栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
30 巻, 4 号
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  • Euphausia superba (南極オキアミ) の栄養食品化学的研究 (第4報)
    松本 恵子, 一寸木 宗一, 浜倉 大全, 前川 昭男, 鈴木 隆雄
    1977 年 30 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 10%・ 15%たん白質レベルにおけるオキアミたん白標品添加グルテン区およびオキアミたん白標品の肝臓キサンチン酸化酵素活性は全卵たん白質区との間では有意の差は認められなかった。 しかしグルテン区では他区に比較して明らかに活性の低いことが認められた。
    2. 10%・ 15%たん白質レベルでのオキアミたん白標品添加グルテン区およびオキアミたん白標品区のA/U×I. p値は全卵たん白質区とほぼ同様の値であったがグルテン区では他区に比して明らかに低い値であった。
    3. 白ネズミ体重増加量は10%・ 15%たん白質レベルともにオキアミたん白標品添加グルテン区, オキアミたん白標品区および全卵たん白区いずれの間でも有意の差は認められなかったがグルテン区の成長は劣る結果が得られた。
    4. 10%・ 15%たん白質レベルにおけるオキアミたん白標品添加グルテン区およびオキアミたん白標品区の生物価, 消化率, 正味たん白質利用率は全卵たん白質区に準ずる値を示した。 しかしグルテン区は他区に比較して有意に低いことを認めた。
    以上の結果よりオキアミたん白標品添加グルテン区は全卵たん白質区, オキアミたん白標品区と近似した栄養価を示し, オキアミたん白標品のグルテンに対する補足効果が認められた。
  • 高果糖食の影響 (第3報)
    片山 洋子, 須川 洋子, 森田 信子
    1977 年 30 巻 4 号 p. 187-191
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    小腸粘膜の諸酵素, fructokinase, hexokinase, sucrase, ATPaseなどが高果糖食の投与によってどのような活性の日内変動を示すかについて観察した。
    1. 体重125~150gの雄白ネズミを高果糖食でmealfeeding (9時から13時までの3時間) し, 4日目に食餌投与前, 投与後30分, 2時間, 5時間, 10時間, 15時間, 20時間の各時点で諸酵素活性 (以下3, 4, 5に記載) を測定した。
    2. 摂取された食物はmeal-feedingの開始後2時間ぐらいですでに胃から小腸へとさかんに移行していることが示唆された。
    3. Fructokinaseとhexokinase活性はそれぞれ異なった日内変動を示した。すなわち, 摂食直後, hexokinase活性は著しく上昇し, さらに5時間後と15時間後にピークがみられた。一方, frnctokinase活性は摂食直後にはあまり変動せず, hexokinaseとは反対に5時間後と15~20時間後に活性減少の傾向がみられた。
    4. Sucrase活性は摂食後2~5時間まで上昇の傾向を示し, それ以後15時間まではしだいに減少, さらにふたたび活性が上昇するという一定のリズムがみられた。
    5. Na+, K+-ATPase活性は摂食5時間後と20時間後にピークのあるリズムを示したのに対し, Mg++ATPaseは摂食直後わずかな活性の上昇を示し, その後, 15時間後まではほとんど変動せず, 20時間後にって活性が上昇した。
  • 松平 敏子, 柳瀬 恭子, 中西 妙子, 山田 京子, 片山 洋子, 須川 洋子, 奥田 豊子, 武副 礼子, 小石 秀夫
    1977 年 30 巻 4 号 p. 193-200
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1974年5月から1975年2月までの10カ月間, 大阪市北部の児童福祉施設の児童・生徒 (6~15歳) 126名を対象として, 毎月の身長・体重の計測, 6月・8月・11月・2月の摂取食餌調査を実施し, その体位と摂取栄養状態を検討した。なお, 同一施設における1956年の成績および大阪市平均とも比較検討した。
