から見たうえでは状態の変化はみとめられなかった。
3. 歩留, 粗たん白質, 粗脂肪は, 煮熟処理時間が長くなるとともに減少し, 5分間の処理では, 歩留91%, 粗たん白質, 粗脂肪の絶対量は, 83%, 77%になり, 15分間処理すると, それぞれ, 83%, 68%, 56%にまで減少した。
4. 逆に粗灰分は上昇し, 15分間煮熟処理すると6.4%になり, 煮熟処理中に煮熟液の塩類 (食塩) が浸透したことがわかった。
以上の結果, ならびに前報の結果から, オキアミの凍結前に行なう煮熟処理は, 沸騰海水中で5分間程度が良いものと考える。
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