栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
30 巻, 3 号
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  • 岩淵 明, 高橋 徳太郎, 務台 方彦, 神立 誠
    1977 年 30 巻 3 号 p. 141-148
    発行日: 1977/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    成熟したFischer系の通常化白ネズミと糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミおよび無菌白ネズミを用いて, カゼイン8%飼料の消化吸収率とたん白質の生物価に対する, 消化管内細菌叢の影響を検討して, 次の結果を得た。
    1) 粗たん白質の見かけの消化吸収率は, 無菌白ネズミ群が, 通常化白ネズミ群, 糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群のいずれよりも有意に低かった。通常化白ネズミ群と糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群の間には有意差がなかった。真の消化吸収率は, 通常化白ネズミ群が糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群, 無菌白ネズミ群のいずれよりも有意に高かった。糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群と無菌白ネズミ群の間には有意差がなかった。
    2) 純たん白質の見かけの消化吸収率は, 3群間に有意差があり, 無菌白ネズミ群, 糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群, 通常化白ネズミ群の順位で無菌白ネズミ群が高かった。
    3) 粗脂肪の見かけの消化吸収率は, 通常化白ネズミ群が, 糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群, 無菌白ネズミ群のいずれよりも低かった。糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群と無菌白ネズミ群の間には差がなかった。
    4) 粗繊維および可溶性無窒素物の消化吸収率は, 通常化白ネズミ群と糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群の間には, 有意差がなかった。無菌白ネズミ群に胃毛球の形成が認められ, 胃毛球中には濾紙粉末様物質が係留されていた。
    5) 無たん白飼料期における, 糞中排泄窒素量は, 無菌白ネズミ群が, 通常化白ネズミ群および糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群より有意に多く, 尿中排泄窒素量は, 無菌白ネズミ群が他の2群のいずれよりも有意に少なかった。
    6) たん白質の生物価は, 3群の間に有意差がなかった。
  • 川端 晶子, 澤山 茂, 名古屋 知之
    1977 年 30 巻 3 号 p. 149-154
    発行日: 1977/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    二重円筒形回転粘度計を用い, ペクチン溶液の粘度におよぼすpHの影響, 粘度の経時的変化および, 速度勾配, 濃度ならびに, 温度依存性を検討し, 次のような結果を得た。
    1) 高メトキシルペクチン溶液の粘度はpH 6に最大値があるが, 低メトキシルペクチンではpH 3.2~6において大きな変化を示さなかった。また, ペクチン溶液の3週間の貯蔵試験において, -30℃で貯蔵したものは, 凍結, 解凍による粘度低下はほとんど見られなかったが, 20℃貯蔵のものでは20~25%の粘度低下が認められた。
    2) ずり速度5×10°~3×103sec-1におけるペクチン溶液粘度の速度勾配依存性は, いずれも, 速度勾配が小さいほど, 粘度が大きくなるという典型的な構造粘性を示した。
    3) 濃度依存性について, 0.1~2%のペクチン溶液の還元粘度ηsp/cと, 濃度cとの関係において, 0.2~0.4%に還元粘度の最小値があり, さらに, 濃度の減少とともに, 還元粘度は急激に増大した。そこで, 添加塩の濃度による影響をしらべたところ, 典型的な高分子電解質の曲線群が認められた。
    4) 0.5~2%の各ペクチン溶液について, 10~90℃の温度領域で粘度を測定し, 温度依存性をしらべるとともに, みかけの活性化エネルギーを求めたところ, 低温度領域では2.8~5.4kcal/mol, 高温度領域では1.7~4.3kcal/molであった。
  • 松本 美和子, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1977 年 30 巻 3 号 p. 155-162
    発行日: 1977/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Aminex A-4を用いた液体クロマトグラフィーにより, 豚肉, 牛肉, 羊肉, 鶏肉, 鯨肉および食肉加工品中のプリン塩基すなわちアデニン, グアニン, ヒポキサンチン, キサンチンを分別定量した。
    測定値をTable 1, 2, 3, 4に示した。鶏肉では他肉種にくらべてやや高い含有量を示したが, 豚肉, 牛肉, 羊肉, 鯨肉の間では, 有意な差はなかった。同一動物種の中でも部位別の相異があり, 肉の水分量と総窒素量に対し総プリン塩基量は正の相関を示した。
  • 内藤 博, 清水 よしえ, 成田 健
    1977 年 30 巻 3 号 p. 163-167
    発行日: 1977/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 雄白ネズミにカゼイン, 卵白アルブミン, ツエイン, ゼラチンまたはグルテンを20%含む飼料を4日間毎日1.5時間ずつspaced-feedingし, 最終日の摂取終了1時間後に全小腸内容物を採取し各態窒素を定量した。
    2) 卵白アルブミン摂取により腸管内に多量のたん白質が集積することが認められた。その一部は1%トリクロル酢酸含有95%エタノール可溶性, 水溶性たん白質画分 (TE) であり, その電気泳動像は血清アルブミンに一致した。
    3) このような腸管内水溶性たん白質の集積は食餌中のカゼイン水準によってわずかに変動し, 消化時間とともに減少し, 同時に同様なTE画分の変動を伴ったが, 無たん白食4日間, 飢餓2日間で顕著なTEの減少は認められなかった。
  • 平野 隆司, 松浦 栄一, 山田 幸二
    1977 年 30 巻 3 号 p. 169-174
    発行日: 1977/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    リジン添加小麦粉飼料によって起こる肝臓脂質の蓄積と摂取脂肪の種類とレベルとの関係について検討し次の結果を得た。
    1) 摂取脂肪源としてヤシ油, 大豆油を用いた場合, 肝臓脂質は顕著な蓄積が起こるが, ショートニングオイルで肝臓脂質の蓄積に対する抑制作用がみられた。
    2) 肝臓TGの蓄積は大豆油を5%から15%に増加させても有意な差はみられないが, ショートニングオイルを5%から15%に増加させると有意に低下した。
    3) リジン添加小麦粉飼料で蓄積した肝臓TGの脂肪酸組成には対照にくらべて, ショートニングオイルでのC18: 0, C18: 1以外には有意な差はみられなかった。
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