    (1) 身長・体重を大阪市平均と比較すると, 8歳・12歳の男子では劣っていたが, それ以外には男女とも有意差を認めなかった。
    (2) 調査期間中の, 身長・体重の増加量は大阪市平均にくらべ, その多寡に一定の傾向を示さないが, 増加率は年齢により大阪市平均と同じか, または上まわっていた。
    (3) 身長および体重増加の季節変動は身長ではみられなかったが, 体重では夏期に増加量が小さく, 秋から冬にかけては大であった。
    (4) 男子65名, 女子35名対象の夏期の摂取栄養素量は, 摂取エネルギーでは所要量をやや下まわっていた。たん白質摂取量は, 男子ではほぼ所要量を充していたが, 女子の, とくに9歳以上では, 所要量より10~20%下まわっていた。動物性たん白/総たん白は50%以上, 脂肪カロリー/総カロリーは20%以上であった。
    (5) 摂取栄養素量の季節変動は, 脂肪摂取に夏少なく秋に多くなる傾向がみられた以外, 著明な差はみられなかった。
    (6) 以上の体位と栄養素摂取量との関係について考察した。
  • 長谷川 節, 佐野 利彦, 高田 周三, 奥田 正男, 鶴 大典
    1977 年 30 巻 4 号 p. 201-207
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 好アルカリ性放線菌の生産する好アルカリ性プロテアーゼを20~50mM苛性ソーダ中 (pH 12~12.5) で乾燥クロレラ細胞に作用させると細胞たん白質の80%程度が可溶化され, 遠心分離 (7, 000rpm, 20分) の上澄に認められる。
    2) この上澄中の主成分は分子量2, 000前後のグルタミン酸含量の高いポリペプタイドである。
    3) 電子顕微鏡的観察では細胞壁の崩壊はあまり認められない。おそらく苛性ソーダの存在によつて細胞内たん白質の可溶化が促進されSA-プロテアーゼによって容易に消化, 溶出されたものと思われる。
    4) 上澄画分について消化率試験を行なった結果見かけ上93.4%という高い消化率が認められた。
  • 草類蛋白質の栄養価に関する研究 (第21報)
    保井 忠彦, 狩野 博光, 夏梅 登志子
    1977 年 30 巻 4 号 p. 209-214
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 大根凍結乾燥葉は粗たん白質31.9%, 純たん白質24.0%, 全糖15.0%を含有し, 全糖の約50%は80%熱エタノール溶性の糖類であった。その構成糖類はシュークロース: フラクトース: グルコース=1: 6: 6よりなっている。
    2) 成熟ラットによる凍結乾燥葉の粗たん白質と純たん白質の真の消化率はそれぞれ平均79.7%, 73.0%であった。また粗たん白質6%レベルでのたん白質の生物価は62であった。
    3) 成熟ラットによる前処理葉の摂取量はかなり低下した。そのたん白質の真の消化率は平均79.5%で, 凍結乾燥葉のそれにくらべて, 前処理操作でかなりの向上が見られた。またたん白質7%レベルでのたん白質の生物価は81であった。
    4) 成熟ラットによる単離たん白質 (0.3% NaOH性60%熱エタノール溶液で抽出し, 単離精製した標品) の摂取量もかなり低下した。そのたん白質の真の消化率は平均57%で著しく低下した。その6%レベルでのたん白質の生物価も42と著しく低下した。0.2% L-メチオニンの補足で摂取量はかなり回復し, たん白質の消化率は平均61%で変わらなかったが, 生物価は平均83で前処理葉たん白質のそれと同程度まで著しい回復, 上昇があった。
    5) 単離精製したたん白質の人工消化率は大根凍結乾燥葉のそれと等しいか, より良い結果を示した。これらのことからラットによる消化率低下の原因について若干論及した。
  • 草類蛋白質の栄養価に関する研究 (第22報)
    保井 忠彦, 平 秀昭, 馬場 一之, 高瀬 幸子
    1977 年 30 巻 4 号 p. 215-222
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) ホウレンソウ生葉から単離精製したいわゆる細胞質たん白質と葉緑体たん白質の栄養価を成熟雄ラットで測定した。たん白質の消化率と生物価は前者で100%, 83, 後者で44%, 27であった。緑葉からたん白質を0.3% NaOH性60%熱エタノール溶液を用いて抽出, 分離調製することは不適当なことが結論された。
    2) 大根生葉を有機溶剤などで前処理した前処理葉を5%有機酸混液または0.5~1%リン酸溶液と120℃, 30分ずつ加圧加熱を4回反復することにより, たん白質は92%以上が抽出され, 全たん白質の80%内外の収量が期待された。
    3) ホウレンソウ生葉を直接5%有機酸混液, 0.5%リン酸相当濃度溶液と120℃, 30分加圧加熱抽出してもたん白質の抽出率は50%以下で, その有効な抽出分離は期待しえなかった。
  • 和三盆糖に関する研究 (第5報)
    松井 年行
    1977 年 30 巻 4 号 p. 223-227
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    和三盆糖, 白下糖, 圧搾汁の無機成分分析, 精製白糖に無機成分を加えてSchéffe, Bradleyの一対比較法で官能検査を行ない次のような結果となった。
    1) 和三盆糖製造工程において, 釜等から砂糖に移行する無機成分は, 除去されるものよりきわめて少ない。
    2) Schéffe, Bradleyの一対比較法によって官能検査を行なったところ, 今回の実験では, 和三盆糖の無機成分の影響を発見できなかった。
  • 森内 幸子, 吉沢 節子, 細谷 憲政, 高瀬 幸子, 大谷 愛
    1977 年 30 巻 4 号 p. 227-229
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ニワトリの発達過程における, 十二指腸粘膜の脂質組成の変化を観察してみた。
    その結果, コレステロール, トリグリセリドには孵化前後で有意な変化は観察されなかったが, リン脂質ならびに総脂肪酸量は, 孵化後有意な増大をしめした。さらに脂肪酸組成は, 孵化の前後で著明な変化を示した。孵化後, 16: 0, 18: 1などが減少し, 長鎖多不飽和脂肪酸の増加の傾向が観察された。
  • レダクトン類の機能に関する研究 (第22報)
    篠原 和毅, 内野 文弘, 江藤 正義, 曾 耀崑, 大村 浩久
    1977 年 30 巻 4 号 p. 230-232
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    TR-2-Pに対するアルカリホスファターゼの作用について検討した。その結果, TR-2-Pはアルカリホスファターゼの基質として加水分解されることが確かめられた。加水分解量は37℃, 1時間の保温で約20%であった。またKm値は2.3×10-3Mであった。
    一方, TR-2-Pがアルカリホスファターゼ共存下においてDNAの二本鎖切断を引き起こすことも明らかにされた。<BRなお本研究の費用の一部は昭和50年度文部省科学研究費補助金によった。
  • 村上 浩紀, 竹山 祥子, 千住 節子
    1977 年 30 巻 4 号 p. 233-236
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ダイコン, ニンジン, ゴボウ, カンショ, バレイショおよびキュウリの新鮮可食部からDLを得た。これらのDLは窒素含量が低く, 純度の高いものであった。蔬菜DLの分光学的ならびに化学的諸性質を検討するとともにブナ材DLのそれらとの比較をも行なった。DLのC6-C3単位あたりのメトキシル含量は蔬菜DLによって著しく異なっていた。しかしその含量はブナ材DLのメトキシル含量にくらべて低かった。E280値も蔬菜DLによって異なっていたが, その値は全般的にブナ材DLのそれよりも高かった。さらに遊離フェノール性水酸基量も植物DLによって同様ではなかったが, その含量はブナ材DL中の含量よりも低かった。このようにDLの性質は蔬菜の種類によって一様ではないことが明らかとなった。
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